登壇者から事例を学ぶ、 離職率の低下・採用力の向上につながる働き方改革特別フォーラム「進めよう!中小企業の『働き方改革』~実例から学ぶ<成功の秘訣>とは?~
《イベントレポート in 大阪》
厚生労働省は、『進めよう!中小企業の「働き方改革」 ~実例から学ぶ<成功の秘訣>とは?~』と題し、2019年9月12日(木)に中小企業の経営者・人事総務担当者に向けた特別フォーラムをグランフロント大阪(北館4F ナレッジシアター)にて開催いたしました。
- 基調講演「働きがいを高める組織風土改革」について
100人いれば、100人通りの人事制度、様々な働き方を実現するツールの活用
働き方改革の理想とは何であるのか?自由な働き方なのか、様々な人の考え方や望むことがありそれに合わせ100人いれば、100通りの人事制度があってよいというテーマで「選択型人事制度」や「自分休暇制度」など様々なユニークな制度事例を紹介いただきました。働き方の多様性へのチャレンジをすることにより、働き方改革の本当の意味をお話いただきました。
働き方多様化への12のチャレンジ
働き方を変えるための『12のチャレンジ』を紹介いただきました。
まず、「働き方の選択」としていかに残業をなくすか、短時間勤務を目指すかといった視点で“働き方宣言アプリ”なる自身の勤務時間を社員に対して宣言することで自分なりの働き方を確立できるとコメント。また、「都合に合わせて場所と時間帯を選べるウルトラワーク」として“リアルオフィス(物理出社)”と“バーチャルオフィス(論理出社)”という概念でどちらでも出勤できるツール整備について語り、先日の台風の出勤困難な状況に陥ってもチーム連携に寄与したことなど、独自のチャレンジ内容を語りました。
最後に、企業理念としてチームワークの溢れる「社会」を創るために玉田氏は「一つひとつの課題に対して、効果が出ているかすぐにわからなくても対策を続けていくことが大事です」と会場に訴えかけました。
- 企業プレゼンテーション①(株式会社パワーネット 代表取締役社長 谷渕 陽子氏)
企業プレゼンテーションでは株式会社パワーネット 代表取締役社長の谷渕陽子(たにぶち ようこ)氏が登壇。
谷渕氏は初めに、自社で行っている事業に関しての説明をしていただきました。働き方改革を行う上で谷渕氏は「業務を細分化し、チームで対応し仕事を分け合うことや引き継ぎを行うようにしました。その結果、働ける時間内で働くことや安心して休むことができ、定時で帰ることができる環境になりました」と仕事と家庭を両立させなければならない女性が多い会社目線での働き方改革について語りました。
また、「仕事を共有することにより、チームのメンバーが何の業務を行っているのかが分かるようになり、自分の仕事がみんなに伝わりチームのメンバー同士での助け合いが増え、効率が上がる」と説明しました。
谷渕氏は働き方改革の活動として「マニュアルの最新化、ファイルの見える化、仕事の優先順位を定めるタイムマネジメント、それぞれ3つの環境整備を行いました。それらの結果、残業時間が減少しほぼゼロに。それに対し業績が上昇しました」とグラフをもとに説明しました。
最後に、谷渕氏は一人ひとりが輝くことが、みんなの輝きにつながるとお話しいただきました。
- 企業プレゼンテーション②(ウノプリールグループUPライフ株式会社 豊島 あすか氏)
続いて、ウノプリールグループUPライフ株式会社 スマートカラーkirei事業部統括マネージャー 営業部長である、豊島 あすか(とよしま あすか)氏が登壇。
まず、豊島氏は自身が事業部統括マネージャーとしてヘアサロン業界について「美容師は長時間労働が多く、休みがない上に有給が取りづらく、残業代が少ない、復職率も低いなどの状況にあります」と語り、ヘアサロン業界がブラックと言われる理由についてお話しいただきました。そのうえでなぜそのような事態に陥るのかという理由について豊島氏は「理由は3つ。ブラックという印象から美容師を目指す若者が減ってきている点、一度美容師を離れた方がもう一度美容師として働く復職率が低い点、サロンの数が増えている点があります」とコメントしました。
スマートカラーkireiではこのような問題から豊島氏はヘアサロン業界改革のカギは「休眠美容師」の活用にあると話し、「休眠美容師」とは何かをご説明いただきました。また、この「休眠美容師」を活かすために豊島氏は「自分が働きやすいかを軸に制度を考えました。例えば、技術を比較的身に付けやすいカラー専門店にし、子供を持つ方のために急な欠勤でもサポートできる体制を整え、勤務中の中抜け制度を設け、雇用に年齢制限を設けずシニアの方を迎え入れました」と働く方のニーズに合わせたシステムについて説明いたしました。
そして、「休眠美容師」を扱うことにより、スマートサロンkireiは大きく業績を伸ばすことができるようになったと豊島氏は話しました。さらにお店側の反応とお客さんの反応を並べ、スマートサロンkireiが異例のスピードで多店舗展開することができた理由をお話しいただきました。
- パネルディスカッション「『働き方改革』中小企業における課題とソリューション」
働き方改革を進めるにあたっての課題と解決方法
谷渕氏は「制度導入当初は、“マニュアルを見ない”や“ファイルを元に戻さない”といった行動が見られたが、年間計画に落とし込んだり、月に一回のチーム長会議を徹底したことに加え、それが自分のためになるということを繰り返し説き続けることで従業員が”自分事化”した時から改革が加速的に進みました」と直面した課題、課題への向き合い方を語っていただきました。
南氏は、「製造業で製造部門の一部の労働者が突出した残業時間を抱えている問題に対して、他社員と技術の共有と人材育成の強化・マニュアル化を進めたことで、従業員同士のコミュニケーションの活性化や評価制度の具体化、時間外労働時間数の減少につながった」と実際の事例を紹介しました。
働き方改革による効果と、会社経営への活かし方
南氏は「中小企業は大企業と比べ検討から実施までが早く、効果も比較的すぐに表れるためぜひ取り組んでほしい。また、改善改革は時代の流れとともに変わるため、だからこそ専門家に頼っていただきたい」と中小企業・小規模事業者ならではの働き方改革を推奨しました。
谷渕氏は働き方改革による効果について「みんなが”自分事化”することで一致団結し、モチベーションを高めることにつながっています。」とコメント。一方、伊勢地氏は「新たな雇用の創出と離職率の低下の面で効果が出ており、さらに仕組みを作りをするにあたり一人ひとりに向き合うべく面談を重ねることで、その人の人生を知り、夢を知ることで会社から働き方を提案し、夢を応援することにもつながっている。」と語っていただきました。
最後に、豊田氏から「中小企業でも事例はたくさんあります。まずは事例を知ることから始める。そして今回プレゼンいただいたどの企業にも通じますが、制度設計をするのではなく、従業員一人一人に向き合う。その結果が改革につながっていく。そして実施しようとするとHowから入りがちだが、それでは中身がなくなってしまう。”なぜ”改革をするのか、”何”を目的に改革するのかというWhyとWhatを考えて実施していただきたい。」と本会の総括として締めくくりました。
- 実施概要
主 催:厚生労働省
日 時:2019年9月12日(木) 14:00~16:00
会 場:グランフロント大阪(北館4F ナレッジシアター)
※左から「開会挨拶:大阪労働局 局長 井上 真氏」「パネルディスカッションにて語る伊勢地 亮氏」
「パネルディスカッションにて語る谷渕 陽子氏」「大阪働き方改革推進支援・賃金相談センターによる相談ブース」
- ゲストプロフィール
サイボウズ株式会社
関西営業・マーケティング統括 玉田 一己 氏
兵庫県出身。神戸大学工学部卒業。大手電機メーカーグループでM2M事業を経験した後、2006年よりサイボウズに入社。2年間の東京勤務の後、大阪オフィスに異動し、コラボレーションツールのチャネルセールス・ダイレクトセールス・マーケティングに従事。グループ会社でのクラウド事業やシステムインテグレーション事業の立ち上げを経て、現在はサイボウズ大阪オフィスで関西営業・マーケティングを統括。
<企業プレゼンテーション>
株式会社パワーネット
代表取締役 谷渕 陽子氏
産業能率大学情報マネジメント学部現代マネジメント学科卒業。マネジメント学士。人材派遣業。会社経営19年、人財事業の組織を作って17年、子育て社員をリーダーに育成しチームを結成。ワーク・ライフ・バランス推進企業として2013年、2014年に香川県より表彰。2015年、経済産業省より「がんばる中小企業300社」に選定。
株式会社ウノプリール
代表取締役社長兼グループCEO 伊勢地 亮
高津理容美容専門学校卒業後(1999年)、東大阪市の美容室に就職、1年後に退職。フリーター半年間を経て22歳で東大阪市の別の美容室に就職(2001年)。24歳でスタイリストデビューし、26歳で店長に就任(2005年)、その後、30歳で株式会社ウノプリールを創業。
ウノプリールグループ UPライフ株式会社
スマートカラー Kirei 事業部マネージャー 豊島 あすか氏
鳥取県出身。2006年に専門学校を卒業しウノプリール1号店に入社。2008年に結婚のためウノプリールを退社。その後、2012年に同社に復帰し、京橋店でスパニストとして勤務。エステ部門エステ事業部マネージャー、人事部長を経て、2018年に「スマートカラー Kirei 米子店」をオープン。スマートカラー Kirei 事業部マネージャーに就任。
<モデレーター>
「月刊総務」
編集長 豊田 健一氏
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社。現在、株式会社月刊総務 取締役、『月刊総務』編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
<パネリスト>
大阪働き方改革推進支援・賃金相談センター
センター長 南 龍男氏
1970年パナソニックの貿易部門に入社。社会保険労務士資格を取得し主として人事労務関係部門に長年勤務。2001年から医療法人の病院経営・在宅事業経営、モノづくり企業での人事業務等を経験。2019年4月より厚生労働省 大阪労働局が委託する「中小企業・小規模事業者に対する働き方改革推進支援事業」の大阪働き方改革推進支援・賃金相談センター長に従事。センター長として、日々、商工団体等へ出向きセンターの支援内容の周知や各種団体等からのセミナー依頼に対する専門家派遣の調整等を行っている。
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