AIや海外実写化で変わる? 日本のマンガの行方――読者と制作者への全国アンケート調査

国内外で日本のマンガへの関心が高まるなか、全国の一般読者1,000名とマンガ制作にかかわる100名を対象に、AIの活用と西洋での実写化に関する意識調査を実施しました。

PDF Guru

全国の一般読者1,000名とマンガ制作にかかわる100名を対象とした、AIの活用と西洋での実写化に関する意識調査の結果からは、「マンガはどこまで変わるべきか」という問いに対して、読者と制作側のあいだに明確な認識の差があることが明らかになっています。

とくにAIの活用については、多くの読者が慎重、あるいは否定的な姿勢を示す一方で、制作現場ではすでに日常的なツールとして導入が進んでいることがわかり、一般的な意識と実態のあいだに大きなギャップが見られました。この差は、西洋によるマンガの実写化に対する見方にも表れています。多くの読者がその存在をあまり意識していない一方で、マンガ制作者の多くはすでに海外向けの映像化プロジェクトに直接または間接的にかかわっており、現実的かつ前向きな選択肢として捉えているようです。

以下では、こうした意識の違いがどこから生まれているのかを、調査結果をもとに詳しく見ていきます。

調査結果

スクリーニング調査

Q1 マンガ制作におけるAIの活用について、あなたの意見を教えてください。

調査対象:男性500名、女性500名

マンガ制作におけるAIの活用については、「どちらとも言えない」とする回答が過半数(52.1%)を占めました。多くの人が、AIをマンガ制作に取り入れることについて、まだ明確な判断を下していない様子がうかがえます。明確な意見をもつ層に限ると、否定的な見方(28.1%)が肯定的な見方(19.8%)をやや上回り、積極的な期待よりも慎重な姿勢がやや強い傾向にあります。また男女差を見ると、女性のほうが「やや否定的」と答える割合が高くなっています。

総じて、多くの回答者はAIの導入にまだ判断を保留しており、明確な意見を持つ人のあいだでは慎重さがやや優勢となっています。

Q2 AIの進化によって、マンガ家の仕事が脅かされると思いますか?

調査対象:男性500名、女性500名

AIが漫画家の仕事を脅かす可能性について、回答は大きく分かれましたが、どちらかというと不安な声や不明瞭な回答が上回る結果となりました。「間違いなく脅威になる」「脅威になる可能性あり」と答えた人は合計41.7%にのぼり、さらに30.9%は「わからない」と回答しています。これに対し、「(おそらく、または全く)脅威にはならない」と考える人は27.4%と、3割弱にとどまりました。

多くの回答者は、AIが漫画家の仕事に影響を与える可能性があると考えるか、もしくはまだ判断がついておらず、リスクが小さいとみなす人は少数派にとどまっています。

Q3 もし大部分がAIで制作されたマンガだと知っていても、読みたいと思いますか?

調査対象:男性500名、女性500名

AIを主に用いて制作されたマンガを読みたいかという質問では、全体的な関心は低い結果となりました。「ぜひ読みたい」と答えた人はわずか8.5%、「たぶん読む」が26.2%で、肯定的な層は約3分の1にとどまります。一方で否定的な回答は多数を占め、41.0%が「あまり読みたくない」、さらに24.3%が「読みたくない」と答えています。合計すると65.3%が消極的または拒否的であり、AI制作のマンガに対する抵抗感が強く表れています。

全体として、AIが制作に大きく関わったマンガに対して前向きな読者は少数派で、多くの人は読むことに積極的ではないようです。

Q4 日本のマンガを原作とした欧米の映像作品(ドラマ・映画)を観たことがありますか?

調査対象:男性500名、女性500名

西洋で制作されたマンガの実写化については、全体的に認知度が低いことがわかりました。回答者の44.5%が「そのような実写化があることを知らなかった」と答えており、最も多い回答となっています。さらに28%は「聞いたことはあるが、観たことはない」と回答し、実際に1作品以上を観た経験がある人は全体の14~15%程度にとどまります。認知していない層が、視聴経験のある層を大きく上回っています。

性別による違いとしては、複数の実写化作品を観たと答えた割合は男性の方が高く、一方で「そのような作品があることを知らなかった」と答えた割合は女性の方が高い結果となりました。

全体として、西洋のマンガ実写化について知らない人が多く、実際に視聴したことがある層はごく少数にとどまっています。

Q5 欧米でのマンガ実写化で気になる点を教えてください。

調査対象:男性500名、女性500名(複数回答形式)

西洋で制作される日本マンガの実写化について、回答者の約半数(44.5%)は「特に気になる点はない」と答えました。何らかの懸念を持つ層に限ると、最も多いのは「文化の誤解や誤表現」(27.9%)で、次いで「キャスティングの問題」(21.1%)、「原作への敬意不足」(19.4%)が続きます。「作品のクオリティの低さ」(15.0%)や「構成・テンポの不一致」(10.7%)は比較的少数派でした。全体として、懸念を抱く人々は、映像技術よりも文化的な正確さに重点を置く傾向が見られます。

男女間では1点だけ明確な差があり、男性は女性よりも「原作へのリスペクトが守られているか」を懸念する割合が高いようです。

総じて、文化的な正確さに多少の懸念が見られるものの、多くの回答者は強い懸念を持っていない傾向が見られます。

フォローアップ調査

Q1  以前のアンケートで「現在または過去にマンガ制作の仕事をしたことがある」と答えた方にお聞きします。 現在、マンガ制作にAIツールを使用していますか?

調査対象:男性61名、女性39名 (マンガ制作の経験がある回答者のみが対象)

AIの導入はマンガ制作者の間で既に広く進んでいます。全体の59%が制作工程でAIツールを「定期的に」または「時々」使用しており、AIを使う予定がないと答えたのはわずか16%でした。マンガ制作者の間ではAIへの抵抗が比較的少ないことが分かります。

総じて、今回の調査に参加した多くのマンガ制作者が、何らかの形で既にAIを制作プロセスに取り入れていると言えます。

Q2 AIツールはマンガ制作の生産性向上に役立っていると感じますか?

調査対象:男性61名、女性39名(マンガ制作に携わった経験のある回答者のみが対象)

AIによって生産性が向上したと感じるクリエイターが多数派を占めています。全体の60%が「大幅に向上した」または「やや向上した」と回答しており、一方で「効率が下がった」と答えたのはわずか8%でした。

ここでは明確な男女差が見られます。女性クリエイターは男性よりも「生産性が向上した」と答える割合が若干高く、反対に男性は「特に変わらない」と感じる人が相対的に多い傾向がありました。この結果から、本サンプルにおいては女性のほうがAIツールから実務的な恩恵を受けやすい可能性が示唆されます。

総じて、クリエイターはAIを制作効率を高める有用な手段として受け止めており、多くが実際に効果を実感しています。

Q3 マンガ制作におけるAI利用について、主な懸念点を教えてください。

調査対象:男性61名、女性39名(複数回答形式、マンガ制作に携わった経験のある回答者のみが対象)

マンガクリエイターが抱えるAIへの懸念は多岐にわたりますが、最も多いのは「AIを使った作品に対する読者のネガティブな印象」(39%)と「伝統的な技術の衰退」(38%)でした。これは、読者からの評価という外的要因と、創作技術の維持という内的要因の両方を懸念していることを示しています。

総じて、制作側が最も気にしているのは競争や法的リスクよりも、AIが「作品の芸術性」や「読者からの見られ方」にどのように影響するかという点だと言えます。

Q4 西洋によるマンガの映像化は、日本のマンガの世界的イメージにどのような影響を与えていると思いますか?

調査対象:男性61名、女性39名(マンガ制作に携わった経験のある回答者のみが対象)

マンガクリエイターの多くは、海外での実写化について好意的な見方をしています。全体の69%が「日本のマンガの国際的なイメージ向上に役立っている」と回答し、「悪影響がある」と考える人は10%にとどまりました。残りは中立的な立場で、海外実写化に対して強い否定的感情をもつクリエイターは少ないことが分かります。

総じて、制作者の間で海外実写化は日本のマンガが世界で評価されるためのプラス要素として捉えられていると言えます。

Q5 西洋での映像化において、日本の専門家の関与は重要だと思いますか?

調査対象:男性61名、女性39名(マンガ制作に携わった経験のある回答者のみが対象)

海外での実写化において、日本の専門家が関与すべきかについては、強い合意が見られました。全体の62%が「必須」もしくは「理想的に関与すべき」と回答しており、作品のオリジナリティや文化的な整合性を保つために、日本側のクリエイティブな判断が重要だと考える人が多数派です。「関与は不要」と答えたのはわずか8%でした。

総じて、海外実写化においては、日本の専門家が制作に参加し、文化面・物語面の双方で方向性を示すことが重要だと考えるクリエイターが多い結果となりました。

主な調査結果

  • 一般読者の多くは、AIが主に制作したマンガに対して強い抵抗感を示しており、創作の主体は依然として「人」であるべきだと考えている。

  • AIが漫画家の仕事を脅かす可能性については、不安な声や不明瞭な回答が多数派となっており、楽観的な見方は少数にとどまっている。

  • 一方で、マンガクリエイターのあいだではAIの活用がすでに広く進んでおり、制作効率を高める実務的なツールとして受け入れられている。

  • クリエイターはAIの利便性を認識しつつも、技術の継承や読者からの受け止め方に対する懸念を強く意識している。

  • 西洋によるマンガの実写化について、一般読者は関心や認知が低い一方で、クリエイターの多くは実際に関与経験を持ち、現実的な仕事の一部として捉えている。

  • 海外向けの映像化においては、日本側の専門家が制作に関与することが重要だという認識が、クリエイターのあいだで広く共有されている。


まとめ

今回の調査から、読者と制作側では「これからのマンガの姿」に対する見方が大きく異なることが明らかになりました。一般読者のAIに対する姿勢は慎重というより、むしろ否定的に傾いています。AIを主に用いて作られたマンガを「読みたいとは思わない」と答えた人が多数を占め、AIによって漫画家の仕事が脅かされるのではないか、あるいは長年培われてきた技術や表現が失われてしまうのではないかと不安を抱く声も多く見られました。読者にとって、AI生成のマンガは「人の手による創造性」や「作品に宿る感情の深み」から距離を感じさせる存在であると言えます。

一方、クリエイターにはより実務的で現実的な視点が見られます。AIはすでに多くの制作現場で活用されており、大半のクリエイターが効率向上につながっていると評価しています。多くの場合、AIは創作そのものを置き換えるものではなく、作業を補助する道具として使われています。長文資料を要点だけ素早く把握するためにPDF要約ツールが使われるのと同様に、マンガ制作においてもAIは一部の工程を効率化する手段として受け入れられていると言えるでしょう。

西洋でのマンガ実写化に対する見方にも、読者とクリエイターの間で明確な隔たりが見られます。読者の多くは、海外実写化について「そもそも存在を知らない」「特に関心がない」と回答しており、文化的な距離を伴う存在として捉えています。関心を示す層であっても、懸念の中心は制作クオリティではなく、文化的な誤解や原作の扱われ方に集中しています。多くの読者にとって、海外実写化は“自分たち向けではない”コンテンツとして認識されているのが実情です。

これに対し、クリエイターの多くは海外実写化に関わった経験を持ち、その意義を比較的前向きに評価しています。日本のマンガが世界的に認知される機会になると考える人が多く、制作過程に日本側のクリエイターが関わることについても強い支持が見られました。これは西洋作品を排除する姿勢ではなく、文化的・物語的な一貫性を保ちながら国際的な協働を進めていきたいという意識の表れと言えます。

総じて、一般読者は「伝統性」や「マンガらしさ」といった本質的な価値を重視する一方で、クリエイターは新しいツールや国際展開に対して比較的柔軟で前向きな姿勢を示しています。革新そのものは受け入れられつつありますが、日本のマンガ文化が持つ独自性や職人性を尊重した形で進められるべきだという点では、読者とクリエイターの間に共通した認識があることがうかがえます。


調査方法

マンガ制作におけるAIの活用や西洋での実写化を、読者と制作者がどのように受け止めているのかを明らかにするため、2025年11月にセルフ型アンケートツール「Freeasy」を利用して2つの調査を実施しました。

1つ目の調査は、2025年11月4日に全国の15〜99歳の1,000名を対象に行われました。ここでは、AIによるマンガ制作や西洋での実写化に関する認知度、態度、視聴・読書行動など、一般読者の幅広い意識を把握しました。

続いて、11月13日〜15日に実施したフォローアップ調査では、初回調査から抽出したマンガ制作に関わる100名を対象に、制作ワークフロー、AIツールの利用状況、海外実写化への考え方、そして今後のマンガ制作に対する見方を詳しく尋ねました。

これら2つの調査により、一般読者と業界のクリエイターがAI、創作、文化的な翻案をどのように理解し、どこで意見が重なり、どこで違いが生じているのかが浮き彫りになりました。


関連記事一覧

日本で静かに進むAI革命、職場の意見は二分化?

若年層のマンガへの関心が低下傾向か?最新調査で判明、読書と創作の男女差も

【最新アンケート調査】日本のオフィスにおけるAI活用と文書管理・デジタル化の課題



引用・転載に関するお願い

調査結果や画像を引用・転載する場合は、以下の2点を厳守いただくようお願いいたします。

PDF Guruについて

PDF Guruは、PDFの編集と変換を簡素化し、これらの作業を誰でも簡単にアクセスできるようにすることを目的としています。このツールは、PDFの編集、結合、注釈、変換を行ったことがない初心者の方にも最適で、シームレスな体験のための直感的でユーザーフレンドリーなソリューションを提供します。頻繁にPDFを使用するプロフェッショナルなユーザーにも、迅速かつ正確で、信頼性の高い機能を備えたPDF Guruがおすすめです。使いやすさとパワフルな機能を組み合わせることで、PDF Guruはすべてのユーザーのニーズに応えます。

すべての画像


会社概要

LOPOFIST LIMITED

0フォロワー

RSS
URL
https://pdfguru.com
業種
情報通信
本社所在地
26 Stavrou Street, Strovolos 2034, Nicosia, Cyprus
電話番号
-
代表者名
Stamatis Skianis
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年03月