【ドラマの世界観を支える一冊】小泉八雲とセツ、異文化を超えて寄り添った夫婦の13年を綴った『思ひ出の記』
小泉八雲記念館監修のもと、セツの手記2編を初収録
2024年12月、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツによる回想記『思ひ出の記』が、島根県松江市の出版社より新装版として刊行されました。旧仮名づかいを現代表記に改め、新たに「注」を設けるなど、幅広い年代の読者に親しみやすい形に再編集されています。
八雲とセツの13年8ヶ月にわたる結婚生活を、傍らで寄り添ったセツのまなざしから描いた本作は、文豪ラフカディオ・ハーンの“人間”としての実像を浮かび上がらせる一冊です。

■ NHK連続テレビ小説『ばけばけ』制作陣も「バイブル」と語る一冊
2025年9月29日より放送が開始されたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の制作過程において、制作プロデューサーの橋爪國臣氏および、主題歌を担当するハンバートハンバートの佐藤良成氏が、小泉セツ著『思ひ出の記』を制作の参考として読まれていたことが明らかになりました。
橋爪氏はインタビューで次のように語っています。
「『思い出の記』を役者さんに読んでもらって、『私たちがやりたい空気感というのは、こういうことです』とお伝えしています。主題歌を担当したハンバートハンバートにも『思い出の記』をお渡ししていて、本の雰囲気を曲にしていただきました。ですから、『思い出の記』という本が実は私たちのバイブルになっています」
(出典:MANTANWEB「ばけばけ:いきなり“おでこキス” 初回冒頭シーンの狙いと裏側 小泉セツの「思い出の記」がバイブルに?」)
また、主題歌を手がけたハンバートハンバートの佐藤良成氏も、自身の公式サイトで次のように述べています。
「モデルとなった小泉セツさんの『思い出の記』をただただ繰り返し読み、自分がセツになったつもりで一気に作りました」
(出典:ハンバートハンバート オフィシャルウェブサイト「ハンバート ハンバートがNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌を担当!」)
※本書は、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の原作本ではありません。
■解説:小泉 凡 氏(小泉八雲記念館館長)
解説は、小泉八雲記念館館長であり、小泉セツの曾孫にあたる小泉凡氏が執筆。
本書について次のように評しています。
「『思ひ出の記』は、セツの人生のいわばクライマックス期における、妻として、リテラリー・アシスタントとして、そして何よりも家族として、ハーンの最も身近にいた者の回想記である。」
■本書の特徴
初翻刻・初の全文掲載となる手記を2編収録
新装版『思ひ出の記』では、表題作に加えて、小泉セツの手記「オヂイ様のはなし」、「幼少の頃の思い出」(池田記念美術館所蔵)を初収録。
いずれも本書が初の全文掲載となります。
「オヂイ様のはなし」
本稿では、セツの母方の祖父・塩見増右衛門にまつわる逸話が綴られています。
塩見家は代々松平家の家老を務め、増右衛門は9代藩主・松平斉貴公の放蕩を、死をもって諫めたことで知られています。
「あなたのお祖父様は忠義なえらい方でございました。私はそう聞くと自分がほめられた様にほこりを感じてなんとなく愉快でした」
と、セツは先祖への誇りを記しています。
また、無縁となった祖父の墓を東京で探し出し、お墓参りを果たした際の感慨も描かれています。
「幼少の頃の思い出」
幼少期の記憶を断片的に綴ったこの手記では、3歳で「もらい子」であることを知ったセツの複雑な心情と、養父母への深い感謝が描かれます。
また、初めて出会った西洋人・ワレットとの印象的なエピソードも記されています。
「もしもワレットから小さい虫眼鏡をもらっていなかったら、後年ラフカヂオ・ヘルンと夫婦になる事もむずかしかったかもしれぬ」
と、セツと八雲の運命を暗示するような一節を残しています。

◆小泉セツ(節子)について
1868年、松江藩家臣の小泉家に生まれ。
松江に英語教師として赴任してきたラフカディオ・ハーンと出会い、結婚。ハーンの再話文学創作における最大の功労者といわれる。1932年没。64歳。
◆書籍概要
書名:思ひ出の記
著者:小泉節子(セツ)、監修:小泉八雲記念館
解説:小泉凡(小泉八雲記念館館長、小泉セツ曾孫)
カバー(小泉セツ)イラスト:Soh(漫画家、小泉セツ玄孫)
価格:1,760円(税込)
ページ数:134頁
発行日:2024年9月26日
発行:ハーベスト出版
ISBN:978-4-86456-533-2
Amazon https://amzn.asia/d/gy3VYPK
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