障害のある社員が「長く働き続けられた」理由、1位は"配慮"ではなかった。身体障害当事者エージェントが、一般企業でフルタイム就業する30名に聞いた"定着の本音"を公開。障害者転職エージェントハッピー調査
特例子会社・農園型・サテライトオフィスを除き、「健常者と同じ職場で、戦力として働く」身体障害・精神障害当事者へ限定調査。定着の決め手は、手厚い配慮よりも「正当な待遇と対等な評価」当事者の本音が明らかに
■ 3行でわかる本調査
1:「長く働けた理由」の1位は、待遇(50%)。
次いで"障害者枠"ではなく一人のプロとして対等に評価されること(約35%)でした。
2:「辞めた理由」は、その裏返し。
待遇の頭打ち・キャリアの制限・人間関係のこじれの順でした。
3:定着に効くのは「特別な配慮」より、「正当な評価と、対等な機会」。
配慮はその土台としてある、という当事者の本音が見えました。

■ 調査概要
一般的な障害者雇用の調査は、特例子会社や農園型・サテライト型を含むことが少なくありません。本調査は、それらを除き、一般事業会社に直接雇用され、健常者と同じ職場でフルタイム勤務する障害当事者に絞って実施しました。「戦力として働く人が、なぜ定着できるのか」を明らかにするためです。
項目 内容
調査対象:ハッピーが就業・キャリアを支援し、一般企業でフルタイム就業する障害当事者
有効回答:30名(身体15/精神・発達14/知的1)
調査時期 :2026年7月〜8月
調査方法 :個別ヒアリングおよびアンケート
実施主体 :障害者転職エージェント「ハッピー」(JOME(ジョミー)株式会社)
※回答者はハッピーと接点のある方に限られ、ご障害のある方全体を代表する調査結果ではありませんので、予めご了承ください。

■ 結果1|「長く働き続けられた」理由 ベスト3
第1位|待遇(15名・50%)
最も多かったのは、正当な給与・待遇でした。一般的な障害者雇用の水準より高く報われていること、「これほどの条件を出す会社は他にない」という納得が、離職を踏みとどまらせる防波堤になっています。単なる金額ではなく、"一人の人間として、普通に生活し、人生を楽しむための正当な対価"が得られている、という手応えです。
第2位|"障害者枠"ではなく、対等に評価されること(10名・約35%)
「障害者だから」と特別扱いされず、キャリアに天井を作られないこと。健常者と同じ土俵で評価され、成果に応じて正当に報われること。必要な合理的配慮は担保されたうえで、仕事の評価は対等——このバランスへの納得が、定着を支えていました。
第3位|オープンな社風と、人事の継続的な関わり(5名・約15%)
立場や障害の有無に関わらず率直に議論でき、終わればしこりを残さない風通しの良さ。そして、半年に1回程度の人事面談で、表に出しにくい体調や事情を継続的に拾う仕組み。「全社的に離職率が低い=誰にとっても働きやすい」土台の上に、障害者の定着も成り立っていました。

■ 結果2|「辞めた・辞めたくなった」理由 ベスト3
辞めることは、多くの人にとって最終手段です。
そのうえで挙がった理由は、定着理由の"裏返し"でした。
第1位|待遇の頭打ち
同じ職場で働いているのに、「障害者雇用だから」という見えない壁で給与が上がらない。努力が数字で報われず、後から入った人が伸びていくのを見て、意欲が削がれていく。
第2|仕事・キャリアの制限
役職ではなく、任される「業務内容そのもの」に線を引かれる。希望の部署・職種に進めず、成長の実感が持てない。
第3位|人間関係のこじれと、そこからの離脱
最後の引き金は、多くの場合「人間関係」でした。ただし内実は、単なる相性の問題ではありません。
体調の波や、自己否定的な思考(ゼロか100かで考える/回避してしまう)が重なると、本来なら持ち直せる場面でも「もう無理だ」と感じてしまう。 こじれる前に、第三者が"踏みとどまる伴走"をできるかが、定着の分かれ目になります。

■ 人事の方への提言|定着は「配慮」より「正当な評価と機会」から
本調査が示すのは、シンプルな逆説です。
障害のある社員の定着を決めるのは、手厚い配慮の量ではなく、「一人の戦力として、正当に評価し、機会を開いているか」でした。配慮は不要という意味ではありません。
配慮は"土台"として当然に必要で、そのうえで待遇・評価・機会という"働きがい"が伴って初めて、人は長く働き続けます。
そして、制度で担保できない最後の一歩が「人間関係のこじれ」への対応です。ここは社内だけでは抱えきれないことも多く、第三者が定期的に関わり、こじれる前に伴走することが効きます。
定着チェックリスト(人事の方向け)
・障害者雇用の給与・等級に、見えない上限を設けていないか
・業務内容・異動・昇格の機会を、健常者と同じ基準で開いているか
・合理的配慮と、業務評価を、混同せず切り分けられているか
・体調や事情を継続的に拾う面談の仕組み(半年に1回など)があるか
・こじれる前に相談できる、社外の第三者との接点があるか

■ 代表メッセージ
1位が「お金」と聞くと、意外に思われるかもしれません。けれど私自身、当事者として、その気持ちはよく分かります。
私はかつて病気で身体に障害が残りました。それでも普通に暮らし、人生を楽しみたい。そう願って、東京で働き続けてきました。その原動力の一つが、働いた分だけ正当に評価され、きちんと対価を得られることでした。
もちろん、障害のある方ご自身が、一人の戦力として成果を出すことは大切です。そのうえで、障害があるからと「特別扱い」するのではなく、成果や役割を正当に評価し、機会をひらく。そして、職場での課題が大きくなる前に、必要なときにはそっと伴走する。
それが、私たちがいちばん大切にしていることです。
JOME(ジョミー)株式会社
代表取締役 山口徳二
(身体障害者手帳5級/当事者)
■ 会社概要
会社名:JOME(ジョミー)株式会社
代表取締役:山口徳二
所在地:〒105-0013 東京都港区浜松町2-7-17 イーグル浜松町502
事業内容:障害者専門転職エージェント「ハッピー」の運営
有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-319514
サービスサイトhttps://happyy.jp/
■ お問い合わせ
定着や採用のご相談・壁打ちは、お気軽にどうぞ。「自社の障害者雇用、これでいいのか」という段階のご相談も歓迎します。
お問い合わせフォーム:https://happyy.jp/inquiry
担当:山口
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