「キノコもカビも頭がいい」ということがわかってきた。
変幻自在かつ奇妙な姿のキノコが注目されています。ウスキキヌガサタケも美しいキノコの一つ。そのドレスのような菌網を伸ばす姿が魅力的です。(しかし先端部分から、強烈なにおいを発します・・・)。
キノコは、カビや納豆菌、病原菌などと同じく菌類に含まれ、その中の「真菌」に分類されます。これら菌類の生態は、非常にユニークなのにも関わらず、一般にはほとんど知られてきませんでした。
菌類は、わたしたち人間と同様、自分で養分を作り出すことができません。人間も菌類も、栄養をほかの生物に頼って生きる「はなかい生物」なのです。
ところが、他の生物から養分を得る菌類の戦略はまさに知性的。
本物の花そっくりに化け、アリの身体を乗っ取って操り、罠を使って狩りをする・・・
こんなことができるキノコとカビ(真菌)があるのです。
しかもこれは、さまざまな菌の中のごく一部。
『奇妙な菌類~ミクロ世界の生存戦略』から少しだけ紹介すると・・・
・ある地衣類は、10日間の宇宙空間にさらされても生き残った
・植物は、土中の菌根菌を通してコミュニケーションしている
(害虫に襲われたとき、その情報を伝達して防御物質を放出するなど)
・航空機の燃料タンクにジェット燃料を糧としているカビがいた
(燃料タンクに小さな穴が開いたことから判明)
・プラスチックを食べる菌がいる
・進化的にみると、菌類は植物よりもずっとわれわれ人間を含む動物に近い
・菌類の祖先も、他の動植物と同様、水中で生活する単細胞生物が祖先だと考えられている
・高級食材のトリュフは地下に潜ったキノコ=地下生菌である
本書ではデザイン的に非常に奇妙で面白いキノコなどをカラー写真で紹介するほか、したたかな社会生活をはじめ、生態系を支える驚異の能力まで、ベールに包まれていた菌類たちの世界を、気鋭の研究者が案内します。
【目次】
第1章 菌類の奇妙で面白い世界
第2章 菌類のしたたかな社会生活
第3章 変幻自在の巧みなサバイバル術
第4章 生態系を支える驚異の能力
第5章 人類にとって菌類とは何か
「本書ではスター性のある菌類を紹介することで、世間一般に抱かれているマイナスイメージを払拭したい。スター性のある菌類とは、とりわけ物珍しい形や面白い生態を持つ菌類のことである・・・菌類の圧倒的な多様性と変幻自在の生き様を見ながら、一緒に思いを巡らせていければと思う」(「まえがき」から)
奇妙な菌類~ミクロ世界の生存戦略(NHK出版新書484)
白水 貴(しろうず・たかし)著
発売 2016年4月11日
定価 780円+税
仕様 新書判224ページ
ISBN 978-4-14-088484-3
白水 貴(しろうず・たかし)
1981年、和歌山県生まれ。2008年、筑波大学大学院生命環境科学研究科博士課程修了。博士(理学)。国立科学博物館・日本学術振興会特別研究員PD。珍奇な菌類の日本一を決める「日本珍菌賞」主催。共著『日本のきのこ』(山と渓谷社)、『微生物の生態学』(共立出版)ほか。
株式会社NHK出版
〒150-8081 東京都渋谷区宇田川町41-1
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