東京建物が管理運営するビルへの生理用品設置を拡大。オフィスで働く多様な人材を肯定 ~LAQDAプロジェクトと共同、トイレから人的資本経営~

オフィストイレの生理用品設置で「心理的安全性が高まった」方は98%。「働く環境に『受け入れられている、肯定されている』気持ちになった」方は82%。働く方の自己受容やインクルージョンにも貢献。

わたしの暮らし研究所株式会社(所在地:東京都中央区、代表:沢田直美)は、2021年から東京建物株式会社が管理・運営するオフィスビル6棟(総計1万人が入居)に生理用品の設置とDEI(*1)セミナーを提供してきました。今年3月に実施したテナント企業への調査結果を受け、7月から8棟(オフィス4棟・物流施設4棟)を追加し、オフィストイレへの生理用品設置をきっかけにDEIを考えるLAQDAプログラムを展開します。


【背景】

わたしの暮らし研究所は、ひとりひとりの「わたし」の「暮らし」の研究を行っています。「みんな」の暮らしを優先するばかりに損なわれがちな、ひとりひとりの「わたし」の暮らしに目を向けることを目的としています。2019年に行った生理用品設置の実証実験の調査結果により、生理がある方がオフィス内で過ごす際、生理用品の入手について多くの課題を抱えていることが浮き彫りになりました。この結果を受け、わたしの暮らし研究所はLAQDAプロジェクトを立ち上げ、生理用品の設置で生理期間にある方の自己受容を促し、周囲環境のDEIを醸成するプログラムを提供し、DEIの啓発活動を行なっています。2023年は21社が参加しました。

【これまでの東京建物との歩み】

2021年から複数回に渡り実証実験で協業し、数々のセミナー、ワークショップ、イベントを行ってきました。東京建物のご担当者には、大学と実施するワークショップやイベントにもご登壇いただくなど、社内外の啓発活動にご協力いただいています。

現在は都内の6棟(東京建物八重洲ビル、東京建物日本橋ビル、東京建物神保町ビル、東京スクエアガーデン、大崎センタービル、霞が関コモンゲート西館)の総計1万人を超える方が入居されるオフィスで、実証実験を経た本格設置に至っています。

オフィストイレへの生理用品設置の取り組みは、テナント企業にも注目されており、大変好評いただいております。今年3月に6棟合同の調査を行ったところ、生理の経験がない方も含め1800名の方がアンケートに回答いただきましたので、結果をお知らせします。

6棟での生理用品設置の調査結果が以下です。

<テナントからの声>

  • 女性に配慮した取り組みでとても良いと思います。

  • これまで、生理は個人的で、かつ隠すべきこととして扱われてきました。これは少子化にも影響しているのではないかと思います。生理が当たり前のことととらえられるようになるために、このプロジェクトに賛成です。

  • これを機に、生理用品という物品だけのことではなく、生理で女性が体力的、精神的にもきついことがあることなどの理解につながればいいと思います。

  • 従業員の働きやすい環境作りに寄与する価値のある取組みだと思います。

  • このような取り組みを積極的に行っていただけると、職場環境もよくなり、そこで働く身としても嬉しいです。ビルの価値も上がると思います。

  • 入居企業にとっても、雇用環境改善に繋がる良い取り組みだと思う。職場環境の改善につながる取り組みは良いと思います。

  • 女性の働きやすい環境を整えることは、企業としても大事なことだと思うので継続した方が良いと思う。働きやすい環境を整えることは企業の重要な課題であり、多様性の観点からも女性の働きやすさに対しては特に重要。施策はたくさんあるものの、どこまで有効性を発揮できているのかが男性にはわかりづらく、このような取り組みを広げていただけることは有り難い

また、ビル入居テナント企業の中には、新卒の採用にも貢献した事例がありました。新卒で入社した留学生の入社理由が「トイレに生理用品があったから」であったことから、「生理用品がトイレにある、ただそれだけのことが、従業員のために働きやすい環境を用意している企業として評価される」と認識され、該当企業は全国の工場にLAQDAのケースを導入し始めました。

なお、「次にオフィスを移転する際にも生理用品がトイレに設置されているオフィスに移転したい」と回答した方は92.8%でした。


【Human Buildingをモットーとする東京建物だからこその運営体制】

LAQDAプロジェクトでは、生理用品の設置・補充は、清掃会社の人員が減っている中では現場業務の負担になり、ビル側の理解を得られにくく、そのことが導入障壁になっていると感じてきました。この度は、東京建物から各棟の運営担当者、清掃担当者とも密に連携いただき、関係各社の経営層が課題認識をしてくださったことで実施が実現しました。トップダウンに偏りすぎず、設置の意義について丁寧に説明し理解を得ながら進めることで、プロジェクトに同意いただける方を増やしてまいりました。さらに、清掃現場の意見を取り入れ、より管理・補充がしやすいようにケースの一部を改良するなど、各社で連携体制を確保できました。各社のコメントを紹介いたします。

東京建物株式会社 代表取締役 専務執行役員 小澤克人氏 コメント

テナント企業様はもちろん、東京建物でも女性従業員の比率が高まっています。DEIには様々なアプローチがあると思いますが、こんなに身近に女性の働きやすさをサポートできる施策があると気づきました。職場の誰もが安心して働きやすい環境を整える施策を今後もリードしつつ、同時に社会課題を解決していきたいと考えています。

東京建物株式会社 ビルマネジメント第一部 グループリーダー 猪俣章信氏 コメント

2021年に入居テナント様からLAQDAプロジェクトをご紹介いただき取り組みを知りました。女性の同僚やテナント様からも職場における課題について、本音の話を聞くことが出来たのは貴重な経験です。一方で、生理用品の設置は、ビルオーナーや管理会社・清掃会社が連携をしていく必要があるので、当社グループの強みが生かせた好事例だと感じます。当社が特別になるのではなく、国内の様々なオフィスでもトイレットペーパーと同様に設置される将来を目指し、DEIのセミナー等も実施していきたいです。

東京不動産管理株式会社(施設管理・運営)取締役執行役員 園部稔雄氏 コメント

調査結果を見た時、こんなに困っている人がいるのだと知って衝撃を受けました。生理のある方が不安を抱えながら日々を過ごしていることに、「もったいないなあ」と思いました。抱えている不安の払しょくを考えれば費用対効果がとても高い施策だと感じています。今後もお客様に喜んでいただける環境づくりを目指していきたいです。

東京ビルサービス株式会社(施設管理・清掃)清掃責任者 迫田浜子氏

当初、生理用品の管理・補充には不安がありましたが、補充作業がしやすいようにケースの形状を変更してもらうなど現場の声を取り入れてもらえたことで、現場スタッフからも理解を得られたと思います。現場でお客様に会う時、実際に喜んでいる声を聞かせていただけることはうれしいです。


【今後のLAQDAプロジェクト展開先】

現在設置が完了しているオフィスビル6棟のほか、7月からは東京建物株式会社、東京不動産管理株式会社、東京ビルサービス株式会社が所有し管理管理運営するビル4棟のほか、物流施設4棟で設置します。今後は、これらの合計14棟での生理用品設置・セミナー展開を進め、順次、全国のオフィスビルに拡大していく予定です。

【LAQDAプロジェクトの詳細】

LAQDAプロジェクトは、生理用品の設置を行う過程での合意形成を重視したプログラムを行っています。プログラムを一連して行うことが継続的な設置や関係者のDEI醸成に寄与すると考えており、以下プロセスで実施しています。

過去の調査結果を示すだけでなく、実際に対象ビルで実証実験と調査を行うことにより、その中で働く方が生理用品の設置に関することを自分ごととして考える機会を提供します。2023年の参加企業のうち、実証実験後の生理用品設置定着率は、実証実験のみ実施した企業では33%、セミナーも併せて実施した企業では75%と2倍以上になりました。(*2)

生理がある方は、調査に参加することにより、本人も気がつかなかった自分の困りごとに気づく機会を与えます。さらに、困りごとを言語化し、潜在的に諦めていた悩みについて自分で認識し、「一人でがんばらなくてもよかった」「周りを頼ってよかった」などの感覚を持つことができ、自己受容につながります。

困っていない方にとっては、身近な環境で生理用品設置が行われることにより、なぜ必要なのか他者の生活に想像力を働かせる機会になります。身の回りの方の働く状況を思いやることが自然となり、日常的に気遣いやすくなります。結果として、生理というものに対して受容的になり、他者のインクルージョンに寄与します。

会社全体で実施することで、共通の学びを経ることができ、職場の風通しがよくなったり、新しいアイデアが出てくるようになる他、オフィス空間にとどまらず、プライベートな場面で家族や大事な方との対話が生まれたという例もあります。LAQDAプロジェクトの中で、DEIの考え方を感じてもらうことをきっかけに、働く方だけでなく、その周りの方々のDEI醸成にも貢献しています。

2024年3月には姉妹会社として株式会社LAQDAを設立し、今後のLAQDAプロジェクトは株式会社わたしの暮らし研究所が企画し、株式会社LAQDAがケース販売・セミナー実施を行っていきます。2024年度はさらに活動を拡大し、さまざまな場所でトイレの生理用品設置をきっかけにDEIを考えるLAQDAプロジェクトを広めて参ります。

LAQDAプロジェクト代表 沢田直美コメント

東京建物さまとは2021年より数多くの取り組みを行ってきました。生理用品の設置はビル内の他施策や企業内の福利厚生の中でも比較的安価に実現でき、費用対効果も高い施策です。東京建物さまでは、社内外でDEIの理解を求める活動を行うことにより、テナントさまの理解を得ることができ、施策を拡大いただけたと認識しております。また、東京建物さまにビル業界の中でリードいただくことで、追随いただける企業も増えてくると期待しております。

*1 :「ダイバーシティ(多様性)」「エクイティ(公平性)」「インクルージョン(包括性)」の頭文字からなる略称。従業員のエンゲージメントを高め、人的資本経営を進める上で欠かせない概念です。
*2 :第12回市民共創知研究会こうすれば、"みんな"で考えられる! ー職場への生理用品設備の導入プロセスとしての対話の重要性と2つの工夫ー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaisigtwo/2023/CCI-012/2023_33/_article/-char/ja

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ビジネスカテゴリ
商業施設・オフィスビル
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会社概要

URL
-
業種
製造業
本社所在地
東京都中央区銀座1-22-11 銀座大竹ビジデンス 2F
電話番号
-
代表者名
沢田直美
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年03月