新型コロナで全国411病院の入院22%減
激減がん症例など必要緊急の患者も
重症患者を診療する「急性期病院」の経営コンサルティングなどを行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC※1=本社・東京都新宿区、代表取締役社長・渡辺幸子)は7月17日、新型コロナウイルス感染症が病院経営に与えた影響の調査結果を発表しました。今年5月時点における全国411の急性期病院のデータを分析したところ、病院の収益の柱である入院患者数は、前年同期比22.4%減でした。前月の4月の同15.8%(調査対象は378病院)を6.6ポイント上回っています。
前立腺がんの入院が同24.7%減など急ぎ治療が必要ながん患者の入院減も目立ちました。脳梗塞の緊急入院が同12.1%減など緊急を要する入院も減少しています。
前立腺がんの入院が同24.7%減など急ぎ治療が必要ながん患者の入院減も目立ちました。脳梗塞の緊急入院が同12.1%減など緊急を要する入院も減少しています。
症例数多いがんが減少傾向
4月は新型コロナ感染者が急拡大。政府が発令した緊急事態宣言は5月25日まで約2か月続いたため、5月の病院経営にも大きな影響を及ぼしました。
調査した急性期病院は、全国に1757ある「DPC対象病院」(※2)と呼ばれ、全国の病床の約半数を所有しています。今回の調査では、このうち約4分の1が対象となっています。
大幅に減少した入院医療のうち、緊急性のない「予定入院」の患者数は同24.9%減(4月は13.5%減)。救急車などで搬送される「緊急入院」は同20.1%減(同18.2%減)と、いずれも4月より減少幅が広がりました。
症例別にさらに詳しくみると、前立腺がんのほか、5大がんの一つである胃がんが同9.9%減(同7.3%減)とほぼ1割減。同じく肺がん同7.2%減(同0.3%増)、乳がん同4.9%減(同3.4%減)、大腸がん同3.8%減(同1.0%減)と症例数の多いがん患者の入院減が明らかになりました。
定期的な治療が必要な慢性腎不全も同16.0%減(同9.1%減)と、減少幅が拡大しています。
これについて今回のデータ分析を担当したGHC創業者で国際医療経済学者のアキよしかわは、「昨年の4月は10連休があったため、4月のデータには『駆け込み需要』の可能性が考えられ、単純な前年同月比較をすることに疑念がありました。ただ、5月も4月以上の症例減が確認できたので、症例数の減少は新型コロナの影響であると明言できます」と指摘しています。
脳梗塞、心不全も1割超える減少
さらに緊急入院においても、脳梗塞のほか緊急治療が必要な心不全が12.0%減(同13.5%)と1割を超える減少が続いています。
これについてGHC代表の渡辺は「脳梗塞や心不全に関連する緊急の症状があるなら、救急による受診控えは考えにくく、調査対象の急性期病院は新型コロナの患者を受け入れている病院が多いため、救急隊が別の中小病院に搬送している可能性が考えられます」としています。
下痢や嘔吐の緊急入院7割減続く
新型コロナの影響による患者数の減少要因は、供給側である病院と需要側の患者の大きく2つあります。供給側の理由は、コロナ患者治療に医療資源を集中させるため、受診抑制や病棟閉鎖、白内障など「待てる」予定手術・検査の延期などです。需要側の要因は、(1)手洗い、うがい、マスク着用などによる衛生要因(2)外出自粛や休業・休校の要請に伴う罹患減などの環境要因(3)コロナ感染リスクを懸念して不要不急の受診を控える「受診行動の変化」――の大きく3つが考えられます。
主に需要側の要因と考えられる下痢や嘔吐などの症状を伴う「ウイルス性腸炎」や、かぜなどの症状が大半である「急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症」の緊急入院が7~8割の大幅減である状況は、4月に引き続き5月も同様の傾向を示しました。
外来患者減2か月連続の倍増
外来診療における症例数も、最も多い減少率のグループは3月が6%だったのに対して、4月は12%、5月には24%へと2か月連続で倍増していることが分かりました。
上記のデータ分析とは別に、当社では病院からのアンケート調査も実施しております。こちらの集計結果についても順次、公表させていただきます。
(※1)株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医療専門職、ヘルスケア企業出身者、IT専門家らで構成される経営コンサルティングファーム。急速な高齢化で社会保障財政の破たんが懸念される中、「質の高い医療を最適なコストで」という理念を実践する具体的な手法として、米国流の医療マネジメント手法「ベンチマーク分析」を日本に初めて持ち込み、広めたパイオニアです。URL:https://www.ghc-j.com/
(※2)DPC対象病院
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1757病院(2020年4月時点)
4月は新型コロナ感染者が急拡大。政府が発令した緊急事態宣言は5月25日まで約2か月続いたため、5月の病院経営にも大きな影響を及ぼしました。
調査した急性期病院は、全国に1757ある「DPC対象病院」(※2)と呼ばれ、全国の病床の約半数を所有しています。今回の調査では、このうち約4分の1が対象となっています。
大幅に減少した入院医療のうち、緊急性のない「予定入院」の患者数は同24.9%減(4月は13.5%減)。救急車などで搬送される「緊急入院」は同20.1%減(同18.2%減)と、いずれも4月より減少幅が広がりました。
症例別にさらに詳しくみると、前立腺がんのほか、5大がんの一つである胃がんが同9.9%減(同7.3%減)とほぼ1割減。同じく肺がん同7.2%減(同0.3%増)、乳がん同4.9%減(同3.4%減)、大腸がん同3.8%減(同1.0%減)と症例数の多いがん患者の入院減が明らかになりました。
定期的な治療が必要な慢性腎不全も同16.0%減(同9.1%減)と、減少幅が拡大しています。
これについて今回のデータ分析を担当したGHC創業者で国際医療経済学者のアキよしかわは、「昨年の4月は10連休があったため、4月のデータには『駆け込み需要』の可能性が考えられ、単純な前年同月比較をすることに疑念がありました。ただ、5月も4月以上の症例減が確認できたので、症例数の減少は新型コロナの影響であると明言できます」と指摘しています。
脳梗塞、心不全も1割超える減少
さらに緊急入院においても、脳梗塞のほか緊急治療が必要な心不全が12.0%減(同13.5%)と1割を超える減少が続いています。
これについてGHC代表の渡辺は「脳梗塞や心不全に関連する緊急の症状があるなら、救急による受診控えは考えにくく、調査対象の急性期病院は新型コロナの患者を受け入れている病院が多いため、救急隊が別の中小病院に搬送している可能性が考えられます」としています。
下痢や嘔吐の緊急入院7割減続く
新型コロナの影響による患者数の減少要因は、供給側である病院と需要側の患者の大きく2つあります。供給側の理由は、コロナ患者治療に医療資源を集中させるため、受診抑制や病棟閉鎖、白内障など「待てる」予定手術・検査の延期などです。需要側の要因は、(1)手洗い、うがい、マスク着用などによる衛生要因(2)外出自粛や休業・休校の要請に伴う罹患減などの環境要因(3)コロナ感染リスクを懸念して不要不急の受診を控える「受診行動の変化」――の大きく3つが考えられます。
主に需要側の要因と考えられる下痢や嘔吐などの症状を伴う「ウイルス性腸炎」や、かぜなどの症状が大半である「急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症」の緊急入院が7~8割の大幅減である状況は、4月に引き続き5月も同様の傾向を示しました。
外来患者減2か月連続の倍増
外来診療における症例数も、最も多い減少率のグループは3月が6%だったのに対して、4月は12%、5月には24%へと2か月連続で倍増していることが分かりました。
上記のデータ分析とは別に、当社では病院からのアンケート調査も実施しております。こちらの集計結果についても順次、公表させていただきます。
(※1)株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医療専門職、ヘルスケア企業出身者、IT専門家らで構成される経営コンサルティングファーム。急速な高齢化で社会保障財政の破たんが懸念される中、「質の高い医療を最適なコストで」という理念を実践する具体的な手法として、米国流の医療マネジメント手法「ベンチマーク分析」を日本に初めて持ち込み、広めたパイオニアです。URL:https://www.ghc-j.com/
(※2)DPC対象病院
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1757病院(2020年4月時点)
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