犬島に新たなパビリオン「HANA」誕生
PRADAから寄贈、犬島「家プロジェクト」の妹島和世が設計

公益財団法人 福武財団(理事長:福武英明 香川県、直島)は、「犬島 くらしの植物園」(岡山県、岡山市 犬島)に建築家の妹島和世氏が設計を手がけた新たなパビリオン「HANA(ハナ)」を2025年6月5日から公開しました。本パビリオンは、イタリアのファッションブランド PRADAからの寄贈により実現したものです。
福武財団は、2008年より妹島氏、そしてアーティスティックディレクターの長谷川祐子氏とともに、犬島の集落を中心としたアートや建築による地域づくりに取り組んできました。2010年に公開した犬島「家プロジェクト」をはじめ、地域と対話しながら継続的な活動を行っています。妹島氏と明るい部屋による「犬島 くらしの植物園」(2016~)では、地域との交流を基盤とした場づくりを行い、島の方々や来訪者が日常的な手入れやワークショップに参加することで、多様な人たちが憩い、学び合う場となっています。
一方、PRADAは長年にわたり現代文化を支援してこられ、文化的に意義のあるプロジェクトへの貢献というブランドの姿勢をあらためて明確にするものとして、この「HANA」の寄贈に至りました。
ここに、当財団よる犬島のプロジェクトへの深い理解と支援に対し、心より感謝を申し上げます。
「HANA」は、自然と調和する軽やかな構造をもち、植物園を訪れる人々に新たな体験をもたらす象徴となります。6月5日には、PRADAによるクローズドイベント「犬島プロジェクト」にてお披露目され、関係者および報道関係者に向けて初めて公開、トークイベントやワークショップの舞台となりました。瀬戸内国際芸術祭2025夏会期(2025年8月1日~8月31日)の開催に際し、この「HANA」の公開をきっかけに、これまで以上に犬島島民ならびに国内外からの来訪者が訪れ、集う場になることを願います。
新パビリオン「HANA」


「犬島 くらしの植物園」にできた常設のパビリオン。植物園のランドスケープと呼応する、花のような形をしたパビリオンが2つ咲くことで、「みんなで集まれる」場所をつくり出します。厚さ3mmのステンレスの板材を曲げ加工し、船で犬島に運び込んだ後、現場で溶接、研磨を施しました。少し鈍い鏡面仕上げが、周りに広がっている木々や花、夕日の光など、日々変化する植物園の風景を映し出ます。
名称:HANA
設計:妹島和世建築設計事務所
構造:Arup
施工:ARTISAN
寸法:高さ2965.37mm
規模:投影面積20.36㎡
管理:公益財団法人 福武財団(理事長:福武英明)
設置場所:犬島 くらしの植物園内 岡山県岡山市東区犬島50

妹島和世氏 コメント
「犬島 くらしの植物園」プロジェクトは、島の方々や来訪者の方々と共に土地を開墾しながら、この場所が自然と共にくらす歓びを体験できる場となることを目指して2016年から始まりました。はじめてから9年の間に、ワークショップやイベント、庭の手入れなどを通じ、いろいろな人々がこのプロジェクトに関わってくださるようになり、みんなでこの場所をつくりあげてきました。
このたび、そんな場所に、みんなが集まる場所の象徴として、パビリオン「HANA」が完成したことを、大変嬉しく思います
本活動に共感しご支援くださったPRADAの皆様、これまでともに犬島で多様な取り組みを進めてきて下さった福武財団の皆様、私たちの活動を温かく受け入れ、支えてくださっている犬島の島民の皆様、そして犬島のプロジェクトに関わってくださっているすべての皆様に、心より御礼申し上げます。
■妹島和世プロフィール
1956年茨城県生まれ。1987年妹島和世建築設計事務所設立、1995年西沢立衛と共にSANAA 設立。2010年プリツカー賞受賞*。代表作に、「金沢21 世紀美術館」*(2004年、石川)、「ROLEX ラーニングセンター」*(2009年、スイス)、「犬島『家プロジェクト』」(2010年、岡山)、「ルーヴル・ランス」*(2012年、フランス)、「Junko Fukutake Hall」*(2013年、岡山)、「グレイス・ファームズ」*(2015年、アメリカ)など。(* はSANAA)2019年春夏コレクションの「Prada Invites」プロジェクトではPRADAのバッグデザイナーを務め、2023年にPRADA財団で開催された展示会「Paraventi:17世紀から21世紀の屏風」のデザイナー、そして2023年の「PRADA MODE」東京を監修しました。
PRADA「犬島プロジェクト」について

2025年6月、PRADAと妹島和世氏のコラボレーションによる「犬島プロジェクト」が開催されました。本プロジェクトは、妹島氏が長年にわたり福武財団と取り組んできた犬島での活動に対する、PRADAの賛同により実現しました。同時期に大阪では妹島氏との2回目のコラボレーションとなった第12回目の「PRADA MODE OSAKA」も開催され、「HANA」はこの一連のプロジェクトのなかで、「犬島 くらしの植物園」(福武財団)に寄贈されました。「犬島プロジェクト」では、建築家らのトークイベントやミュージックパフォーマンス、妹島氏設計によるピザ窯でのピザ作りのワークショップなど、さまざまなプログラムが開催されました。
敷地内には、パビリオンの建設過程で掘り出された土を用いて制作された「仮に浮かべる風景」と題された2つのカウンターも設置されています。これらは「循環と再統合」を象徴する存在として、静かに風景に溶け込み、やがて自然へと還ることを意図しています。また、犬島の風景から着想を得た、彩豊かなSANAA設計による「Rabbit Chair / FRP」も寄贈されました。
イベントの詳細についてはこちら Prada Mode Osaka | PRADA

トークイベントの様子 写真 ⓒPrada

「仮に浮かべる風景」 写真:川越健太

寄贈されたHANAと「Rabbit Chair / FRP」写真ⓒPrada
犬島 くらしの植物園


妹島氏と、2016年に犬島に移住したガーデンデザインユニット「明るい部屋」による「犬島 くらしの植物園」は、長く使われていなかったガラスハウスを中心とした 約4,500㎡の土地を再生し、犬島の風土や文化に根ざした植物園として展開。完成された場としての見学型の植物園ではなく、島の方々や来訪者とともに土地を開墾していきながら、自然のサイクルに身を置き、食べ物からエネルギーに至るまで、自給自足しながら自然とともにくらす歓びを体験できる場づくりをしていきます。
自然の巡りや植物の力をくらしに活かす術を島の方々に教えていただきながら、ワークショップ等を通じて 「食」や「香り」「学び」「遊び」など、「植物にできることのすべて」が体感できるような機会と空間を提供しています。島の方々と来訪者が憩い、学び合う場でもある 「犬島 くらしの植物園」において、訪れる方とともに「これからのくらし方」を考えていきます。
主催人・運営:公益財団法人 福武財団
企画:妹島和世+明るい部屋
建築:妹島和世建築設計事務所
植栽:明るい部屋
敷地面積:約4 , 5 0 0㎡
明るい部屋 プロフィール
2005年 フラワーデザイナー・木咲豊とコミュニティガーデンプランナーの橋詰敦夫が設立したガーデンデザインユニット。「植物にできるすべてのこと」をテーマに、単なる鑑賞対象としての庭園ではなく、暮らしを豊かにするためのコミュニケーションメディアとして捉えた庭園づくりを行う。2010年 犬島「家プロジェクト」庭園を担当。島民との交流を基盤とした犬島ならではの庭園のあり方に大きな力を感じ、2016年より犬島に移住。建築家妹島和世と協働で「犬島 くらしの植物園」を企画・制作・運営。2017年2月、木咲豊の急逝以後、一人で活動を継続していたが、2024年より新たに植物コーディネーター・松尾卓哉をメンバーに迎え、犬島のコミュニティ再生を目指したランドスケープ計画に取り組む。
■犬島 くらしの植物園 施設概要
住所 :岡山県岡山市東区犬島50
電話番号 :086-947-1112(犬島精錬所美術館)
開館時間 :10:00 ~ 16:30
休園日 :火曜日-木曜日 (3月1日~11月30日)
※祝日の場合は開館/全日 (12月1日~2月末日)※不定休あり。ベネッセアートサイト直島ウェブサイト開館カレンダーで随時更新。
鑑賞料金 :無料 ※犬島精錬所美術館と犬島「家プロジェクト」は共通チケットオンライン購入 2,100円/窓口購入 2,300円
駐車場 :なし
施設URL :https://benesse-artsite.jp/art/lifegarden.html
■ベネッセアートサイト直島とは
「ベネッセアートサイト直島」は、直島・豊島(香川県)、犬島(岡山県)を舞台に株式会社ベネッセ ホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。
瀬戸内海の風景の中、ひとつの場所に、時間をかけてアートをつくりあげていくこと――各島の自然や、 地域固有の文化の中に、現代アートや建築を置くことによって、どこにもない特別な場所を生み出していくことが「ベネッセアートサイト直島」の基本方針です。 各島でのアート作品との出会い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々と触れ合いを通して、 訪れてくださる方がベネッセホールディングスの企業理念である「ベネッセ―よく生きる」とは何かについて考えてくださることを目指しています。
そして、活動を継続することによって地域の環境・文化・経済すべての面において社会貢献できるよう、 現代アートとそれを包括する場である地域がともに成長し続ける関係を築いていきたいと考えています。
■ベネッセアートサイト直島の歴史について
参照URL:https://benesse-artsite.jp/about/history.html
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