日本の虫除け文化が世界を救う!AMIDOがついにスリランカ上陸

~【まいどAMIDOプロジェクト】の現地本格始動。クルネーガラ市長がとんでもなく熱血だった~

NPO法人S.O.L.

コロナパンデミック前から温め続けていた、NPO法人S.O.L.(ソル)念願の【まいどAMIDOプロジェクト】が今年3月、ついにスリランカ現地で始まりました。網戸をはじめとする「日本の虫除け」という異文化が現地スリランカで受け入れられるのか、慎重に準備を重ねてまいりましたが、予想を上回る反響に戸惑いつつも今後の計画を大きく変更する必要が出てきました。

【S.O.L.理事長&副理事長、ついにスリランカへ】

大阪に本部、札幌に支部を置くNPO法人S.O.L.(ソル)です。

コロナパンデミックで3年半とん挫してしまっていた「まいどAMIDOプロジェクト」、スリランカ現地で活動が出来る日がついにやってきてしまいました。コロンボバンダラナイケ国際空港に降り立った時には万感の思いがこみ上げて二人とも目がウルウルです。

 

「まいどAMIDOプロジェクト」とは年に2回デング熱の流行を繰り返しているスリランカで網戸をはじめとした日本の虫除け方法を紹介し、デング熱罹患者を減らそう、というものです。

今回はJICA(独立行政法人 国際協力機構)の事業としてスリランカで活動します。デング熱予防教室を開催する現地活動の他、デング熱予防に関するテキストブックを創ったりモニタリングを実施したりします。

コロンボバンダラナイケ国際空港。長ーーい通路をひたすら歩いて到着ロビーへ向かいます。

【さあ、クルネーガラへ】

コーディネーターのサラットさんに迎えに来てもらい、一路クルネーガラへ。サラットさんはクルネーガラの商工会議所の会長さんです。日本でお仕事をしていた経験もあり、日本の虫除け文化も良くご存じでS.O.L.にとって強い味方です。

空港界隈からクルネーガラまで車でおよそ2時間の旅。

ディーゼルエンジンと葉っぱの匂いが入り混じった空気の中を赤や緑のトゥクトゥク(3輪タクシー)がチョコチョコと走リ回っています。

道路の両側に青々と茂ったヤシの木の林が続いており、放牧されているのか、時々牛の姿も見かけます。

道路わきの草むらに大きなオスのクジャクを見つけました。ゆっくり歩いたり長い尾羽をなびかせながら飛んだりしている姿を見れるとスリランカに来たんだなあ、と実感できます。

【今回の舞台、クルネーガラ市とガールズホーム】

クルネーガラはコロンボ、キャンディに次ぐスリランカで3番目に大きな都市。人も車もバスもバイクもトゥクトゥクも道路いっぱいにひしめき合っています。

「ガールズホーム」とはスリランカでは女子孤児院のことを指します。S.O.L.のプロジェクトでは、クルネーガラ郊外のSPUTNIK Girls Home(スプートニクガールズホーム)の孤児の女の子達とデング熱予防教室を行います。(詳しい経緯は以前のプレスリリースをご覧ください↓)

https://prtimes.jp/main/action.php?run=html&page=releasedetail&company_id=98702&release_id=5&owner=1

ガールズホームの責任者であるエシャンタさんが、彼の主催している絵画コンテスト授賞式のため不在だったので授賞式会場へ会いに行きました。テレビ局も数社取材に来ており、注目度の高いイベントだとわかります。エシャンタさんは秋沢淳子氏と共に2007年11月にSPUTNIK Internationalを設立した方でGirls Homeの他、日本語学校なども運営しています。  

(右)エシャンタさん(左)創設者の秋沢淳子氏2人の二人三脚も28年

                                            

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      【インストラクター役の女の子達】

ガールズホームへ戻ると、学校から帰ってきた女の子たちと会う事が出来ました。今回デング熱予防教室でインストラクターになるのはハーンシーさん、ミラーディさん、セウワンディさんの3人です。

あと2人が参加予定でしたが、高校受験が近いので残念ながら今回は辞退。

彼女達とはこれまでオンライン勉強会で何度も会っていましたが、リアルな対面は今日が初めてです。人懐っこい笑顔が可愛らしい少女たちで、翌日からこの3人とデモンストレーション用のAMIDOを作って行く事が楽しみになってきました。

このプロジェクトのインストラクター役にはケラニア大学の女子大学生、スボーダーさん、マダーラさん、ティランティカさんと計6人で活躍します。

左からハーンシーさん、ミラーディさん、セウワンディさん。右の二人は受験生。

【ミッション:現地でAMIDOの材料をさがせ!】

クルネーガラの街へ繰り出し、hardware shop(工具や部品を取り扱うお店)を手当たり次第に覗いて行きます。日本のようなホームセンターは無く、それぞれ得意とする品ぞろえの小さなお店が集まるエリアがあるのです。

ネット上で材料を探す事も出来ますが、在庫があっても無くても掲載しているので先ず電話して在庫確認をし、取りに行く、というプロセスが必要です。

商品の配達をしている店もありますが「クルネーガラ市へは時計台のところまでなら届けるよ」といった具合で配達員とどこかで待ち合わせるスタイルのようです。(しかも指定した時間通りに現れるのかどうかはわかりません・・)

【AMIDO第一号】

ガールズホームの女子3人組と先ずはAMIDOのサンプルを作ることにしました。

AMIDOの材料は一通りそろいましたが、使う道具の内、「小型ローラー」だけは、どこの店を探しても見つかりません。ですがここはスリランカ。物がなくてもなんとか工夫して乗り切る国です。ミラーディさんが「これを使いましょう!」と持ってきたのは車輪付きの犬のおもちゃでした。

最初は冗談かな、と思いましたが、これが硬さといい、車輪の幅といい、ジャストフィット。楽しい気持ちになりながらAMIDO第一号が完成しました。

できたてAMIDOをガールズホーム内の窓に取り付けている時、外から蚊が一匹、フラーっと寄ってきました。

しかし網に阻まれてお部屋に入って来れません。そして諦めてフィ~っと去っていきます。

その様子を部屋の中から見ていた女の子達から

「わああああ!」

と歓声があがりました!

ね!ね!AMIDOってすごいでしょう?!

私はおおいばり。えっへん!!

皆のモチベーションも一気に上がり、とても嬉しい瞬間でした。

【クルネーガラ市議会のアジャンタさん】

アジャンタさんにデング熱予防のテキストを贈呈

ガールズホームの女の子たちとのサンプル作りに慣れてきた頃、クルネーガラ市のMunicipal Commissioner(日本の市長にあたる人)であるアジャンタさんに会うため、サラットさんとクルネーガラ市議会Kurunegala municipal council (日本の市役所にあたる場所)にやってきました。

S.O.L.のプロジェクトプランは一般の人、例えば公民館の周りに住んでいる人や小学校のPTAの方々を対象としたデング熱予防教室を市内数か所で開催、デング熱の患者を少しでも減らしましょう、というものです。

事前にアジャンタさんにも事業計画を確認してもらい、公民館や小学校など場所の提供をアジャンタさんにお願いしていました。

しかし、アジャンタさん、

「クルネーガラ市はデング熱撲滅をあきらめていません」

ときっぱりと言い放ったのです。

【クルネーガラ市のプラン】

スリランカは2013年マラリア撲滅を果たした南アジア唯一の国です。そのスリランカの中で最初に「マラリア対策センター」を設立したのがクルネーガラなのです。

蚊による感染症について熱心に取り組んでいる事は知っていましたが、デング熱撲滅を考えている事を現地で初めて知り、うろたえました。

サラットさんも「S.O.L.のプランだと我々の目標達成に100年かかる。一般人に何を教えても誰もいう事を聞かないから。ここは社会主義国なんだから、上からガーンと言わないとダメなんだ。」

という事で、私達のプランは、まさかのいきなり却下。代わりにサラットさんが人集めをするので保健衛生について取り締まりや調査を行うPHI(public health Inspector)という機関の役人や建築士、設計士、住宅に関する申請局の職員たちの前でプレゼンをして欲しい、と依頼されてしまいました。

【アジャンタさんの熱い思い】

その後、住宅などを建設する時に申請する窓口、「BUILDING PLANING DIVISION」へ連れて行ってもらいました。

この入り口の前にあるスペースに

「AMIDOがどのような物か、市民に見てもらいたいから、ここに実物大の見本を置きましょう。」

とアジャンタさんが提案。

サラットさんも「入口のドアにAMIDOを付けて、ここに来る人が皆AMIDOを通って出入りするようにしたら?」なんて言っています。

BUILDING PLANING DIVISIONの入り口。

二人があれこれ話し合っているのをただ呆然と見ているだけの私に

アジャンタさん、

「私は『新たに家を建てる人は必ずAMIDOを付ける事』という条例を作ろうと思っています。クルネーガラ市内で新たに家を建てる人は皆ここに来なくてはならないのです。良い考えでしょう?」

じょ、条例!?今までのアジャンタさんとのメールのやり取りではこんな展開になるとは夢にも思っておらず・・この日はアジャンタさんの熱い思いに圧倒されっぱなしです。

【ピンチはチャンスでもあるはず】

いきなり専門家の前でのプレゼン、という話は、もはや「デング熱予防教室」のレベルではありません。

しかし、ここまで来て断われる訳がない。

熱血アジャンタさんの思いにも応えたい。

さあ、どうする。

日本にいるS.O.L.スタッフやインストラクター役の女の子達とアイデアを出し合い、必死でプレゼンの準備を進めます。資料も新たに作り直し、サンプルもちゃんとした物を大工さんに頼んで用意しました。

ティランティカさんのプレゼンリハーサル

マダーラさんが大学内でもよく司会をやっているそうなので全体の進行役を引き受けてくれました。

スボーダーさんにシンハラ語の原稿を手伝ってもらい、ガールズホームでリハーサルを重ねます。

ティランティカさんはガールズホームの子達に優しく教えています。

ハーンシーさん、ミダーリさん、セウワンディさんもAMIDOを上手に作れるように何度も何度も練習をします。みんなで力を合わせながらピンチだけど全体のスキルがぐっと上がったのを感じました。

スボーダーさんのプレゼンリハーサル

【第一回デング熱予防教室】

そしていよいよPHIの役人やドクター、市職員18名の前でのプレゼンです。

ドキドキしているのは私だけで、女の子達は皆、落ち着いています。

アジャンタさんが

「S.O.L.がここクルネーガラを活動の地として選んでくれたことを心から感謝します。私達の出来る事は何でもします」

と挨拶をされました。

この状況を考えると、むしろS.O.L.の方が「私達が出来る事は何でもします」と言った方が良さそうなのですが・・熱いだけでなく、とても謙虚な方だな、と思いました。

インストラクターの皆は、こんな偉そうな大人たちばかりの中こんなに堂々と話すことが出来るだなんて、と思う位、立派にプレゼンをやり遂げました。

アンケートにも全員が対応してくださり、質問も沢山頂き、第一回目としてはまずまずの成果です。

【第二回、第三回と続くプレゼン】

しかし、第一回目終了後、アジャンタさんから

「もっと偉い人が満足するようなやり方じゃないと」

と指摘が入りました。

子どもの発表会を見るような感じだったそうで、サラットさんも少し不満そう。

でも、これは私のミスです。女の子達がどうしてここに立つことになったのか、去年からどれだけ勉強してスキルを磨いてきたのかを伝えていなかったのです。

そして紹介した数々のデータも説明不足でした。第二回目まであと二日あるので、しっかり組み立て直します。次回は建築関係者へ向けてのプレゼンですので、AMIDOの機能や設置費用をもう少し細かく説明する必要がありそうです。

インストラクターの皆に素晴らしいプレゼンだったことを伝え、改善点を検討し、又練習です。

そして第二回デング熱予防教室。今度は前回よりも多く、20名以上の人が集まっています。

勉強会で副理事長が何度も伝えていた事を再確認。「みんな、しっかり準備したよね。良い事を伝えようとしているのだから、笑顔でプレゼンしてね」

と始まる前にみんなで笑顔も確認しあいました。

アジャンタさんは挨拶で「クルネーガラを選んでいただきありがとうございます」と今回もおっしゃっています。

心の中で「こちらこそ本当にありがとう」と返します。

今回はここにいる皆がこの日の為に一生懸命勉強してきた事を伝え、各自自己紹介もしました。

データも見やすいようにグラフや字を大きくしてしっかり説明を入れます。

司会のマダーラさんも良い笑顔です。

AMIDOの紹介のあと、なにやらどよめいています。何だろうと思いながら二回目終了。

終わった後のティータイムでAMIDOの材料の事や日本の網戸事情など、沢山質問を頂きました。

建築家の方がいらして、「君たちのこれからの活動にきっと役立つから」とスリランカの建築に関する決まり事を30分も説明してくださいました。

他の皆さんもAMIDOに関心をもってくださったようで

「家全体を蚊帳にするって発想はなかったなあ!」

「今まで寝る時はベッドの蚊帳の中だけだと思っていたけど、AMIDOがあれば、テレビを見ながら寝れるね」

「ソファーの上でも寝れるよ」

「床の上でだってね笑」

などなど話も盛り上がっています。

日本の異文化を受け入れてもらえるのだろうか、と心配でしたが大丈夫そうです。良かった!!

後で知った事ですが・・クルネーガラ市はクルネーガラ県に属しており、更にコロンボなど大都市を含む北西部州に属しています。第二回目の予防教室ではなんと、北西部州の建築部門のトップの方もわざわざコロンボからいらしていたのです。アジャンタさんがお声掛けしてくださったようで、私達のプロジェクトに期待してくださっている事がわかり、嬉しく思うとともに身が引き締まりました。

三回目はWayamba Technical College 工業系の専門学校での予防教室です。ここの建築科の学生たちの前でお話します。

インストラクターの女の子達も自分たちと同世代の若者たちの前でのお話なので、とてもリラックスしているようにも見えます。今回の渡航ではこちらが最後の予防教室。皆悔いを残さないよう、伝えきりました。学校長先生も始終ニコニコ。とても和やかな雰囲気です。

貫禄たっぷりサラット氏

そしてクルネーガラ市の例の

「住宅申請局の前に置く実物大見本」

をここで作ってくださるそうです。

サラットさんがコーディネートしてくださったようで、

このスピード感にも驚くばかりです。

【現地活動を終えて】

草の根的にクルネーガラ市内でコツコツと活動するつもりがアジャンタさんとサラットさんコンビの嵐に良い意味で吹き飛ばされ、次はもうクルネーガラ県や北西部州単位の話になりそうです。

6月頃迄今回の予防教室の効果をモニタリングし、データとして残していこうと思います。

今後の活動方針は新たに検討し直しますが、当初の予想を超えるスピードでやる必要がありそうです。

頑張るしかない今後のS.O.L.の活動にご期待ください!

【NPO法人S.O.L.について】


スリランカの教育施設訪問ツアーやビジネスマッチングツアーの企画、催行をしながら文化交流やスリランカの情報提供を行っています。スリランカのアニマルアタック(野生生物により人間が被害を受ける事象)に関する支援活動も行っています。


~S.O.L.のデング熱対策などに関する活動~
2015年よりこれまでにおよそ320㎏の蚊取り線香(株式会社ライオンケミカル様より寄贈)を京都大学アジアアフリカ研究所やライオンズクラブなどの協力により、スリランカの教育施設、老人ホーム、障がい者施設、農業従事者など延べ6,000人へ寄贈

2017年デング熱流行中の国立病院を見学
2019年より施設や教育機関、スリランカ在住者コミュニティに虫除けについてのアンケート調査を実施
2021年5月 スリランカのクルネーガラ州ポルガハウェラで網戸の実証実験を開始
2021年11月 S.O.L.網戸(AMIDO)キットを開発

2022年10月 札幌支局開設
2022年11月 スリランカ大使館にてロドニ・ペレーラ大使とAMIDOキットの可能性について面談
2023年3月 スリランカでもっと積極的に活動を行うため、スリランカにNGOを設立申請

2023年12月 NHKおはよう日本「おはBiz」にて紹介

2024年1月 NHK WORLD-JAPAN Biz Streamにて紹介

2024年8月 デング熱予防教室PJがJICA基金に採択される

2024年10月 スリランカ政府よりNGO認証を取得

2024年11月 デング熱予防教室準備としてオンライン勉強会を始める

2025年3月 デング熱予防教室をKurunegala Municipal Councilなどで開催


【会社概要】
法人名:NPO法人S.O.L.(ソル)
法人所在地:本部/大阪府枚方市春日西町1‐50‐1

                 札幌支局/北海道札幌市東区伏古11条2丁目3-18

      NGO SOLO/ No.37,1st Lane Welangolla Waththa Kurunegala Sri Lanka

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URL
https://seedoflanka.com
業種
サービス業
本社所在地
大阪府枚方市春日西町 1‐50-1
電話番号
-
代表者名
大下敦子
上場
未上場
資本金
5万円
設立
2015年12月