全国の地方新聞社13社が参加、ビジネス持続化のため地方新聞社間の連携強化「Build New Local 2023 with Google News Initiative」3か年の実装化状況を発表
Google News Initiativeのサポートの下、4案の事業を実装化支援。2023年12月12日(水)受賞報告会を開催。
「Build New Local プロジェクト」とは、全国の地方新聞社がGNIの協力の下、「情報」を含む様々なインフラのデジタル変革により、アフターコロナ時代における地方の人々がより豊かで幸せに暮らせる地域社会(New Local)の構築を目指すことを目的に、2021年から展開しているプロジェクトです。3年目を迎え、会社の垣根を超えて地方新聞社同士のナレッジ共有や相談の風土が築かれてきているともに、実装化されたビジネスの実績も積み上がりつつあります。
今年は「Build New Localを実現し、地方新聞社による地域社会の未来を築く、デジタルを活用したビジネスプラン」を地方新聞社より募集し、応募総数13社14案の中からビジネスプランコンテストを経て福島民報社・上毛新聞社・下野新聞社・茨城新聞社・京都新聞・長崎新聞社の計6社4案の実装支援を決定いたしました。7月より、GNIと中長期的なパートナーシップを結びながら実装化に向けて動いています。
本プロジェクトは来年度も継続して開催し、地方紙業界のDXを通じて、産官民学の垣根を超えた新たな地域社会(New Local)の構築、並びに、地方新聞社の持続可能な成長に向けたビジネス基盤の構築を目指して参ります。
1.「Build New Local 2023 with Google News Initiative」について
<今年度の変更点とその影響>
「ビジネスプラン開発」から「ビジネスプランを実装化し成果を出すこと」へ目的を進化させました。成果として、新しいビジネスプランを生むこと及びDXによって既存ビジネスのスキームが改善されること、また、それらの成果及びナレッジが自社のみならず他社への拡大も期待できることを目指し、プログラムにおいて下記点を変更いたしました。
新規/既存事業を問わない
エントリー体制は個社/複数社を問わない
支援対象案決定の時期を大幅に早める(12月→7月)
評価ポイント及び提出資料も成果を見込めることを重視
支援対象案に対する伴走に集中
その結果、初めての試みとして上毛新聞社・下野新聞社・茨城新聞社が会社の垣根を超えて北関東連合チームとして参加するという自発的な連携が見られました。さらに、今年度の受賞新聞社はすでにビジネスのテストアップを予定し、実装化に一早く近付いています。
<今年度の受賞ビジネスについて>
選ばれた4案の概要、現在の進捗および今後の予定は以下の通りです。
福島民報社「福島副業人材活用プロジェクト『ふくマッチ』」
福島県内の企業とプロ人材とのマッチングサービスを展開し、企業の経営課題解決を図ります。福島民報社は、事務局としてWEBサイトの運営管理やサービスの周知広報、セミナー開催、事業者サポートなどを行います。「地域づくり会社」を掲げる弊社の新たな取り組みによって、県内企業の成長を後押しし、地域経済の活性化に寄与したいと考えています。
県内企業等へのヒアリングを踏まえて、サービス詳細や運営体制を構築しました。WEBサイト制作やプロモーション戦略検討を進め、2024年春のサービス開始を予定しています。
茨城新聞社・下野新聞社・上毛新聞社「北関東県境をターゲットとした情報サイト『とりぷれ』の構築」
上毛新聞社、下野新聞社、茨城新聞社が共同で、北関東3県(群馬、栃木、茨城)の県境エリアを対象とした新たな複合メディアによる情報発信サービス「とりぷれ」を立ち上げます。具体的な事業としては①県境をまたいだポータルサイトの提供②自治体や企業への各種ソリューション提供③利用状況、アクセス情報などの分析結果を基にしたコンサルティング-となります。
3社で作業分担を行いつつ、現在はサイト構築とコンテンツの準備を進めています。サイトのリリースは2024年1月末を予定しています。
京都新聞「首都圏での京ものプロモーション 暮らしに京の美術・工芸品を」
首都圏の市場としてタワーマンション住人に焦点を当て、京都で活躍する工芸作家の作品をマンション共用部を利用して展示・販売する事業。伝統的な表現と革新的な技法をあわせ持つ作家らが直接対面で作品を紹介することで、住人に向けて、京の美術・工芸品のある豊かな生活を提案する。首都圏の消費者と京都の工芸作家のマッチングを地元新聞社が担う。
第1回のイベントを東京都中央区のタワーマンションで2024年2月に実施予定。京都の工芸作家6名が参加して、多分野の工芸作品の紹介・販売を行う。
長崎新聞「長崎ルポルタージュα」
長崎新聞社は大手旅行会社と連携し、修学旅行の探究学習の成果を新聞にまとめる事業を2019年度から実施しています。事業拡大に向けて今回、素材(記事と写真)を入力するウエブシステムを開発します。システム導入によって、学校側と当社担当者の負担軽減を図り、実施校増加に向けた態勢づくりにつながると考えています。
2024年4月からの導入を目指し、システムの開発業者と協議を重ねており、要件定義が整った段階です。合わせて旅行会社には実施校増加の働きかけを進めています。今後とも本業のインフラとノウハウを活用しながら、観光活性化や学生の深い学びに寄与してまいります。
<実施内容とスケジュール>
①BNL事業概要説明会
実施時期:2023年4月24日
内容 :2023年度の概要説明を実施し、ビジネスプランの応募を開始。
希望者には個別面談も実施。
参加社数:45社 152名
②ビジネスプランコンテスト
実施時期:2023年4月25日~7月31日
内容 :各地方新聞社が磨いたビジネスプランを審査し、実装化を支援する案を決定。
参加社数:13社
③BNL FORUM
実施時期:2023年8月28日
内容 :今年度受賞新聞社がビジネスプランを発表。
また、2022年度受賞新聞社の新規事業実装化の進捗について共有する。
参加社数:17社51名
④ビジネスプラン支援・実装期間
実施時期:2023年8月~12月
内容 :受賞新聞社に対して、メンタリング、スタートアップやキーパーソン紹介、
モック開発等の伴走型支援を実施。
プロジェクトに関する詳細は、下記サイトでご確認いただけます。
Build New LocalプロジェクトHP:https://bnl.jp/
2.2021年度・2022年度受賞新聞社の実装化状況発表
実装化支援を継続的に行い、地方新聞社間での進捗共有も実施しています。地域貢献や収益などの実績を積み上げる新聞社も現れています。
各年度の受賞ビジネス詳細は、下記リリースをご確認ください。
2021年度:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000077667.html
2022年度:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000077667.html
<2021年度受賞新聞社>
埼玉新聞社「自分デザイン 人、育つ、埼玉。自ら未来を創る、心豊かな人を、埼玉から」
子どもたちの地域社会との結びつきを取り戻し、心の成長を促すことを目的に体験型学習のプログラムを展開する教室を開校。
2022 年 10 月に社内会議で正式承認され、2023 年 4 月からの本格始動が開始。2023 年 8 月時点の会員登録者数は約 700 名、延べ 50 回の体験学習教室を実施した。
一般財団法人「埼玉・地域つなぐ財団」を10月下旬に設立。「成長支援」「活動支援」「新聞配布」「地域活性」を軸とし、体験教室にまつわる埼玉の情報発信する「KIDS埼玉新聞」の発行や、子どもの第 3の居場所としてのフリースクールや NPO等への支援も検討する予定だ。
紀伊民報「GIGAスクール・地域学習・探求学習を対象としたデジタル教材と情報共有ツール」
「GIGAスクール構想」下での高校指導要領の改訂に伴う探求学習の強化に対し、紀伊民報が持つリソースを学習教材として提供し、高等学校へのサポート体制を構築する。
和歌山県情報化推進協議会( WIDA )と共催、ベネッセと協力し、高校教諭を対象に探究学習について理解を深めてもらうことを目的とした地域学習セミナー「公開データを活用した地域連携のあり方を考える」を開催した。
今後は地域学習や探究学習などの成果を公開するウェブサイト「みんなの学習ひろば」を活用。将来の読者である子どもたちが自ら設定した課題やその解消に必要な情報が見えるサイトに育てるため、他地方紙との連携を目指す。
神戸新聞社「~生産者と消費者をつなぐ物流に付加価値を~ 地域物流で地域活性化プロジェクト ひょうごとれたてフレッシュ便」
農産物の無駄を減らし地元の生産者を支援するために、新聞配達網を活用した新たな物流システムを構築している。
2023 年 2 月に実施した事業の PoC の実績と併せ経済産業省と神戸市に事業申請を行い採択された他、オープンイノベーションプログラム「 Flag 」にて最優秀賞を獲得した。
また、コロナや物価高騰により困窮する子育て世帯に向け、神戸市内 9 区 12 箇所の食支援団体へ寄付食品を毎週配送している。常温の食品を中心に一部トイレットペーパーなどの日用品も保管・配送する取り組みを始めた他、「食の魅力を届ける」に共感頂いたスタートアップ企業と教育事業の展開を検討している。
<2022年度受賞新聞社>
デーリー東北新聞社「災害に備える備蓄食の定額配送サービス」
自宅の防災グッズ、備蓄食の消費期限切れや意識の薄れなどを解消すべく、初月に防災グッズと備蓄食、その後 3ヶ月ごとに入れ替え用の備蓄食を配送する「備蓄食の定額配送サービス」を展開。
防災意識が高まる東日本大震災発生日( 3月11日 )に合わせ、地元スーパーの一部店舗にてアンケートを実施。回答結果を踏まえ料金プランや事業全体の建付けを構築。防災グッズや備蓄食の提携パートナーを決定した。
現在実施エリアの各新聞販売店から配送業務協力可否の回答待ち。ほか備蓄食を活用したアレンジレシピを提供頂ける地元企業と契約予定。
岩手日報社「Google マップでDX、新聞販売店の地域活動とビジネスを10年飛躍」
新聞販売店の顧客情報・知識・経験を、Googleマップ連動アプリに集約。配達順路を確認できるほか、配達状況をプログラムで認識しプッシュ(音)で未配達を知らせる仕組み。また、営業ツールとしても活用できるほか、不審時に家族へ知らせる見守り機能も搭載。2023年12月現在、複数の販売店でベータ版アプリの運用テストを行っており、バグ修正や精度を高め、2024年春に正式リリース予定。県内にとどまらず、全国へ広めるための宣伝活用等も実施していく。
静岡新聞社「性差によって生じる働くハンデ、特に生理の悩みを軽減させるサービス『つきのかたち』」
性差によって生じる働くハンデ(特に女性の「生理」に対する悩み)を軽減させるために福利厚生サービス「つきのかたち」を開発。ヘルスリテラシーの低い女性層にも安心して医療的ケアを受けることができるよう、障害を取り除くサービスを構築する。
2022 年 4 月に新規事業開発に特化した会社「 FUJIYAMA BRIDGE LAB 」を立ち上げ。プロトタイプの作成に向けフェムテック業界のリサーチやステークホルダーへのアプローチ、知識向上のための勉強(資格取得・協会への参画・イベント参加など)などを積極的に行っている。
信濃毎日新聞社「実家あんしん見守りサービス」
空き家率が全国上位の長野県において、空き家(実家)を「地域の資源」と捉え、空き家所有者の負担軽減と空き家活用による地域創生の両立を目指して、ソリューションを提供し行政とともに課題解決を探る。
自治体等が空き家の資産価値を維持した早期の流通促進を目指し、所有者に「マインドチェンジ」を求めている現状と移住希望者に良質な物件提供が行えていない状況の解決に向け、空き家掘り起こし、顕在・潜在するエリア内の空き家の把握、意思決定に向けた情報発信などの施策実施により、来年度以降の自治体からの関連案件獲得を目指す。
中日新聞社「中部留学生PRプロジェクト~多言語対応PR動画制作~」
日本の大学で学ぶ留学生と共に「 PR 動画を制作し外販する」ビジネスを構築。
2023 年 5 月より、名古屋外国語大学と名城大学の学生と共に実証実験として〈日本の魅力を PR する〉動画の制作を開始。「外国人留学生が鉄道で行く 名古屋 岡崎 浜松の旅」は学生自ら翻訳した、英語/フランス語/イタリア語の各字幕版にて2023 年 9 月に公開。2 本目の「外国人留学生が車で行く 知多半島の旅」も同様に学生自身が翻訳した、英語/中国語(繁体字)/ウズベク語の 各字幕版 にて 2023 年 10 月に公開した。
中日新聞WEB内に特設ページを展開し、日本人向けのPRも行っている。今後、この実証実験の結果を踏まえ、各方面への提案、営業を進める予定だ。
中国新聞社「よろずやIppin帖(デジタルデバイドの壁を越えて)」
生産規模が小さく広告宣伝、販路開拓、物流に課題を抱える地元生産者に対し、物流から販売、集金までを一括で行うサービスを提供する。商材の内容や数に応じて、販売を行う販売所の数を調整することで、生産者は指定された場所に一括納入するだけで入金され、生産活動に専念することができる。
2023 年 8 月にサービスをローンチ。2回の折り込み配布を実施し読者への認知向上を図った。今後もサイトの拡充に向け、登録者の増強と魅力的な商品の発掘に力を入れていく。
山陰中央新報社「誰もが好きな場所で安心して暮らせ、地域が元気になるサービスwithTouchCare」
急増する独居高齢者を置き去りにしないために、地域情報、デジタルと介護事業の知見を活かし、高齢者が日常的に外部と繋がり、安心で健康的な生活を送ることができる IT ツール「タッチケア」を提供する。
スタッフの自宅等に設置し動作確認を実施するほか、介護事業者にも協力をいただき、設置を行っている。「見守り」ではなく、「健康増進」を目的に設置を勧めることで、対象の独居者が元気である場合の「見守り」サービスへの抵抗感を削減させていく。
今後は、サービスの UI の変更や独居世帯を抱える市町村との連携を検討していく。
西日本新聞社「ジビエと共に生きる-Build New Table-」
ジビエに対するネガティブイメージを払拭するため、美味しいジビエを提供したいと努力している地元企業と連携。新聞社リソースを駆使した PR を行うことで環境にも配慮しながら気軽に、美味しくジビエを食卓へ届ける。
商品企画第 1 弾として、燻製の香りを手軽に楽しむことができる「スモークオイル」の開発・販売を行う。製造機の設計・製造を進めるとともに、スモークオイルの商品サンプルの制作に着手している。
今後は、キャンプ場などでジビエ試食イベントを実施。第二弾として、ジビエに関する解説本の出版や商品企画に着手する予定。
紀伊民報「和歌山スタディ・ワーケーション~農業改革・関係人口とイノベーションの創出~」
仕事の環境を変えることで創造力を養ったり課題解決につなげたりする「ワーケーション」と、その学生版である「スタディケーション」の情報を発信するポータルサイトを構築。
和歌山県南部を中心とした地域課題である梅収穫の人手不足の解消を目的に、和歌山大学の協力を得て「梅スタディケーション」をテストマーケティングとして実施。本格的な「スタディケーション」の実施に向け、共同通信デジタルのコンサルを採用。
今後は、ポータルサイト内の拡充を行う他、大学生が「スタディケーション」に参加するためのハードルを下げるべく、生産者や各大学、自治体との連携を図る。
3.関係者からのコメント
Google 日本法人 ニュースパートナーシップ本部 北アジア統括 友田 雄介氏より
「立ち上げ当初からBuild New Localに関わらせていただく中で、各地方新聞社及び各地方が抱えている課題が浮き彫りになってきており、そこにビジネスチャンスがあると感じています。そのチャンスをどう活かしていくかに焦点を絞り、活動してきたのがこの3年間の歴史だと考えています。成果や進捗を報告するだけでなく、苦労や実装のための障壁を共有することが大切です。各地域の特色はございますが、同じような業態で、プラン実装のための障壁には共通点が多く見られると思います。実装化の中での苦労や解決策を共有することで、各新聞社が今後展開するビジネスにて活かしていただきたいと考えています。」
BNL実行委員会委員長 福島民報社 沢井 正樹氏より
「今年も開催できることを嬉しく思っています。ビジネスプランコンテストは毎年進化しており、3年目となる今年は、プランを実装し時間をかけずに成果を出すことに重きを置いて審査いたしました。採択され、すでに実装化している取り組みから、成果や課題、今後の推進方法などをご共有いただき、他の新聞社が自分たちのビジネスに取り入れていくことで、各社の事業が拡大していくことを期待しています。本プロジェクトの目的は、アフターコロナ時代における地域社会を新しい形に再構築し、Build New Localの実現に向けた人材育成、新規事業の創発、新規デジタルビジネスの開発を行うこと、そして様々なノウハウを各新聞社が共有し連携することで新聞社全体が成長することです。これまで採択された16事業を推進していくことで、Build New Localの実現に一歩ずつ近づけていきたいと考えています。」
4.「Build New Localプロジェクト」運営体制
①運営体制
運営主体:Build New Local実行委員会
特別協力:Google News Initiative
② Build New Local実行委員会の体制
地域新聞マルチメディアネットワーク協議会:加盟地方新聞社43社
デジタルビジネスコンソーシアム :加盟地方新聞社45社
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像