イスラエル発アグリテック企業「ネタフィム」が米生産市場に参入

点滴灌水システムで米の生産をサステナブルに転換 日本国内初の大規模実証実験スタート

農業において安定して作物に水と栄養を与える精密灌水システムを扱うイスラエル発のアグリテック企業ネタフィムが、点滴灌水を導入した乾田にて米栽培の実証実験をスタート。水と肥料の無駄を削減し、メタンガス発生を抑制するサステナブルな生産への転換を促します。

 

ネタフィムジャパン株式会社(本社:東京都中央区日本橋中洲5-10、代表:ジブ・クレメール、以下ネタフィムジャパン)は、秋田県五城目町と長野県東御市の2拠点において、点滴灌水を導入した乾田での米栽培の実証実験をスタートいたしました。限られた資源の最大効率化を目指す同社が、点滴灌水システムでの灌漑・施肥により、水と肥料の無駄を削減し、さらに水田での米栽培における課題である「二酸化炭素の28倍(※1)の温室効果があるメタンガスの発生」を限りなくゼロに近づけ、サステナブルな米の生産へ転換するための第一歩を踏み出しました。

今回はネタフィムジャパンにより、日本国内での実証実験を開始し、日本の圃場での点滴灌水による効果を多角的に計測します。秋田県五城目町と長野県東御市の農業法人との共同プロジェクトで、日本において古くから伝わる水田文化からの転換を中心に、農作業・生産過程の課題解決を実現します。

※1 Climate Change 2014 Synthesis Report(Intergovernmental Panel on Climate Change/2014年)
https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/SYR_AR5_FINAL_full.pdf

点滴灌水導入圃場(長野県東御市八重原地区)点滴灌水導入圃場(長野県東御市八重原地区)

■共同実証実験プロジェクト動画「米の生産をサステナブルに転換!点滴灌水による米の栽培がスタート」


点滴灌水で米を栽培することのメリットと課題

慣行農業として、日本国内において多くの米は水田により栽培されています。

日本の農地の54%(※2)を占める米および水田での栽培の課題として、二酸化炭素の約28倍の温室効果があるメタンガスが水田で発生していることが世界的に注目されています。2021年10月に農林水産省より発表された「みどりの食糧システム戦略」の中でも、メタンガス抑制への対策について言及されています。

参考▽みどりの食糧システム戦略資料(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-72.pdf
※2 令和3年耕地面積 7月15日(農林水産省/2021年)
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/menseki/r3/kouti/index.html


温室効果ガス「メタンガス」とは?

世界で発生する温室効果ガスの24%(※1)は、農林業や土地利用から発生しています。

日本の農業分野においては年間5,001万トン(※3)発生し、そのうち二酸化炭素の28倍とも言われる温室効果のあるメタンガスは46%(※3)と最も比率が高く、その半分以上が稲作に由来しています。稲作以外で発生源となるのは、家畜のゲップや排泄です。
近年、社会が環境に与え続けてきた多大な負荷の蓄積と、環境破壊が危惧される中で、メタンガスも同様に環境への負荷がかかるという点で、各方面から対策を促されています。

※3 気候変動に対する農林水産省の取組(農林水産省/2020年)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/GR/attach/pdf/s_win_abs-71.pdf


なぜ水田でメタンガスが発生するのか?

土壌の上に水を張ることで、土に空気が触れることなく、保温や雑草対策という優れた効果がある水田での栽培は日本に根付いた米の栽培文化と言えます。
一方で、水田の土壌の中には、空気に触れず酸素が少ない環境で、有機物が分解する際にメタンを生成する「微生物」(メタン生成菌)が存在しています。つまり、水を張った環境を作ることで、メタンが生成されるのです。そして、稲の中にある空気の通り道「空隙(くうげき)」を伝って大気中に放出されています。
 


稲作でのメタンガス発生を点滴灌水が大幅に抑制する理由

点滴灌水システムでは、土壌に水を張ることなく、乾いた土壌に点滴チューブを設置して灌水を行うことで、土が常に空気に触れてメタンガスが発生することを大幅に抑制することができます。地球環境への負荷を軽減でき、さらに「水と肥料の有効活用」「労力削減」といった点滴チューブを使った精密管理農業ならではの効果も見込めます。

メタンガス抑制方法として中干し期間の長期化も推奨されていますが、点滴灌水は抜本的に栽培方法を転換することで、メタンガス抑制だけでなく慣行農業に潜む課題の解決も目指していきます。


水だけではない、肥料を無駄なく有効利用できる点滴灌水

点滴灌水は、作物に直接必要な最小限の水と液体肥料を与えることができます。そのため、一度に大量の肥料を与え、大雨で流れてしまうなどの無駄を防ぐことができます。特に、近年のゲリラ豪雨や干ばつなどの不安定な気候では、このように少しずつ精密な管理によって灌水・施肥を行い、常に土壌を健康な状態に保つことが、長期にわたる甚大な被害を受けないためにより重要な条件になっています。さらに、このような方法で施肥をすることで、社会情勢の変化により高騰している肥料を無駄なく有効に利用することができます。


なぜ日本で米に点滴灌水を導入するのか?

海に囲まれ、川が多く、水資源に恵まれているイメージのある日本ですが、近年の異常気象により、干ばつが発生したり、突然の豪雨により土壌に悪影響が及んだりと、農業には深刻な被害が及んでいます。また、潜在的な課題として農業用水路の水門の開閉や調整といった管理においては、多くの労働力が割かれています。

このような状況に対応するべく、必要な時に必要最小限の水と肥料の供給を行う点滴灌水を用いて、精密な管理を施し、節制された仕組みを導入することが有効です。
国内において、施設園芸や果樹・露地栽培分野であらゆる作物に上記のような観点から点滴灌水システムが導入されていますが、稲作分野で水稲品種の栽培に点滴灌水を導入するのはネタフィムジャパンとして初の試みとなります。

日本の農地の半分以上を占める水田だからこそ、環境負荷を削減し、農業におけるあらゆる課題を顕在化します。ネタフィムジャパンはスローガンである「GROW MORE WITH LESS(より少ない資源で、より多くの成長を)」を、日本の農業にもたらすべく、課題解決とより良い食糧生産環境の創造へ挑戦します。
 

田植え後、水を落として点滴灌水システムおよび点滴チューブを設置した直後の様子田植え後、水を落として点滴灌水システムおよび点滴チューブを設置した直後の様子

点滴灌水システム導入後、1ヶ月が経過した様子。乾いた田に、点滴チューブから灌水され、成長している。点滴灌水システム導入後、1ヶ月が経過した様子。乾いた田に、点滴チューブから灌水され、成長している。

点滴チューブは手作業で微調整をしながら設置された。点滴チューブは手作業で微調整をしながら設置された。

点滴チューブの他に、詰まりを防止するフィルターや施肥装置など精密灌水に必要な装置も設置点滴チューブの他に、詰まりを防止するフィルターや施肥装置など精密灌水に必要な装置も設置



共同実証実験 農業法人参加者の声

秋田県五城目町 株式会社NewJoy 伊藤清道氏

秋田県五城目町は、あきたこまちの名産地として知られ、国家行事でその収穫を祝った歴史もある土地です。
五城目町で育った我々は、地元のエリアを衰退化させず、誇りを持って新しいことにチャレンジし、「農業の喜び」を次の世代に引き継ぐことが信念です。今回は、斬新な取り組みに共感し、応援したいと思い参加しました。
伊藤清道プロフィール:
秋田県五城目町出身。2010年宮城県仙台市にてワインと日本酒を中心とした飲食店を展開(2022年現在6店舗)。2020年に地元秋田にて農業法人を設立。現在は、仙台にて焼肉店を個人経営しながら、秋田の農業に携わる。

長野県東御市 株式会社白倉ファーム 白倉卓馬氏

350年前の先人が、50km以上離れた源泉から引いた貴重な水で切り開いた八重原台地。この地を100年後の子供たちにつないでいくために、私たちに何ができるのか。大自然の恩恵を受けて生産するお米だからこそ、地球への負荷を早急に軽減することが求められています。その解決策のひとつになればと、節水とメタンガスの抑制を可能にするサステナブルな生産にチャレンジしています。
白倉卓馬プロフィール:
長野県東御市八重原出身。白倉家の4代目として家業を継ぎ、2014年に法人化、代表取締役を務める。


<ネタフィムについて>


Netafim(ネタフィム)は、農家のための農家によって1965年イスラエルで設立されました。

砂漠の土壌で作物を栽培するという環境から点滴灌水は生まれ、現在、その技術は110か国に拡大し、世界の農業をリードしています。当社は、世界中に33の子会社と17の製造工場があり、今までに1,000万ヘクタール以上の土地を灌漑し、200万を超える生産者の方々に1,500億以上のドリッパーを生産してきました。ネタフィムは、世界最大の灌水メーカーとしてスマート農業の普及を推進し、資源不足の問題に取り組むとともに、さらなる農業の発展を目指しています。


<ネタフィムジャパン株式会社>

ネタフィムジャパン株式会社は、ネタフィムの日本支社として1996年に創業。日本農業の生産性向上を目指し、点滴潅水の普及を行ってきました。現在、点滴潅水はハウス栽培や露地栽培での利用だけでなく、太陽光利用型大型植物工場の”ハイテク温室”としてその技術を広めています。さらには、都市型緑化プログラムにも積極的に取り組み、これまでに恵比寿ガーデンプレイスや豊洲市場の屋上緑化にも実績をのこしてきました。また、東京オリンピック 2020 では国立競技場と選手村両拠点において、ネタフィムの点滴潅水システムが採用されました。
ネタフィムジャパンは、国内生産者さまへの点滴潅水システム導入を進めると同時に、持続可能な環境問題にも取り組んでいきます。


■ネタフィムジャパン公式ホームページ https://www.netafim.jp/
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