長期化するコロナ禍で厳しい状況の自立援助ホームに支援を!
~『2020年度全国自立援助ホーム実態調査報告書』から見えてきたこと~
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、全国自立援助ホーム協議会は、全国各地にある自立援助ホーム(以下、「ホーム」)の実態調査(※1)を行った。ホームとは、なんらかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった15歳から20歳まで(状況によって22歳まで)の子どもたちに暮らしの場を与え、自立していくことを支援するためにNPO法人や社会福祉法人などが運営する施設。
経済的、社会的に困難な状況にいる日本の若者・子どもの支援に15年以上取り組むグローバル金融機関であるUBSグループ(※2)と東京ボランティア・市民活動センター(※3)の支援を得て実現した今回の調査により、2020年12月現在、全国に196か所ある(※4)ホームが、新型コロナウイルスの影響で、感染対策や子どもたちへの支援に困難を抱えている実態が明らかになった。
◆主な調査結果:
※1『2020年度全国自立援助ホーム実態調査報告書』
https://drive.google.com/file/d/1mXQDoKlWB77k1DiZUtPUus2WfnT-CEGf/view
全国自立援助ホーム協議会ホームページ(http://zenjienkyou.jp)よりダウンロードできる。
(トップページ → 各種お知らせ → 調査報告書)
※2 日本で事業を展開するUBSグループ各社(UBS証券株式会社、UBS銀行東京支店、UBSアセット・マネジメント株式会社、UBSジャパン・アドバイザーズ株式会社、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社、UBS SuMi TRUSTウェルス・アドバイザリー株式会社)の総称。
※3 ボランティアやNPO、企業の社会貢献活動を支援する中間支援組織。社会福祉法人 東京都社会福祉協議会が運営。
※4 2021年9月現在、全国の自立援助ホームの数は214か所に増えている。
◆コロナ禍で入居者や退居者が抱える生活や就労の困難さ
本調査では、アルバイトや非正規雇用が多いホームの子どもたちがコロナ禍で厳しい状況におかれていることが明らかになった。調査が行われたのは、第2波が終わり一時的に状況が落ち着いていた時期ではあったが、「入居者が生活制限のためストレスを感じている」「新型コロナウイルスの影響で仕事を解雇された、または、(就労)時間・収入が大幅にカットされた入居者が増えている」とそれぞれ半数以上のホームが回答している。また、新型コロナウイルスの影響で「貯金ができない入居者が増えている」「仕事(再就職を含む)につけない入居者が増えている」と約3割のホームが回答。入居者の生活や就労に大きな影響があることがわかる。
また、退居者についても、新型コロナの影響で「仕事を解雇された、または、(就労)時間・収入が大幅にカットされた退居者が増えている」と回答したホームが全体の半数近くあり、退居者が「貯金を切り崩した」「孤立傾向にある」は3割弱、「住居を失いそう。失った」は2割弱、「精神的に不安定な退居者が増えている」と2割強のホームが回答している。一人で生活している退居生がより深刻な状況にある。
最近では高校や大学等の就学者がいるホームが増えており、全体の9割近くに及ぶ。就学している入居者たちは新型コロナの影響で、「登校ができない」、「就学意欲が減退している」、「インターネット環境が不十分でオンライン授業を受けられない」「学費が払えない」「コロナの影響で退学を考えている、もしくは退学した」という課題を抱えていることがわかった。
◆コロナ禍以前からの運営体制と入居者支援の課題
コロナ禍以前からのホームの課題も浮き彫りになった。
ホームの半数以上はNPO法人が運営しており、行政からの支援が少ない中で、「職員体制が不十分」「職員待遇の低さ」「職員の採用」が課題であると約半数のホームが回答している。そして、「安定した運営が見通せないために不安を感じる」と全体の7割以上のホームが回答しており、ホームに対する社会的支援が急務であることがわかる。
また、入居している子どもたちの多くは虐待の経験などがあるため、「心理的なケアが必要な入居者が多い」と回答しているホームが8割を超えている。さらに、「発達障害・知的障害のある入居者が多い」と7割近いホームが回答。こうした子どもたちのトラウマや障害に対する職員研修を多くのホームが求めている。
このように、もともと運営面でも支援面でも大きな課題を抱えているホームが、コロナ禍で感染対応や入居者・退居者への支援をすることになり、その業務量は大幅に拡大し、職員の過重労働となっている。
◆自立援助ホームに行政および民間の支援を!
本調査報告書は全国の自立援助ホームの職員や子どもたちの厳しい状況を伝えている。そもそものホームの運営体制や研修などについては、行政からの支援拡大を早急に求めたい。また、子どもたちの就労や生活支援、また、コロナ禍のような緊急時の支援については、企業や市民たち民間からのタイムリーで柔軟な支援が必要だ。
長引くコロナ禍で、ホームに入居する子どもたちの困窮は限界点に達しつつある。第1回目の緊急事態宣言が発出された2020年の4月には、ホームに入居している若者はアルバイトなどの非正規雇用の仕事が減り、収入が激減した。このときは、東京ボランティア・市民活動センターはUBSグループのコロナ救援基金の支援により、都内の17か所のホームの入居者および退居者192名に緊急支援金を給付し、最も厳しい時期を乗り越えた。
【この件の問い合わせ先】
〇東京ボランティア・市民活動センター(担当:河村)
〒162-0823 東京都新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ10階
TEL: 03-3235-1171 FAX:03-3235-0050
E-mail: akiko@tvac.or.jp URL: https://www.tvac.or.jp/
〇全国自立援助ホーム協議会(担当:恒松)
〒204-0022 東京都清瀬市松山3-12-14 あすなろ荘
TEL:042-492-4632 FAX:042-492-8348
E-mail:zenjienkyou@gmail.com URL: http://zenjienkyou.jp
経済的、社会的に困難な状況にいる日本の若者・子どもの支援に15年以上取り組むグローバル金融機関であるUBSグループ(※2)と東京ボランティア・市民活動センター(※3)の支援を得て実現した今回の調査により、2020年12月現在、全国に196か所ある(※4)ホームが、新型コロナウイルスの影響で、感染対策や子どもたちへの支援に困難を抱えている実態が明らかになった。
◆主な調査結果:
- 入居者の現状
- 「現在の学歴が中学校卒業(中卒、高校中退)である入居者」は全体の39.5%、「不登校・不登校歴がある入居者」は全体の45.4%。
- 「精神科医師の診察を受けている入居者」は全体の32.4%、「障害者手帳を所持している入居者」は全体の19.2%。
- 「18歳以上の入居者のうち貯金が10万円未満である者」は全体の31.7%。
- コロナの影響
- 心理的なケアが必要な入居者が多い中、コロナによる精神面が深刻化。
- 半数以上のホームの入居者がコロナ禍で収入減を経験。職に就くことができない入居者も増加の傾向。
- 約20%のホームの退居者が「住居を失いそう」、または「失った」と報告。
- コロナ以前からホームが抱える運営課題も、今回の調査により明らかに
※1『2020年度全国自立援助ホーム実態調査報告書』
https://drive.google.com/file/d/1mXQDoKlWB77k1DiZUtPUus2WfnT-CEGf/view
全国自立援助ホーム協議会ホームページ(http://zenjienkyou.jp)よりダウンロードできる。
(トップページ → 各種お知らせ → 調査報告書)
※2 日本で事業を展開するUBSグループ各社(UBS証券株式会社、UBS銀行東京支店、UBSアセット・マネジメント株式会社、UBSジャパン・アドバイザーズ株式会社、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社、UBS SuMi TRUSTウェルス・アドバイザリー株式会社)の総称。
※3 ボランティアやNPO、企業の社会貢献活動を支援する中間支援組織。社会福祉法人 東京都社会福祉協議会が運営。
※4 2021年9月現在、全国の自立援助ホームの数は214か所に増えている。
◆コロナ禍で入居者や退居者が抱える生活や就労の困難さ
本調査では、アルバイトや非正規雇用が多いホームの子どもたちがコロナ禍で厳しい状況におかれていることが明らかになった。調査が行われたのは、第2波が終わり一時的に状況が落ち着いていた時期ではあったが、「入居者が生活制限のためストレスを感じている」「新型コロナウイルスの影響で仕事を解雇された、または、(就労)時間・収入が大幅にカットされた入居者が増えている」とそれぞれ半数以上のホームが回答している。また、新型コロナウイルスの影響で「貯金ができない入居者が増えている」「仕事(再就職を含む)につけない入居者が増えている」と約3割のホームが回答。入居者の生活や就労に大きな影響があることがわかる。
また、退居者についても、新型コロナの影響で「仕事を解雇された、または、(就労)時間・収入が大幅にカットされた退居者が増えている」と回答したホームが全体の半数近くあり、退居者が「貯金を切り崩した」「孤立傾向にある」は3割弱、「住居を失いそう。失った」は2割弱、「精神的に不安定な退居者が増えている」と2割強のホームが回答している。一人で生活している退居生がより深刻な状況にある。
最近では高校や大学等の就学者がいるホームが増えており、全体の9割近くに及ぶ。就学している入居者たちは新型コロナの影響で、「登校ができない」、「就学意欲が減退している」、「インターネット環境が不十分でオンライン授業を受けられない」「学費が払えない」「コロナの影響で退学を考えている、もしくは退学した」という課題を抱えていることがわかった。
◆コロナ禍以前からの運営体制と入居者支援の課題
コロナ禍以前からのホームの課題も浮き彫りになった。
ホームの半数以上はNPO法人が運営しており、行政からの支援が少ない中で、「職員体制が不十分」「職員待遇の低さ」「職員の採用」が課題であると約半数のホームが回答している。そして、「安定した運営が見通せないために不安を感じる」と全体の7割以上のホームが回答しており、ホームに対する社会的支援が急務であることがわかる。
また、入居している子どもたちの多くは虐待の経験などがあるため、「心理的なケアが必要な入居者が多い」と回答しているホームが8割を超えている。さらに、「発達障害・知的障害のある入居者が多い」と7割近いホームが回答。こうした子どもたちのトラウマや障害に対する職員研修を多くのホームが求めている。
このように、もともと運営面でも支援面でも大きな課題を抱えているホームが、コロナ禍で感染対応や入居者・退居者への支援をすることになり、その業務量は大幅に拡大し、職員の過重労働となっている。
◆自立援助ホームに行政および民間の支援を!
本調査報告書は全国の自立援助ホームの職員や子どもたちの厳しい状況を伝えている。そもそものホームの運営体制や研修などについては、行政からの支援拡大を早急に求めたい。また、子どもたちの就労や生活支援、また、コロナ禍のような緊急時の支援については、企業や市民たち民間からのタイムリーで柔軟な支援が必要だ。
長引くコロナ禍で、ホームに入居する子どもたちの困窮は限界点に達しつつある。第1回目の緊急事態宣言が発出された2020年の4月には、ホームに入居している若者はアルバイトなどの非正規雇用の仕事が減り、収入が激減した。このときは、東京ボランティア・市民活動センターはUBSグループのコロナ救援基金の支援により、都内の17か所のホームの入居者および退居者192名に緊急支援金を給付し、最も厳しい時期を乗り越えた。
【この件の問い合わせ先】
〇東京ボランティア・市民活動センター(担当:河村)
〒162-0823 東京都新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ10階
TEL: 03-3235-1171 FAX:03-3235-0050
E-mail: akiko@tvac.or.jp URL: https://www.tvac.or.jp/
〇全国自立援助ホーム協議会(担当:恒松)
〒204-0022 東京都清瀬市松山3-12-14 あすなろ荘
TEL:042-492-4632 FAX:042-492-8348
E-mail:zenjienkyou@gmail.com URL: http://zenjienkyou.jp