東大スタートアップAI予防医学研究所、TIBで認知症予防ミニシンポジウムを開催
健康診断データのAI解析で認知症予防を推進 ~犬型AIロボットのデモも実施~
東京大学発スタートアップ株式会社AI予防医学研究所(所在地:東京都新宿区、代表取締役:酒谷薫、以下「AI予防医学研究所」)は、東京都が運営するスタートアップ支援施設TIBが実施するスタートアップ支援プログラムに採択され、2025年10月8日(水)から12月4日(木)にかけてTIB内の「TIB SHOP」にて出店を行い、無事終了したことをお知らせします。また、2024年11月20日(木)に、東京都が運営するスタートアップ支援施設Tokyo Innovation Base(TIB)において、ミニシンポジウム「認知症予防セミナー ~AICOGで未来の健康を守ろう~」を開催いたしました。本イベントでは、AIを活用した認知症予防の最新技術と介護DXシステムについて紹介し、多くの来場者にご参加いただきました。

■開催背景
AI予防医学研究所は、認知症の予防医療事業を行う東京大学発スタートアップです。コア技術としてAIを活用した認知症リスク評価モデル「AICOG(アイコグ)」を有し、人工知能を活用した革新的な予防医学ソリューションを提供しています。このたび当社は、東京都が運営するスタートアップ支援施設TIBが実施するスタートアップ支援プログラム「TIB SHOP」に採択されました。本シンポジウムはその一環として開催され、AICOGの技術と認知症予防の実践的なアプローチを広く一般の方々に知っていただく機会となりました。
■ ミニシンポジウムレポート
当日は、当社の代表取締役で脳神経外科専門医・医学博士・工学博士の酒谷薫が登壇し、日本における高齢化の進行と認知症予防の重要性について解説しました。厚生労働省の推計によれば、認知症の高齢者数は2025年に約471万6000人、2040年には約584万2000人へ増加するとされており、今後の社会にとって喫緊の課題となっています。一方で、認知症の発症に至る背景として日常の生活習慣(食事・運動・睡眠など)との関連が指摘されており、生活習慣の改善が認知症の発症リスク低減に寄与するとされています。
講演では、国内外の研究から、認知症の発症には生活習慣や代謝・血管性の要因が関係すること、また認知症の40〜70%が予防可能(※2)とされる最新の研究知見が紹介されました。酒谷は、「日常の生活習慣を見直すことが予防の第一歩となる」と強調し、特に高血圧・血糖値・脂質代謝の管理、運動習慣の継続、社会的交流の維持などが重要であると説明しました。続いて、当社が開発を進める認知機能障害リスク推定システム「AICOG」について解説、一般的な健診データをAIで解析し、認知機能低下リスクを定量的に可視化する仕組みを説明しました。「AICOG」は、特別な検査を必要とせず、健診データを基に短時間で解析が行える特性から、医療機関・介護施設・自治体などさまざまな領域で予防施策として活用される可能性があることを説明しました。その具体事例として、大阪府羽曳野市や山梨県と共同で実証実験が進められたことを紹介しました。
※1厚生労働省発表「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」
※2 Lancet Healthy Longevity(2024年)JAMA Internal Medicine(2024年)Nature Human Behaviour(2023年)

■ ロボットデモ:AI-Boxと犬型ロボットの連携を来場者に紹介
講演後には、当社が開発した超小型オンプレミス型AIデバイス「AI-Box」と、犬型AIロボットの連携デモンストレーションを実施しました。AI-Boxは施設内でデータ処理が完結するため、通信環境に依存せずに稼働できる点が特徴であり、介護現場のように安全性と実用性が求められる場面での活用が想定されています。
デモでは、犬型ロボットが見守りや誘導といった動作を模した動きを行い、来場者はAI技術が介護現場にもたらす可能性を体験、介護負担の軽減に向けた技術の一例として、参加者から大きな関心が寄せられました。
■ 「TIB SHOP」出店概要
2025年10月8日(水)から12月4日(木)にかけて、当社はTIB内の「TIB SHOP」にて出店機会をいただき、AI-Boxの実機展示やAICOG®の解析コンセプト紹介、介護DXのユースケース提示などを行いました。来場者は研究内容に直接触れながら、予防医療・介護DXへの理解を深めました。TIBというスタートアップ支援拠点の特性を活かし、技術に関する対話や意見交換が多く生まれたことで、社会実装に向けた重要なフィードバックを得る場となりました。

AIを活用した認知症リスク評価モデル「AICOG」
AICOGは、人工知能(AI)を活用して、一般的な健康診断の血液検査データや年齢情報から、将来の認知機能障害リスクを予測するサービスです。通常の健康診断で得られる血液検査データのみを使用するため、追加の採血や特殊な検査を行う必要がありません。
※AICOGは医療機器ではなく、診断・治療を目的としたものではありません。
超小型オンプレミス型AIデバイス「AI-Box」
介護現場(施設、家庭等)にAIを導入する安全で効率の高いAIソリューション
・オフライン環境でも完全に動作・電源を入れるだけで即利用開始
・専門AI知識が不要・全てのデータ処理が施設内で完結
・機密情報が外部に漏洩するリスクは一切なし
・超小型サイズ 20cm×20㎝×10cm・100万円以内の低価格

「AI-Box」による介護DXシステム
AI-BoxにプレインストールされているAIソフト「AICOG」は、健診データのAI解析、認知症リスク推定、個別的生活指導を行います。一方、スマートウォッチが日常の生体・行動データ、血圧(超小型カフ付き)、ストレス度、睡眠状態などを測定。AI-Boxは、これらのAICOGによる解析データとスマートウォッチから取得した日常データを統合し、介護記録の自動作成、利用者への応対支援等を通じて介護スタッフの業務負荷を軽減します。
※スマートウォッチのサービス提供:株式会社テクノクラフト

「AI-Box」と連携した犬型AIロボット
AI-Boxと犬型AIロボットを組み合わせて、介護現場・高齢者施設での見守り・会話・誘導対応を実現します。
※ロボットのサービス提供:株式会社パラテク

■東大の認知症予防研究と「AICOG」について
東京大学大学院新領域創成科学研究科の酒谷薫(共同研究員、前特任教授)らの研究グループでは、AIを用いて一般の健診データから認知症の早期発見および予防に関する研究開発を行ってきました。AICOG(アイコグ)は、酒谷の研究グループにより開発されたアルゴリズムであり、生活習慣病やフレイルといった全身性代謝障害の情報から、将来的な認知障害リスクを推定します。人工知能(AI)の深層学習技術を応用し、健診データを解析することで、認知機能の低下リスクを推定します。
AICOGは、アルツハイマー型認知症に特徴的なアミロイドβなどのバイオマーカー測定を必要とせず、一般的な健康診断データのみで解析が可能です。特別な検査を要さないため、過去の健診結果の解析や大規模なスクリーニングにも応用できます。
また、健診の血液データなどをもとに、個々人のリスク因子に応じて、生活習慣の改善に役立つ食事や運動の参考情報を提供することが可能です。
※AICOGは医療機器ではなく、診断・治療を目的としたものではありません。
(参考文献:Frontiers in Neurology, 2020, 2022;特許第6702836号、第6845716号)
■「AICOG」開発者について
・代表取締役CEO 酒谷薫 (さかたに・かおる)
医学博士、工学博士、脳神経外科専門医。東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員(東京大学大学院新領域創成科学研究科前特任教授)、医療法人社団醫光会理事長。(一社)脳とこころの健康科学研究所理事長。

■株式会社AI予防医学研究所
会社名: 株式会社AI予防医学研究所
設立日: 2024年6月
所在地: 東京都新宿区新宿5-11-25 アソルティ新宿5丁目302
代表取締役: 酒谷 薫
事業内容: AI技術を活用した予防医学システムの開発・運営、健康管理アプリケーションの提供
プレスリリースに関するお問い合わせ:ap-kanri@aipremed.ai
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