オストメイトの快適な入浴をサポートする入浴用シール〈バスラック®シール〉が「2024年度グッドデザイン賞」を受賞
オストメイトを取り巻く社会課題の解決を目指す
アルケア株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:伊藤 克己、以下「アルケア」)の〈バスラック®シール〉が、この度2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしましたことをお知らせします。
〈バスラック®シール〉は、オストメイト※1の入浴に対する課題(ストーマ装具※2を目立たせたくない)の解決と、ニーズ(人目を気にせず入浴を楽しみたい)の実現を目指し、オストメイトの想いに寄り添って開発した入浴用シールです。
※1 さまざまな病気や事故などにより、お腹に排泄のための「ストーマ(人工肛門・ 人工膀胱)」を造設した人
※2 ストーマから排出された排泄物や分泌物を溜める専用の装具のことで、ストーマ装具は排泄物を溜めておくストーマ袋(パウチ)と、ストーマ袋をお腹に粘着させる面板から構成されている
■ グッドデザイン賞とは
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
デザインとは、人の悩みを解決することの一つだと解釈できた製品だった。シール自体が目立たぬように、錯視効果のある模様にしていることや、ゲル粘着剤を使用することで、肌への負担や剥れにくさを併せ持つことで、自ら制限せずとも毎日快適に入浴ができ、他者への配慮など、デザインのきめの細やかさが評価のポイントとなった。実際使用してみると薄さがあるにも関わらず、接着の仕方がきめ細やかなので綺麗に貼ることも出来、剥がれにくさも納得のデザインで、使い勝手がとても良い。製品はもちろんだが、オストメイトの社会的認知度の向上や周囲の理解をするための試みなども大きく評価したい。これを使用することで、少しずつでも行動範囲を広げられる方を増やし人生の満足度をあげてもらう人が増えることに期待したい。
開発者からのコメント
〈バスラック®シール〉は、オストメイトの方が抱える入浴の困りごとを背景に、人目を気にせずにリラックスして入浴できることを目指して開発しました。目立ちにくいデザインだけでなく、使いやすさにもこだわりが詰まっているため、グッドデザイン賞の受賞という形で評価していただけたことをうれしく思います。日本におけるオストメイトの社会的認知度はまだ低いですが、今回の受賞を機に理解が深まり、ストーマ造設前と変わらない日常生活が送れる社会を実現していくことが目標です。
アルケア株式会社 商品設計部 国内事業グループ 菅原 瑞希
デザイナーからのコメント
基礎研究者である私は、商品開発の分野は自分には縁がないと思っていたのですが、研究で培った技術や知識を〈バスラック®シール〉のデザインに活かすことができました。実際に商品を使ってくださったオストメイトの方にも喜んでいただけたことを、本当にうれしく思っています。今回の受賞をきっかけに、オストメイトに関する社会の理解が深まり、最終的には、ストーマ袋を目立たせなくする必要もない社会になることを願っています。
東京大学大学院 総合文化研究科 四本 裕子教授
■ 入浴時に使用したオストメイトの声
2024年4月1日の障害者差別解消法の改正施行日に合わせ、オストメイトが温泉などの公衆浴場での入浴に一歩踏み出すためのきっかけづくりを目的に実施した、「オストメイトのための日帰り温泉ツアー」の参加者に〈バスラック®シール〉を使用していただきました。その結果、8割以上の方が「〈バスラック®シール〉を使用することで、安心して温泉に入ることができた」「今後も〈バスラック®シール〉を使用したい」と回答されました。※3
※3 「オストメイトのための日帰り温泉ツアー」参加者アンケートより抜粋 調査方法:オフライン調査、調査期間: 2024年4月、調査対象:ツアー参加者のオストメイト(N=12・単一回答)
■ オストメイトを取り巻く社会課題の解決を目指す
オストメイトは、ストーマ装具の交換時を除き、入浴や就寝時などを含め常にお腹にストーマ装具を装着する必要があり、日常生活においてさまざまな困りごとが発生しています。中でも、入浴に関する困りごとが多く、アルケアが発行するオストメイト向け情報誌「向日葵(ひまわり)」で実施した「日常生活の困りごと」に関するアンケート※4では、「入浴」は第2位になっています。また、第9回オストメイト生活実態基本調査報告書※5によると、65.3%が公衆浴場や旅館・ホテルの大浴場を利用しないと回答しており、その理由としては「他人の目が気になる」「他の人の迷惑になるのを避けたい」「装具交換等が面倒である」「入浴を断られた」などが挙げられています。
このような中、2024年4月1日に障害者差別解消法が改正施行され、事業者にも障害のある人への障害を理由とする「不当な差別的取扱い」が禁止となり、障害のある人から申し出があった場合における「合理的配慮の提供」が義務化され、社会的障壁を取り除く動きが広まっています。しかしながら、オストメイトが温泉などの公共入浴施設にて入浴拒否をされたという報道もあります。また、オストメイトは内部障害に該当するため外見からは分かりづらく、排泄に関わるセンシティブなことでもあるため、ご自身がオストメイトであると周囲に伝えない場合があることも重なり、オストメイトの社会的認知と周囲の理解は十分に進んでいるとは言えません。
アルケアは、このようなオストメイトが抱える入浴に関する課題と社会的背景を受け、今回の受賞を契機に、オストメイトが温泉などの公衆浴場での入浴に一歩を踏み出すための製品や支援、きっかけ作りをより一層推進いたします。合わせて、オストメイトの入浴の選択肢を広げるために異業種と連携したプロジェクトや内閣府「災害の備え」コラボレーション事業への参画などを通じて「心のバリアフリー」を広めながら、オストメイトの社会的認知向上・理解促進に継続して取り組み、誰もが自分らしく生活できる社会の実現に貢献してまいります。
※4 調査方法:オストメイト向け無料情報誌「向日葵」内のアンケート用はがき、調査期間:2020年8月~10月、調査対象:オストメイト向け無料情報誌「向日葵」購読者(N=734・複数回答)
※5 出典:オストメイトの生活と福祉(令和4年11月) 公衆浴場や旅館・ホテルにおける大浴場の利用状況(N=3,930・複数回答)
■ 商品概要
商品名:〈バスラック®シール〉
商品特長
1.錯視効果を取り入れ、ストーマ装具の上から皮膚に貼っても目立たない
厚みのあるストーマ装具の上からシールを貼ると、どうしても凹凸が出てしまいます。この凹凸を目立ちにくくするために「錯視効果」に着目しました。視覚情報処理研究で著名な東京大学大学院 四本 裕子教授(当時、准教授)に、ストーマ装具を目立たせない錯視デザインの監修を依頼し、シール表面のテクスチャ(外観)について、クレーター錯視・ランダムドット・色平均化など複数のデザイン案を実験検証し、凹凸を最も目立たせないぼかし効果のある「まだら模様」を採用しました。
2.オストメイトへの親切設計
(1)〈バスラック®シール〉貼付前にストーマ装具をコンパクトに固定する仮留めシール付き
〈バスラック®シール〉でストーマ装具を覆う前に、装具をコンパクトに固定することで〈バスラック®シール〉本体の貼り付けをしやすくしています。
(2)テープの粘着面同士がくっつきにくい剥離紙の分割設計
剥離紙を順にはがしていくことで、ストレスなく貼り付けることが可能です。
(3)ストーマ装具が濡れにくい防水性
装具全体を覆って濡らさない防水機能で、装具を乾かす手間を減らせます。
(4)角質がはがれにくい粘着剤を採用し、肌負担の少ない仕様を実現
肌への負担を減らすために、肌表面の角質がはがれにくい粘着剤を採用しました。
基材に適度な伸縮性があるため、肌がつっぱりにくい仕様となっています。
■ オストメイトと共に歩み、自分らしいあしたを実現する
アルケアは、1965年に国立がんセンターの看護婦長(当時)からの要請により国産初のストーマ装具「ラパック」を開発しました。そこから約60年、オストメイトがストーマケアで必要とするストーマ装具だけでなく、ストーマ造設前と変わらない日常生活を送っていただくためのケア用品や生活支援用品(肌着や入浴用品など)のラインアップの拡充やストーマのある生活に役立つ情報・サービスの提供の強化を図っております。
「オストメイトの方に、生涯にわたって自由に安心して生活を送っていただきたい」という想いから、アルケアのストーマ領域では、あらたに「オストメイトと共に歩み、自分らしいあしたを実現する」をミッションに掲げました。オストメイトは、がんを含めたさまざまな病気や事故などによるストーマ造設とともに、ストーマのある生活をスタートします。同時に、それはオストメイトのご家族にとってもストーマのある生活が始まることを意味します。ストーマケアに関わる医療従事者、ストーマ装具販売店、そして私たちメーカーもそれぞれの立場からそれぞれの「ストーマのある生活」に深く関わり寄り添っていきます。
アルケアは、オストメイトと共に歩むことを通じて「今日よりも、明日をよくしたいと思っているケアをする人とケアを受ける人」を支えられるよう、製品・情報・サービスを研ぎ澄まし、ストーマに関わる全ての人が自分らしくいられる社会の実現を目指します。
ストーマケアサイト
https://www.alcare.co.jp/stoma-care/
■ アルケア株式会社について
1953年に国産初の石膏ギプス包帯「スピードギプス」の開発・製造に成功し、1955年に創業しました。ケアをする人・ケアを受ける人の双方にとって「親切な製品をつくる」という創業当時の想いはそのままに、現在は予防から社会復帰にいたるまで、ケアをプロセス視点で捉え、整形外科領域、褥瘡・創傷領域、ストーマ領域、看護領域の4つの専門領域で事業を展開しています。「ケアすることの可能性をもっと豊かに。ケアを受けることをもっと前向きに。」アルケアは、そんな明日の形を見据えて、磨きぬいた製品や情報、サービスを社会の隅々にまで広げてゆきます。また、2015年からパラアスリートを雇用し、デュアルキャリア(競技と仕事の両立)を実現できるようサポートしています。未来を担う子どもたちなどに向けて、全国でパラアスリートによる講演活動を継続し、誰もが自分らしく健やかに生きられる医療福祉社会の実現を目指しています。(令和4年度第2期 心のバリアフリーサポート登録企業および令和5年度東京都「心のバリアフリー」好事例企業)
社名: アルケア株式会社
創業: 1955年7月
代 表 者: 代表取締役社長 伊藤克己
売上高: 161億円 (2024年6月期)
従業員数: 576名 (2024年6月末時点)
URL: https://www.alcare.co.jp/
本社所在地: 東京都墨田区錦糸 1-2-1 アルカセントラル 19階(〒130-0013)
事業内容: 医療機器、医療用消耗材料の開発、製造、販売および輸出入
事 業 所: 本社(東京都)、医工学研究所(東京都)、工場(千葉県)、物流センター(東京都、大阪府)
営業所(北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県)
関係会社: オルトモスホールディングス株式会社、愛楽康医療器械(上海)有限公司
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