【日経ニューオフィス受賞】役職・指示命令・決裁のない”ティール組織”へと変革する老舗缶メーカーの新オフィスが推進賞に選定！

第37回日経ニューオフィス賞にて、2024年にフルリノベーションを実施した側島製罐の新オフィスが「地域ブロックニューオフィス推進賞」を受賞いたしました。

側島製罐株式会社

2024年8月7日 08時45分

創業118年の老舗缶メーカーである側島製罐株式会社（愛知県海部郡大治町）はこのたび、第37回日経ニューオフィス賞にて、「地域ブロックニューオフィス推進賞」を受賞いたしました。オフィスデザインは「ワークスタイルの未来を切り拓く」を理念に掲げる株式会社コラボスタイル（愛知県名古屋市）が担当しました。

「仕事が苦痛」という潜在的な社会課題に正面から向き合う会社づくり

数年前まで側島製罐では、古典的なトップダウン型の経営が続けられていました。20年連続売上減少という業績悪化の一途をたどり、会社の雰囲気は悪く、当時の社内アンケートでは「モチベーションも上がらない」「上司が好き嫌いが激しい、機嫌が悪いと無視する」という声もあり、社員の多くが仕事にやりがいを感じられず、仕事を苦痛に感じている職場環境が続いていました。創業100年を超える会社でありながら経営理念などもなく、指示命令に従い、上司の顔色を伺いながら日々仕事をしている状態で、仕事にやりがいや意義を感じられる状況にはありませんでした。

そこで側島製罐では、2020年４月に六代目（現代表取締役）が入社したことを契機に、従前の強いマネジメントによるトップダウンの組織運営を大きく変えて、役職・指示命令・決裁を廃止して社員の良心を信じて託す経営方針へと転換していきました。全社を巻き込んだ経営理念の策定や、社員が給与を自分で決める「自己申告型報酬制度」の導入など新たな取り組みを通じて、働き方が大きく変わっていきました。

”ティール組織”という新しい時代の組織の在り方を発信するオフィス

側島製罐㈱新オフィスのエントランス。半世紀以上使用されていた金庫がディスプレイとして正面に鎮座。

現在の側島製罐には、「社長」も含めて役職は存在しません。指示命令やマネジメントといった概念もなく、仕事の役割や給与も自分自身で申告して決める仕組みになっており、その環境の下では「指示命令されたからやる」という他人軸の働き方ではなく、お客様や社会のために自分に何ができるかと言うことを経営目線で自分で考えるという自分軸で働くことができます。ヒエラルキーの組織の一端ではなく、自らが小さな経営者として自分の役割と責任を全うする”ティール組織”と呼ばれる新しい働き方を実現しています。

今回の新オフィスのリニューアルでは、社員の働きがいや幸福の最大化を実現するとともに、ティール組織という新しい組織のありかたの一例を世の中に発信することを目的としました。仕事の定義を自分で考えるという働き方が実現できるように、オフィスには上司の席や社長室などはありません。会議室や執務室と定義されるような場所もなく、場所の使い方も含めて自らが考えて、自らの責任の下で自由に創造的に仕事を拡張させ、職場自体も全員で進化させていくようなオフィス設計となっています。

「仕事はつまらない」という世の中の閉塞感に一石を投じたい

代表取締役　石川貴也コメント

側島製罐では、「宝物を託される人になろう」というビジョンを掲げています。会社は大事な人生を預かる器であり、社員が良い人生を歩んでいくことで、良い仕事は生まれていくものだと思っています。最近ではウェルビーイングという言葉も聞かれるようになりましたが、弊社では社員の裁量と責任を最大化するという大胆な仕組みを通じて、仕事の楽しさ、面白さを享受できる環境を作りたいと思い、今回の新オフィスをつくりました。老舗の中小企業だからこそ、「自分たちも変われるんだ」「常識に囚われない自分たちの人生を歩むことができるんだ」という姿を示し、世の中の仕事観に一石を投じられればと思っています。今回の受賞で、新しい組織の在り方を世の中に広く提示出来たら本望です。