海辺の秘境「矢櫃」の今を光で伝える「照らしちゃる矢櫃 - YABITSU LIGHT UP PROJECT - 」
和歌山県有田市の矢櫃地区にてインスタレーションアートを実施
和歌山県有田市の矢櫃地区の空き家だけを光らせることで現状の地域課題について発信するとともに、全体のライトアップでは、陸と海、ライティングと星空、昼と夜などさまざまな対比でこの場所の価値を発信しました。
Yabitsu Light Up Project(株式会社タカショーデジテック、くらしちゃる矢櫃運営協議会、有田市)は2022年8月25日(木)〜27日(土)に和歌山県有田市の矢櫃地区にてインスタレーションアート「照らしちゃる矢櫃 - YABITSU LIGHT UP PROJECT - 」を実施いたしました。
和歌山県中部に位置する有田市は、有田みかんの産地として知られると同時に、太刀魚漁でも日本トップクラスの漁獲量を誇る、山海の魅力にあふれた町です。その有田市の中で144人が暮らす「矢櫃」は、まさに秘境と言っても過言ではない海辺の小さな集落です。海に面した山の斜面にいくつもの家々が建ち並び、その間を縫うように細い道を下っていくと美しい海へと到着。そこから振り返ると、まるで海外にトリップしたかのような非日常感を感じる街並みが広がります。江戸時代から漁村として栄えたものの、車の通れる道がなく、集落の移動手段が限られることや住民の高齢化により今では146棟ある建物のうち約44%が空き家になっているのが現状です。
とはいえ、交通面が不便であるからこそ守られてきた素晴らしい環境が残る場所とも言えます。最近ではカフェや体験型宿泊施設ができたことでマリンアクティビティが楽しめるスポットとして少しずつ知られるようになってきました。この場所の素晴らしさをもっと知ってもらいたい、そんな想いからタカショーデジテックは、光を用いたインスタレーション・アートを企画、実施しました。
ライトアップのプログラムにより空き家だけを光らせることで現状の地域課題について発信するとともに、全体のライトアップでは、陸と海、ライティングと星空、昼と夜などさまざまな対比でこの場所の価値を発信したこの日。あくまで集客のためのイベントでなく、動画などを通じて集落の魅力を伝えながら、過疎の現状を考えるきっかけづくりとして集落全体が光に包まれました。
【矢櫃地区について】(R4.8.1時点)
① 住居件数:146棟(うち空き家64棟)
② 世帯人数:72世帯(人口144人)
③ 主な施設:国民宿舎、カフェ、SUP・BBQ等のアクティビティ体験施設)
【インスタレーション・アート内容】
海の美しさ、自然にできた山地形、夕暮れ、美しい夜空、住人の生活など矢櫃の魅力を伝えるとともに、空き家だけを照らし現状の寂しさや危機感を表現しました。
↓ライトアップの様子はこちら
矢櫃の魅力を伝えるライトアップ
空き家だけにライトアップし、矢櫃の現状を伝える
【有田市 望月良男市長と矢櫃についてトークセッション】
8月26日(金)に有田市の望月良男市長とタカショーデジテック代表取締役の古澤良祐が矢櫃の歴史と現状、今回のインスタレーションアートの意味、そして矢櫃のこれからについて対談しました。対談内容は後日、株式会社タカショーデジテックのオウンドメディア「DIGISPOT」(https://takasho-digitec.jp/digispot/)にて公開します。
【総合プロデューサーからのメッセージ】
矢櫃を照らしたい。そう考えたのは実は数年前になります。移住交流拠点施設「くらしちゃる矢櫃」を利用する機会から矢櫃という場所を知り、こんな美しい場所があったことに驚きました。
朝起きると鳥の声と共に船の音が響き渡り、バイクの走るどこか懐かしい音が続く。空気も海の色も美しく、その空気と青く澄んだ海の美しさが逆に人口減少を物語っているように感じました。
その時既に「ここをライトアップしたらどうなるか」とパースを描いていました。斜面に家が建ち並ぶまるでヨーロッパのような景色は、一度坂道を降りないと見られない貴重な眺めです。そして、白い建物が多いという特徴もあり「ここをライトアップできたらきれいだろうな」と考えたのを覚えています。
それから数年経って、矢櫃ビレッジができたことにより矢櫃は少しずつ知られるようになってきました。マリンアクティビティの体験施設もできたことにより、神秘的な海上の洞窟に入ったり、誰もいないビーチに上陸したりと、さらに魅力的な矢櫃を楽しむことができるようになっています。「矢櫃」の名前が認知され始めた今こそ、温めたライトアップ企画を実行することで、矢櫃への関心を高めてもらえる時だと思い至りました。
今回のライトアップは以前描いたパースをベースに、2つのメッセージを込めました。1つはこの場所の魅力を伝えるための全体的なライトアップ。そしてもう1つが空き家を照らすことで人口減少の現状を知ってもらうためのライトアップです。私たちの企業理念は「光の演出で人の心を彩る」、そしてそのために「今ある光の入れ替えではなく、今暗い場所に光を灯す」。連動する2つの光は、私たちが今何をできるのか考えて生まれたインスタレーション・アートです。ライトアップを通じて、多くの人にそれぞれのメッセージを感じてもらえれば何よりです。
【開催概要】
名称:照らしちゃる矢櫃―YABITSU LIGHT UP PROJECT―
日時:2022年8月25日(木)〜8月27日(土)
主催:Yabitsu Light Up Project
(株式会社タカショーデジテック、くらしちゃる矢櫃運営協議会、有田市)
企画・演出・制作 : 株式会社タカショーデジテック
総合プロデューサー:古澤 良祐 (株式会社タカショーデジテック)
ライティングデザイン:花田 諒(株式会社タカショーデジテック)
ライティングプログラム:香渡 敬年 (株式会社オレンジ)
動画撮影:山本 琢哉(ORANGE BLUE)
写真撮影:北山 勝哉(北山勝哉写真事務所)
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