ゲーム利用者を動かすカギとは?ゲームの動機や好みに関する男女差を調査(後編)
ゲーム内で他者との交流を好むのは男性、それとも女性?ストーリー性を重視するのは? 1000人の成人男女を対象に行った最新アンケートの結果分析を、前編・後編の2回に分けてお届けします。

国内における成人男女の基本的なゲーム習慣を分析した前編に続き、本シリーズの後編では、人々がゲームをする動機、ゲーム内での他者との関わり、ストーリー性への関心、ゲーム関連コンテンツの視聴傾向、そしてゲームジャンルの好みについて、より深く掘り下げます。本調査からは、男女間における興味深い違いが浮かび上がり、「なぜ」「どのように」男性と女性がゲームと関わっているのか、その背景が明らかになりました。
主な注目すべき調査結果
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男性は達成感や人とのつながりを重視し、女性は主にリラクゼーションが目的
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女性はゲーム内での他者との交流に、男性ほど積極的ではない傾向
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ゲームのストーリーに対する関心は男性の方が高い
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ゲーム関連のライブ配信視聴率は、男性が圧倒的に高い
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男性は競争性やアクション性の高いソーシャル系ゲームを好み、女性は文化的要素やインタラクティブな要素を含むカジュアル・パズル系ゲームを好む傾向
以下で詳しい調査結果をご紹介します。
調査方法
本調査は、20歳から59歳までの国内の男女を対象に2025年4月に実施し、男性500名、女性500名、合計1,000名の回答を収集しました。さらに、今回の分析には、過去4ヶ月以内に実施した日本における精神衛生とゲームの関係を探る調査、およびゲーム習慣に関する国内調査のデータも活用しています。いずれの調査も、オンラインアンケートツール「Freeasy」を使用して実施されました。
調査結果
ゲームをする動機
ゲームをする動機には、性別による明確な違いが見られました。男性は、社会的交流(男性10%、女性5%)、達成感(男性32%、女性20%)、懐かしさ(男性19%、女性8%)を動機として挙げる割合が高い傾向にありました。一方で、女性はリラクゼーションを目的とする割合が最も高く(女性64%、男性56%)、その傾向が際立っています。
現在、ゲームをプレイする動機は何ですか?当てはまるものを全て選んでください。

ゲームを通じた社会的交流
ゲーム内では、男性の方が頻繁に他者と関わっている傾向が見られました。時々ゲームを通じて交流している人の割合は、男性が約23%、女性が16%でした。一方で、ゲーム内で他者と交流したことがない人の割合は、女性が57%、男性が48%となり、女性の方がゲーム内での他者との関わりを避ける傾向が強いことが分かりました。
ゲームを通じて友達や知人と交流しますか?

ストーリーへの関心
ストーリー性のあるゲームコンテンツに対する関心は、男性の方が高い傾向が見られました。「とても関心がある」と回答した割合は、男性が27%、女性が20%でした。一方で、「全く関心がない」と回答した割合は、女性が27%、男性が17%となり、女性の方が全体的に関心が低い傾向が見られます。
ゲームのストーリーに関心がありますか?

ライブ配信の視聴習慣
ライブ配信されるゲームコンテンツの視聴についても、性別による違いが見られました。ライブ配信のゲームコンテンツをよく視聴する割合は、男性が全体の約20%、女性が13%でした。また、「全く見ない」と回答した割合は、女性が51%、男性が31%と、女性の方がライブ配信に対する関心が低いことが明らかになりました。
ゲームのライブ配信(YouTube、Twitchなど)を見ますか?

幅広いゲームの嗜好と関心
調査結果から、さまざまなゲームジャンルやコンテンツにおける男女の好みの違いが浮かび上がっています。男性は、競争性が高いゲームやアクションゲームを中心に、ソーシャル機能やスキル向上要素を備えたゲームを好む傾向があります。一方で、女性はパズルやインタラクティブな要素、文化的なテーマを含むカジュアルゲームを好む傾向が見られました。
オンラインカジノゲームの経験者においても、顕著な性別差が確認されました。たとえば、日本文化をテーマにしたゲームを好む人の割合は、女性が約25%と高く、男性の約13%を大きく上回りました。また、ライブディーラーゲームのようなインタラクティブな体験に対する関心も、女性約42%に対し男性が約34%と、女性の方が高い傾向にありました。
これらの結果は、女性が文化的に親しめる要素やインタラクティブな体験に強く惹かれることを示し、ゲームの選択において明確な性別による傾向が存在することを裏付けています。
好きなオンラインカジノゲームのジャンルはどれですか?当てはまるものを全て選んでください

まとめ
さまざまな視点から行った今回の分析から、日本の成人におけるゲームに対する動機や関わり方には、性別による傾向が明らかに存在していることがわかりました。女性はリラクゼーション、シンプルさ、そして文化的に共感できるコンテンツを重視する一方で、男性は競争、コミュニティとのつながり、ストーリー性の深さを求める傾向があります。
こうした違いを理解することは、多様なゲーム利用者への効果的なアプローチを試みる開発者、マーケター、政策立案者にとって、貴重な手がかりとなるでしょう。

筆者:松本葵
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