慶應義塾大学FinTEKセンターとIGS、ブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発 三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングス、住友生命が実証研究に参画
STARプロジェクトは、「学生の個人情報を、学生自身の手に戻す」をテーマとする、参加企業との3年間の実証研究です。
その目的は、
(1)学生の個人情報提供における安全性と透明性の確保
(2)学生と企業双方を利する個人情報活用戦略の研究
(3)学生と企業のマッチング精度向上
です。
STARプロジェクトは一業種一社に限定し20社以上の参画を目指しますが、開始時点の参画企業は、株式会社三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングス株式会社、住友生命保険相互会社です。3年間の研究期間の終了後もこのシステムを存続・発展させ、一業種一社に限ることなく広く企業の参加を募ることを目指しています。
FinTEKセンターは、フィンテックに関する学際的研究と教育を目的とする組織です。本センターは、情報通信技術、暗号学、経済理論、データサイエンスなどを活用した先駆的研究を促進するとともに、フィンテックが経済と社会に与える影響を実証的に分析し、適切な制度設計と経済運営のための政策提言を行うことを目指しています。一方、IGSは教育・HR領域において、多様な評価指標の研究や評価ビッグデータの分析を通じて、学生と企業のマッチング支援を進めて参りました。
STARプロジェクトは、FinTEKセンター、IGSと参画企業の三者による実証実験を通じて、学生と企業を繋ぐプラットフォームの社会実装を目指します。
- 背景
Society5.0の時代、「ビッグデータ社会」において、企業戦略としてのデータ活用がますます重要になる一方で、個人情報の不適切な利用に対する危惧から世界的に個人情報に関する規制の厳格化が進んでいます。欧州でGeneral Data Protection Rule(GDPR)の施行が2019年度に始まり、データを個人の手に戻す仕組みの整備が進む一方で、日本では2020年6月に改正個人情報保護法が公布されています。
こうした動きに対応することが必須である一方、通年採用や新しい生活様式に対応した選考への対応など、学生と企業のマッチングの新しい姿の模索も始まりました。このように企業には、個人情報保護とパーソナルデータ活用の両立が求められる一方で、大学にとっては学生の個人情報を守りながら学生のキャリア支援を強化・改善することは責務です。
これらの課題に直面し、FinTEKセンターとIGSは、これからのデータ活用のあり方の研究に積極的に取り組む企業と共同研究を開始しました。ブロックチェーンを利用して、学生と企業にとってメリットのある新たなデータ活用戦略について実証実験を行い、学生と企業を繋ぐプラットフィームの社会実装を目指すプロジェクトです。
- 概要
本システムは、ブロックチェーンのトレーサビリティ機能に、暗号技術などを組み合わせて個人情報を保護することで、学生によるパーソナルデータの開示先、開示範囲、開示期限の自由かつ完全なコントロールを実現します。また、学生自身が入力する情報に加えて第三者からの評価情報も入力可能にすることで、情報の信頼性や客観性の向上が期待できます。
さらに、GDPRの「忘れられる権利」に対応し、学生が開示したパーソナルデータの消去も可能にすることで、学生と企業が安心して利用できる環境を提供します。
実証実験参画企業は、本システムを利用し個人情報保護に留意した上で、企業と学生のコミュニケーションを促進するシステム運営方法について実証研究を行います。
本システムを利用する学生のメリット:
・学生は、情報提供依頼があった複数の企業に対し開示先・開示範囲・開示期間を自ら選択できる。
・教員、先輩や友人など、周りの人からの客観的な評価を企業に開示することができる。
・開示不要となった記録を消去することができる。
本システムを利用する企業のメリット:
・これまで学生から得られなかった学内外での評価や授業内での発言などのパーソナルデータを活用し、潜在的な優良人材を発見し、アプローチすることができる。
・オンライン面接など学生との接点が制限される環境において、学生のパーソナルデータを活用することで、学生の能力や特徴を深く知ることができる。
・個人情報の許諾作業や管理、廃棄が不要となる。
- 今後の展開
実証1年目:
ブロックチェーン技術によって、学生の個人情報の秘匿性を担保しつつ、企業がデータを有効活用する技術基盤を構築。慶應義塾大学の学生を中心に5,000名以上の利用。
実証2年目:
学内のサークルやゼミナール活動履歴、学外での活動を記録するアクティビティ要素を追加、ラーニングマネジメントシステムとの連携により学生の学びや活動履歴を追加、学生が活発に情報発信するデザイン・機能へ拡張。
慶應義塾大学の大半の学生と他大学5校以上の学生10,000名が利用。
実証3年目:
慶應義塾大学の大半の学生の利用及び、他大学10校以上の学生20,000名による利用を想定し、学生数の増加に耐えうるスケールアップを行い、パフォーマンスをさらに改良。
4年目以降(実証実験終了後)
実証研究参画企業以外の企業や他大学生の利用により、プラットフォーム化を目指す。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像