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一般社団法人RCF
会社概要

経産省主催オンラインセミナー開催レポート「ポストコロナ時代の企業人材育成とは?」

~「越境学習」の未来と可能性~

一般社団法人RCF

経済産業省の「未来の教室」リカレント教育ワーキンググループは、「ポストコロナ時代の企業人材育成とは?」と題し、新たな人材育成の形として「越境学習」をテーマとしたオンラインセミナーを2020年12月に開催し、約340名の方にご視聴いただきました。その内容をご報告いたします。

※「越境学習」とは、ビジネスパーソンが所属する組織の枠を越え(”越境”して)学ぶことであり、「知の探索」による
イノベーションや、自己の価値観や想いを再確認する内省の効果が期待されています。
経済産業省では、社会課題に取り組む地方やNPOの現場に赴き、現実の社会課題解決に取り組むことで人材が育成されるという仮説のもと、リカレント教育ワーキンググループによる実証事業を2018年より実施してまいりました。プログラム参加者は、日常の職場とは異なる価値観の中に身を置いて活動することで、自分自身の軸を再発見し、不確実で変化の激しい時代を切り拓くリーダーとしての成長を実感することができました。これは、日本企業における人材育成の手法として注目を集めている「越境学習」の効果であると言えます。
様々な環境変化が急激に訪れるポストコロナを目前にし、日本産業界は多くの課題に直面しています。正解のない中で自ら課題を発見し、解を作り出し、事業を創造・変革する必要性に迫られる中、雇用のあり方も変化し、求められる人材育成も大きく変わっています。本セミナーでは、社会課題の現場への“越境体験”がもたらすイノベーション人材育成やキャリア自律について、さらに、コロナをきっかけに急速に進化している新しい形の越境学習について、越境学習研究の第一人者やプログラム提供企業などが解説いたしました。

【セミナー概要】

 

<タイトル>
経済産業省主催オンラインセミナー
「ポストコロナ時代の企業人材育成とは?」〜越境学習によるVUCA時代の企業人材育成〜

【第1回】イノベーション人材育成と越境学習の可能性(令和2年12月10日)
【第2回】キャリア自律と越境学習の可能性(令和2年12月18日)
<登壇者一覧>
浅野 大介氏  経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長 兼 教育産業室長
石山 恒貴氏  法政大学大学院政策創造研究科 教授 研究科長
小沼 大地氏  NPO法人クロスフィールズ 代表理事 ※第1回
瀬戸口 航氏  (株)ファーストキャリア代表取締役社長 兼 (株)セルム 執行役員 ※第2回
逢坂 浩一郎氏 NECマネジメントパートナー(株) 人材開発サービス事業部 ※第1回
永島 寛之氏  (株)ニトリホールディングス 組織開発室 室長 ※第2回

 
  • 経済産業省教育産業室が取り組むリカレント教育関連事業について
    (経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長 兼 教育産業室長 浅野大介氏)

経済産業省「未来の教室」実証事業は、「初等中等教育」と「リカレント教育」の改革に的を当て、教育イノベーションを推進する実証プロジェクトとして2018年にスタート。社会人については、従来の座学知識習得型研修だけでなく、創造的体験を通して変化を起こす内発的動機(ワクワク)を持つための仕掛け(原体験)が重要と考え、新しい研修モデルとして、社会課題の現場で課題解決に挑む中での能力・コンピテンシーの成長を計るプログラムを実証開発。
「いいシゴト」をする人が多い社会は社会課題が放置されず、優しい社会になると考えており、「いいシゴトをする習慣」として「当事者性をもつこと」「新しい価値、今より良い状態を創ること」「色々なジレンマを超克すること」の3つが、これからの人材育成を考えていく上でも太い柱になっていく。さらに、創造的な課題発見・解決能力を持つ「チェンジ・メーカー」がこれから求められる新しい人材像となり、そのために様々なリカレント教育プログラムを設計してきた。越境している人は、企業・組織からの投資に対してどうフィードバックしていくか、その考えを軸にしながら、自由にのびのび越境していくと良い関係性ができる。
様々な社会課題がある中、コロナで人の動きが制限されるようになり現地に行きにくくなったが、数回現地に行って課題の本質をつかみ取れば、あとはオンラインで密度の濃い対話を繰り返してアイディアのブラッシュアップができるため、出張費や移動時間がかからず、取り組みやすくなったと考える。こういったプログラムを広げて越境する社会人を増やしていき、スタンダードにしていきたい。
 
  • イノベーション人材育成・キャリア自律と越境学習の可能性とは
    (法政大学大学院政策創造研究科 教授 研究科長 石山恒貴氏)

「越境学習」が注目されてきた背景として、コロナ禍で激しく変化する環境で自社の学びだけでは通用しなくなったことや、働き方改革の中で多様化する働き方として兼業・副/複業が注目されるようになったこと、人生100年時代における生涯学習の機運が高まっていること、多様な人とのプロジェクト中心の働き方が増えてきたことなどがある。

「越境学習」は、自分の心の中でホームと思う場所からアウェイと思う場所へと境界を越えて学び、そのホームとアウェイを往還すること。ホームはよく知っている人たちが集まり社内用語が通じて安心感があるが、刺激がない場所。一方、アウェイは見知らぬ人たちがいて社内用語が通じず居心地は悪いが、刺激がある場所。アウェイは、ミッションや目的を自ら設定しなくてはならないので抽象度も高く、また社内用語が通じず異質性が高いためモヤモヤ・葛藤し、「混乱するジレンマ」を味わう。「わかりあえない」を前提に、異質な人たちとどうやったらわかりあえるか試行錯誤することで、自分のやりたいことや得意なことが再認識できるようになる。
変化の激しい時代、同じポジションにいるだけでも大変だが、イノベーションを起こすにはさらに努力が必要。「両利きの経営」を実現するために、既存事業を深堀する能力と、外部の知識を探索する能力の両方が求められている。また、イノベーションに必要なコンピテンシーとして『イノベーションのDNA』でも言われている、現状に異議を唱える「質問力」、新しいやり方のもとになる「観察力」、多様な背景や考え方を持つ人たちとの幅広い「ネットワーク力」、新しいアイディアを試す「実験力」はアウェイで葛藤した方が身に付きやすい。また、不確実な時代において、個人のキャリア自律が求められているが、ホームにいると自分の価値観や強み・弱みがわからなくなっているため、アウェイで見直してみることも大切。なお、越境学習をするイノベーターは、会社・組織で浮いているように見えるため、「迫害」されてしまうことがあるが、越境学習をして好奇心を持ち続けるためにも、このような人たちを受け入れ、推奨する組織文化が望ましい。


◆◆越境学習プログラムを提供する団体・企業の取り組み事例◆◆
  • ピンチをチャンスに!ウィズコロナ時代の越境体験の価値を追求
    (特定非営利活動法人クロスフィールズ 代表理事 小沼大地氏)

社会課題の現場とビジネスの現場を行き来した自身の越境体験をもとに、現在代表を務めるNPO法人で、働く人が「社会課題の現場」へ越境していくサポートを行っている。クロスフィールズが提供する「留職」は、日本企業に勤めている若手社員が、社会課題に取り組む新興国のNPOや企業とともに、本業を活かして課題解決に挑むプログラムで、参加者は累計200名以上。スキルを活かし、派遣先の団体で数ヶ月に渡って実際の社会課題に取り組む。この「留職」プログラムを通じて、新事業を立ち上げるなど活躍する人も出てきている。

また最近は、若手社員向けだけでなく、役職者が社会課題の現場を「体感」するフィールドスタディにも注力。中間管理層にも理解を深めてもらうため、インドのスラムや福島の被災地など社会課題の現地に行って五感で体験してもらうプログラムを実施し、好評だった。若手社員向けのプログラム以上に参加者が増え、2020年で累計800名以上が参加。越境の取り組みが、若手から中間層にもシフトしていることがわかる。

 

現在、コロナの影響で海外派遣が難しいため、現地での留職プログラムが実施できない状況だが、政治も社会も経済も分断している今だからこそ、越境の価値はあると考えている。ウィズコロナ時代にどのような越境ができるか試行錯誤し、新たに複数の事業を開発。1つ目の「国内留職」は、国内のNPOや社会的企業が取り組む社会課題の解決に挑むプログラム。派遣先によっては、多国籍のスタッフが所属する組織や英語での業務推進が可能なグローバル環境での活動も可能になっている。2つ目の「オンライン対話型フィールドスタディ」は、オンラインにシフトした社会課題体験フィールドスタディを実施。3つ目の「共感VRワークショップ」は、世界各地の社会課題の現場をVR映像で見られるようにし、社会課題の疑似体験が可能に。ピンチをチャンスに変え、ウィズコロナ時代においても越境体験の価値を追求し続けていきたい。
 
  • オンラインを「従来と違うかたちのリアル」と位置づけ、進化した越境体験
    (株式会社ファーストキャリア代表取締役社長 兼 株式会社セルム 執行役員 瀬戸口航氏)

若手層の人材開発・育成を行うファーストキャリアが提供する越境リーダーシップ開発プログラム「TEX」から、福島県南相馬市で実証したプログラムを紹介。地域課題の現場に、企業人や学生、地域の事業家・行政・社会活動家たちが実際に足を運んで向き合い、全員が横並びになって何ができるかを話し合った。議論を重ねる中で、価値観の内省やぶつかり合い、学生からのフレッシュで率直な意見に社会人たちが直面することもあった。こうした切磋琢磨する経験を通じて、立場/役割を越えたリーダーとしての研鑽を積むことができた。

しかし、コロナをきっかけに、これまでのような現地訪問型プログラムだけでなく、オンラインならではのメリットを最大限に活かした新たなプログラムを開発。企業人や学生が、地域の関係人口として、地域と共に「価値創出する経験」に重点を置き、期待効果の領域を再定義した。現地に行きにくくなった一方、短時間のオンラインセッションを多頻度で実施しやすくなり、「価値創出」にじっくり取り組めるようになった。また、南相馬を舞台にしながら日本各地からの参加が可能になり、多角的な気づきも生まれた。オンラインを「バーチャル」ではなく「従来と違うかたちのリアル」と位置付け、今まで提供していたプログラムとはまた別の越境体験を、オンラインでできるようになったと言える。
数年後は自社が何屋になっているかわからないような環境変化が激しい時代、多様な経営リーダーが求められている。あらゆる現場でリーダーの創出をすることで、ビジネスそのものの拡大・再定義に寄与していきたい。


◆◆越境学習を導入している、企業の取り組み事例◆◆
  • インドの社会課題解決に貢献する新事業の立ち上げに繋がり、大きな成果に
    (NECマネジメントパートナー株式会社 人材開発サービス事業部 逢坂浩一郎氏)
NECの越境型人材開発プログラム「Sense」(センス)は、五感で感じとるということを意識して設計。社会課題の現場に実際に赴き、五感で体感する機会を伴う「リーダーシップ開発プログラム群」である。プログラムは、社会価値創造を自分事化することを目的とした1~2日のセミナーから、社会価値創造に実際に取り組む3~6ヵ月間のインターンまで様々なバリエーションを用意している。

越境経験者の中から大きな成果も出てきた。2013年にクロスフィールズの「留職」プログラムでインドへ6ヵ月派遣されたコーポレート事業開発本部 マネージャーの安川展之が、2020年春にインドの社会課題解決に貢献する新事業を立ち上げた。予防医療の概念が浸透しておらず健康診断の制度もないインドで、出張訪問型の健康診断サービスを提供し、国民の生活習慣改善に寄与。さらに、農村部で働きたくても働けない貧困層の女性に対して健康診断士としての職能教育を提供し働いてもらうことで、女性の社会的地位向上や貧困問題の解決にも貢献。7年越しで事業を立ち上げたが、彼を支えたのは、越境の原体験からくる強い想いや志、想いを汲み取り異動させてくれた上司、共感し応援してくれた仲間、彼らに憧れ、後に続こうとする後輩たち、定期的にあった発信の機会などが挙げられる。
2021年度は、「Sense」のプログラムを年間300名規模へ拡大する計画。タレントマネジメント施策との連携を強化し、優秀層へ優先的に受講機会を与え、かつ裾野を広げる。重要な人材プログラムのひとつとして、これからも越境学習を実施していく予定。
 
  • 「組織内越境」で成長してきたニトリのビジネスモデル
    (株式会社ニトリホールディングス 組織開発室 室長 永島 寛之氏)

ニトリは、一貫したインソース主義で組織のエコシステム化を図っており、難しい仕事ほどアウトソーシングせずにインソースで対応することで、従業員が付加価値やナレッジを得る機会を社外にすることを防止。例えば、基幹システムの構築までも自社で行ってきた。さらに組織のエコシステム化により、顧客データを組織内で活用し、部署に関わらず全社員がマーケティング視点を持ちながら事業推進している。

配転を経験教育にした「配転教育」という組織内越境も実施。社内には37部署100職種以上あり、個人の希望ベースではあるが、2~3年に1回配転し、自分なりの専門性を高めながら組織内越境をしていく。またタスクフォースで若手に重要任務を任せ、重要課題を解決していく取り組みも行う。年間50以上のチームがあり、各部署から必要メンバーを集めて、店内アプリ開発、都市型店舗標準化、海外出店準備などのタスクを遂行。ピラミッド型の組織(トップダウン指示型)からフラットな組織(自律分散型)になっている。
自律した個人を組織の成長や社会課題に繋げていく観点からも、個人の価値観や好奇心の言語化を大切にしており、年に2回「30年キャリアデザインシート」を社員に書いてもらっている。最も関心がある社会課題とそれを実現するために仕事を通じて取り組むことなどを聞き、これをベースに配転教育を実施。しかし、「社内越境学習」だけではなかなか社会課題に繋がらないので、「社外越境学習」としてファーストキャリアの「TEX」に参加。2019年9月に長野県塩尻市で行われたプログラムの参加者からは、「課題がない課題に初めて取り組み、自身の好奇心から課題発見ができて、のめり込めた」「社外の問題に社内で得たスキルが使えることを発見。自分の力やいる環境が世のためになると思った」といった声が寄せられた。
 
  • パネルディスカッション
各セミナーの最後には、テーマをさらに深堀したパネルディスカッションを実施し、様々な意見が出ました。
 

●経済産業省 浅野氏:「日本人は、混乱という言葉が嫌いだが、混乱からしかイノベーションは生まれない。混乱の中に身を置いて、問題解決の訓練をすることが大切」と強調。自身もコロナ禍で今まで経験したことのない仕事に対して答えを求められる状況に直面。「ものすごい能力開発になり、この1年で自分ができること・できないことがよくわかった。企業のなかでも越境学習を通して混乱することが重要」と説いた。
 

●法政大学大学院 石山教授:「越境経験者はホームに戻った後、職場の人から迫害されるケースがあるが、まわりにどうやって理解してもらえるか考えるところまでが越境学習。また、ホームに戻ると変革意欲が上昇するが空回りすることがあるので、上司は上からではなく、“変革の同士”として越境経験者をどう活かしていくかという視点で考えた方がよい」とアドバイス。

●クロスフィールズ 小沼氏:「2020年度はコロナの影響で、研修を中止にして予算をおさえて何ができるか考える企業が多かったが、秋口あたりから新しいことにトライする企業が増えてきた。ウィズコロナの時代になって越境学習は大きな制限を受けている。しかし同時に、派遣する企業も、受け入れる団体側も、越境学習の本質的な価値にフォーカスし、活動を再構築しているように感じている」と述べた。

●ファーストキャリア 瀬戸口氏:「キャリア自律という言葉を使いながら研修をしてきたが、そこには暗黙の前提があり、1社の中で頑張っていれば役職はあがっていくだろうという考えのもと研修を実施してきた。しかし世の中は変わり、自社の中だけでキャリアを築くのは難しくなった。これまで育成のプログラムが追い付いていなかったが、越境学習がキャリア自律に繋がっていく」と語った。

●NECマネジメントパートナー 逢坂氏:「2013年からプログラムをスタートし、現地に行くことばかりを考えていたが、コロナによってオンラインでもできることがわかった」と述べた。また、越境学習の効果をもたらすために工夫していることとして、「プログラムの設計や研修前の動機付け、研修後のフォローの仕方によって成果は変わるため、上司に越境学習に対する理解や、言語化して発信する機会の創出、越境後の同士によるネットワーク構築が有用」と述べた。

●ニトリホールディングス 永島氏:配転教育は、様々な方向から物事を見る人が増えていくため、良い結果をもたらしている。1つの部署で仕事をやっているとやり方が続いてしまうが、例えば、貿易関連の業務をやっていた人が商品開発をやると、貿易の視点で考える。商品価格を下げるというミッションがあった際に、安い材質にするのではなく、容積率を上げようという発想になり、プチイノベーションが起こる」と語った。

 
<本件に関するお問合せ>
 ●同事業にご関心のある方:「未来の教室」リカレント教育WG事務局(一般社団法人RCF内) 
担当: 佐々木 ( TEL:050-5897-1117 / E-mail: jinzai@rcf.co.jp )

●報道関係者の方: 株式会社アネティ(広報窓口)
担当: 真壁、川口(TEL:03-6421-7397 FAX:03-6421-7398  E-mail:makabe@anety.biz)
 

 

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設立
2011年09月
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