アジア医療イノベーションの架け橋: 台北医学大学とBE Health、日台臨床領域で新たな価値を創出

「病院 × ベンチャーキャピタル × アクセラレーター」の連携体制で、日本進出を加速

BE Health

アジアにおいて高齢化とデジタルヘルスの進展が同時に進む中、日本政府はスタートアップ支援施策や地域医療提供体制の再構築などを通じて、国際的なイノベーションの受け入れを積極的に推進しています。このような環境のもと、日本市場の潜在力に着目したのが、台湾唯一の病院系ベンチャーキャピタルであるBE Healthです。

前回の記事では、低侵襲手術に注力し、IRCAD Taiwan を擁する秀傳医療グループをご紹介しました。

BE Healthが連携するもう一つの主要な病院パートナーは、スマートヘルスケアとAI分野の先進的な取り組みで広く知られる台北医学大学です。

BE Healthは約4,000床を有する台北医学大学と緊密に連携し米国・シンガポール・ドイツをはじめとする170社の国際スタートアップの台湾進出を支援してきました。これにより、台湾のスタートアップ・エコシステムにおける臨床応用への道筋を築いただけでなく、日本の医療界にとっても、新たなスタートアップ領域における国際共同臨床の可能性を切り拓いています。

この取り組みを最前線で推進する中心人物の一人が、台北医学大学バイオメディカル・アクセラレーター責任者である陳兆煒(Jowy Tani) 医師です。

臨床ニーズから出発し、医療イノベーション加速の「リアルな現場」を再構築

スタンフォード大学医学部、UCSF認知症センター、UCバークレーでの研鑽を経て、米国医師免許を持つ神経内科医・陳兆煒医師は、「現場に本当に求められるイノベーションとは何か」を常に問い続けてきました。

彼が病院の現場で直面したのは、台湾の臨床環境を十分に活用できていないという課題でした。

「現在の医療機器研究は海外製の機器を購入し、臨床試験を行うケースが多い。しかし台湾には優れた臨床環境が既にある。であれば、自ら医療機器を開発・設計し、台湾で臨床試験を実施することで、より大きな価値を創出できるのではないか」

こうした理念に基づき、陳兆煒医師はBE Healthと連携し、台北医学大学に北医バイオメディカル・アクセラレーターを設立しました。設立当初から「臨床ニーズ主導」「部門を超えた連携」「商品化を見据えた開発」を基本理念として掲げています。

「私たちが目指すのは、実験室内の研究成果ではなく、患者に確かな利益をもたらし、医師が実際に臨床で使用したいと考える製品の実現です。」と陳兆煒医師は述べています。

台湾を起点に広がる国際臨床連携の枠組み

台北医学大学とBE Healthによる「病院 × ベンチャーキャピタル × アクセラレーター」の連携体制では、臨床検証(Proof of Clinic Evidence)、事業モデル検証(Proof of Business Evidence)、投資連携、国際ネットワーク形成を統合したアクセラレーションプログラムを構築しています。

BE Healthは資金提供にとどまらず、医療現場に深く根差し、検証計画の設計支援や国際リソースのマッチングを通じて、病院とスタートアップの連携を推進する重要な役割を果たしています。

一方、台北医学大学はBiodesignに基づく国際ネットワークを活用し、米国・日本・シンガポールをはじめ各国の臨床医や専門家と連携。スタートアップに対し、製品設計、臨床試験計画、市場導入まで、一貫したグローバル視点の支援を提供しています。

陳兆煒医師は次のように述べています。

「台北医学大学とBE Healthが構築した『病院 × ベンチャーキャピタル × アクセラレーター』の体制により、臨床現場の視点と事業開発の視点を双方向に共有することが可能になりました。特に日本の医療機関との協働においては、BE Healthの役割が双方の現場ニーズや協力の形を迅速に共有する助けとなり、限られた時間をより価値あるものにしています。」

さらに陳兆煒医師は、数多くの国際協力を重ねる中で、台湾と日本の補完関係こそが価値を最大化する鍵であると強調します。台湾は柔軟性・スピード・実践的な臨床現場を備え、日本は多様な専門人材と規模の大きな医療市場を有しています。この補完性こそが、医療イノベーションの価値を加速的に拡大させ、国際展開へとつなげる重要な鍵となっています。

臨床的意義の高いイノベーション検証に向けた日本の医師との連携強化

BE Healthは2025年10月、東京にオフィスを開設し、日台間の医療連携とスタートアップの展開機会を拡充していきます。日本の医療制度の特性を踏まえ、BE Healthと台北医学大学は、より多くの日本の医師と協力し、臨床的意義と市場性を兼ね備えたイノベーション検証の環境を共に構築していくことを目指しています。

台北医学大学バイオメディカル・アクセラレーター責任者の陳兆煒医師は次のように述べています。

「単一の製品テストにとどまらず、実際の連携を通じて、革新的な技術を臨床現場でいかに最適に活用できるかを共に探りたいと考えています。BE Healthと台北医学大学は、台湾と日本それぞれの法規制・臨床・市場の知見を統合し、初期の調整から検証設計、成果導入までを包括的に支援し、日台双方の医療スタートアップが円滑に連携を開始できるよう後押しします。」

台北医学大学は、集中型データセンターやヒト研究部門などの体制を整え、データ統合力の高さで知られています。さらに、臨床リソースのコストは日本の約3分の1に抑えられており、実行スピードの速さも大きな強みです。

「経験やリソースをお互いに共有・統合することで、アジアの医療エコシステムはここから共に成長し、より実践的で人間中心の医療イノベーションへと進化していくことが期待されます。」

台北医学大学とBE Healthの目標は、台湾や日本にとどまらず、アジア全域に広がる臨床イノベーション・プラットフォームの構築にあります。医師であり、アクセラレーターの責任者であり、さらに起業家としての顔も持つ陳兆煒医師は次のように述べています。

「今後は、認知症ケア、デジタル長期介護支援機器、精密画像診断といった分野において、日台間でさらなる国際共同研究・検証プロジェクトを推進していきたいと考えています。そして、アジア各国の臨床医や医療機関の皆さまにも積極的に参加を呼びかけてまいります。」

医療パートナーと共に創る、アジアの未来医療

BE Health東京オフィスの設立は、単なる市場拡大にとどまらず、異なる文化・制度・専門性をつなぐ新たな連携への取り組みです。台北医学大学アクセラレーターが持つ臨床基盤と実務経験に、BE Healthのリソース統合力と国際戦略の強みを組み合わせることで、より多くの日本の医療現場のパートナーと共に、患者ニーズを起点としたイノベーションを診療の現場へ、そして世界へと広げていくことを目指します。

BE Healthについて

BE Healthは、メドテック分野におけるイノベーションの推進に注力しています。

当社には、「BE Accelerator」と「BE Health Ventures」という2つのビジネスモデルがあり、メドテック領域のスタートアップの開発から市場開拓まで包括的に支援しています。

「BE Accelerator」は台湾最大のメドテックスタートアップアクセラレーターであり、2018年の設立以来、台湾の3つの大手医療機関と連携し、約100名のメンターと共に150社以上のスタートアップへを指導してきました。また、総額200億ドルを超える資金調達を実現しました。

「BE Health Ventures」は、スタートアップへの投資を行い、持続可能な成長を支援しています。

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医療・病院医薬・製薬
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会社概要

比翼加速器股份有限公司

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業種
サービス業
本社所在地
Songshan District Taipei City, 10553, Taiwan Taiwan Tech Arena No. 2, Sec. 4, Nanjing E. Rd.,
電話番号
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代表者名
Arthur Chen
上場
未上場
資本金
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設立
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