世界のe-waste(電子ごみ)が過去最多に、5年で21%増加

アジア地域での発生量が最多

国際連合大学

国連は7月2日、『Global E-waste Monitor 2020(世界のE-wasteモニター2020)』を発表し、世界の電気電子機器廃棄物(e-waste)の発生量が、2019年に5,360万トンにのぼると明らかにしました。わずか5年間で21%増加し、記録的な数字となりました。電気電子機器の世界的な生産・消費・処分をより適切に、より持続可能なかたちで行うためには、今すぐ取り組みを大幅に拡大していく必要があります。【詳細はこちらから:https://bit.ly/3dXnH65

『Global E-waste Monitor 2020(世界のE-wasteモニター2020)』は、国連大学が創立メンバーとして参加している「Global E-waste Statistics Partnership(グローバル E-waste統計パートナーシップ)」および国連環境計画(UNEP)などが共同作成した報告書です。

2019年のe-waste(バッテリーまたはプラグを搭載した廃棄物)発生量の内訳では、最も多かった地域がアジアで約2,490万トン、次にアメリカ大陸で1,310万トン、欧州で1,200万トンと続き、アフリカとオセアニアがそれぞれ290万トンと70万トンでした。

今回の調査結果ではさらに、世界のe-wasteが2030年までに7,400万トンへと膨れ上がり、わずか16年で倍増すると予測されており、これによりe-wasteは世界で最も増加が著しい家庭廃棄物となります。その主な要因としては、電気電子機器の消費率の高まり、そうした機器の寿命の短さ、そして修理の選択肢が少ないことなどが挙げられます。

2019年に発生したe-wasteのうち、回収とリサイクルの対象となったのはわずか17.4%でした。しかし、e-wasteには金や銀、銅、白金などが含まれており、控えめに見積もっても570億ドル(ほとんどの国の国内総生産を上回る額)に相当する貴金属が回収可能であるにも関わらず、処理や再利用目的で回収されることなく、廃棄・焼却処分となっているのです。

一方で、e-wasteは水銀をはじめ、人間の脳や協調系統に損傷を与える有毒な添加物または有害物質も含むため、健康や環境に害を及ぼします。

Global E-waste Monitor 2020によるその他の主な調査結果
  • E-wasteを適切に管理すれば、地球温暖化の緩和に役立ちます。2019年には、廃棄された冷蔵庫やエアコンから大気中に放出される温室効果ガスが、二酸化炭素換算で9,800万トンと推計され、全世界の排出量の約0.3%を占めています。
  • 1人当たりの数字で見ると、2019年に地球上の男性、女性、子どもが平均で1人7.3kgのe-wasteを廃棄しました。
  • 全世界で1人当たりのe-waste発生量が最も多かった地域は欧州で、16.2kgとなっています。2番目に多かったのがオセアニアの16.1㎏、その次にアメリカ大陸の13.3kgと続き、アジアとアフリカはこれよりも大幅に少なく、それぞれ1人当たり5.6kg、2.5kgにとどまっています。
  • E-wasteは水銀をはじめ、健康や環境にも害を及ぼす有害物質も含んでいます。非正規ルートで処分されているe-wasteには、モニターやプリント基板、蛍光灯、省エネ型光源に使用されている水銀が、年間で推計50トン含まれています。
  • 2019年のe-wasteの内訳は主に、小型家電が1,740万トン、大型家電が1,310万トン、そして温度交換機器が1,080万トンとなっています。その他には、スクリーンとモニター、照明器具、小型IT・通信機器がそれぞれ670万トン、470万トン、90万トン廃棄されました。
  • 2014年以来、総重量で最も急激に増加しているe-wasteは温度交換機器(7%増)であり、続いて大型家電(5%増)および照明器具と小型家電(それぞれ4%増)となっています。報告書によると、こうした動向の主な原因は、低所得国での消費の増大にあるとされ、これらの製品が生活水準の向上につながっています。小型IT・通信機器の伸びは緩やかで、スクリーンとモニターに至ってはわずかに減少(1%減)していますが、これは主として、厚みと重さのあるブラウン管モニターやスクリーンに代わって、比較的軽量のフラットパネルディスプレイになっているためです。
  • 2014年以降、国内でe-wasteに関する政策や法令を整備している国は、61カ国から78カ国に増えました。これは良い傾向ですが、e-waste関連法を制定する国の割合を50%に引き上げるという国際電気通信連合(ITU)が定めた目標には、はるかに及びません。

本報告書について、国連大学のデイビッド・マローン学長は次のように述べています。「国連大学も作成に携わった今年のGlobal E-waste Monitorの調査報告書は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた人類の取り組みが不十分であることを示唆しています。電気電子機器の世界的な生産と消費、処分をより適切に、そしてより持続可能なかたちで行うためには、今すぐ取り組みを大幅に拡大していく必要があります。今回の報告書は、現在の危険な世界的状況を変えていく上での緊迫感を示しています」

【関連情報】
報告書全文(英語):https://collections.unu.edu/eserv/UNU:7737/GEM_2020_def_july1.pdf

【Global E-waste Monitor 2020について】
Global E-waste Monitor 2020(www.globalewaste.org)は、国連大学、国際電気通信連合(ITU)、国際廃棄物協会(ISWA)が結成したグローバルE-waste統計パートナーシップ(GESP)が、国連環境計画(UNEP)と共同作成した報告書です。今回の報告書には、世界保健機関(WHO)とドイツ経済協力開発省(BMZ)も作成に加わりました。

【グローバルE-waste統計パートナーシップ(GESP)について】
GESPは、国際的に広く認められた統一的な測定枠組みを用いて、国内の政策立案に役立つ統計の取りまとめに寄与しています。GESPには、政策立案者や統計学者、業界の代表者たちが集い、e-wasteに関するデータの質とその理解、解釈の向上を図っています。持続可能な開発目標(SDGs)のうち、持続可能な街づくり、また消費および生産に関する、ターゲット11.6、12.4および12.5の実現に向けた進捗状況を測定することで、関連する廃棄物の流れの監視に貢献しています。

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本社所在地
東京都渋谷区神宮前5-53-70 国際連合大学 広報部 11F
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03-5467-1212
代表者名
Tshilidzi Marwala
上場
未上場
資本金
-
設立
1975年09月