PETフィルム(スラリー付)のリサイクルによる循環利用促進事業が「廃プラスチックの資源循環高度化事業(経済産業省)」二次公募に採択されました!!
リサイクル困難だった「スラリー塗布されたPETフィルム」に新たな価値と活躍の場を!
セラミックコンデンサ製造時に排出されるPETフィルムにはスラリー(チタン酸バリウム)が塗布されています。そのためリサイクルが困難で、多くが産業廃棄物として処理されています。しかし、当社では機械設備メーカーと協力しながら試作を重ね、スラリー除去設備の開発・導入で実績を上げてきました。
前回、自動車由来のプラスチック部品リサイクルにおける新装置導入事業で、経済産業省の「廃プラスチックの資源循環高度化事業」一次公募に採択されましたが、それに引き続き「スラリー除去設備とPET用ルーダー機の増設による排出フィルムの循環利用を促進する事業」が同補助金事業二次公募に採択されました!
前回、自動車由来のプラスチック部品リサイクルにおける新装置導入事業で、経済産業省の「廃プラスチックの資源循環高度化事業」一次公募に採択されましたが、それに引き続き「スラリー除去設備とPET用ルーダー機の増設による排出フィルムの循環利用を促進する事業」が同補助金事業二次公募に採択されました!
採択事業について
プラスチックを使用した工業製品の中には、分別が困難なためにリサイクルが進まないものがあります。セラミックコンデンサ製造時に排出される「PETフィルム」もその一つで、スラリーと呼ばれる物質が塗布されていて、その剥離が困難なためリサイクルされず産業廃棄物として処理されています。
当社では、これまで機械設備メーカーと協力しながら試作を重ね、スラリー除去設備の開発・導入に成功しており、年間1053tの処理を行なっている実績があります。
通常は産業廃棄物として処理されている「スラリー付きPETフィルム」を、セラミックコンデンサメーカーから買取り、スラリーの剥膜処理後に再生原料に加工し、その一部にカーボンナノチューブを添加・混錬してマスターバッチ*を製造、再生原料とマスターバッチをブレンドして、半導体・電子部品のマイクロチップ・半導体部品の輸送や保管のために使用する「キャリアテープ」の原料として販売することで、リサイクルが困難だった「スラリー付きPETフィルム」に新たな価値と活躍の場を創造していきます。
今回「廃プラスチックの資源循環高度化事業」二次公募で採択された事業では、スラリー除去設備とPET用ルーダー機(押出機)の増設を行い、年間1053tだった処理量を年間2100tに倍増させ、さらに、マスターバッチ製造用混錬機とブレンダ―の導入により、キャリアテープ原料の製造を可能にして排出フィルムの循環利用を促進させる計画です。
*マスターバッチ…プラスチックを着色したり、プラスチックに他の特性を付与したりするために使用されるプラスチック用の固体添加剤です。
「廃プラスチックの資源循環高度化事業」とは
この事業は、経済産業省から令和3年度補正「廃プラスチックの資源循環高度化事業費補助金」の交付を受けて一般社団法人日本有機資源協会(JORA)が実施するするもので、その目的は、民間企業等が設計・製造、販売・提供及び排出・回収・リサイクルの各段階において、プラスチック資源循環の取組を実施するために必要な機器及び設備の導入を行う事業に要する経費の一部を補助することにより、廃プラスチックの高度な資源循環の自律的取組への移行を実現することです。
「廃プラスチックの資源循環高度化事業」資料:https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/haipla_jigyou.pdf
前回の一次公募で採択された事業「自動車由来のプラスチック部品リサイクルにおける新装置導入事業」については下記リンクの記事をご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000057542.html
何をするの?
あらゆるものが機械化され便利になった現代社会において、コンデンサはほとんどの電子部品に使用されており、私たちの生活になくてはならないものとなっています。特に日本製コンデンサは品質の信頼を得ており、世界シェア No.1 となっていることから、セラミックコンデンサは増産傾向にあります。
しかし、それに比例して、コンデンサ製造時に排出される廃棄物も増加しています。中でもスラリーが塗布されたPETフィルムは、従来海外に輸出されリサイクル処理されていましたが、2017年から続く中国によるプラスチックスクラップの輸入規制に端を発し、世界中でプラスチックスクラップの取り扱いが難しくなっており、現在では一部がサーマルリサイクル(燃料資源として利用する)されているほかは、多くが産業廃棄物として処理されています。
リサイクルが難しいスラリー付PETフィルムですが、当社では、このPETフィルムをコンデンサメーカーから有価回収し、リサイクル加工により再生原料として再び市場に販売する事業を行っています。
どうやって?
プラスチック樹脂のマテリアルリサイクルを行う際、安定した品質の再生原料を製造するためには「母材に汚れや不純物が付着していないこと」と「異樹脂が混入していないこと」が求められます。
そのため、母材の分別が重要になってきます。しかし、スラリーが塗布されたPETフィルムから不純物であるスラリーを剥離するのは困難で、排出されるPETフィルムは増加傾向にあるにもかかわらずリサイクルがあまり進んでいません。
そこで当社では、機械設備メーカーと試作を重ねてスラリー除去設備を開発・導入し、年間1053tの処理を行っています。
具体的には、スラリー付PETフィルムをスラリー剥離機(コーティング剥離機とも呼ぶ)に通し、表面に塗布されたスラリーを除去することで、不純物の付着がないPETフィルムにした後、PETフィルム再生用押出機に投入して再生ペレットを製造します。
その後は?
再生ペレット自体も市場価値はありますが、当社ではさらに一歩踏み込んだ価値創造を目指し、キャリアテープ原料の再生加工を行います。キャリアテープとは、半導体・電子部品のマイクロチップ・半導体部品の輸送や保管のために使用するテープのことで、その原料には導電性/帯電防止性の機能が求められます。
そこで、PETフィルムから製造した再生ペレットの一部にカーボンナノチューブを練り込み、機能性マスターバッチ(導電性)を製造し、そのマスターバッチを再生ペレットとブレンドしてキャリアテープ原料として加工します。
キャリアテープへの用途展開を行うことにより、再生樹脂原料の利用の間口を拡げ、プラスチックリサイクル促進に貢献します。
どんないいことがあるの?
1.年間処理量が倍増、排出フィルムの循環利用の促進
当社では、これまで年間1053tのPETフィルムを処置してきましたが、本事業での設備増設と新設備導入により、年間2100tの処理能力を見込んでおり、排出PETフィルムの循環利用の促進につながります。
2.二酸化炭素(CO2)排出量の削減
スラリーが塗布されたPETフィルムは、サーマルリサイクルされる以外は多くが産業廃棄物として焼却処分されています。その結果、多くの二酸化炭素(CO2)が排出されます。しかし、再生原料やキャリアテープ原料としてリサイクルすることで、焼却処分によるCO2排出量を削減することができます。
また、導電性付与のための添加剤として使用するカーボンナノチューブは、その生産工程においてCO2が原材料として使用されています。これにより、リサイクルによるCO2排出量削減と合わせて、さらにCO2削減に貢献することができます。
3.セラミックコンデンサメーカーの処理費用軽減
セラミックコンデンサメーカーにとっては、従来産業廃棄物として処理費用を支払っていたスラリー付PETフィルムをプラスチック資源として有価で売却(当社が買取)することが可能となり、処理費用の削減を行うことができます。
4.SDGsへの取組
プラスチック資源排出企業の観点では、プラスチック資源を産業廃棄物にせず当社に売却することで、焼却による CO2排出を防ぐことが可能となります。
また、プラスチック製品生産企業の観点では、正規原料(石油から精製されたもの)の代替として再生プラスチック原料を使用することにより、化石原料の新規使用量を削減することが可能となります。
このように、本事業では当社の生産能力向上だけを目的としたものではなく、当社とお取引のある企業や環境にも波及効果が期待でき、現代社会のニーズに沿った事業であるといえます。
(株)中部日本プラスチックってどんな会社?
私たち株式会社中部日本プラスチックの企業理念は「HAPPYなエコ」。
プラスチックマテリアルのリサイクル事業(リサイクル・再資源化、プラスチック買取・回収、プラスチック原料販売、コンパウンド調合品、樹脂再生加工機販売)に加え、様々な環境活動(エコ・ネットプロジェクト)にも取り組んでいます。我慢したり不便を感じながら行うエコは苦しくて、長く続けることは困難です。ワクワクできるエコ、みんながHAPPYな気持ちになれるエコを目指し、自分たちの会社だけでなく、当社と関わる全ての方々の幸せを願い、今よりももっと美しい地球を未来に残したいと考えています。
当社ウェブサイト:https://www.cnp.co.jp/
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