空白(ブランク)が人生を豊かにする。キャリアブレイク研究の礎を築く文献となる3人の共著による書籍『キャリアブレイク-手放すことは空白(ブランク)ではない』の発行。
履歴書の空白は次のステップに不利な<ブランク>なのか?価値を創造し前に進むための「キャリアブレイク=空白」の定義と、新たな発信による議論と実践へ。出版記念イベントは11月6日、横浜で開催決定。
人生に一時的なブレイクを取り入れる「キャリアブレイク」という考え方を研究・発信している一般社団法人キャリアブレイク研究所(所在地:神戸市垂水区、代表理事:北野貴大、以下:同研究所)は、法政大学大学院政策創造研究科教授・石山恒貴(いしやまのぶたか)氏(以下:石山氏)、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター講師で法政大学大学院兼任講師の片岡亜紀子(かたおかあきこ)氏(以下:片岡氏)と同研究所代表北野貴大(きたのたかひろ)の3人の共著による書籍『キャリアブレイク−手放すことは空白(ブランク)ではない』を千倉書房より発行いたします。
書籍の概要
書名:『キャリアブレイク−手放すことは空白(ブランク)ではない』
発行:千倉書房
発売日:2024年10月7日
著者:石山恒貴・片岡亜紀子・北野貴大
定価:2,860円(税込)
頁数:240ページ
単行本
寸法 : 21 x 15 x 1.5 cm
ISBN-10 : 4805113251
ISBN-13 : 978-4805113257
レビュー
日本の息苦しさを緩和する1冊。
離職休職の期間は、人生を不利にするブランク期間と呼ばれていた。
実際は、その空白期間には価値があり、まさにキャリアブレイクだった。
世界では一般的であるキャリアブレイクとはなにか。
その実態と、価値をキャリアブレイク実践者8名の詳細な分析から提示。
くわえて国際比較、歴史的背景、雇用システムの位置づけ、キャリア理論上の位置づけからも解説。
日本初のキャリアブレイクを学術的に分析した書籍。
(Amazonより)
著者紹介
石山恒貴(いしやまのぶたか)
法政大学大学院政策創造研究科教授
博士(政策学)。NEC、GE、米国系ライフサイエンス会社を経て、現職。日本キャリアデザイン学会副会長、人材育成学会常任理事、Asia Pacific Business Review(Taylor & Francis)Regional Editor 等。専門は組織行動論・人的資源管理が研究領域。
主な著書に『定年前と定年後の働き方:サードエイジを生きる思考』(光文社新書)、『越境学習入門:組織を強くする冒険人材の育て方』(共著、日本能率協会マネジメントセンター)、『日本企業のタレントマネジメント:適者開発日本型人事管理への変革』(中央経済社)等がある。
片岡亜紀子(かたおかあきこ)
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター講師、法政大学大学院兼任講師
法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了、博士(政策学)。NEC、教育事業会社等を経て現職。専門はキャリア形成、リーダーシップ開発、地域のサードプレイス。主な著書に『地域とゆるくつながろう!:サードプレイスと関係人口の時代』(共著、静岡新聞社)、『LIFE CAREER(ライフ・キャリア):人生100年時代の私らしい働き方』(共著、金子書房)がある。
北野貴大(きたのたかひろ)
一般社団法人キャリアブレイク研究所代表、大阪公立大学大学院経営学研究科附属イノベーティブシティ大阪ラボ特別研究員
新卒でJR 西日本グループに入社し商業不動産の開発に従事。妻がキャリアブレイクを通じて、よい転機をつくったことに興味を持ち、JR を退職しキャリアブレイク研究所を設立。著書に「仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢:次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略」(KADOKAWA)がある。
必然の出会いが生んだ一冊
石山氏が教鞭を取るリカレント教育専門の大学院のゼミ生だった片岡氏が修士論文のテーマとして「キャリアブレイク」を取り上げたのが2014年。
この論文が2016年に『産業カウンセリング研究』(現在は『キャリア・カウンセリング研究』に名称変更)として学会誌に載ることとなります※1。
またこの研究が公開ゼミで多くの方々に紹介される中、聴衆者の一人でキャリアカウンセラーの松井美佳さんの書いたキャリアブレイクについてのブログ※2がわかりやすい解説だったので、その言葉が広がり、多くの人に読まれました。
一方で北野は、一時的に無職になった妻がそれをよい転機にしようとしているのを目の当たりにし、そのライフスタイルを面白がっていたところ、2021年に松井さんのブログに出会い、翌2022年にはキャリアブレイク研究所を立ち上げました。
石山氏と片岡氏は、共に研究するキャリアブレイクと一致する内容を実践している研究所が神戸にあるらしいと知り、好奇心に駆られX(旧ツイッター)で2022年に連絡を取ったのが3人の著者の出会いの経緯でした。
※1:片岡亜紀子・石山恒貴(2016)「キャリアブレイクを経験した女性の変容 パソコンインストラクターを対象とした実証研究」
※2:エスキャリアホームページ「ブランクを強みに 「キャリアブレイク」という考え方」(https://escareer.co.jp/column/6407)
キャリアブレイクという言葉をつくり上げていく旅へ
この時の様子を石山氏は著書の中でこのように書いています。
「筆者と片岡にとって、キャリアブレイクは意義ある言葉でしたが、なかなかうまく定義して意味を説明することができませんでした。そのため書籍などで社会に言葉を発信することには躊躇いを感じていました。しかし北野を中心とするキャリアブレイク研究所の活動への反響を知り、その考えを改める時期が来た」「機が熟した」。
この本を3人の共著で上梓した意義
3人で一緒に本を出そうと思われたきっかけをそれぞれの著者に聞きました。
石山氏:キャリアブレイクの定義を示し、日本におけるキャリアブレイクの議論を。
「なんといっても、共著者の北野さんのキャリアブレイク研究所の活動が活発になり、多くの方がキャリアブレイクに関心を持ちはじめたことがきっかけとなりました。
こうした状況で、2016年に共著者の片岡さんが論文で発表したキャリアブレイクの定義を示すことが、改めて重要だと思いました。それこそが、今後の日本社会におけるキャリアブレイクのあり方の議論のきっかけになると考えたからです。」
片岡氏:(キャリアブレイク経験者である)自分に、二人の視点が加わることでもっと多くのことが見える。そんな思いで一緒に本を出せたら。
「キャリアブレイクの研究から少し離れていた頃、ふと気になり「キャリアブレイク」と検索したところ、北野さんの記事が出てきました。「キャリアブレイクを文化にしようと実際に行動している人がいる!」と知り、嬉しく思いました。また、石山先生は私のキャリアブレイク研究の師匠であり、小さな違和感を論文として形にできたのも、学術的なことを教えてくださった先生のおかげです。
私からしか見えない問題点には偏りがあるかもしれませんが、北野さんや石山先生の視点があれば、もっと多くのことが見えてくるのではないか、自信を持って多くの人にキャリアブレイクをお伝えできるかもしれない。そんな思いで、3人で一緒に本を出せれば良いなと思いました。」
北野氏:労働の歴史や社会全体を見てきた先生たちの視座と視野が加わり、より大きな社会的インパクトになると信じて。
「キャリアブレイクは、厳しい労働社会の中で周囲のサポートがあって初めて成り立つと言われるときもありました。確かにサポートが必要な場面もありますが、このキャリアブレイクというリズムは、個人、企業、社会にとって価値があると、言い切ってくださったのが、先生たちでした。
労働の歴史や今の社会全体を見てきた先生たちの視座と視野が加わり、より大きな社会的なインパクトになると信じています。」
次に、この本をきっかけとして、日本の社会にどんな変化があればいいと思われるか、3人に聞きました。
石山氏:キャリアブレイクは、多くの選択肢を自由に選び取れる社会の選択肢のひとつに。
「キャリアブレイクがすべての人に必要だと言いたいわけではありません。
しかし、人が生きていくときに、多くの選択肢を自由に選び取れる社会になると良いと考えています。そして、キャリアブレイクが、その選択肢のひとつになればいいと思います。」
片岡氏:生き方や働き方の選択肢のひとつとして、キャリアブレイクという考え方を知ることで、離職期間をホッとできる社会に。
「私はキャリアブレイク経験者です。再就職活動の際、離職期間の理由を問われるたびに心が痛むことがありました。「休むことは悪いこと」という考えに囚われていたのです。
しかし、キャリアブレイクを振り返ると、社会から取り残されているように感じながらも、体を休めたり、行ったことのない場所を散歩したり、将来について考える時間が非常に豊かだったと思います。 もしあの時、「キャリアブレイク」という考え方を知っていれば、心がざわつくことも減り、少しホッとできたかもしれません。
生き方や働き方の選択肢の一つとして、「そんなこともできるのか」と思える社会になれば良いと願っています。」
北野氏:人生という時間が延伸した社会で、人が新たなリズムで生きることができ、それに合わせて社会のリズムが少しずつ変わる心地よい変化を。
「キャリアブレイクを取った40代の方が「第二の青春」を過ごしましたと、感想をくださったことがありました。人生がこんなにも長く、働く期間が延びたときに「青春」が人生で2〜3回あるのもおもしろいなと感じています。
人生という時間が延伸した社会において人が新たなリズムで生きること、それに合わせて社会のリズムが少しずつ変わっていく、そんな心地よい変化を目指しています。」
『キャリアブレイクー手放すことは空白(ブランク)ではない』
出版記念イベント:2024年11月6日(水)開催<横浜>
出版を記念し、著者のトークイベントを横浜で開催いたします。
3人の共著者のうち、石山氏と北野氏が、キャリアブレイクがどのように自己成長やビジネスのアイデア創出にポジティブな影響を与えるのかを深掘りしていきます。
著書をもとに、キャリアを一時中断することで得られる新たな視点や自己の価値観の再発見についてひもとき、キャリアブレイクの可能性を探ります。
▼イベントタイトル
「キャリアブレイクの力:個人の成長とビジネス創造のための新たな視点」
▼開催日時
2024年11月6日(水曜日)19:00~21:00
▼開催場所
Vlag yokohamaフラグヨコハマ(横浜市神奈川区鶴屋町1-41 THE YOKOHAMA FRONT 42階)
▼タイムスケジュール
18:30 開場
19:00 イベント開始
ショートレクチャー
トークセッション
20:30 交流会
21:00 イベント終了
▼チケット
トークイベント+交流会参加(一般)¥1,000
トークイベント+交流会参加(学生)¥500
トークイベント+交流会参加(Vlag yokohama 会員)無料
▼お申し込みとイベント詳細(Peatix)
https://peatix.com/event/4153706
キャリアブレイク研究所について
団体概要
法 人 名 :一般社団法人キャリアブレイク研究所
所 在 地 :兵庫県神戸市垂水区塩屋町4-10-11
設 立 :2022年10月
代 表 理 事 :北野貴大
社 員 数 :3人
事 業 内 容 :キャリアブレイクに関するコンテンツ制作、コンサルティング
ホームページ :https://careerbreak-lab.studio.site/
問い合わせ先 :info@careerbreak-lab.org
書籍の目次
『キャリアブレイク−手放すことは空白(ブランク)ではない』
第1章 キャリアブレイクの定義(石山恒貴)
1 キャリアという言葉を考える
2 キャリアブレイクの定義と対象者
第2章 キャリアブレイクの背景(石山恒貴)
1 類似用語との違い
2 日本的雇用(無限定総合職、標準労働者、マッチョイズム)とキャリアブレイク
3 スティグマ
第3章 キャリアブレイクを支える理論(片岡亜紀子)
1 筆者(片岡)のキャリア
2 キャリアブレイクを支える理論
3 第3章まとめ
第4章 キャリアブレイク研究所の事例(北野貴大)
1 キャリアブレイク研究所の設立
2 人を自由にする「シェアハウス」の研究
3 良い社会と経済はつながっていくのか
4 デパートは世の中の代弁者たれ
5 人生に立ち止まりたい人の宿
6 社会を指し示すという起業
7 おもしろい方に人が集まってくる
8 ホウレンソウをしない会社
9 自分のためだけに書く「月刊無職」
10 肩書きなしで語り合う「むしょく大学」
11 キャリアブレイクの4タイプ
12 よい転機が生まれる、離れるという効能
13 共に文化をつくるパートナーたち
第5章 キャリアブレイクの実態とプロセス(石山恒貴)
1 事例1 小黒恵太朗さん
2 事例2 大下真実さん
3 事例3 田尾丹里さん
4 事例4 三分一直瑠さん
5 事例5 高橋遥さん
6 事例6 小堀弘樹さん
7 事例7 小澤あゆみさん
8 事例8 小杉美琴さん
9 キャリアブレイクの共通プロセス
第6章 共通プロセスの解釈とキャリアブレイクの方向性(石山恒貴・片岡亜紀子・北野貴大)
1 2016年論文におけるキャリアブレイク
2 2016年論文と8人のプロセスの違い
3 「ありたい自分」とは何か
4 キャリアブレイク研究所から見た8人のプロセス
5 今後の展望
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