制度だけでは「妊活離職」を防げない。仕事と不妊治療の両立に必要なの は、職場の理解と支援
〜メルクバイオファーマ、「仕事と不妊治療の両立に関する実態調査」結果を発表〜
サイエンスとテクノロジーのリーディングカンパニーであるメルク(Merck KGaA)の日本法人、メルクバイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:ジェレミー・グロサス)は、不妊治療と仕事の両立を「個人の問題」から「社会で支えるべき課題」へと転換することを目的に、「仕事と不妊治療の両立プロジェクト」を推進しています。
本プロジェクトの一環として、このほど、20代〜40代の男女1,035名を対象に「仕事と不妊治療の両立に関する実態調査」を実施いたしました。本調査では、不妊治療経験者を5つの群(現在両立群・両立達成群・キャリア移行群・不妊治療断念群・未来の治療予定群)に分け、両立を阻む壁や職場の風土などを比較・分析しました。その結果、企業における制度の拡充が進む一方で、「制度があるだけ」では不十分であり、周囲の理解や具体的な支援体制が不可欠であることが浮き彫りになりました。

◾️調査結果サマリー
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不妊治療と仕事を両立できた理由のトップは、「職場の制度」よりも「周囲の理解」。
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「制度」があっても離職や働き方の変更(キャリア移行)をするのが現実。キャリア移行者のうち、勤務先に制度がある人の9割以上(92.3%)が実際に社内制度を利用していた。
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不妊治療を断念した人が挙げた壁・不安のトップは、「時間制約に対する職場の肩身の狭さ・評価低下への恐怖」であった。
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両立支援には、制度に加え、①業務のバックアップ体制、②評価への不安に応える上司・同僚の具体的な対応、③プライバシーが守られる職場環境が必要である。
◾️調査概要
調査名:仕事と不妊治療の両立に関する実態調査
調査対象:全国の20~49歳の男女
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2026年9月18日(金)~9月27日(日)
有効回答数:1,035人(女性880人、男性155人)
女性の割付:現在両立群・両立達成群・キャリア移行群・不妊治療断念群・未来の治療予定群の5群、各176人
◾️調査結果のハイライト
1.「制度があるだけ」では防げないキャリア移行
『現在両立群』と『両立達成群』が仕事と治療を両立できている・できた理由について、「職場の理解(38.1%)」が「職場の制度が整っている(26.7%)」を上回りました。

さらに、退職や転職、雇用形態の変更等を経験した『キャリア移行群』の女性で「勤務先に制度がある」と答えた104人のうち、利用した制度はないと回答した7.7%を除く92.3%(96人)が何らかの制度を利用したと回答しています。制度利用率の高さから、制度の整備だけではキャリアダウンや離職を防げない現実が示唆されます。

2.治療断念の最大の壁は「肩身の狭さ・評価への不安」
仕事を優先して治療を断念した『治療断念群』の女性において、両立の壁となった項目の最多は「時間制約に対する職場の肩身の狭さ・評価低下への恐怖(43.5%)」となり、『現在両立群(27.7%)』を大きく上回りました。また、『治療断念群』は現在の勤務先に対し、公平な評価への信頼や心理的安全性といった点で低く評価する傾向が見られました。


3.求められるのは「時間単位の休暇」と「バックアップ体制」のセット
両立を継続するために必要な支援として、「時間単位で取得できる有給休暇・不妊治療専用休暇(42.6%)」と「業務の標準化・マニュアル化(42.2%)」がほぼ同率で並びました。制度の整備にとどまらず、突発的な休暇時に周囲がカバーできる「運用体制」をセットで整える重要性がうかがえます。

また、職場全体の風土として「治療による急な通院や体調不良時でも、嫌な顔をされずにサポートし合える職場の雰囲気づくり」を求める声が最多となりました。

◾️企業への提言:制度拡充と併行して、安心して使える運用・マネジメント体制を
本調査を通じて、両立支援の実現には、制度導入にとどまらず、管理職や全社員への研修などを通した職場の理解促進や、時間的な制約等がネガティブに働かない評価設計が不可欠であることがわかりました。急な通院をチームでカバーできる体制の構築や、治療の開示範囲を本人が選択できる環境づくりなど、職場の運用・マネジメント体制を整えることが企業に求められます。
◾️専門家コメント

スリール株式会社 代表取締役 堀江 敦子
2010年に創業してから一貫し、女性活躍から始めるサスティナブル経営の実現に向けた支援を多方面(企業・行政・大学)に実施。独自開発の体験型プログラムを中核に人材教育・人材開発コンサルティング事業を展開。その他、内閣府男女共同参画局 専門委員として第5次男女共同参画基本計画の策定に関わるなど、政策実現に向けて精力的に活動。著書に『新・ワーママ入門』(Discover21)、『女性活躍から始める人的資本経営 多様性を活かす組織マネジメント』(JMAM)がある。立教大学大学院経営学研究科(リーダーシップ開発コース)修了。ISO30414リードコンサルタント取得。
コメント
不妊治療、育児、介護、通院など、さまざまな背景を抱えながら働く人が増えています。だからこそ今、どのような状況にあってもキャリアをあきらめず、自分らしい選択ができる環境が求められています。
そのためには、制度があるだけでも、ただ働き続けられるだけでも不十分です。本調査でも、両立できた理由は「職場の制度」(26.7%)より「職場の理解」(38.1%)が上回りました。治療断念群では「時間制約に対する肩身の狭さ・評価低下への恐怖」が43.5%と、現在両立群(27.7%)を大きく上回ります。時間や事情に制約があっても正当に評価され、活躍を目指せる職場でなければ、制度は機能しません。
その鍵を握るのが管理職です。特に不妊治療は、職場に話すこと自体がセンシティブです。治療経験者の37.3%は職場で一切開示しておらず、最多の理由は「プライベートなことで知られたくない」(57.5%)でした。だからこそ、公表していなくても多様な働き方や事情が当たり前に認められ、成果を発揮できるチームづくりが求められます。急な欠勤へのバックアップ体制を整えてもらえた割合も、現在両立群41.9%に対し、治療断念群21.3%にとどまりました。管理職が、事情を聞き出すのではなく、多様な状況を前提に業務を設計し評価できるよう、チームとしての仕組みを整えることが必要です。
不妊治療に限らず、多様な人財が活躍し成果を上げられる組織へ。それは個人の問題ではなく、人が集まり成果を上げ続けるための経営課題です。すべての社員が自分らしい選択をしながら力を発揮できる組織づくりが、今まさに多くの企業に求められています。
◾️「仕事と不妊治療の両立プロジェクト」について
「仕事と不妊治療の両立プロジェクト」は、メルクバイオファーマ株式会社が2026年6月に始動した、不妊治療と仕事の両立を「個人の問題」から「社会で支えるべき課題」へと転換することを目指す取り組みです。
不妊治療と仕事の両立の難しさから、望まない離職に至る「妊活離職」は、当事者のキャリアや人生設計に影響を及ぼすとともに、企業にとっても人材確保や生産性に関わる重要な課題です。本プロジェクトでは、2017年から展開する「YELLOW SPHERE PROJECT」の取り組みを発展させ、当事者の声や先進企業の事例、有識者の知見をもとに、企業で実践できる支援のあり方を提示するとともに、情報発信や提言活動を推進しています。「社会で支える不妊治療共創会議」の活動とも連動し、企業・医療・当事者・有識者など多様な関係者との連携を通じて、望まない「妊活離職」を防ぎ、誰もが治療とキャリアのいずれも諦めることなく、自分らしい人生を選択できる社会の実現を目指します。
◾️メルクについて
メルク(Merck KGaA)はヘルスケア、ライフサイエンス、エレクトロニクスの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業です。約62,000人の従業員が、より楽しく、持続可能なくらしに役立つ方法を生み出すことによって、多くの人々の日々の生活にプラスのインパクトをもたらすことに力を注いでいます。医薬品の開発・製造を加速させる製品やサービスを提供することから、治療が困難な疾患のための革新的な方法の発見、デバイスのインテリジェンスの実現に至るまで、あらゆる領域で貢献しています。2025年には65カ国で211億ユーロの売上高を計上しました。
メルクのテクノロジーと科学の進歩において鍵となるのは、サイエンスへのあくなき探求心と企業家精神です。それはメルクが1668年の創業以来、成長を続けてきた理由でもあります。創業家が今でも、上場企業であるメルクの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国では、ヘルスケア事業ではEMDセローノ、ライフサイエンス事業ではミリポアシグマ、エレクトロニクス事業ではEMDエレクトロニクスとして事業を行っています。
◾️メルクの「患者主導」について
メルクは、『As One for Patients - 患者さんのために一丸となって、生命の誕生、QOL の向上、命をつなぐサポートをする』というグローバル・パーパスのもと、患者さんや家族介護者の方々と協力し、こうした方々の視点を体系的にメルクのプロセスに取り入れ、ヘルスケアの設計と提供の方法をまとめる、「患者主導」のアプローチを推進しています。詳しくはhttps://www.merckgroup.com/jp-ja/expertise/healthcare/patient-directed.htmlをご覧ください。
◾️メルクバイオファーマ株式会社について
メルクバイオファーマ株式会社は、ドイツ・ダルムシュタットに本社を置く、メルク(Merck KGaA)の日本法人です。2007年10月1日に発足し、がんと不妊治療を重点領域とするバイオ医薬品企業です。『Brighter Lives, Together ともに、より輝かしい人生を歩もう』という日本のパーパスのもと、『As One for Patients - 患者さんのために一丸となって、生命の誕生、QOLの向上、命をつなぐサポートをする』というグローバル・パーパスを達成するため、患者主導のアプローチを推進しています。詳しくは、https://www.merckgroup.com/jp-ja/company/merckbiopharma.htmlをご覧ください。
■「社会で支える不妊治療共創会議」について
2026年3月16日に発足した、不妊治療を取り巻く社会的な課題の解決を目指すプラットフォームで、メルクバイオファーマはコアメンバーとして参画しています。
詳細はwww.fertilitykyousoukaigi.jpをご覧ください。
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