太平洋クロマグロの漁獲割り当てをめぐる国(水産庁)に対する訴訟提起について
一般社団法人全日本マグロはえ縄振興協会(以下、当協会)に所属する漁業者はこのほど、令和6管理年度(2024管理年度)の漁獲割当量設定について不当な設定通知を受けたとして、令和6年4月22日、農林水産大臣(以下、国)に対して漁獲割当割合決定の取消・変更を求める訴訟を東京地方裁判所において提起いたしました。
7月9日午後、第1回目のWEBによる準備手続きが行われる予定です。
裁判所
東京地方裁判所
原告
株式会社金虎丸漁業 他3社(一般社団法人全日本マグロはえ縄振興協会所属)
被告
国(代表者 法務大臣小泉龍司 処分庁 農林水産大臣坂本哲志)
訴訟に至るまでの経緯
2024(令和6)管理年度(1-12月)の「かつお・まぐろ漁業(近海はえ縄漁業)」の太平洋クロマグロ大型魚の割当割合を算出するにあたって、その実績割は過去3年間(2020年、2021年、2022年)の漁獲実績を基準にして行うはずのものであったところ、そのうちの2021管理年度の漁獲実績だけが除外され、同年度に相当な漁獲実績を上げていた当協会所属漁船は大きな不利益を受けるに至った。
2021年度の4月から12月までの期間、水産庁が自主的な取り組みとして近海はえ縄漁船に求めた試験的な個別漁獲割当制度(IQ)に対し、当協会所属船はその参加を見送ったものであるが、そのこと対する制裁ともいえる取り扱いは、行政手続き法第32条2項(不利益な取り扱いの禁止)に違反する。2021年度は法令上、「かつお・まぐろ漁業」に配分された総量の範囲内で自由に漁獲できるものであって、同年度の4月から12月までの期間、水産庁が実施した上記試験的IQに不参加とした当協会所属漁船に何ら落ち度はないものである。
なお、2021管理年度の試験的IQについて、水産庁は2020年11月開催の水産政策審議会資源管理分科会において自主的な取り組みとしてのIQ開始に向けて関係者が合意したかのごとき虚偽の報告を行い、資源管理基本方針の改正案の承認を得たものである。
このときの水産庁が用意した試験的IQは、総量を漁船隻数で割る均等割りとする案であり、当協会はその問題点を指摘し、同意に至っていなかった。
2022年度からの公的IQにおいては、一転して過去3年間(2018-2020年)の漁獲実績を主に勘案して漁船ごとに漁獲割当割合を決めることとなった。これについても、当協会としては、あらかじめ周知することなく過去3年間という特定期間の漁獲実績を基準とする漁獲割当方法は法律の事実上の遡及適用であり違憲・違法であると考えているが、2024年度からの割当割合決定においては、その過去3年間のうち2021年度だけを除外し、2020年、2022年の両年度分の実績のみを基準にしたのである。
2021年実績を含む2020-2022年の大型魚漁獲実績を勘案したとすると、2024年の漁獲割当割合及び漁獲量割当ては以下のようになる。(なお、左側が2021年度を除外したことによる割当、右側が2021年度を含めた割当である。)
第八十七金虎丸 1.68 % 12.860 トン → 4.02 % 30.6815 トン
第二十八大栄丸 0.33 % 2.572 トン → 3.43 % 26.1471 トン
第五剛徳丸 1.38 % 10.562 トン → 2.80 % 21.3939 トン
第八海豪丸 0.29 % 2.214 トン → 1.89 % 18.7327 トン
当協会としては、見直しに伴い必要となる数量は、国の留保枠、小型魚枠からの振り替えや、大型魚枠を増やし続けているまき網漁船の追加枠からの拠出により原資をねん出できるものと考えている。
なお、こうした割当割合の修正が行えないような場合は、IQ制度をいったん中止し、漁業者に対して十分な周知期間を設けて再度割当割合基準、漁獲量を決定するよう求めるものである。
一般社団法人全日本マグロはえ縄振興協会 事務局 担当:松本
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