【2024年 虐待被害者と働き方の関係性調査】虐待の後遺症を職場で打ち明け、支援を受けられたのは全体の7%
「虐待サバイバー向け合理的配慮ハンドブック」の開発の一環として、虐待の後遺症が働き方に及ぼす影響について調査を実施。職場へ相談し、支援を受けられたのは全体の7%であることが分かった。
虐待問題に取り組んでいる株式会社RASHISA(本社:東京港区、代表取締役:岡本翔)は、虐待経験者の職場環境と就業状況を知るため、オンラインアンケート調査『虐待経験者の職場環境と就業状況に関するアンケート調査』を実施しました。虐待の後遺症の複雑性と、人間関係やメンタルヘルスの面での支援が職場で求められていることが見えてきました。
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査期間: 2024年3月8日~3月31日
■調査対象:虐待経験者であると自認している18歳以上の男女
■有効回答数:147名
【結果サマリー】
・正規雇用者は20%に止まり、30%は就業をしていない
・半数が複雑性PTSDを患っており、他にも発達障害など複数の症状を抱えるケースも多い
・虐待の後遺症を職場で打ち明け、支援を受けられたのは全体の7%
・職場での困りごとは80%が人間関係の問題、その次にメンタルヘルスの問題が70%の結果に
・職場で求められている支援は、メンタルヘルスや人間関係を第三者に相談できること
【調査結果】
①就業状況は3割が無職、正規雇用は2割。8割が何かしらの障害などの診断を受けている。
▼虐待経験の種類
今回の回答者の虐待経験について、「心理的虐待」89.1%、「身体的虐待」67.3%、「ネグレクト」53.7%、「性的虐待」38.1%が上位に挙げられました。
▼就業状況
全体の約3割は就業しておらず、正規雇用が約2割、非正規雇用が約3割の結果に。
その他、就労継続支援事業所にて支援を受けながらの就労や就労訓練中の方、自営業を営む方も少数見受けられました。
▼経験した業界と職種
業界については「飲食」44.2%、「医療・福祉・介護」34%、「小売」33.3%が上位に挙げられました。
職種は「接客」が66.7%と半数以上を占め、その次に「医療・福祉」29.9%、「製造・生産」25.9%、「営業」21.2%が上位に挙げられました。
▼障害などの有無
「複雑性PTSD」を抱えている方が約半数、その他にADHD、ASD、発達性トラウマが挙げられました。
複数の症状を抱える方も多く、診察を受けていない方も一定数いることが分かりました。特に自覚がないと回答した方は11%でした。
※先天性のもの、虐待の後遺症と考えられるものと同様に質問しています。また、虐待の後遺症には各々の経験や生まれ持った性質により様々な症状や困り事があり、必ずしも病名が付いて診断できるとは限りません。
②職場での困りごとに「メンタルヘルス」と「人間関係の問題」が挙げられ、第三者に相談できる仕組みが求められている
▼被虐待経験の有無を職場でカミングアウトしましたか?
▼虐待経験者の後遺症
虐待経験者が後遺症として抱えやすい課題として、「自己評価が低い」79.6%、「人付き合いが不安」76.9%、「ストレス体制が低い」76.9%などが多くの回答者に当てはまりました。
対人関係の悩み、自己肯定感の低さ、感覚過敏、トラウマ記憶のフラッシュバックなど、個々人が抱える課題は多岐に渡ります。
▼職場での困りごと
虐待経験者が職場で抱える問題として、「人間関係の問題」79.6%、「メンタルヘルスの問題」68%、「職場の環境」37.4%が上位に挙げられました。
虐待の経験を打ち明けるかどうかは個人の自由であることを前提に、職場で相談しづらい背景として、「昇格や昇給に影響が出る可能性」や、「理解されなかった場合、逆に精神的なダメージがあること」を想定して、抱え込んでしまう現状が見えてきました。
▼コメント抜粋
・精神科への通院があるので休まないといけないが、理由を言えない。
・障害を会社にオープンにしていないので、上司などに相談できない。障害を相談したら昇格や昇給に影響が出るのではと不安でオープンにできない。
・相手の期待に応えられないと、嫌なことや(叩かれたり等が起こることはもうないと分かっていても、)何か辛いことが起きてしまうのではないかと不安になってしまう
・男性の大きな声が聞こえると動悸がする。調子が悪い時は、善意も悪意と受け取ってしまう
・障害への理解が殆ど無かったです。医者に行かなくても気合いで治ると何度も言われました。
保証人を用意するのは社会人のマナーだと何度か説教をされました。好きでいないわけではないので、言われてもどうしようもありません。精神的には乗り越えられたものの、肉体的な後遺症のせいで、目と心臓の調子が悪く、長時間働けないのが悩みです。
▼職場にあると良いサポート、理想の職場環境について
職場にあると良いサポートについて、「メンタルヘルスサポート」73.5%、「人間関係の改善」63.3%、「ワークライフバランスの改善」49.7%が上位に挙げられました。
期待に応えようとしてキャパオーバーになってしまう、自分からSOSが出せない方が多いため、産業カウンセラーなどの第三者に相談できる仕組みなどが求められています。
▼コメント抜粋
・対面だと伝えにくい健康状態や心理状態をwebアンケートなどで直属の上司に伝えて理解してもらえると、仕事が捗らない罪悪感や焦りを1人で抱え込まなくて済むのかなと思います。
・障害に対する知識や理解があるといいです。定期的に体調などを面談して聞いてもらえるといいです。
・有給の取りやすさ(理由を言わずに休める、例えば通院など)
・一人で横になれるスペースがある
・トラウマがフラッシュバックする業務は避けたい。他は全力で行う。
・保証人や緊急連絡先がいないことに最も困っています。免除してほしいです。就職先の選択肢が物凄く少ないです。保証人がいないことを理由に退職しなければならなくなったこともあります。
・何人かで仕事を分担できて急に休んでも嫌な顔をされない環境。
アンケート全回答、「虐待サバイバー向け合理的配慮ハンドブック」のダウンロードはこちらから
他にも具体的な虐待の後遺症、職場での悩み事や必要なサポートなどの全回答は、こちらからダウンロードいただけます。
▼虐待経験者の職場環境と就業状況に関するアンケート調査(全回答)
https://forms.gle/xwXqXQXZoG3N9mVp7
被虐待経験や困り事を職場に打ち明けるかどうかは個人の自由であり、会社が個々人を支援することは難しいと考えています。
しかし、後遺症の影響を伝えられているだけで、お互いに対策できることもあります。例えば、断ることが苦手で頑張りすぎてしまう人がいた時に、事前に共通認識を持っておくことで仕事の割り振り時点で調整をしたり、声がけをしたりできますし、当事者も助けを求めやすくなります。また、心身の不調について、定期的にアンケートフォームなどで伝えられることで、相談のハードルを下げる仕組みもRASHISAでは実際に活用しています。
仕組みで解決できることはたくさんあると考え、「虐待サバイバー向け合理的配慮ハンドブック」を、自社で実証実験をしながら制作中です。
また、この取り組みは虐待サバイバーに限らず、全ての働く人々の働きやすさにも繋がってくる仕組みになり得ると考えています。ご興味のある方は、まず資料を読んでみていただけますと幸いです。
▼株式会社RASHISAで働く虐待サバイバーと共に、虐待経験者の特性や取るべき社内施策をまとめた「虐待サバイバー向け合理的配慮ハンドブック」
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScS-L9N6Ykxx5tqxPMLNKyhaD0kaoGzJ_aqJ6EHkzrujIyhEg/viewform
◆株式会社RASHISAについて
株式会社RASHISA( https://rashisa123.com/ ) は「ビジネスの力で「世界一」虐待問題を解決する」をコーポレートミッションに、虐待に関係する事業展開をするベンチャー企業です。
現在は虐待経験者の方の雇用創出を目的とした、営業代行事業を中心に運営しています。また、虐待経験者の方々と合理的配慮ハンドブックを共同制作し、虐待の後遺症があっても働きやすい環境と業務の構築に取り組んでいます。
▼虐待サバイバー向け営業代行サービス「RASHISAセールス」
・今回の調査に関して詳しく聞きたい
・マイノリティ性のある方も働きやすい環境への取り組みをしたいが、何をすればいいか分からない
・社員のメンタルヘルスを保つ会社の仕組みを考えたい
そのような考えをお持ちの企業様、ご担当者様、ぜひご連絡をお待ちしております。
コーポレートサイトのお問い合わせページ( https://rashisa123.com/contact/ )もしくは、[ info@rashisa123.com ]までご連絡くださいませ。
■■本リリースの転載・利用に関するお願い■■
本調査結果を掲載・利用される場合は、出典「株式会社RASHISA調べ」と明記をお願いいたします。
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<株式会社RASHISA 会社概要>
社名:株式会社RASHISA(RASHISA, Inc.)
代表取締役:岡本 翔
設立:2017年1月
所在地:〒107-0062
東京都港区南青山2丁目2−15
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