(抄訳)7月‐12月期シンガポール製造業景況感

シンガポール経済開発庁

 
7月‐12月期景況感

製造業の景況感は、サプライチェーン問題、各種製造コストの上昇、中国のCOVID対策、ロシア・ウクライナ紛争の継続など、世界的な不確実性の高まりが外需を圧迫する可能性があることから、12%の企業が景況感の改善を予想しているものの、20%が悪化を予想しており、2022年下半期全体の正味加重残高[1]は、2022年第2四半期(4~6月)に比べマイナス8%となった。

[1] 調査対象417社の内、90%が回答。数値は、直前四半期の実際の業績と比較した先半年の景況感に対する回答、「上昇」「同等」「低下」の加重割合の差で、プラスは上昇傾向、マイナスは低下傾向を示す。
 


セクター別は以下の通り:

・2022年下半期の製造業は、世界的な航空需要の回復に伴い、航空機のメンテナンス、修理などの需要回復が期待される航空宇宙部門の牽引により、輸送工学セクターはプラス48%の強い指数を示したが、それ以外の全てのセクターは悪化を予想している。海洋・オフショア部門は、原油価格の上昇を背景に世界的な石油・ガスの増産を見込んでいる。

・精密機械は、ボンディングワイヤや光学機器などを製造する精密モジュール・コンポーネント部門を中心に業績見通しが明るく、プラス11%となった。

・化学は、特殊化学品、石油化学、その他の化学部門で地域需要が軟化する中、材料費などコストの上昇が懸念され、マイナス7%となった。

・一般製造業は、食品・飲料・たばこ、印刷部門が燃料や原材料価格の高騰によるコスト上昇懸念から、セクター全体でマイナス11%となったものの、COVID規制の緩和による建設需要の活発化が予想される。

 ・バイオメディカルは、特に医薬品と医療技術部門でサプライチェーンの不安定さとコスト上昇による業績悪化懸念から、マイナス15%となった。

 ・エレクトロニクスは、最も悲観的なマイナス21%となった。クラウド、自動車、産業最終市場は業績回復基調が継続しているものの、半導体やコンピュータ周辺機器・データストレージ部門は、サプライチェーン混乱の継続や、PCやスマートフォン市場の消費者需要の軟化が懸念材料となった。

 7月‐9月期生産高予測(4月‐6月期比)

7-12月期の景況感はマイナスに転じたものの、7月‐9月期の生産高予測は前期比でプラス17%となった。化学以外の全部門で、今後3カ月間の生産高の増加を予測している。
 


セクター別は以下の通り:

・輸送工学はプラス45%と強い数字となった。航空宇宙では、多くの国がレジャーやビジネスの旅行制限を緩和したことを受けて航空機移動の需要が増加し、民間航空会社からの航空機メンテナンス需要が高まると予測される。海洋・オフショアでは、原油価格高騰に伴う石油・ガス増産に伴い、石油・ガス田開発用機器の増産が予想される。

・​精密機械はプラス39%となった。機械・システムでは好調な受注を背景に半導体製造装置の増産が、精密モジュールではプラスチック精密部品、ボンディングワイヤー、光学製品の増産が予想される。

・バイオメディカルは、製薬部門で医薬品原体や生物学的製剤の増産が見込まれ、プラス35%になったものの、医療技術では世界的なサプライチェーン問題により生産活動に制限が生じることが予想される。

・エレクトロニクスは、プラス9%となった。半導体部門でPCやスマートフォン市場の需要が軟化しているものの、世界的なチップ不足のため、チップ生産は堅調に推移すると予想される。その他の電子モジュール部品や情報通信・家電も、IoT市場の需要増に支えられ、増産を見込んでいる。

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未上場
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1961年08月