ワーカーズコープ・センター事業団×協同労働の仲間たち、で創るより良い世界。積極的な連携で「つながり合い」の輪を広げています。
2025年は国際協同組合年(IYC2025)。「働きがいのあるより良い働き方を通じて、より良い世界をめざす」ため、国連が定めた「国際年」のひとつです。ワーカーズコープ・センター事業団は、全国のさまざまな団体と連携して、地域に貢献し、より良い世界を創る活動を進めています。
労働者協同組合(ろうきょう)、消費生活協同組合(生協)、農業協同組合(農協)・漁業協同組合(漁協)など、協同組合として事業を営む団体は数多くあります。ワーカーズコープ・センター事業団は労働者協同組合(ろうきょう)の一つとして各地で活動しています。協同組合は、同じ思いをもつ人たちがつながりあって、お金を出し合い、自分たちで事業を運営して思いを実現する組織。国際協同組合年の今年はこれまで以上に、地域や人々の課題解決のために活動する団体と連携してまいります。
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協同組合と国際協同組合年(IYC2025)
実は、協同組合は私たちにとって身近な存在。日本の各種協同組合の組合員数の合計は1 億 820 万人(2021年)。これは一つの世帯で購買・販売・信用・共済などを含め、約1.8の協同組合に加入していることになります*。国連はそんな協同組合の活動と未来に期待し、「国際協同組合年」(IYC:International Year of Cooperatives)を定めています。今年は2012年に続き2回目の国際協同組合年。2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)の実現をすすめるにあたり、協同組合が果たす重要な役割を強調しています。
今年のテーマは「協同組合はよりよい世界を築きます(Cooperatives Build a Better World)」。ワーカーズコープ・センター事業団をはじめ、国際協同組合年にあたって趣旨に賛同する組織が集まり「2025国際協同組合年全国実行委員会」を発足させ、より良い暮らしと持続可能な地域づくりに向けて取り組みの準備を進めています。去る2025年2月19日には、国連大学ウ・タント国際会議場(東京・青山)を会場にIYC2025のキックオフイベントが開催され、オンライン含めて約750名が参加。国際協同組合年の日本における活動方針が確認されました。
*出典:JCAレポート https://www.japan.coop/study/pdf/240319_01.pdf
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「ワーカーズコープ・センター事業団×さまざまな協同組合」から生まれたインパクト ―実績紹介―
ワーカーズコープ・センター事業団では、これまで全国の多種多様な事業を行っている協同組合や団体と連携して、地域の課題解決や活性化に取り組んできました。そのなかから今回は、異なる業種の団体と取り組んできた3つの事例をご紹介します。
1. 森林組合との連携:生産者が減少している杉の苗の育成事業(鹿児島)
森を守ることは環境を守ることにつながります。鹿児島県内ではワーカーズコープ・センター事業団とJA鹿児島・鹿児島県森林組合連合会とで、かねてより連携について意見交換をしてきました。共にできることの一つとして、年々生産者が減少し県内で10人以下になってしまった杉苗生産の振興を提案。杉の苗づくりに挑戦しています。
まずワーカーズコープ・センター事業団の組合員4名が杉苗販売に関する講習会を受講。技術を修得し、2019年から活動を始めました。初年度は600本の苗づくりからスタートし、メンバーの交代や増加を経て、現在では周辺地域の複数の事業所が協力して苗づくりを継続しています。今では年間約3000本~5000本を育苗し、地元の森林組合等に販売しています。この取り組みには、センター事業団の組合員以外にも障害者就労支援事業の利用者や若者サポートステーションを利用する若者等も参加し、参加者の輪が広がっています。
今年は、3月22日・23日に苗づくりの作業を行う予定(3000~5000本)です。
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1日目 山から杉の穂木とり
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2日目 土づくり・苗のポット植え・農業用ハウスへの苗の移動など
山の傾斜地で穂木をとる作業など大変なこともありますが、みんなで協力して作業をすること、1日目の作業後にみんなで囲む食事会を楽しみにしています。また、九州沖縄小農・森林プロジェクトやグリーンコープかごしま生協からも参加者が集まり、鹿児島での杉苗の穂木採りには40人が参加しました。
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2. 医療生協との連携:子ども食堂・フードパントリー等の共催(広島・鳥取ほか)
ワーカーズコープ・センター事業団は全国各地で医療生協が運営する病院・診療所の清掃業務を請け負っています。お互い同じ協同組合同士。共に連携して地域貢献できないかと、意見交換の場を重ねてきました。
センター事業団 × 鳥取医療生協
鳥取県内でも協同組合同士の連携を重視しています。医療生協との意見交換の場で、それぞれが生活困窮世帯の下支えのために独自に行ってきた活動を、「一緒にやってみましょう」と決まり、センター事業団が行う「こども食堂」と鳥取県医療生活協同組合が行う「食料無料市」「無料検診」が協力し、合同企画「クリスマス会&年末食料無料市・無料検診会」を開催しました。センター事業団と医療生協から組合員28人がスタッフとして準備し、地域から70人が参加されています。これまで主に地域のこども(こども食堂)、シニア世代(無料市・無料検診)を対象としていた活動の対象を広げ、多世代が交流し孤立もなくす地域の居場所として、今後も継続して活動を行う予定です。そのほか、「こくみん共済コープ」から、センター事業団が行う放課後児童クラブに「縄跳び」を贈呈いただくなど、鳥取県内で協同組合同士の連携が広まっています。
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3. 農業協同組合(JA)との連携:JAバンク跡地にて学童保育を運営(福島ほか)
全国には、廃校や事業の統廃合等により使用されなくなった小学校や幼稚園跡地、自治体の保健福祉施設等が数多くあります。センター事業団では全国各地で、そんな廃校や跡地を福祉事業の拠点として活用しています。今回は、福島県の事例をご紹介します。
福島県内では、協同組合間の連携を図る目的で連携協議会(地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会)が設置されています。その研修会でJA地域活性化センターの協同利用の可能性が提議され、センター事業団との連携が実現しました。センター事業団は福島市内で小規模保育園や放課後児童クラブを運営していますが、福島市の放課後児童クラブは民設民営(指定管理者等の公設民営ではない)で、運営事業者側の責任でクラブの実施場所を確保しなければならないため、各地域ごとにより良い場所を探していました。以下では「瀬上みんなのおうち学童クラブ」のケースについてご紹介します。
瀬上みんなのおうち学童クラブ
2022年の開設当初は別の場所で運営開始しましたが、公募期間中の限られた期間内で物件を探したこともあり、保護者送迎時の駐車場の確保など使い勝手が悪く家賃も高額だったため、もっとよい場所はないかと考えていました。徒歩5分以内の場所には元JAバンク瀬上支店(瀬上地区活性化センター)があり、JA婦人部の活動拠点となっていることを知り、協議会主催の研修会の後、この場所へ学童クラブを転居し、協力して運営を行いたいと提案。JA関係者と継続的に検討を重ねました。
2023年10月にはその申し入れが「瀬上地区活性化委員会」に承認され、移転が正式決定。2023年12月から現在の場所で学童クラブの運営を始めました。2階建ての建物の1階部分が放課後児童クラブの拠点、2階はJA女性部の活動場所となっています。
学童クラブのイベント時には両組合員同士の連携を図るなど、単に施設の活用だけでなく事業やイベントにおける連携なども企画し、地域全体でこどもの成長・発達を見守るまちづくりを目指しています。
(参考)JCAHP https://www.japan.coop/cooperation/case/pdf/type02_fukushima01.pdf
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参考資料
2025国際協同組合年特設サイト【日本協同組合連携機構(JCA)】
https://www.japan.coop/iyc2025/
*「もっと詳しく知りたい」「労働者協同組合に興味がある」という方や団体は、下記、ワーカーズコープ・センター事業団までご連絡・ご相談ください。
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労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団 概要
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設立 |
2001年9月 |
代表 |
代表理事 平本哲男 |
所在地 |
東京都豊島区東池袋1丁目44-3 池袋ISPタマビル7階 |
事業内容 |
保健、医療又は福祉の増進を図る活動 |
ホームページ |
労働者協同組合法について(2020年12月成立、2022年10月施行)
労働者協同組合(ワーカーズコープ)にはこれまで農協・生協・漁協のような法人格がなく、「協同労働」の法制化をめざす動きが1998年から始まりました。協同労働の実践を全国で広げ、団体署名や意見書の採択に取り組む中で、与野党全会派一致で法制化が実現しました。
協同労働とは「協同の関係」で働くこと。働く人が自ら出資して組合員となり、話し合って事業を行う働き方です。企業組合やNPO法人と違い認可認証が不要で、NPO法人のように活動分野の規定もなく3人以上で設立ができます(NPO法人は10人以上、出資不可)。
法律では、出資額に関係なく「一人一票」の権利が認められています。「一人ひとりが出資して組合員となり、意見反映を通じて運営に参加し、自ら事業に従事する」、これが労働者協同組合の基本原理です。この法律を活用し、協同労働が社会を変えていく推進力となることを目指します。
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