Triple Bottom Line、コペンハーゲンで開催されるデザインの祭典「3daysofdesign 2025」にて、再生素材を採用した照明「FOUSKA」「SKIA」を発表
AIを活用したジェネレーティブデザインを中心にプロダクト設計を手掛けるデザインスタジオ・合同会社Triple Bottom Line(本社:東京都杉並区、代表:柳澤 郷司、以下:Triple Bottom Line)は、デンマーク・コペンハーゲンで開催される「3daysofdesign 2025」において、吊り下げ照明「FOUSKA(フースカ)」と卓上照明「SKIA(スキア)」を発表します。

3daysofdesign(スリーデイズ オブ デザイン)は、毎年6月にコペンハーゲンの中心部エリアで開催される家具・インテリアのデザインの祭典です。年々規模を拡大し、国内外のブランドやデザイナーが出展。12年目となる今年は「KEEP IT REAL」を軸に、8つの地域でテーマを深掘りするポイントを設け、それぞれの特色を表現するインスタレーションが展開されます。
今回Triple Bottom Lineは、「Insights」をポイントにしたローゼンゴート地区において、工業生産における新しい表現価値を創造する「FOUSKA」を展示します。またミラノデザインウィーク2024(MDW2024)にて好評を得た、卓上照明「VISCUM(ヴィスクム)」と、その後継として誕生した「SKIA」を、合わせて展示します。
【出展情報】
開催期間:2025年6月18日(水)~20日(金)
開催場所:Vognmagergade 5, Parking Lot, 1120 / Rosengård / 3daysofdesign
Webサイト:https://www.3daysofdesign.dk/exhibition/triple-bottom-line
工業的プロセスに宿る光の手ざわり...吊り下げ照明「FOUSKA」
優れた技巧によって生み出される繊細な美しさは、工業的なプロセスでは再現できないのでしょうか?
FOUSKAは、従来の工業デザインでは不要物として排除される手仕事ならではの揺らぎを、新たな価値創造の源泉としてアプローチしたプロダクトです。

形を織りなす無数のラインは、一見すると工業生産の精密さそのものです。しかし、その規則正しさの中に、意図的に「手仕事ならではの揺らぎ」を形式的要素として組み込みました。

MDW2024で発表した「Potit(ポチ)」で開発した織物テクスチャ技術をさらに進化させ、これまで実現困難だった高密度かつ緻密な造形を可能にしています。微細な差異が織りなす非言語的な表現は、まるで職人の手が一つひとつに込めた魂のように、デジタル技術によって光と影の対話を生み出していきます。

会場では、異なる造形方法による二種類のテクスチャを展示します。一つは編み物のように蛇行するパスで構成され、光の拡散効果を最大化するもの。もう一つは、シンプルなスパイラル構造で内部を垣間見せる設計となっており、Potitでも使用した銅フィラメントを青く酸化させた構造物を内包しています。均一性を是とする大量生産の枠組みの中でありながら、それぞれが全く異なる光の体験を提供する。これは、標準化された製造プロセスでありながら一品制作的な価値を実現する、新しい製品カテゴリーの提案です。


70%リサイクル材を使用したPET樹脂を素材とし、環境配慮と製品性能の両立を実現しました。過去の記憶を宿した素材が、技術と文化を調整する広範なコミュニケーションの媒体となり、持続可能性を単なる付加価値ではなく、デザインの核心要素として位置づけています。

Fouskaから漏れ出る光は、単なる照明ではありません。それは、大量生産というシステムの中に宿る温かみであり、ものづくりという行為が元来備えている芸術性との強い結びつきです。工業デザインの可能性を拡張し、創造性の深さを包含する新しいデザイン言語として、新たな市場価値を開きます。

進化する光の形、循環する素材の物語...卓上照明「SKIA」「VISCUM」
過去と未来が交差する瞬間、そこに新しい価値は生まれます。
SKIAはMDW2024で発表したViscumの構造を見直し、発展させた照明です。本体のシルエットは前作の静謐な佇まいを継承しながらも、細部には大胆な変革が息づいています。

最も特徴的なのは、建築現場から出る廃材を原料とした再生モルタル(漆喰)の採用です。単なる環境配慮を超えた、持続可能性への深い思索の結果です。廃棄されるはずだった素材が、新たな光の器として生まれ変わる。持続可能性を模索する取り組みにおいて「なぜそれを作るのか」という根本的な問いへの、1つの行先を照らすプロダクトです。

技術面においては反射板を1割縮小し、支柱とボディを一体型から分割型へ変更することで、卓上照明からフロアライトまで、多様な空間への適応が可能となりました。LED格納部分の支柱直径を5mm拡大することで冷却性能が向上し、光源の寿命延長を実現。筐体の芯材構造も見直し、軽量化と同時に、従来では定着困難だった漆喰材の使用を可能にしています。
SKIAが体現するのは、プロダクトのライフサイクル全体を包括的に考えるデザインアプローチです。素材選び、製造方法、利用シーン、そして再利用まで。ユーザーとプロダクト、社会と環境がつながり合う新しいデザイン言語として、市場に新たな価値提案を行います。

SKIAの礎となったVISCUMは、視覚的に“光”の最小単位とはどのようなものかを追求したプロダクトです。
単一素材でのミニマルな外装・LEDなどの内部部品を最小限の構成とすることで環境配慮を前面にうたうことなく、特殊な素材を用いることなく、本来の意味での持続可能性を実現しています。
“光”を形取るうえで奇抜な外観や込み入った装飾に頼るのではなく、周りの空間にいかに自然に溶け込むことができるかを目指しました。
最も原始的で素朴な“光”を表現するためには奇抜な外観や過度な装飾は必要ありません。人と物それを取り巻く環境との間に生じるコミュニケーションという詩的な体験を表現するためにVISCUMは生まれました。

空間に溶け込み、存在を主張せず隣に寄り添い必要な時には灯りを提供する、“光”の繊細さをいかに精緻に表現できるかに焦点を当てています。
Triple Bottom Lineの創りだす照明とは
Triple Bottom Lineは、これまでにミラノデザインウィークにおいてデザインギャラリー『Spazio Rossana Orlandi』(スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ)で、“Trans Nature”・“自然”から着想を得て自然界に存在する様々な変数をデザインに落とし込んだプロジェクト「EAU」「Botanical Drip」を発表、アジア圏のデザイナー10組のみが招待されたシンガポール国際家具フェア『Design Star』において「Tranquillum」を発表するなど、多くの照明プロダクトに挑戦しています。
代表の柳澤郷司が織りなすコンピュテーショナルデザインによって、光と影による物語が作品の1つ1つに映しだされています。




デザインスタジオ Triple Bottom Line
英国デザインスタジオ「Therefore Design Consultancy」「Ross Lovegrove Studio」でのキャリアを持つインダストリアルデザイナー・柳澤郷司が、2014年より「Triple Bottom Line」名義にて活動を開始。2020年に合同会社を設立。
AIを活用したジェネレーティブデザインを用いて企業・研究所とプロダクト製作や研究開発を行っている。また近年はオートデスク株式会社と共にジェネレーティブデザインの普及にも力を入れている。
株式会社デンソーとの共同開発においてジェネレーティブデザインを用いたプロダクトでグッドデザイン賞を受賞した他、 CES Innovation Award, iF Design Award, Good Design Award等、国内外のデザイン賞多数受賞。


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