山梨県Nesradにて「ぷらマネ(R)リンク」の実証を開始 マルチベンダーによる太陽光パネル・蓄電池・EV・V2Xの統合制御を国内で初めて実現(※1)
複数メーカー製機器の一体運用により、高性能・省コストな太陽光発電施設の運営を実現
これまでの太陽光発電では、単一メーカーがパワーコンディショナーや蓄電池を供給し、異なるメーカーとの機器接続が難しいこともありました。「ぷらマネ(R)リンク」は、複数のメーカーの機器を統合して一体的に運用できることが特徴です。Nesradでの本実証サイトでは、国内最多種類(※3)の3カ国9メーカーの機器を統合して運用することに成功しました。さらに、国内のセキュリティ規格を満たし、高い安全性のサイバーセキュリティを実装しています。
【ぷらマネ(R)リンクの開発背景】
太陽光発電を最大限に活用するためには、蓄電池やEV(電気自動車)などの周辺機器を利用することによる、発電した電力の需給調整能力および消費量調整能力の向上が不可欠です。蓄電池やEVなどの周辺機器は、さまざまなメーカーによって製造され、特性も多種多様です。発電所設置から10~15年経過した時期は、周辺機器に不具合が起こる可能性が高くなりますが、修理や拡張を検討する際は当初購入した機器と同一メーカーの製品に依存せざるを得ず、自社の発電所に価格面や性能面で最適な組み合わせで導入したいというニーズを満たせないケースが多く見受けられます。
こうした状況を踏まえて、当社は蓄電池・EV・V2X対応充放電装置など周辺機器の組み合わせの柔軟性や選択肢の幅を広げ、発電所の修繕や拡張のタイミングで最適な性能やコストの製品をシームレスに組み合わせ、安全に運用ができる次世代エネルギー制御システム ぷらマネ(R)リンクを開発し、複合型太陽光発電施設での実証を開始しました。
電力の最適な運用管理のためにEMS(※4)が採用されるケースが多く見られますが、産業用複合型太陽光発電施設において太陽光パネル・蓄電池・EV・V2X対応充放電装置などを接続し一体的に運営する統合制御システムは、これまでニーズはあったものの実際には開発されていませんでした。ぷらマネ(R)リンクは、国内の産業用では初めて、マルチベンダーによるEVやV2X対応充放電装置を含む産業用複合型太陽光発電施設の統合運用や複数の発電施設の一元管理を可能にする、次世代エネルギー制御システムです。
※1 当社調べ、2023年9月現在、日本国内における太陽光発電の制御システムとして。
※2 V2Xとは、Vehicle to Everythingの略で、EV等の蓄電池をもつ自動車、ビル、 電力網、インフラなどを繋ぎ、電力や情報の相互供給を行うシステム。
※3 当社調べ、2023年9月現在、日本国内における太陽光発電の制御システムとして。
※4 EMS(エネルギーマネジメントシステム):エネルギーの使用状況を可視化し、最適なエネルギー利用を実現するための制御システム。
【ぷらマネ(R)リンクの主な機能】
産業用複合型太陽光発電施設のエネルギー制御システムとして、発電管理、蓄電制御、EV充電管理、計測、運用制御(電力の発電・消費・蓄電をリアルタイムで監視し運用を最適化)、需給計画(電力の需給調整の計画)、給電、請求処理などを一元的に運用できます。V2X対応充放電装置を産業用複合型太陽光発電施設でのシステムに取り入れ一体運用が可能となった点が革新的です。蓄電池を有するEVから取り出した電力と建物内の電力網を双方向につなぎ充放電を制御できるほか、災害停電時にはEVから放電することで、非常用電源の確保ができます。
【ぷらマネ(R)リンクの特徴】
(1) マルチベンダーにより高性能と低コストの両立を実現
本実証サイトでは、3か国(日本、中国、ドイツ)の9つのメーカーによる、太陽光パネル、パワーコンディショナー、遠隔監視装置、系統点メーター、V2Xシステム、蓄電池、EVなどの周辺機器を、メーカーによる制限がない柔軟な組み合わせで安全に統合制御しています。つまり、修理や拡張、更新する際に、必要に応じて多種多様なメーカーから、高性能かつ低コストな周辺機器を自由に選び組み合わせ、安全に制御することが可能です。
(2) サイバーセキュリティ対策による高い安全性の実現
安全性の高いホワイトリストファイアウォール(※5)により通信を強力に保護します。3つの日本国内のセキュリティ規格(※6)に準拠しており、昨今増加している企業へのサイバー攻撃のリスクを排除し、高い安全性を実現できます。
※5 ホワイトリストファイアウォール:必要な通信だけを許可し、 ホワイトリストに記載されていないネットワーク通信を全て遮断する仕組み。
※6 電力制御システムセキュリティガイドライン、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するサイバーセキュリティガイドラインVer2.0、自家用電気工作物に係るサイバーセキュリティの確保に関するガイドライン
(3) サステナブルな発電施設運用と省コストの実現
本実証サイトでは、再生可能エネルギーの未来を見据えた運用と省コストを実現するために、中古EVを蓄電池として使用しV2X対応充放電装置を組み合わせることで、海外製蓄電池と同等の費用対効果を実現しました。また、架台高があるメンテナンス性の高い太陽光発電を設計することにより、発電性能の維持と長期安定稼働を可能にします。
ぷらマネ(R)リンクでは、運用状況や設備に合わせ、カスタマイズが柔軟に行えることから、ピークシェービングなど最適な制御の細かい設定など電力の消費コストを最大限抑えることが可能です。また、複数の産業用複合型太陽光発電施設の導入により、災害・停電時の可用性も確保できます。
【ぷらマネ(R)リンクを開発するフルスタックのチーム】
当社は、電力業界に対する深い知見とデジタル技術を持ったメンバーで構成されています。電気・通信・ソフトウェア開発のエキスパートが集い、ぷらマネ(R)リンクを開発いたしました。
FIT期間終了後の太陽光発電施設の運用は複雑化するため、現在よりも高度なソリューションが求められています。ぷらマネ(R)リンクは、非FIT太陽光発電を効率的に運用するための具体的な解決策として、次世代の太陽光発電運営の形を後押しします。
今後も当社は100年続く太陽光発電の実現を目指し、デジタル化による管理の効率化とコスト削減を通じて太陽光発電所を適切に運営するとともに、太陽光発電の社会的価値・環境的価値を高めることで、カーボンニュートラルの実現に貢献して参ります。
●ぷらマネ(R)リンクの実証プロジェクトは、山梨県企業局との共同研究です。次世代エネルギーの世界最先端の研究を行う企業・団体の研究拠点である山梨県米倉山次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジ「Nesrad(ネスラド)」内で展開中です。
●本成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の支援で得られたものです。「課題設定型産業技術開発費助成金(新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業)」に採択され、助成を受けています。
【ヒラソル・エナジーについて】
ヒラソル・エナジーは、東京大学発の電力×デジタル技術で「100年後にも太陽光発電所が人と地球にとっての資産であり続ける未来」を目指す電力系スタートアップです。太陽光発電所の事業的価値と社会的価値を最大限引き出すことを目指し、発電性能の評価・リパワリング・買取・DXソリューションの開発を行っています。
社名 : ヒラソル・エナジー株式会社
本社所在地: 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ301
代表取締役: 李 旻(リ ミン)
事業内容 : 太陽光発電の評価・リパワリング・運営業務
および関連するデジタルソリューションの提供業務
設立 : 2017年2月21日
HP : https://pplc.co
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