小学校でのプログラミング必修化の課題は「教師」と「環境」
約3割の教師がプログラミング教育に手ごたえを感じていないと回答
リトルソフト株式会社(本社所在地:東京都豊島区、代表取締役:長尾 寿宏)は、全国の小学校教師(教員)を対象に、「プログラミング教育必修化」に関する調査を実施しました。
2020年度より小学校の国語、算数、理科、音楽などの各教科にプログラミングを交えた教育方法が導入されました。いわゆる「小学校でのプログラミング教育の必修化」です。
小学生にプログラムを教える主な目的は、「プログラミング的思考」を養うことにあります。
文部科学省の小学校学習指導要領には、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること」とあり、実際にコンピュータを使って文字入力といった基本的な操作を学んでいくことも、その目的とされています。
(文部科学省. 小学校学習指導要領解説. 【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_001.pdf)
では、実際の小学校の教育現場はどのようになっているのでしょうか。
プログラミング教育を実施するために必要な、ICT環境の整備や教材開発、教育研修などは問題なく行えていたのでしょうか?
そこで今回、リトルソフト株式会社(https://www.littlesoft.jp/)は、全国の小学校教師(教員)を対象に、「プログラミング教育必修化」に関する調査を実施しました。
「プログラミング教育が必修化前は、どのくらいプログラミングの知識をお持ちでしたか?」と質問したところ、『専門的な知識を持っていた(21.0%)』『教育に必要な知識は持っていた(45.0%)』『あまり持っていなかった(23.5%)』『まったく持っていなかった(10.5%)』という結果となりました。
必修化になる前に既にプログラミングの知識を持っていたという教師が多い一方、そうではない教師の割合も少なくはないようです。
では、従来の授業にプログラミングを交えた教育方法が必修化となったことで、どのくらい負担が増えたのでしょうか?
「プログラミング教育の必修化により、授業にかかる負担はどのくらい増えましたか?」と質問したところ、『大きく負担が増えた(32.7%)』『やや負担が増えた(54.8%)』『変わらない(10.5%)』『負担は減った(2.0%)』という結果となりました。
負担が増えた(大きく負担が増えた、やや負担が増えた)の割合が合計で9割近くとなったことで、いかにプログラミング教育の必修化が教師に大きな負担を与えているのかが分かる結果となりました。
負担を感じる理由にはどのようなものが多いのでしょうか。
前の質問で『負担が増えた』と回答した方に、「プログラミング教育の必修化により、最も大きな負担を感じているのはどのような点ですか?」と質問したところ、『教科内容の理解や指導計画など準備が大変な点(45.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『情報機器(端末)の操作を覚える必要がある点(23.6%)』『教材やカリキュラムなど用意することが大変な点(22.2%)』と続きました。
主に、授業の事前準備が大きな負担になっているようです。
また、これまで使ったことのない情報端末の操作方法を覚えなければならないといった点にも負担を感じている教師が多いことが分かりました。
「現在行っているプログラミング教育に手ごたえを感じていますか?」と質問したところ、7割以上の方が『大きな手ごたえを感じている(14.7%)』『ある程度の手ごたえを感じている(55.7%)』と回答した一方、3割近い教師が『あまり手ごたえを感じない(25.9%)』『まったく手ごたえを感じない(3.7%)』と回答しました。
手ごたえを感じた教師は、どのような理由でそう思ったのでしょうか。
前の質問で『手ごたえを感じている』と回答した方に、「児童のどのような様子を見て、手ごたえを感じましたか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『プログラミングを体験しながら学習活動ができている(56.0%)』と回答した方が最も多く、次いで『プログラミング的思考(論理的思考力)が身についてきている(37.3%)』『文字入力などの基本的なPC操作が習得できている(37.2%)』と続きました。
小学校の新学習指導要領では、「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」と「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」の2つの学習活動が定められています。
指導要領に沿って進めることができた結果、概ねそのような“手ごたえ”を感じたようです。
では、手ごたえを感じていない教師は、どのような理由があったのでしょうか。
先程の質問で『手ごたえを感じない』と回答した方に、「手ごたえを感じていないのは、どのような理由ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『プログラミング教育を行う環境に不備があるから(39.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『自分が納得できるプログラミング教育ができていないと思うから(35.0%)』『児童が成長している実感が湧かないから(30.4%)』と続きました。
プログラミング教育を行うための環境に不備があるというのは、根本的な部分の課題だといえるのではないでしょうか。
それが原因となって、納得できるプログラミング教育ができなかったり、児童が成長している実感が湧かなかったりすることも多いのかもしれません。
1つ目の課題は教師についてですが、当の教師はそれについてどのように感じているのでしょうか。
「指導する教師についての課題は、どのくらいあると思いますか?」と質問したところ、『大きな課題があると思う(40.8%)』『やや課題があると思う(55.1%)』『課題はないと思う(4.1%)』という結果となりました。
ほとんどの教師がプログラミング教育を行う教師自身に課題があることを実感していることが明らかになりました。
では、課題があるのはどのような点なのでしょうか。
前の質問で『課題があると思う』と回答した方に、「教師がプログラミング教育を行う際、課題があると感じるのはどのような点ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『具体的な授業の進め方や指導方法などが決まっていない点(51.4%)』と回答した方が最も多く、次いで『プログラミングを使った授業に不慣れな点(42.2%)』『プログラミングを指導するための教員研修プログラムが稚拙な点(42.2%)』と続きました。
具体的な授業の進め方や指導方法が決められていないことも、教師の負担が増えることに影響しているのかもしれません。
教師に関する課題は、教える立場にある教師がプログラミングを使った授業にまだ慣れていないこと、プログラミング教育を行うための研修プログラムがまだきちんと整備されていないこと、といった点に課題を感じているようです。
実際に、小学校の教育現場ではどのような対策が求められているのでしょうか。
そこで、「小学校の教育環境の課題に対して、どのような対策が必要だと思いますか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『インターネットや無線LANなどの通信環境の整備(47.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『ICT環境(児童数と教育用コンピュータ台数の比率改善など)の整備(38.8%)』『電子黒板、実物投影機などの補助機器の整備(35.3%)』と続きました。
教育現場では通信環境・ICT環境・補助機器の整備が求められているようです。
プログラミング教育の必修化に合わせて、「令和5年度までに全学年の児童1人1人がそれぞれ端末を」などという話もあるようです。
しかし、都道府県ごとで実施状況にバラつきもあるため、児童数に対して用意できるコンピュータの数はまだまだ足りていない学校もあるのではないでしょうか。
最後に、「今後、小学校のプログラミング教育を推進するためには、さらなるICT環境の整備が必要だと思いますか?」と質問したところ、約9割の方が『はい(89.6%)』と回答しました。
プログラミング教育の推進には、教師の課題と教育環境の課題を改善する必要があります。
そして、どちらから先に行うべきか、というと環境整備かもしれません。
なぜなら、教師に関する課題はすぐに解決とはいかないかもしれませんが、ICT環境の整備であれば、それほど難しくないからです。
プログラミングに関する知識はあるものの、指導すること自体に慣れていない教師が多く、指導する教師への教育がまだ整備、浸透できていないようです。
それにより、ほとんどの教師が負担が増えたと感じているようなので、教師への指導も早急に対策が必要なのではないでしょうか。
また教育環境の不備といった根本的な課題もあることが分かりました。
いくらプログラミング教育を推進しても、児童の数に見合う端末が用意されていないのでは本末転倒です。
ICT環境以外にもインターネットや無線LANといった通信環境や電子黒板・実物投影機といった補助機器も現場では不足しているようです。
教師の指導方法やプログラミングの知識向上は時間がかかるかもしれませんが、ICT環境の整備ならすぐにできることです。
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■TEL:03-5954-3111
■お問い合わせ:https://www.littlesoft.jp/inquiry/inquiry.php
調査概要:「プログラミング教育必修化」に関する調査
【調査期間】2022年2月14日(月)~2022年2月16日(水)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,024人
【調査対象】全国の小学校教師(教員)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
小学生にプログラムを教える主な目的は、「プログラミング的思考」を養うことにあります。
文部科学省の小学校学習指導要領には、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること」とあり、実際にコンピュータを使って文字入力といった基本的な操作を学んでいくことも、その目的とされています。
(文部科学省. 小学校学習指導要領解説. 【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_001.pdf)
では、実際の小学校の教育現場はどのようになっているのでしょうか。
プログラミング教育を実施するために必要な、ICT環境の整備や教材開発、教育研修などは問題なく行えていたのでしょうか?
そこで今回、リトルソフト株式会社(https://www.littlesoft.jp/)は、全国の小学校教師(教員)を対象に、「プログラミング教育必修化」に関する調査を実施しました。
- プログラミング教育の必修化で、約9割の教師が負担が増えたと回答
「プログラミング教育が必修化前は、どのくらいプログラミングの知識をお持ちでしたか?」と質問したところ、『専門的な知識を持っていた(21.0%)』『教育に必要な知識は持っていた(45.0%)』『あまり持っていなかった(23.5%)』『まったく持っていなかった(10.5%)』という結果となりました。
必修化になる前に既にプログラミングの知識を持っていたという教師が多い一方、そうではない教師の割合も少なくはないようです。
では、従来の授業にプログラミングを交えた教育方法が必修化となったことで、どのくらい負担が増えたのでしょうか?
「プログラミング教育の必修化により、授業にかかる負担はどのくらい増えましたか?」と質問したところ、『大きく負担が増えた(32.7%)』『やや負担が増えた(54.8%)』『変わらない(10.5%)』『負担は減った(2.0%)』という結果となりました。
負担が増えた(大きく負担が増えた、やや負担が増えた)の割合が合計で9割近くとなったことで、いかにプログラミング教育の必修化が教師に大きな負担を与えているのかが分かる結果となりました。
負担を感じる理由にはどのようなものが多いのでしょうか。
前の質問で『負担が増えた』と回答した方に、「プログラミング教育の必修化により、最も大きな負担を感じているのはどのような点ですか?」と質問したところ、『教科内容の理解や指導計画など準備が大変な点(45.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『情報機器(端末)の操作を覚える必要がある点(23.6%)』『教材やカリキュラムなど用意することが大変な点(22.2%)』と続きました。
主に、授業の事前準備が大きな負担になっているようです。
また、これまで使ったことのない情報端末の操作方法を覚えなければならないといった点にも負担を感じている教師が多いことが分かりました。
- 教師の約3割がプログラミング教育に手ごたえを感じていないと回答
「現在行っているプログラミング教育に手ごたえを感じていますか?」と質問したところ、7割以上の方が『大きな手ごたえを感じている(14.7%)』『ある程度の手ごたえを感じている(55.7%)』と回答した一方、3割近い教師が『あまり手ごたえを感じない(25.9%)』『まったく手ごたえを感じない(3.7%)』と回答しました。
手ごたえを感じた教師は、どのような理由でそう思ったのでしょうか。
前の質問で『手ごたえを感じている』と回答した方に、「児童のどのような様子を見て、手ごたえを感じましたか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『プログラミングを体験しながら学習活動ができている(56.0%)』と回答した方が最も多く、次いで『プログラミング的思考(論理的思考力)が身についてきている(37.3%)』『文字入力などの基本的なPC操作が習得できている(37.2%)』と続きました。
小学校の新学習指導要領では、「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」と「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」の2つの学習活動が定められています。
指導要領に沿って進めることができた結果、概ねそのような“手ごたえ”を感じたようです。
では、手ごたえを感じていない教師は、どのような理由があったのでしょうか。
先程の質問で『手ごたえを感じない』と回答した方に、「手ごたえを感じていないのは、どのような理由ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『プログラミング教育を行う環境に不備があるから(39.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『自分が納得できるプログラミング教育ができていないと思うから(35.0%)』『児童が成長している実感が湧かないから(30.4%)』と続きました。
プログラミング教育を行うための環境に不備があるというのは、根本的な部分の課題だといえるのではないでしょうか。
それが原因となって、納得できるプログラミング教育ができなかったり、児童が成長している実感が湧かなかったりすることも多いのかもしれません。
- プログラミング教育の課題は『教師』と『環境』
1つ目の課題は教師についてですが、当の教師はそれについてどのように感じているのでしょうか。
「指導する教師についての課題は、どのくらいあると思いますか?」と質問したところ、『大きな課題があると思う(40.8%)』『やや課題があると思う(55.1%)』『課題はないと思う(4.1%)』という結果となりました。
ほとんどの教師がプログラミング教育を行う教師自身に課題があることを実感していることが明らかになりました。
では、課題があるのはどのような点なのでしょうか。
前の質問で『課題があると思う』と回答した方に、「教師がプログラミング教育を行う際、課題があると感じるのはどのような点ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『具体的な授業の進め方や指導方法などが決まっていない点(51.4%)』と回答した方が最も多く、次いで『プログラミングを使った授業に不慣れな点(42.2%)』『プログラミングを指導するための教員研修プログラムが稚拙な点(42.2%)』と続きました。
具体的な授業の進め方や指導方法が決められていないことも、教師の負担が増えることに影響しているのかもしれません。
教師に関する課題は、教える立場にある教師がプログラミングを使った授業にまだ慣れていないこと、プログラミング教育を行うための研修プログラムがまだきちんと整備されていないこと、といった点に課題を感じているようです。
- プログラミング教育推進に必要なものとは?
実際に、小学校の教育現場ではどのような対策が求められているのでしょうか。
そこで、「小学校の教育環境の課題に対して、どのような対策が必要だと思いますか?(上位5項目まで)」と質問したところ、『インターネットや無線LANなどの通信環境の整備(47.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『ICT環境(児童数と教育用コンピュータ台数の比率改善など)の整備(38.8%)』『電子黒板、実物投影機などの補助機器の整備(35.3%)』と続きました。
教育現場では通信環境・ICT環境・補助機器の整備が求められているようです。
プログラミング教育の必修化に合わせて、「令和5年度までに全学年の児童1人1人がそれぞれ端末を」などという話もあるようです。
しかし、都道府県ごとで実施状況にバラつきもあるため、児童数に対して用意できるコンピュータの数はまだまだ足りていない学校もあるのではないでしょうか。
最後に、「今後、小学校のプログラミング教育を推進するためには、さらなるICT環境の整備が必要だと思いますか?」と質問したところ、約9割の方が『はい(89.6%)』と回答しました。
プログラミング教育の推進には、教師の課題と教育環境の課題を改善する必要があります。
そして、どちらから先に行うべきか、というと環境整備かもしれません。
なぜなら、教師に関する課題はすぐに解決とはいかないかもしれませんが、ICT環境の整備であれば、それほど難しくないからです。
- 【まとめ】プログラミングの必修化による現状と課題が明らかに!環境整備ならすぐにできる!
プログラミングに関する知識はあるものの、指導すること自体に慣れていない教師が多く、指導する教師への教育がまだ整備、浸透できていないようです。
それにより、ほとんどの教師が負担が増えたと感じているようなので、教師への指導も早急に対策が必要なのではないでしょうか。
また教育環境の不備といった根本的な課題もあることが分かりました。
いくらプログラミング教育を推進しても、児童の数に見合う端末が用意されていないのでは本末転倒です。
ICT環境以外にもインターネットや無線LANといった通信環境や電子黒板・実物投影機といった補助機器も現場では不足しているようです。
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調査概要:「プログラミング教育必修化」に関する調査
【調査期間】2022年2月14日(月)~2022年2月16日(水)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,024人
【調査対象】全国の小学校教師(教員)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
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