ワイズマートは「2025年度日本経営品質賞 大賞」を受賞しました。

スーパーマーケット業界から初めての受賞となりました。

株式会社ワイズマート

表彰式の画像は2022年度 日本経営品質賞推進賞を受賞した際の画像です。

日本経営品質賞

表彰理由

日本経営品質賞委員会よりご通知いただいた表彰理由はこちらからご覧いただけます。

ご挨拶 

株式会社ワイズマート 代表取締役社長 吉野 秀行


表彰理由

首都圏ベイエリアの駅前・駅近を中心に、売場面積が業界平均の約1/3の小型スーパー(39店舗)を展開。理念「お客様の身近な冷蔵庫代わりのお店でありたい」を追求し、小型店舗ながら店内加工の惣菜・生鮮品、産地直送品など、鮮度・品質の高い商品を提供。生活動線上の立地や夜間帯営業による利便性向上と価格に依存しない差別化を図ることで付加価値を高め、坪効率(㎡あたり年間売上高)は業界平均の2.5倍以上の高い収益力を実現している。駅前・駅近への展開を進める中、独自の店舗運営に磨きをかけて生産性を高め、収益を社員へ積極的に還元することで「物心両面の幸福」を実現しており、小売・サービス業における価値創造と持続可能な経営のモデル組織といえる。

【店主集団経営による独自の店舗運営】

同社は、顧客にとっての「身近な冷蔵庫代わり」として、鮮度・品質が高く、日常使いに十分な品揃えの商品を適正価格で提供している。売場面積が限られる小型店舗でこれを安定的に実現するには高度な運営力が求められるが、同社は独自の「店主集団経営」によって課題を克服してきた。

各店舗の部門ごとに配置された店主(部門責任者)は、仕入れ・値付け・見切り・売場づくりに加え、販売管理費やパート採用まで幅広い裁量を持ち、部門を“ミニ経営単位”として運営している。これにより、地域特性に応じた独自の品揃えや売場づくりが可能となり、「行けば必要なものが揃う」店舗を実現。さらに、スタッフ一人ひとりの経営者意識と創意工夫を引き出し、店舗全体の収益力向上にも大きく貢献している。

これらの運営は、長年活用されてきた自社開発の「Data Studio」をはじめとする情報管理・分析システムによって支えられている。全店舗・全部門の月次決算は社内WEBで公開され、誰もが比較・確認できる。商品別売上や客数をはじめ、現在は1時間単位で需要変化を即時把握できるようになった。これにより、製造量や補充、人員配置の即時見直しが可能となり、品揃えや販売計画の精度がさらに向上。鮮度維持と廃棄抑制を両立し、日常使いに最適な店舗運営を実現している。

【協働力と自律性を高めたチーム経営への進化】

この3年間で、同社は「チーム経営」へと大きく進化した。各店舗では毎日の「11時15時ミーティング」で計画や進捗、課題、対応策を話し合うことでスタッフの仮説検証力を高め店舗運営の質を向上させている。また、2019年に開始した作業改善活動を通じて店舗・部門間の格差解消を図るとともに、2023年からは日常業務での小さな気づきを重視する「パート社員プチ改善活動」も開始。品出しや陳列方法を工夫するなど、一人ひとりが「小さな経営者」として自律的に行動している。2022年導入のビジネスチャットツールにより、こうした取り組みは全社に共有され、他店舗への横展開も進んでいる。

パート社員を含む全社員の賞与明細には「フォア・ザ・チーム」の評価項目が設けられ、ハイブリッド型の狭小店舗では多能工化した店主が複数部門を担当するなど、協働体制が一段と強化されている。

加えて2023年5月以降は、グロサリー社員が自由に参加できる「試食・商談・買い付け商談会」を開始し、2025年5月までに25回開催。取引先も約150社に拡大。店舗スタッフは“あきんど”としての商才を磨いている。

こうした取り組みにより、商圏特性や顧客ニーズに応じた独自の店舗運営にさらに磨きがかかり、坪効率(㎡あたり年間売上高)は業界平均の2.5倍以上、人時売上高は業界平均の1.6倍に達している。

【新顧客層の発掘と狭小店舗フォーマットの確立】

同社では以前より、ポイントカードシステムやロイヤルカスタマーへのアンケート、店舗モニター制度を通じて顧客の声を収集し、売場づくりや改善活動に活用してきた。3年前の日本経営品質賞審査のフィードバックでは顧客情報の分析・活用について提言を受け、時間帯別の売上・客数データを詳細に分析した結果、「多頻度来店の都市生活者」という新たな顧客層が浮かび上がった。あわせて、①駅前立地へのシフト、②夜間帯の品揃えに対応可能な勤務シフト、③人手不足下でも夜間に商品供給できる体制、といった具体的な課題が明確となった。

これらの課題へ対応するため、同社は既存店舗を改修したプロセスセンターを活用し、店内加工とプロセスセンターによる加工・配送を組み合わせたハイブリッド型の実証実験を加速。2025年には都心狭小店舗の平井店(99坪)、豊洲店(100坪)を開店し、デベロッパーからの出店要請が相次ぐまでに注目を集めている。さらに、2027年にはプロセスセンターの本格稼働を予定しており、これにより商品欠品による機会ロスのさらなる削減と、約30%少ない人員での店舗運営が可能となり、狭小店舗フォーマットの競争力強化が期待される。

【従業員の「物心両面の幸福」を目指す温かみある経営】

従業員の「物心両面の幸福」の実現に向け、同社はワーク・ライフ・バランスを重視するとともに、納得感のある評価・処遇制度の整備や財形貯蓄の利子補給など、社員を大切にし、動機づける温かみある経営を進めている。社員の平均年収は業界の上場企業を上回る水準に達している。

また、「見てあげることが最高の教育」という考えのもと、経営幹部が高頻度で店舗を巡回し、従業員へ積極的に声をかけることで、信頼関係の構築と風通しの良い組織風土の醸成を図っている。

さらに、店舗間での社員のスキル・能力のばらつきをなくすため、店舗サポート部による指導巡回チームが、年2~3回「個人認定チェックリスト」をもとに作業状況を確認し、必須項目を含む80%をクリアした社員を認定する「個人認定制度」も開始した。これにより、店舗スタッフは自分が取り組むべき課題や行動の優先順位を明確に把握できるようになった。

こうした取り組みの結果、離職率は3.5% (3年前4.7%)と業界平均(10.7%)を大きく下回る水準を達成している。特に店長や店主などのマネジメント層は、「他社ではここまでの裁量はありえない」と語るほど高いやりがいを感じており、社員の定着率の高さにもつながっている。


<会社概要>

組織名   株式会社ワイズマート

所在地   千葉県浦安市 ※千葉、東京、神奈川に39店舗 

      ※店舗数は申請時の2025年2月期のものです。2025年12月時点では42店舗

業種    食品スーパーマーケット

設立    1969年

所在地   代表取締役社長 吉野 秀行

従業員   1,589名 ※8H換算

売上高   50,062百万円

経常利益  1,006百万円

労働生産性 6.4百万円

<組織・事業紹介>

当社は東京ベイエリアに39店舗(2025.2末時点)を展開する食品スーパーです。「お客様の身近な冷蔵庫がわりでありたい」を理念に掲げ、利便性の高い駅前・駅ナカに26店がありますが、売場面積は業界平均の1/3しかありません。首都圏有数の激戦区にあり、圧倒的に不利な環境の中、50周年の節目を迎えられたのは、社員1人1人の創意工夫と努力に他なりません。

ありたい姿の1つに「コンパクトストアに磨きをかけ、お客様をファンにしたい」があります。生鮮惣菜の強化に努め、その構成比は業界平均を上回る55.7%。坪効率のアップに寄与しています。

経営者感覚を持った社員によるチーム経営が特徴で、店内6部門に独立したPLが算出。自社開発のアプリから、全社員が自店他店のチーム損益を閲覧可能です。各部門の責任者が「小さな経営者」として裁量を持って運営することから「店主集団経営」と称しております。

【経営品質向上活動への取り組み】

今から24年前の2001年。日本IBMさんの勉強会で「日本経営品質賞」と出会いました。その年の6月に社名を変更し、10月に上場も控えていましたが、財務体質は脆弱で、人員も不安定。9.11のNYテロを理由に上場を延期しました。ここから経営品質賞のフレームワークを意識した経営に舵を切りました。90億円の有利子負債を減らし、離職率を下げる。「大きな会社より、強い会社。かっこいい会社より、あったかい会社」を目指さなければ悪循環から抜け出せない、そう悟ったのです。

売上を追うより、不採算店は閉じて社員の休みを確保する。どうしたら社員が主体的に考え、働けるのか。従業員と寄り添いながら築いた「見てあげることは最高の教育」。独自の評価制度とフィードバックの仕組みはビジネスモデル特許となりました。気が付けば、主体性を持った社員が「小さな経営者」として育ち、駅ビルやデベロッパー様から狭小スペースへの出店要請を受けるまでになりました。2027年には生鮮惣菜PCの稼働を予定しており、都心23区内狭小スペースへの出店を展望しております。今後も競争が緩むことはないでしょう。時に利益成長が出来ずとも、「社員の物心両面の幸福実現を目指し、小さな経営者が自然と育つ場でありたい」の実現を目指して参ります。経営品質の向上活動に終わりはありません。志を同じくする皆様と私たちの経験を分かち合い、共に高め合えることを願ってやみません。

ワイズマートの経営品質活動の歩み

  年代

               出来事

1975 年 3 月

創業者吉野喜信が、ゼロからの挑戦で浦安駅南口にスーパーマーケット 1 号店「主婦の店」開業。 1989 年までの 14 年間に 13 店舗(自社物件 8 店)借入で店舗網構築。

1989 年 10 月

現社長(当時 25 歳)が吉野物産株式会社入社当時 13 店舗。売上 50 億円。改革着手。 1990 年~全社員参加の決算発表会議を開催(四半期ごと)⇒順次、予算報奨制度開始。

1993 年 2 月

テナント運営だった生鮮 3 品を 2 月から順次直営化。12 月までの 10 ケ月間で全 11 店舗完了。修羅 場の 1 年間をくぐり抜けたスタッフが現幹部社員。第 2 創業期。

1994 年 8 月

6 年ぶりに新規出店再開。酒類免許積極取得。1995 年新卒採用開始。全社員面談開始。 貯蓄残高の 1%を利子補給する財形貯蓄制度開始。

1998 年 7 月

ポイントカードシステム導入。リライトカードから 2006 年に非接触 IC カードへ。

2001 年 6 月

ワイズマートへ社名変更・2 代目社長就任。ジャスダック上場を直前中止。 日本経営品質賞との出会い。上場会社を意識した内部統制システム・月次決算差異分析・詳細な決算 説明資料の開示スタート。同時に「強い会社」づくりを意識して財務体質の改善に着手

2005 年 3 月

JR 西船橋の駅ビルに初出店。以来市川駅、船橋駅、などに出店。

2007 年 5 月

葛西駅前の店舗を 24 時間営業へ(外部委託方式)。以降順次 24 時間化。

2011 年 3 月

東日本大震災。浦安市内の店舗が液状化で被災。翌年から反動減でディスカウント業態・スーパー朝 市開始。ツノ作り。

2016 年 5 月

労働組合設立。働き方改革・長時間労働是正。年間休日 120 日を実現。

2019 年 3 月

作業改善活動スタート。「店主集団経営」から「チーム経営」への移行を目指す。

2020 年 2 月

新型コロナウィルス発生。在宅需要内食特需。評価制度抜本的改革。1 人 1 人に賞与支給明細書を 配布し、評価のフィードバックを開始。(2020 年 6 月スタート時は正社員のみ 499 名⇒2025 年 12 月 はパート・アルバイト社員を含む 2332 名に明細書配布)

2022 年 8 月

2001 年有利子負債 90 億⇒無借金へ。日本経営品質賞申請。2022 年度推進賞を受賞。 34 ページに及ぶ評価レポートを受領。改善に向けた変革活動を加速させる。様々な企業様との交流 を通して、経営品質の向上を図る。

2023 年 11 月 以降

三井不動産様が手掛ける「ららテラス TOKYO-BAY」へ出店。24 年 5 月には三菱地所様の高級賃貸 レジデンスの 1 階へ。25 年 3 月には野村不動産様のタワーマンション 1 階へ。7 月には三菱地所様 の手掛ける豊洲セイルパークへの出店要請を受けて出店。

2025 年 3 月

創業 50 周年。ファンブック・社歌・キャラクター誕生。

2025 年 6月

官民連携食育プラットホーム 発起人企業として参画。

2025 年 10 月 12月

2027 年 2 月に本格稼働を目指すプロセスセンターが経済産業省の「成長戦略投資事業」に採択され る。21 年 12 月に特許申請した評価制度・賞与支給明細書のフィードバックのプログラムがビジネス モデル特許を取得。日本経営品質賞大賞を受賞(スーパーマーケット業界初の受賞。


日本経営品質賞とは

日本経営品質賞は、わが国の企業・組織への経営品質向上の考え方と活動を普及・推進するために 1995 年に創設されました。

創設の中心となったのは、1990 年代から「顧客満足」に関する研究・実践を進めていた大手企業を中心とする有志企業 20 社と、( 財 ) 社会経済生産性本部(現 : 公益財団法人日本生産性本部)です。日本経営品質賞は、米国企業の競争力復活の原動力のひとつとなった「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB 賞)」の考え方を範として取り入れています。

以来、25 年にわたり、変革のモデルとするにふさわしい組織を表彰してきました。

日本経営品質賞の審査は、顧客価値経営の普及と変革の支援を使命とし、審査員育成研修での研鑽と選抜を受けた審査員によって行われます。審査員はいずれも経営の各分野で専門的な経験を積んだ実務家であり、申請組織ごとに 3~4名の審査員による審査チームを編成します。審査では、経験の異なる実務家の多様な意見の交換、話し合いを通じて、申請組織の顧客価値経営の実現に向けた変革に役立つ評価レポートの作成を行います。

審査チームの審査、判定委員会、日本経営品質賞委員会を経て、その年の受賞組織が決定します。一定基準以上の評価に加え、顧客価値経営を目指す他の組織に対する範としてふさわしく、良質のモデルケースとして認められることが受賞の条件となります。

詳しくは経営品質協議会HPをご覧ください。

https://www.jqac.com/jqaward


ワイズマートの経営品質活動について

経営品質チームの組成

日本生産性本部・経営品質協議会が主催する「アセスメントコース」※(6日間)を受講し、セルフアセッサーの資格認定を受けた11名が中心となって、経営品質チームを組成しています。

2025年度の申請書も11名のスタッフで書き上げました。

社内セルフアセッサーミーティングの様子
ワイズマートセルフアセッサーチーム

四半期に一度、「経営品質の振り返り」を行い、着手できていない課題や、変革課題としてあげたものの目詰まりを起こしている事象について、討議を行います。

経営品質のフレームワークは、経営全体を俯瞰し、組織能力を向上していく上での指針となる考え方です。社長はじめ、幹部社員だけではなく、20代から60代の社員、管理本部だけではなく店舗サポート部門・顧客販促チーム・商品部(バイヤー)・店長と、幅広い世代・部門もから組成されています。

今後も「顧客価値経営 実践推進者コース」の受講者(セルフアセッサー)の数を増やし、

「自社の経営のあり方」を客観視でき、自ら変革目標を設定し実践できる人材の育成を進めて参ります。

実践推進者コースの特徴・メリット

※2025 年から「顧客価値経営 実践推進者コース」と名称が変わっています。

(下部より詳細をご覧いただけます。)

01. 22万人以上が受講した経営人材養成プログラムをリニューアル

1994 年の開講以来のべ 22 万人以上が受講した経営人材養成プログラム「アセスメントコース」を、新たに発行した「顧客価値経営ガイドライン」に準拠し、変革の実践をより重視したプログラムとしてリ ニューアルしました。

02.  顧客価値経営に向けた変革が加速

顧客価値経営実現のための思考と実践のフレームワークの学習を通じて、「基本構想力」や「課題設定力」、「経営を俯瞰的に捉える視点」など、変革の推進・実践において求められる能力を習得します。変革を 推進・実践できる人材の養成により、組織の変革を加速させることが期待できます。

03. 双方向の対話や交流によって気づき・学びが深まる 双方向の対話や交流によって気づき・学びが深まる

顧客価値経営ガイドラインをはじめとする教材による学習の他、プログラムの大半を占めるディスカッショ ンやグループ演習を通じて気づきや学びを深めます。組織の変革を担う異業種の参加者同士による創造 的対話や交流を通じて、経営や変革の実践・推進を担う人材としてのマインドセットを行います。

04.  フォローアッププログラムが充実

コース修了者は、「セルフアセッサー」として認定された後も、ステップアッププログラムの「深掘りコー ス」や更新研修など、さらなる能力開発のためのプログラムや交流の機会をご用意しています。また、 日本経営品質賞などの第三者評価の審査員としての活躍の道も開かれています。現在、約 3,000 名が認 定セルフアセッサーとして登録され、各界で活躍しています。

【お問い合わせ先】

株式会社ワイズマート 日本経営品質賞お問い合わせ窓口

〒279-0001 千葉県浦安市当代島1-2-25

E-mail:jqa2025@ysmart.co.jp

企業HP:https://www.ysmart.co.jp

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会社概要

株式会社ワイズマート

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URL
https://www.ysmart.co.jp/
業種
商業(卸売業、小売業)
本社所在地
千葉県浦安市当代島 1-2-25 株式会社ワイズマート事業本部
電話番号
047-352-0111
代表者名
吉野秀行
上場
未上場
資本金
5000万円
設立
1969年05月