【吹田市教育委員会/子どもの発達科学研究所】デイリー健康観察アプリ「デイケン」を活用したいじめ対策・不登校支援等の成果を報告会で発表

2月17日 文科省委託事業の調査研究報告会を吹田市で実施。3月末まで録画配信あり。

吹田市教育委員会は、令和4年度に文部科学省から受託した「いじめ対策・不登校支援等推進事業」の取り組みについて、2023年2月17日(金)14時から「『いじめ・不登校等の未然防止に向けた魅力ある学校づくりに関する調査研究』報告会」(主催:吹田市教育委員会、共催:公益社団法人子どもの発達科学研究所)を開催し、事業成果を発表しました。
同受託事業は、昨年度に引き続き、公益社団法人子どもの発達科学研究所(本部:大阪市北区、代表理事:片山泰一)が全面協力。昨年度までに行われた研究・実践の成果を活かし、継続的かつ科学的ないじめ予防への取組を実施したほか、新たに日々の児童生徒の健康観察をデジタル化したアプリ 「デイケン」を活用し、児童生徒が簡便にSOSを発信できる環境づくりやリスクのある児童生徒の早期発見と早期支援を試みました。
今回の報告会では、吹田市内の学校で実際に「デイケン」を使用した実践例や使用前後での児童生徒の変化、取り組み成果の科学的な調査結果を発表しました。
3月1日(予定)から、当日の様子に解説を加えた動画をYouTubeで限定配信します。

 

 

2023年2月17日(金)14時~ 吹田市文化会館にて開催2023年2月17日(金)14時~ 吹田市文化会館にて開催

「いじめ・不登校等の未然防止に向けた魅力ある学校づくりに関する調査研究」報告会

~『デイケン』を活用した科学的な根拠に基づくいじめ等の予防の実現~
(文部科学省委託事業「令和4年度いじめ対策・不登校支援等推進事業」)

【開催日時】2023年2月17日(金)14:00~16:00
【会場】吹田市文化会館(メイシアター) 大ホール

【録画配信視聴申込はこちら】
吹田市教育委員会(吹田市立教育センター)
s-educ@city.suita.osaka.jp
※申込締切は2023年2月末まで。メールにて申込。

報告会当日には、全国の教育関係者を中心に、約200名が来場しました。
 
  • 今回の事業における3つの特長
今回の事業の大きな特長は、以下の3点です。
  1. 健康観察の内容を科学的に精査・改善したうえでデジタル化し、児童生徒のメンタルヘルスの日々の変化の把握と簡便なSOS発信の仕組みを実現しました(「デイケン」の導入)。
  2. 1で得たデータと、「こころの健康観察NiCoLi(*1)」や「学校風土いじめ調査(*2)」等のデータを比較・分析することで、「デイケン」の回答項目が科学的に妥当かを明らかにするとともに、「デイケン」の現場での利用の在り方とその可能性について検討しました。
  3. 昨年度に同委託事業にて開発した動画コンテンツの積極的活用や、「デイケン」「こころの健康観察NiCoLi」の利用による、いじめや不登校の予防に関する効果について検討しました。
■注釈(子どもの発達科学研究所の各プログラムについて)
(*1)こころの健康観察NiCoLi https://kodomolove.org/school_support_program/tool_nicoli
公益社団法人子どもの発達科学研究所が、弘前大学、浜松医科大学の協力により作成した、子どものメンタルヘルス(抑うつ・不安)と背景要因に関する調査システム。
子どものこころの健康(抑うつ・不安)を定期的に観察して支援ニーズのある子どもを早期発見、早期支援体制の構築をすることによって、不登校やメンタルヘルスのさらなる悪化を予防することを目的としている。

(*2)学校風土いじめ調査 https://stopijime.kodomolove.org/lp/
学校で起こっている「いじめ」や、その学校や学級の雰囲気(「学校風土」)について、信頼性・妥当性を科学的に検証した調査項目を用い、子どもたち1人ひとりが無記名で回答した結果を数値化して示す。表面化しにくいいじめ被害の実態や、漠然としていて捉えにくい「学校風土」の実態を正確に把握して明示することができるため、学校や学級の「強み(長所)」や「弱み(短所)」を客観的にとらえ、教師間で共有が可能となる。学校風土いじめ調査を用いることで、科学的根拠に基づき、課題解決に向けた具体的な学校経営を行うことができる。
※児童生徒向けには、「子どものための学校調査」という名前で実施している。
 
  • 健康観察をデジタル化し、SOS発信の仕組みも備える「デイケン」とは?
デイリー健康観察アプリ「デイケン」は、正式名称を「こころとからだの連絡帳 デイケン(以下、デイケン)」といいます。学校などにおいて、子どもたちが、毎朝各自のタブレット端末で、心身の状態や先生への相談希望について回答するWebシステムです。

健康観察と相談ニーズの把握のデジタル化に加えて、以下のような特長があります。

【デイケンの特長】
  • データを蓄積し、一人ひとりの体調、メンタルヘルスの変化を追跡することが可能
  • エビデンス(これまでの研究成果)に基づき、子どもの心身のリスクを判定してお知らせ(アラート機能)
  • これまで経験則に頼ることが多かった、先生方の判断を科学的にサポート
  • 先生方の介入支援行動のデータ化により、介入支援の記録の客観視、共有化が可能

「デイケン」に入力された回答データは、これまでの蓄積データと合わせて即時に解析されます。児童生徒の心身の状態がリスクが高いと判定されたり、児童生徒から相談希望がある場合は、先生用のダッシュボードにアラートが表示されます。個々の支援者の判断だけに頼るのではなく、対応の遅れや抜け漏れを防ぎ、学校全体での早期発見・早期支援が可能となります。

▼「デイケン」についての詳細はこちら
https://kodomolove.org/school_support_program/tool_dayken

「デイケン」に取り組む児童生徒(吹田市内小学校にて)「デイケン」に取り組む児童生徒(吹田市内小学校にて)

 

デイケンの児童生徒用画面(イメージ)デイケンの児童生徒用画面(イメージ)

デイケンの先生用画面(イメージ)デイケンの先生用画面(イメージ)

デイケンを利用した子どもの心身のリスクの早期発見・早期支援のフローデイケンを利用した子どもの心身のリスクの早期発見・早期支援のフロー

■「デイケン」に関するお問い合わせはこちら

公益社団法人子どもの発達科学研究所
Tel/Fax:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org
https://kodomolove.org/school_support_program/tool_dayken
 

  • 「デイケン」×「NiCoLi」×「学校風土いじめ調査」でわかったこと
今回の事業では、「デイケン」の実施と同時に、子どもたちのメンタルヘルスの状態を測定する質問調査「こころの健康観察NiCoLi」や学校全体の状態を把握する「学校風土いじめ調査」の2つの調査も行いました。
この2つの調査は、子どもの発達科学研究所によって既に科学的に信頼性・妥当性が確認されています。
これらの調査と組み合わせることにより、「デイケン」の回答項目が科学的に妥当かを明らかにするとともに、「デイケン」の現場での利用の在り方とその可能性について検討しました。

子どもの発達科学研究所 和久田学主席研究員からは
「『デイケン』実施校では、いじめ被害頻度の減少や学校風土得点の増加が見られる」「『デイケン』実施校では、新規不登校発生率が明らかに抑えられている」といった最新の調査結果などが報告されました。

また、和久田主席研究員は、今回の調査研究について
「『デイケン』がメンタルヘルスの悪化を予測している、『デイケン』の実施は不登校の発生を予防できる可能性を含んでいる、ということが今回の研究から明らかとなった。しかし、研究はまだ始まったばかりであり、今後も継続して実施していくことが必要」とも指摘しました。

図1 2020年度からの学校風土得点の変化(子どもの発達科学研究所の発表より)図1 2020年度からの学校風土得点の変化(子どもの発達科学研究所の発表より)

 

解説:「デイケン」を実施した5校のうち、元々、いじめ被害が少なかった1校を除いて、いじめ被害頻度は減少し、学校風土得点の平均値は上昇した。サンプル数から考えて、まだ明確なエビデンスとは言えないが、過去の調査では1学期に比べて2学期はいじめ被害が増加する時期であり、学校風土得点も1学期に比べて2学期は下がりやすい時期であることから、デイケン導入による効果である可能性が期待できる。
 

図2 デイケン実施校 新規不登校発生率(子どもの発達科学研究所 発表資料より)図2 デイケン実施校 新規不登校発生率(子どもの発達科学研究所 発表資料より)

解説:2学期開始時からデイケンを導入した学校では、非実施校に比べ、不登校の新規出現率が抑えられた。今回の結果はサンプル数が少ないため、統計解析を行っておらずエビデンスとまでは言い難い。今後に向けてその効果を明らかにすると共に、不登校の新規発生率が抑えられるメカニズムについても検討を行う必要がある。
 
  • 「デイケン」導入校の声
吹田市立教育センターからは、実際にデイケンを実施した学校現場の声も報告されました。

【教職員からの声】(吹田市立教育センターの事業報告より一部抜粋)
  • これまでの健康観察では分からなかった子供の様子を知ることができた。
  • フラグによって、子供の心身の状態が可視化されるのでわかりやすかった。
  • 子供たちの心の様子の変化がわかるので、早く対応できる。
  • 子供が話を聴いてほしいタイミングがわかる。
  • 普段声をかけてこない子供や目立たない子供など、コミュニケーションがなかなか取れていない子供と話すきっかけになる。
  • これまで以上に子供が教員に相談できる機会が増えた。
  • ワンクリックで先生から声をかけてもらえることは安心につながると思う。
  • 朝の忙しさが半減した。
  • 呼名式の健康観察と比較して、時間短縮になっている。

 
  • 動画コンテンツの積極的活用と子どもたちの変化
吹田市では、いじめ問題に関する取り組みとして、令和2年1月より、再現性のある科学的根拠に基づく研修、調査、授業を含んだいじめ予防推進事業を子どもの発達科学研究所へ委託し、現在に至っています。

令和3年度は、文部科学省「いじめ対策・不登校支援等推進事業」を受託し、いじめの被害者支援、加害者指導に加えて、全ての子供たちがいじめ予防スキルを学ぶことができる、オリジナル動画コンテンツ「ともだちづくり・かかわりづくりプログラム」を子どもの発達科学研究所と連携し作成。いじめの未然防止にも活用しました。

動画コンテンツの一例動画コンテンツの一例

動画コンテンツの一例動画コンテンツの一例


▼令和3年度の取り組みについてはこちら▼
(文部科学省  いじめに対する理解を促す動画教材)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1406070_00001.htm

今年度吹田市では、2学期以降にこの動画コンテンツをより積極的に活用し始めました。
コンテンツの内容を、令和2年度より吹田市内の全校で実施している「いじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGE(*3)の内容やワークブックと絡め、いじめに対する児童生徒の理解を深める授業を展開しました。
その結果、いじめ予防授業で学習したことをもとに、「これはいじめだと思う」という声が児童生徒から先生にあがり、いじめの早期対応に繋がったケースもありました。
また、保護者からも、動画コンテンツを活用した授業については、肯定的な意見があがっていました。

動画コンテンツを使用した授業の様子(吹田市内の小学校にて)動画コンテンツを使用した授業の様子(吹田市内の小学校にて)


吹田市では今後も、動画コンテンツの活用と「いじめ予防プログラム」を組み合わせた授業を継続していきます。
また、今年度は2学期からのいじめ予防授業をメインに使用していましたが、今後は4月当初の学級開きや、いじめ事案等が起こる前からの活用を予定し、さらなる予防効果を期待しています。

■注釈(子どもの発達科学研究所の各プログラムについて)
(*3)いじめ予防プログラム「TRIPLE-CHANGE」
https://kodomolove.org/business/course/prevention
世界で科学的根拠があると証明されているプログラムの先行研究を活かし、日本の学校で実施可能なものとして開発した、子どもの発達科学研究所独自のいじめ予防プログラム。このプログラムでは、多くの事例を通して、いじめ問題に関する「正しい知識/技法」を習得する。また、受講後すぐに現場で取り組めるように、指導案や教材も提供。受講修了生によって、多くの学校現場で実践され、効果を上げている。

■ 子どもの発達科学研究所およびプログラムへの問い合わせはこちら
公益社団法人 子どもの発達科学研究所
https://kodomolove.org/implementation
Tel/Fax:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org
担当:安田

 

  • 事業成果報告を受けて ~文部科学省初等中等教育局児童生徒課長による講評~
今回の調査結果および事業成果の報告を受け、文部科学省初等中等教育局 児童生徒課長 清重隆信氏は「データをとった後に子どもたちへの支援にどう繋げていくかのヒントが見えた。令和2年度間に不登校だった3割弱は年度内に復帰、約1割は改善している。6割の子どもたちは令和3年度も引き続き不登校状態が継続しているが、その数を上回る子どもたちが新たに不登校状態となっている。毎年このメカニズムで不登校児童生徒数は増えている。子どものこころの変化に気を留めるだけでも、お子さんの状況が改善したというデータもある。不登校の子ども達への対応で先生たちの負担も増えていることを考えると、何らかの形で子どもたちのこころの変化をキャッチすることが、不登校状態の改善へとつながるかもしれない。今回のような取り組みが広がることで、知見も蓄積されていく。それによって全体的な改善につながっていくことも期待できる」と講評を述べています。

なお、今回の報告会の参加者を対象に、報告会当日の内容に解説を加えた動画を、3月1日からYouTubeで期間限定で配信予定です。
録画配信のお申込みは、吹田市立教育センターにて2023年2月末日までメールにて受付中。

【報告会に関するお問い合わせ先】
吹田市教育委員会(吹田市立教育センター)
〒564-0072 大阪府吹田市出口町2番1号
Tel : 06-6388-1455
Fax : 06-6337-5412
E-mail : s-educ@city.suita.osaka.jp
担当 : 加藤


「いじめ・不登校等の未然防止に向けた魅力ある学校づくりに関する調査研究」報告会
~『デイケン』を活用した科学的な根拠に基づくいじめ等の予防の実現~

(文部科学省委託事業「令和4年度いじめ対策・不登校支援等推進事業」)
https://www.city.suita.osaka.jp/kosodate/1018299/1018324/1025063.html
主催:吹田市教育委員会、共催:公益社団法人子どもの発達科学研究所

◆開催日時:2023年2月17日(金)14:00~16:00
◆会場:吹田市文化会館(メイシアター) 大ホール
※当日の様子は後日録画配信も実施。録画配信のみの参加も可能。
◆プログラム:
14:00~ 挨拶
 主催者挨拶 吹田市長 後藤圭二
 共催者挨拶 公益社団法人子どもの発達科学研究所 代表理事 片山泰一
 来賓紹介
 来賓挨拶 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 清重隆信 氏
14:20~ 事業趣旨や委託の経緯
 吹田市立教育センター 所長 草場敦子
14:30~ 事業報告(1) 事業の目的、流れ、根拠となる考え方、デイケンの紹介
 公益社団法人子どもの発達科学研究所 所長 和久田学
14:50~ 事業報告(2) 現場での実践報告
 吹田市立教育センター 主幹・指導主事 加藤弘靖
15:05~ 事業報告(3) 現場から見た吹田市の取組
 吹田市立教育センター「魅力ある学校現場づくり研究会」市内小・中学校教諭
15:20~ 事業報告(4) 調査結果報告
 公益社団法人子どもの発達科学研究所 所長 和久田学
15:40~ 指導・ 講評
 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 清重隆信 氏
15:50~ お礼
 吹田市教育委員会 教育長 西川俊孝
16:00 閉会
 
  • 公益社団法人子どもの発達科学研究所について

 

https://kodomolove.org/
Tel/Fax:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org

子育て、発達障害、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体です。
いじめ予防に関するオリジナル動画コンテンツの制作やプログラムの普及を行うほか、子どもの「こころ」の発達や「学び」に関する正しい支援・対応が学べる講座をシリーズで提供し、教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ています。
すべての子どもの幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、研究、開発、コンサルティングなど、幅広く活動しています。

■子どもの発達科学研究所およびプログラムへの問い合わせはこちら
公益社団法人 子どもの発達科学研究所
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E-mail:info@kodomolove.org
担当:安田
 

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上場
未上場
資本金
-
設立
2010年01月