順天堂大学医学部附属順天堂医院と東京ベイ・浦安市川医療センター、心臓疾患の患者説明資料を導入開始 〜メディカルクリエイター®︎との協働で「患者さんに伝える力」を向上
田端 実 医師(順天堂大学 心臓血管外科 主任教授・一般社団法人ハートアライアンス代表理事)と、株式会社レーマンが患者説明資料を共同研究開発。患者視点のわかりやすさと医療者視点のわかりやすさの両立。
一般社団法人ハートアライアンスでは、従来の常識にとらわれない病院の垣根を越えたハートチーム(心臓血管外科医、循環器内科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、理学療法士などからなる循環器治療チーム)で、「医療業務の効率化」、「医療スタッフの働き方改革」、「新しい時代で必要とされる人材育成」に取り組み、医療の質向上と持続可能な医療現場体制の確立を目指している。田端実医師(一般社団法人ハートアライアンス代表理事、順天堂大学心臓血管外科主任教授)と、メディカルコンテンツ制作会社の株式会社レーマン(東京都港区)は、2019年より3種類の心臓疾患(僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患)について、手術説明資料の標準化を目的に患者説明資料の研究開発をおこなった。
従来多くの病院で用いられる患者説明資料は、難しい用語やわかりにくい臓器や手術の写真の掲載、コストや制作者の知識の問題で装飾的な挿絵が多かったりと、医学の専門家でない患者には理解しづらい場合が多々見受けられた。株式会社レーマンでは、プロのメディカルクリエイター®︎とサイエンスデザイナー®︎の主導で患者視点、医療者視点、両者のわかりやすさを両立させることを研究目的とし、ユーザーテスト後のヒアリング、アンケート、客観的な評価スコアリングをおこなった。この研究開発の成果は日本メディカルイラストレーション学会誌に論文としても発表された。
治療の意思決定においては患者自身が医学的な情報を理解する必要があるが、簡単には専門的な知識を理解することはできない。患者説明資料では、イラストの画風、点数、大きさ、色づかいにこだわり、医師からの説明を受けた後に患者自身や家族が理解できるよう、文章は馴染みのある言葉づかいで最低限とし、医師の説明しやすさにも重点を置いた。わかりやすい説明資料は、医師の説明時間の短縮のほか、医師と患者の距離が縮まり、信頼関係の構築も期待される。
レーマンでは、今後心疾患以外の幅広い症例にも対応し、全国の病院やクリニックがオリジナルで患者説明資料を制作できるよう、仕組みを整えている。
(カスタムのお問合せ:https://laiman.co.jp/contact/)
有賀雅奈・高柳航・永田徳子・原彩子・田端実 2022: 「患者と医療者双方にとって効果的な患者説明資料のメディカルイラストレーションとは」『日本メディカルイラストレーション学会誌』4(1), 46-60.
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