-日本農芸化学会2014年度大会で発表予定- 「カスピ海ヨーグルト」の粘り成分がアトピー性皮膚炎を改善 菌体外多糖(EPS)がアトピー性皮膚炎モデルへ与える効果を検証
「カスピ海ヨーグルト」は広く日本で親しまれている食品で、フジッコ株式会社(代表取締役 福井正一)は、 Lactococcus lactis subsp. cremoris FC株(ラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ クレモリス エフシー株、以下クレモリス菌FC株)を用いた製品開発を行ってきました。「カスピ海ヨーグルト」の最大の特徴は強い粘りで、この粘りは乳酸菌クレモリス菌FC株が産生する菌体外多糖(EPS:Exopolysaccharide)に由来します。
当社は昨年、粘り成分EPSが皮膚の炎症を抑制することを報告しています。今回、同様の実験で、粘り成分EPSが皮膚の炎症を抑制するメカニズムのひとつとして炎症性細胞の数を減少させること、さらに過剰な炎症を抑制すると同時に、生体防御に必要な免疫反応を活性化させることを明らかにしました。この研究成果は、日本農芸化学会2014年度大会(会期:2014年3月27日(木)~30日(日)、会場:明治大学 生田キャンパス)において発表いたします。なお、本研究成果は大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授 北村進一先生との共同研究によるものです。
乳酸菌クレモリス菌FC株により産生された粘り成分EPSをアトピー性皮膚炎モデルマウスに投与し、その効果を調べました。その結果、EPSを投与したマウスの皮膚では炎症性細胞のひとつである肥満細胞(※1)の数が減少していることが分かりました。さらに、単に免疫システムを抑制して炎症を抑制するだけではなく、生体防御に必要な免疫物質であるIgA抗体(※2)や、IFN-γ(※3)の量を増加させることが分かりました。
※1 肥満細胞は皮膚や粘膜に存在する細胞で、アレルギーの中心的な役割を果たす。
※2 IgA抗体は消化管や気道から分泌され、外来物質から体を防御する働きを持つ。
※3 IFN-γは感染症やアレルギーなど様々な病気を防御する役割を持つ。
これらの結果から、乳酸菌クレモリス菌FC株により産生されたEPSやEPSを含むヨーグルトを摂取することは、過剰な炎症の抑制に有用であり、さらに生体防御に必要な免疫系を強化すると期待されます。
■発表の詳細
「Lactococcus lactis subsp. cremoris FCにより産生された菌体外多糖のアレルギーモデルマウスに対する効果」
・日本農芸化学会2014年度大会(会期:2014年3月27日~3月30日)
・発表日時:3月29日(土)11時10分
・演題番号:3B06a13
・場 所:明治大学 生田キャンパス
乳酸菌クレモリス菌FC株により作製したEPSのアトピー性皮膚炎モデルマウスに対する影響とそのメカニズムを調べた。
BALB/c マウス(6 週齢、♂)の耳介に2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(TNCB)を1日おきに塗布して皮膚炎を発症させた。TNCB塗布4日前より1日1回、塗布してからは1日おきに、EPSを0.05mg、0.5mg/kg/日となるように経口投与した。TNCB塗布から1日おきに10日後まで耳介厚の測定を行い、11 日後に糞便中IgA 量の測定、および耳介の摘出と採血を行った。耳介切片をトルイジンブルーにより染色し、耳介組織中の肥満細胞数を計測した。また、血漿中のバイオマーカー含量を網羅的に調べた。
EPS投与群では、対照群に比べて耳介肥厚化が有意に抑制され、糞便中IgA 量は高い傾向にあった。さらに、EPS 0.5mg/kg投与群では耳介組織内での肥満細胞数が有意に減少していた(下図)。また、血漿中のバイオマーカーを調べた結果、EPS投与群では対照群に比べてIL-1α含量が低く、IFN-γ含量が高かった。これらの結果から乳酸菌クレモリス菌FC株により産生されたEPSの投与により、過剰な炎症が抑制されるとともに、生体防御に必要な免疫系は強化されると考えられた。
当社は昨年、粘り成分EPSが皮膚の炎症を抑制することを報告しています。今回、同様の実験で、粘り成分EPSが皮膚の炎症を抑制するメカニズムのひとつとして炎症性細胞の数を減少させること、さらに過剰な炎症を抑制すると同時に、生体防御に必要な免疫反応を活性化させることを明らかにしました。この研究成果は、日本農芸化学会2014年度大会(会期:2014年3月27日(木)~30日(日)、会場:明治大学 生田キャンパス)において発表いたします。なお、本研究成果は大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授 北村進一先生との共同研究によるものです。
乳酸菌クレモリス菌FC株により産生された粘り成分EPSをアトピー性皮膚炎モデルマウスに投与し、その効果を調べました。その結果、EPSを投与したマウスの皮膚では炎症性細胞のひとつである肥満細胞(※1)の数が減少していることが分かりました。さらに、単に免疫システムを抑制して炎症を抑制するだけではなく、生体防御に必要な免疫物質であるIgA抗体(※2)や、IFN-γ(※3)の量を増加させることが分かりました。
※1 肥満細胞は皮膚や粘膜に存在する細胞で、アレルギーの中心的な役割を果たす。
※2 IgA抗体は消化管や気道から分泌され、外来物質から体を防御する働きを持つ。
※3 IFN-γは感染症やアレルギーなど様々な病気を防御する役割を持つ。
これらの結果から、乳酸菌クレモリス菌FC株により産生されたEPSやEPSを含むヨーグルトを摂取することは、過剰な炎症の抑制に有用であり、さらに生体防御に必要な免疫系を強化すると期待されます。
■発表の詳細
「Lactococcus lactis subsp. cremoris FCにより産生された菌体外多糖のアレルギーモデルマウスに対する効果」
・日本農芸化学会2014年度大会(会期:2014年3月27日~3月30日)
・発表日時:3月29日(土)11時10分
・演題番号:3B06a13
・場 所:明治大学 生田キャンパス
乳酸菌クレモリス菌FC株により作製したEPSのアトピー性皮膚炎モデルマウスに対する影響とそのメカニズムを調べた。
BALB/c マウス(6 週齢、♂)の耳介に2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(TNCB)を1日おきに塗布して皮膚炎を発症させた。TNCB塗布4日前より1日1回、塗布してからは1日おきに、EPSを0.05mg、0.5mg/kg/日となるように経口投与した。TNCB塗布から1日おきに10日後まで耳介厚の測定を行い、11 日後に糞便中IgA 量の測定、および耳介の摘出と採血を行った。耳介切片をトルイジンブルーにより染色し、耳介組織中の肥満細胞数を計測した。また、血漿中のバイオマーカー含量を網羅的に調べた。
EPS投与群では、対照群に比べて耳介肥厚化が有意に抑制され、糞便中IgA 量は高い傾向にあった。さらに、EPS 0.5mg/kg投与群では耳介組織内での肥満細胞数が有意に減少していた(下図)。また、血漿中のバイオマーカーを調べた結果、EPS投与群では対照群に比べてIL-1α含量が低く、IFN-γ含量が高かった。これらの結果から乳酸菌クレモリス菌FC株により産生されたEPSの投与により、過剰な炎症が抑制されるとともに、生体防御に必要な免疫系は強化されると考えられた。
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