「50代社員に関する意識調査」アンケート結果 50代社員は、若い世代からどう思われているのか?どこがズレているのか?

企業における「しがみつき社員」の問題が深刻化する昨今、50代社員は、若い世代からどう思われているのか?どこがズレているのか? ~50代社員がこれからも活躍していくために~

フォー・ノーツ株式会社

総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社(所在地:東京都港区)は、全国のオフィスワーカー400名を対象に「50代社員に関する意識調査」を実施しました。
高齢者雇用安定法の改正(2021年4月)により、70歳までの就業機会の確保が努力義務化され、この10月で半年。本レポートでは、今後高齢者雇用の当事者となっていくであろう50代の社員が、今「20~40代の社員からどのように思われているのか」「自身のことを、どのように評価しているのか」について、得られたアンケート結果を分析し、世代間の「認識のギャップ」について明らかにします。
さらに、その結果をもとに、フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長 西尾 太が、人事のプロとして「50代の社員がこれからも活躍するために、50代社員および50代社員を雇用する企業はどうするべきか」について、考察します。
  •  調査概要
調査名:「50代社員に関する意識調査」
対象者:①20代~40代のオフィスワーカー(身近に50代の社員が働いている方)
    ②50代のオフィスワーカー(身近に20代~40代の社員が働いている方)
対象地域:全国
男女比:男性59.5% 女性40.5%
調査方法:インターネット調査
調査期間: 2021年9月16日~9月20日
回答数:①各年代100名、計300名 ②100名
  •  アンケート結果 全データ
各世代別のデータや、「50代社員に対して感じていること」の自由回答など、アンケート結果の全データは、こちらからダウンロードできます。
https://prtimes.jp/a/?f=d73219-8-563d69a354d163fa12ccba9421ac9656.pdf
  • 結果分析のポイント
●20~40代社員は、概して50代自身の自己評価よりも50代社員を評価しており、期待もしている。
→Q1・Q2参照
●「デジタルツールに対応できない」「周囲への配慮に欠けた振る舞いをする」などの項目について、20~40代社員に比べ、50代社員の方が課題と感じている割合が低く、世代間の課題認識にギャップがみられる。
→Q3参照
●「新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組む」ことに関して、20~40代社員は、50代社員にその能力があると評価し、期待もしている。一方、50代社員自身は、その能力が低いと自己を評価し、新しいことに取り組む意欲も低い。
→Q4・Q5参照
●50代社員の給与水準に関して、仕事の成果と比べて「低いと思う」50代社員は、20~40代社員に比べ3割近く多く、世代間の認識にギャップがみられる。
→Q6参照
 
  • Q1.あなたの職場にいる身近な50代の社員は、どのような点で会社に貢献していると思いますか。(複数回答可)※50代への質問:あなたはどのような点で会社に貢献していると思いますか。(複数回答可)

 

「新たな知識やスキルを素早く獲得する学習能力」「特にない」以外のすべての回答項目で、20~40代の方が、50代自身よりも高くなっており、総じて20~40代社員は、50代社員自身よりも50代社員のことを評価しているといえる。
特に、50代社員の「組織をまとめあげる強いリーダーシップ」という点について会社に貢献していると考えている割合は、20~40代社員が、50代社員自身にくらべ、20ポイント以上高いという結果となった。
逆に「特にない」と答えた割合は50代社員の方が6.3ポイント高く29.0%にもなり、50代社員の自己評価の低さ、自信のなさが伺える結果となった。
「豊富な経験に基づく、的確な判断能力と危機管理能力」「長年の経験によって身に着けた、専門性の高い知識や高度なスキル」に関する認識に関しては、20~40代社員と50代社員で、比較的ギャップが小さかった。
  • Q2. あなたの職場にいる身近な50代の社員に、期待する能力はどのような点ですか。(複数回答可)※50代への質問:あなたが20代~40代の社員から期待されている能力は、どのような点だと思いますか。

 

Q1と同様に「新たな知識やスキルを素早く獲得する学習能力」「特にない」以外のすべての回答項目で、20~40代の回答率の方が50代自身よりも高くなっており、総じて20~40代社員は、50代社員の能力に50代社員自身よりも期待しているといえる。
その差は多くの項目で10ポイント以上あり、20~40代社員の、50代社員の能力に対する期待の高さが見てとれる。
Q1と同様に、「特にない」と答えた50代社員の割合は、20~40代社員に比べ5.3ポイント高く22.0%にもなり、ここでも、50代社員の自己評価の低さ、自信のなさが伺える結果となった。
「豊富な経験に基づく、的確な判断能力と危機管理能力」「長年の経験によって身に着けた、専門性の高い知識や高度なスキル」に関する認識にしては、20~40代社員と50代社員で、比較的キャップが小さかった。
 
  • Q3.あなたの職場にいる身近な50代の社員について、仕事をする上で、どのような点を課題と感じていますか。(複数回答可)※50代への質問:あなたは仕事をする上で、どのような点を課題と感じていますか。(複数回答可)

 

 

50代社員の「デジタルツールに対応できない。」という点に関して、課題だと感じている20~40代社員が29.3%なのに対し、50代社員は9.0%しか課題だと感じていない。
「周囲への配慮に欠けた振る舞いをする。」という点に関しては、20~40代社員19.0%に対し、50代社員は5.0%しか課題だと感じておらず、課題に対する認識の差が明らかになった。
逆に、50代社員が「組織の方針に対して、積極的に取り組めない。」点に関しては、20~40代社員より、50代社員自身のほうが、一割ほど高く、課題だと感じていることが分かった。
「特に課題と感じる点はない。」と答えた50代社員の割合は、20~40代社員より2.7ポイント高く、50代社員の44.0%が、自身が仕事をする上で「特に課題と感じる点はない。」と感じているという結果となり、50代社員は概して自信の能力や振る舞いに対する課題認識が甘い様子がうかがえる。
 
  • Q4.あなたの職場にいる身近な50代の社員は、今後新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組むことができると思いますか。(単数回答)※50代への質問:あなたは、今後、新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組むことができると思いますか。(単数回答)

 

「若い社員以上にできる」と「若い社員と同様にできる」を合わせた割合は、20~40代が59.0%なのに対し、50代では50.0%と1割近く少なく、50代社員の、新しいことへ挑戦することへの自信のなさが伺える。
逆に20~40代の社員は6割近くが、50代社員は若い社員と同等かそれ以上に、新しいことへ取り組む能力があると評価しており、50代の能力に対する認識の違いが明らかになった。
 
  • Q5.あなたの職場にいる身近な50代の社員に、今後、新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組んでほしいと思いますか。(単数回答)※50代への質問:あなたは、今後、新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組んでいきたいと思いますか。(単数回答)

 

50代の社員は、「ぜひ取り組んでほしい」28.7%「できれば取り組んでほしい」59.0%と、20~40代社員の9割近くから、新しいことに取り組むことを期待されているが、50代自身は、33.0%が「できれば取り組みたくない」と回答し、50代社員は、若い世代から期待されているにも関わらず、新しいことに取り組むことに、消極的である様子が伺える。
 
  • Q6.あなたの職場における50代の社員の給料は、仕事の成果と比べて、適正だと思いますか。(単数回答)

 

その他の質問項目では、50代の社員の自己評価の低さが目立ったが、給料に対する質問では、「50代の社員の給料は、仕事の成果と比べて「低いと思う」」と答えた割合が、20~40代では10.3%に対し50代では38.0%にのぼるなど、概して50代社員は、20~40代からの評価より、仕事の成果に見合った給料をもらっていないと感じている割合が高いことがみてとれる。
 
  • Q7.あなたの職場にいる身近な50代の社員に対して、普段感じていることを自由にお答えください。(自由記述)※回答一部抜粋
20代
【ポジティブな意見】
・業務知識が豊富で、困った時に頼りになる。
・一見厳しそうに見えるが、優しくてしっかりと他の社員の方々への配慮がなされていること。
・特に「高齢」という感じはしない。バリバリ現役な感じ
・仕事ができてとても憧れである

【ネガティブな意見】
・給料に見合う活躍をしていない
・向上心がなく死んだ魚の目をしている
・上から目線だったり、女性蔑視な態度に、自分で気付いていないのが気になる。
・もう少し意欲を持って仕事をしてほしい。
・デジタルツールの導入を忌避する傾向があり、今後のIT化の弊害になる
・本当に凄いなって思う人とその逆の人にはっきり分かれます。
・仕事上では頼りになるが、コミュニケーションは取りにくい

30代
【ポジティブな意見】
・誰よりも仕事熱心で、周囲に刺激を与えている
・ムードメーカー、気まずい雰囲気も和ましてくれる
・勉強する意識が強く、常に改善点を探している
・人脈が広く助かる
・経験豊富で若い社員にも積極的に教育してくれる

【ネガティブな意見】
・使えないのに給料だけ高い
・会社人生ももう少し、厳しくされることも減っているということで、慣らし運転をしているように見える。
・忘れっぽくてさりげなくリマインドしないといけないので疲れる
・仕事をしてほしい。しゃべっている時間が長すぎ。プライベートの雑用を業務時間中にしている。
・全く仕事をしないで、世間話ばかりして文句ばかり言っている。 邪魔。 新たな知識、技術を取り入れようとしない。 特にデジタルツール
・自分をいつまでも若いと勘違いしていて自分がやっていることがセクハラだと気付いていない。仕事はできるが、それだけ。狭い会社で好意を持たれて迷惑している。
・色々なタイプの方がいるので、一概には言えませんが、あまり多くを語らず、偉そうにしない方は、総じて賢く信頼がおけ、頼りになります。それとは違うタイプとして、自分はお祓い箱だとか、あと何年で定年だとか、だいぶ早くから言っている人は、何と言っていいかわからず、対応に困るし、長年勤めたことが逆に悪い方向に働いて、有休、介護休暇、遅行、早退などやりたい放題なのが野放しにされているのを見ると、若手の士気が下がる原因にもなるので、できれば定年まで待たないで早期退職をしてほしいと感じる50代もいます。

40代
【ポジティブな意見】
・昔の50代と比較したら、体力もあるし、若いと思う。
・パワフルで経験値が高い。
・いざという時に頼りになる存在

【ネガティブな意見】
・会社全体が人材教育に課題がある。年配者も我流で仕事をしてきており、何が正解かわからない。
・ゴールが見えて、モチベーションや熱い思いに欠けている
・新しいことにたいする意欲的なチャレンジ精神が高まらない
・年功序列で出世しただけで、特にスキルも無く、管理能力があると勘違いしている人が多いです。
・パソコンなどでわからないことが多い気がするので、自分でも少し勉強してみてはと思うことがある
・とにかく頭が凝り固まっていて、偏見や差別がひどい。 そしてこのコロナ禍でも夜な夜な飲み歩き、飲みニケーションをまだやっていて迷惑
・人によって能力の差が激しい
・経験豊富で頼りになるが、新しいことへの取り組みにもう少し積極的になってほしい
 
  •  総評
50代社員をあきらめない! ~50代社員がこれからも活躍するために~
今回の調査により、一般的なイメージとして「窓際社員」「リストラ候補」などネガティブな文脈で語られることの多い50代社員について、20~40代の他世代からは概して肯定的な評価を受けていることが明らかとなった。
特に長年の豊富な経験により培った「判断力」や「危機管理能力」、「専門的な知識」は、経験の浅い他世代が持ち得ないものとして、今後も職場での能力発揮が期待されている。また、新たなスキルの習得や未経験の仕事へのチャレンジについても、年齢に関係なく前向きな取り組みが求められている。この点は、人口のボリュームゾーンである50代社員に対して、「まだまだ休まずに働いて欲しい」という若年層の意向も見え隠れする。
一方で、50代社員の自己評価は総じて低く、自らのスキル・経験に対する自信のなさが随所に見られた。また、新しい取り組みへの意欲、「デジタルツールへの対応」や「周囲への配慮に欠けた振る舞い」などに対する課題認識、自身の給与に対する感覚などは、他世代の回答と大きく乖離していた。
これらの結果を受けて、これからも職場で活躍するために50代社員、および50代社員を雇用する企業はどのようなことに取り組んでいくべきか?
50代社員については、他世代から受けた評価について慢心せず、適切に危機感を持って過ごして頂きたい。特に、会社に貢献できていることが特にないという人や、自身の課題を正確に把握できていない人などは要注意である。また、会社の若年層に比べて高い給与をもらっているにも関わらず、「給与が低い」と不満を持っている方は、改めて冷静に考えてみて頂きたい。あなたは本当に、あなたの年収の半分しかもらっていない20代社員の2倍以上の価値を発揮しているだろうか?会社は社員の働きをシビアに見ている。会社とのギブ&テイクの関係性をはき違えている人や自身の成長を止めてしまっている人は、現在の給料に見合う価値を発揮できていない可能性が高く、真っ先に早期退職や黒字リストラの対象になるだろう。
そんな状況に陥らないために、50代社員の方には改めて自身の経験・スキルを棚卸しし、会社に対して給料以上の価値を提供できているか確認することをおすすめする。
一方で、50代社員を雇用する企業については、是非50代を諦めないで頂きたい。
50代社員といっても様々である。アンケートの定性コメントにもあるように、確かに仕事をせず、周囲に悪影響を及ぼす50代も少なからずいるが、相応の価値発揮をしている50代もいる。一律で「使えない」という烙印を押すのではなく、他世代と同じようにまずは個として対応して頂きたい。その上で、給与にパフォーマンスが見合っていない50代に対しては、ダメな部分はダメとはっきり伝えて改善を促すことが重要である。
近年、大手企業を中心にコストの高い中高年社員の人件費を削る動きが活発になっているが、パフォーマンスよりも給与が高くなっている社員を生み出したのは、紛れもなくその企業自身であることを忘れてはいけない。経営者の方々は、社内に働かないおじさんが沢山いるからと言って、辞めてもらうという手段を安易に選択するのではなく、50代社員に一度しっかりと向き合い、彼らが働き方を改め、再度活躍する機会を与えて頂きたい。
(フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長 西尾 太)
 
  • 西尾 太(にしお・ふとし)プロフィール

 

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエーター・エージェンシー業務を行うクリーク・アンド・リバー社にて、人事・総務部長を歴任。これまで1万人超の採用・昇格面接、管理職研修、階層別研修、人事担当者教育を行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立し、多数の企業で展開されている。
「年収の多寡は影響力に比例する」という論は好評を博している。著書に「人事の超プロが明かす評価基準」(三笠書房)、「人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準」(アルファポリス)などがある。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。
  • フォー・ノーツ 代表取締役社長 西尾太の主な著書

 

 

2021年3月発行日経BP

2015年11月発行三笠書房

2021年1月発行アルファポリス
  • 会社概要
フォー・ノーツは、人事制度・人材教育・人事管理・採用など各施策の関連性を考慮し、トータルに機能する人事施策を実施。人事部門の実務経験があるからこそ実現できる「トータル人事システム」を提案します。

[社名]フォー・ノーツ株式会社
[代表者]代表取締役社長 西尾 太(にしお ふとし)
[創 立]2008年4月
[所在地]〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-40 ペガサス青山310
[TEL]03-6447-1321(代表)
[URL]https://www.fournotes.co.jp/
[事業内容]
●人事コンストラクションサービス
・人事コンサルティング
・人事制度設計/運用支援
・教育研修企画/開発/実施
●人事担当者育成事業
・人事の学校
・キャリア形成支援

 

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会社概要

フォー・ノーツ株式会社

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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂8-5-40 ペガサス青山310
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03-6447-1321
代表者名
西尾 太
上場
未上場
資本金
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設立
2008年04月