世界の年金資産、ほぼ横ばいで推移

~ 分散投資傾向が鮮明に ~

【東 京】 2016年3月29日(火) -- 先般発表されたウイリス・タワーズワトソンのグローバル・ペンション・アセット・スタディー(GPAS)(https://www.willistowerswatson.com/en/insights/2016/02/global-pensions-asset-study-2016)によると、主要マーケット19か国における世界の年金基金の資産総額は、2015年末時点で約35.4兆ドルとなった。資産価値は2015年前半に上昇し、後半にやや低下したが、ほぼ横ばいで推移した。
この年金資産額は、調査対象となった19か国のGDPの80%程度に相当する。世界の年金資産額が21兆米ドルをやや上回る程度だった2005年以降、その額は年率平均5%のペースで増加している(米ドルベース)。

タワーズワトソン・インベストメント・サービス株式会社・代表取締役社長の五藤智也は「債券および株式市場の見通しは、マクロ経済と市場のバリュエーションのどちらの観点からみても、不確実性が高いように思われます。これまでですと、機関投資家はリターン獲得のために株式・債券に依存してきましたが、ここ数年、大手年金基金ではポートフォリオに分散戦略を加える動きが見られます。この分散戦略とは、再保険、インフラストラクチャー、不動産など、クレジットや株式との相関が比較的低い戦略のことを指します。」と、コメントしている。

調査では、年金基金の運用戦略には複数の傾向がみられることが明らかとなった。 主要マーケットにおけるオルタナティブ資産へのアロケーション(特に不動産、そして、それよりも低い水準でヘッジファンド、プライベート・エクイティ、コモディティ)が1996年の7%から24%に増加している。ここ10年でほとんどの調査対象国において、オルタナティブ資産へのエクスポージャーが、カナダ(14%から27%)を筆頭に、英国(7%から18%)、スイス(18%から29%)、米国(17%から27%)、日本(3%から9%)でも増加している。

 「世界各国の年金基金の間で、オルタナティブ資産への分散投資と国内株式離れが加速しているのは、こういった戦略がリスク管理の一助となっているためです。景気の先行き不透明感が継続する中、この傾向は今後も強まる可能性が高いと考えられます。2016年はボラティリティの非常に高い状態で幕を開け、1月のマーケットの大幅な下落は、地政学上の問題が山積する世界の経済成長に対する不信感が反映されたものであるといえます。世界各国の年金基金は10年以上に亘り、深刻かつ困難な課題を目の当たりにしてきましたが、いまだ終わりは見えていません。引き続き、成功への鍵はリスクに対する備えとガバナンスの強化といえるでしょう。」(五藤智也のコメント)

調査では株式投資のグローバル化が進んでいることも明らかとなった。株式のホームカントリー・バイアスは縮小し、年金基金の株式のうち自国株式の占める比率は平均で65%(1998年)から43%(2015年)に低下している。 

株式に占める自国株式の比率が最も高かったのは米国だった(2015年は63%)。株式のうち自国株式の占める比率が最も低かったのはカナダ(25%)およびスイス(35%)だった。英国の株式のうち自国株式の占める比率は1998年以降、半減以下の35%まで下がっている。

調査を開始して以来、債券に関してはカナダと米国は非常にホームカントリー・バイアスの強い状態を維持している(2015年はそれぞれ98%と87%)。スイスは、1998年以降、債券のうち自国債券の占める比率を大幅に減らし、34%減少している。一方、オーストラリアは債券のうち自国債券の占める比率を過去2年間で7%増やしている。

2015年は資産価値の変化はほとんど見られなかったが、確定拠出年金(DC)制度への移行、運用関連の人材への需要の高まり、バリューチェーン重視、ガバナンスの向上、リスク管理への注力、そしてサステナビリティおよびESGへの配慮、の6つの分野において大きな変化が見られた。

同調査によると、2015年までの過去10年間で、DCの資産は急速に増加しており、年平均成長率が7%となっている。これに対し、確定給付年金(DB)の資産は同3%をやや上回る程度だった。結果、DCの資産は現在、世界の年金資産の48%超を占める。

「米国市場が先導するDC制度への移行は、今では数年来のトレンドとなっています。 しかし、DCでは現在も、ガバナンス・モデル、リスクシェアリング・モデル、加入者の理解といった分野が課題となっています。引き続き懸念となるのは、今後想定される低いリターンに加えて、相対的に拠出率が低いことによって、年金資産の積み上がりが加入者の期待を大きく裏切ることになるのではないかという点です。また、資本市場のリスクに加え、規制やガバナンスの不備といった大きなリスクも残っています。」(五藤智也のコメント)

GPASの主な調査結果
【 P19か国における、2015年の世界の年金資産データ 】
  • 世界の年金資産の過去10年の年平均成長率は7% (現地通貨ベース)。
  • P19か国の資産全体に占める割合が最も大きい年金市場は米国(62%)、英国(9%)、日本(8%)である。
  • 調査対象国では日本を除く全ての市場で過去10年の年平均成長率(CAGR)がプラスで 推移している。
  • 過去10年のCAGR(現地通貨ベース)が最も高いのは、チリで(18%)、メキシコ(15%)、南アフリカ(11%)、オーストラリア(9%)、 香港(9%)、ブラジル(8%)、カナダ(8%)、オランダ(7%)、英国(7%)がこれに続いている。最も低いのは日本(-0.2%)、スイス(2%)、フランス(2%)だった。
  • 対GDP比での過去10年の資産の成長率は(現地通貨ベース)、オランダが最も高く(+75%、GDP比184%)、これに続いてチリ(+57%、GDP比118%)、英国(+32%、GDP比112%)、オーストラリア(+36%、GDP比120%)となっている。

【 P7か国におけるアセットアロケーション 】
  • 過去20年間で、P7か国の債券へのアロケーションは全体で7%減少した(36%から 29%)。同じ期間で、株式へのアロケーションは8%減少した(52%から44%)。
  • 株式へのアロケーションはP7か国全てにおいて減少した。英国における株式のアロケーションは66%(2005年)から43%(2015年)に減少した。同じ期間に日本では49%から31%に減少した。また、米国の株式へのアロケーションは61%から47%に減少し、オーストラリアでは56%から48%に減少した。株式へのアロケーションが最も高いのはオーストラリアであり、2015年は48%を維持している。 
  • 同じ期間で、英国の年金基金は債券へのアロケーションを増やした(25%から37%へ)。同様に、日本の年金基金も債券へのアロケーションを増やしている(44%から57%へ)。 一方、スイス(41%から35%へ)とオーストラリア(19%から14%へ)は、同期間で 債券へのアロケーションを大幅に減らしている。
 
【 P7か国における確定拠出年金(DC)および確定給付年金(DB)】
  • 2015年は、DB資産に対するDC資産の比率が最も高いのはオーストラリアだった(13%:87%)。これに米国(40%:60%)が続いている。DB資産よりもDC資産が占める割合が高いのはオーストラリアと米国のみだった。
  • 日本、カナダ、オランダはDB資産が圧倒的な割合を占めており、それぞれ全体の96%、95%、95%がDB制度で運用されている。この3国では、DCへの移行の兆しが見え始めている。

【 注 釈 】
  • P19か国とは、本調査対象の世界の年金市場のうち、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、香港、インド、アイルランド、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、南アフリカ、韓国、スペイン、スイス、英国、米国を指す。これらP19か国で世界の年金資産総額の約85%を占める。
  • P7か国とは、上記P19か国のうち、オーストラリア、カナダ、日本、オランダ、スイス、英国、米国を指す(本調査対象国の総資産残高の約93%を占める)。
  • 数値は全て端数処理され、2015年の数字は推定値である。
  • 全ての日付は、当該暦年最終日を示している。

 
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ウイリス・タワーズワトソンのインベスト部門は、その専門知識、リスク評価、政策アセットミックス、投資一任業務、運用マネジャーのセレクションを駆使し、世界トップレベルの機関投資家の皆様のバリュー創造をサポートしています。インベスト部門は世界各国に総勢850名以上の従業員を擁し、2.2兆米ドルを超える資産に対しアドバイスを提供しています。タワーズワトソン・インベストメント・サービス株式会社はウイリス・タワーズワトソングループの一員です。


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