「人力車に人生変えてもらいました」我利我利亡者の元銀行マンはBtoB人力車事業で日本の観光業を救いたい!
浅草の人力車会社は、なぜBtoB人力車事業に挑むのか?
浅草で観光人力車事業を手掛ける東京力車(株式会社ライズアップ)
浅草の人力車業界では後発の会社ながら、コロナ禍を乗り越え、現在は在籍100名超の浅草でも最大規模の人力車会社となった。
インバウンド需要で確実に業績を伸ばしてきた一方で、浅草での事業に留まらず、企業・自治体向けのBtoB人力車事業に取り組んでいる。
「人力車には人の人生を変える力があるんです」とそう穏やかに語るのは、BtoB人力車事業の責任者である川名友貴(かわな・ゆうき)だ。川名は元々、大手企業で働いていた「元銀行マン」である。異色の経歴ながら人力車始めたきっかけは極めて不純なものであったと言う。
川名:銀行員になった理由は、学歴に対する強烈なコンプレックスと承認欲求からでした。お金持ちになりたくて、ステータスが欲しかったのが銀行員時代の僕です。
東京力車の社長(西尾 竜太)に出会った頃は「我利我利亡者(がりがりもうじゃ)」と言われることもありました笑
お金大好き銀行員の人生を変えた「出会い」我利我利亡者から自利利他へ
___人力車を始めた理由はなんだったんですか?
川名:もっと稼ぎたかったんです。銀行の待遇は悪くなかったんですけど、
もっと裕福になりたかった。
いつも会社の飲み会では不満ばっかり言って、「俺は起業する!」って啖呵を切ってやめたんです。
だけど、儲かると思って初めたアパレル事業は全く稼げず、藁にも縋る思いで時給と歩合に惹かれて入ったのが東京力車でした。
今思えば、とんでもない我利我利亡者ですね。
___そんな川名さんが人力車の社員になったきっかけは何だったんですか?
川名:西尾社長(株式会社ライズアップ 代表取締役 西尾竜太)との出会いですね。
人力車の研修時代からとてもお世話になっているのですが、はじめは色々と衝撃的でした。
銀行員の時代から様々な経営者の方々にお会いしてきたのですが、僕にとっては未知との遭遇。
「こんなに人のことを思って尽くす社長がいるのか・・・」かと。
相手のことを思っているからこそ厳しく伝える。
そして自分自身にも徹底的な自責を求める。
周りにも自分にも厳しい人って印象でした。
東京力車は利益よりも個人の欲求よりも、最優先されるのが「お客様の利益」
言葉で言うのは簡単でも、本当に徹底してできているのが東京力車だと思います。
___そんな西尾社長を象徴するようなエピソードはあったりますか?
川名:あります!
東京力車の新人研修はテレビでも話題になるくらい厳しいって有名なんですけど、
僕も案の定苦戦しまして、何度も社長を直接乗せる卒業検定に落ちました。
当時は「元銀行マンのエリートな自分」に酔っていましたので、もうプライドはズタズタでしたね笑
それで、6回目の卒業検定中に縁石に人力車を擦っちゃったことがあって、思わず下を向いたんですね。
そしたら「てめえ、お客様乗せててもその態度とんのか?もうやめろ!」って令和じゃなくて昭和みたいな世界でした。
卒業検定は中断、その場で歩いて事務所まで帰らされました。
あの時の惨めな気持ちは今でも覚えてます。
「銀行やめたのに、俺は何やってるんだろなー」って。
その後、社長のところに「申し訳ありませんでした」って言いに行ったら、個別で話をしてくれたんです。
___どんな内容のお話だったんですか?
川名:ここが僕の人生が全て変わる瞬間でした。
「川名は必死に何かを求めてるだろ?」
「俺は川名のことが嫌いじゃない、むしろ一生懸命やってくれるから大好きなんだよ」
「ただ、まず川名には『先に与えることのできる人間』になって欲しいんだ」
全身に稲妻が走る感覚でしたね。
自分の中で、銀行員も起業も人力車も、全てがうまくいかなかった理由が繋がった瞬間でした。
人生振り返ってみると成功した瞬間、うまくいった瞬間って必ず大切な人のために頑張ってる時だったなぁと、何でそんな重要なこと忘れてたんだろって。
それで「この人に追いつきたい」そう思ったんですね。
その日から僕は「誰かのために働こう」って決めたんです。
___そからの日々はどんな感じだったんですか?
川名:もうめちゃくちゃ楽しかったです。
仲間たちも気持ちのいい奴しかいなくて、乗ってくれるお客様が毎回笑顔になってくれるのが本当に嬉しかった。
お客様からのお礼の手紙もたくさんいただきました。全部今でも大切に保管しています。
毎日汗をかいて、お客様を笑顔にして、仲間たちとサービスの質、売上を競う日々は「2度目の青春」って感じで刺激的でした。
それで気がついたら運営側の社員になってましたね。
元銀行マンの経歴を活かした事業展開
___社員としてBtoB人力車に取り組むきっかけをお聞きしてもいいですか?
川名:観光人力車は元々BtoCのみの業界でした。
ただ僕は東京力車のサービスに圧倒的な自信があるんです。
浅草や人力車というステージとツールはもちろん強力ですが、何よりも自慢できるのが「人の強さ」です。
厳しい研修を乗り越えた「超一流のおもてなし人」たちが東京力車の俥夫です。
うちの子たちは、お客様を楽しませるためなら、どんな壁でもぶち壊していくんです。
お客様の気分、言語、天気、自分のコンディション、道路状況、どんな問題も課題も全部、東京力車の俥夫には関係なくて、必ず絶対笑顔にして帰ってくるんです。
もう僕からしたらスーパーヒーローですね。
本当に格好いい子たちが集まってくれてます。
元々営業をやっていた経験から、営業でもっとも大事なのは売る商材の強さです。
どんなにいい営業マンでも粗悪な商材を売るのは難しいです。
また「本当にいい商品」だと思っていないと、不思議と売れないものなんです。
その理屈でいくと東京力車の人力車は「乗るか?・乗らないか?」で聞かれたら「120%乗った方がいい」って言い切れるんです。
「東京力車の俥夫」=「最強の商材」なんです。
そんな商材はイーロン・マスクにも、スティーブン・ジョブスにも作れないでしょう笑
だから「これは売れるな」って、どこでも誰にでも人の役に立てるなって思ったのが始めたきっかけです。
___具体的にはどんな商品なんですか?
川名:BtoB人力車は主に2つの事業から成り立っています。
一つ目が出張人力車事業「全国どこでも観光地化」というのがコンセプトで、独自のノウハウで最短1日でどんな場所でもガイドとご案内ができるようにカスタマイズするプランです。
これまでの実績でいうと、高級ホテルへの出張、企業パーティーへの出張、全国のイベントへの出張、地方自治体の成人式への出張などがあります。
最初は完全にギブ&ギブで利益にならなかったのですが、多くのお客様に認めていただき、最近やっと事業性が出てきました。
ゆくゆくは日本全国で毎日何処かで、東京力車の俥夫が走っている状況にしたいですね。
___二つ目はどんな事業になるのでしょう?
川名:PR人力車事業ですね。
これは「走って喋れる広告」というのがコンセプトです。
人力車の背面には看板を載せることができるんです。
その看板への掲載を募集したり、もっと大きなコラボレーションになると、人力車そのものをラッピングしたり、俥夫が着る半纏を特定の企業仕様のデザインしたりします。
この事業の強みは僕たち俥夫が企業様のストーリーや商品を、楽しくエンタメに昇華してお客様にお伝えできるといった点です。そこで一般の広告と差別化を図っています。
ありがたいことに、こちらも好調で、これまでに、有名回転寿司チェーンや世界的な映像配信サービス、誰もが知っているゲームブランド、などともコラボレーションさせていただきました。
もちろん、浅草のお店や中小企業の皆様にもご利用をいただいております。
___そんな川名さんがBtoB人力車事業で実現したい未来はありますか?
川名:日本中の観光地を元気にしたいですね。
これもよく社長が言っているのですが「力なき正義は正義ではない」「世の中で起きている悪いことは全部自分のせい」改めてぶっ飛んでるなとは思うのですが、でも本当にその通りなんだと思います。
観光業界に絞っていうと、観光業ってすごく平均年収が低いんです。
平均年収300万ちょっとですよ!
これでどうやって生活するんだって話ですよ。
これからの日本を担う大事な産業なのにも関わらず、これでは優秀な人材が集まらないし、せっかく面白い仕事なのに人材が留まらず離職してしまう。
その反面、東京力車の最高月収は140万円です。
観光業界でありながら年収1000万円を狙える環境なんです。
ここには大きな可能性を感じています。
簡単に言えば、観光業界をめちゃくちゃ儲かる業界にして、観光する人も観光業を営む人も今よりも幸せにしたいなって。
___やっぱり「お金」が好きなんですか?
川名:勘弁してください笑
もちろん、お金は重要です。
でもそれには優先順位があると思ってます。
僕の大好きな言葉で「論語と算盤」というのがあります。
日本資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一の言葉です。
この言葉の意図としては、一つ、道徳と誠実な信念に伴った利益を追求せよ、二つ、自分より他者を優先し全体の公益を優先せよ、といった主張です。
簡単に言えば、お金儲けと社会貢献を両立せよ、というわけです。
いくら高尚な道義だけを掲げたところで、何かを変えることはできません。
その姿は虚しいだけです。
これが社長の言う「力なき正義」です。
また、儲けだけに執着しても、何かを変えることができません。
それは卑しき者の所業です。
これは我利我利亡者のことですね。
だから僕たち東京力車が目指すのは、一人でも多くの観光客を幸せにし、尚且つ働く者が、その提供したサービスに見合った報酬が受け取れる会社、世の中を実現することです。
人力車事業では多少、その目標を実現することができました。
これからは東京力車に関わってくれた企業、自治体でも、その目標を実現したいです。
全国どこでも東京力車が来れば盛り上がる。集客に困ったら東京力車を呼べば何とかなる!
そんなサービスを目指して、今後も努力していきます!
___社員の情熱から生まれた新事業「BtoB人力車」は、我利我利亡者の元銀行マンと信念を貫く人力車会社の社長との出会いがきっかけでした。これまでも時代ごとに変わる観光のニーズに寄り添い、人力車事業の枠にとらわれない挑戦を続ける東京力車。
彼らの「サービスが」が今日も誰かの観光を彩り、多くの人々の素敵な思い出となり続けることを期待しています。
インタビュー担当者:中野
【会社概要】
社名:株式会社ライズアップ(東京力車)
本社所在地:東京都台東区雷門1-8-1 三枝ビル4階
代表取締役:西尾 竜太
事業内容:人力車の観光案内、婚礼・イベント演出、広告宣伝、出張人力車
設立:2019年12月9日
HP:https://tokyo-rickshaw.tokyo/
Instagram(公式)https://www.instagram.com/tokyorickshaw_japan?igsh=MzRlODBiNWFlZA==
Instagram(女子部):https://www.instagram.com/tokyorickshaw_girls/
TikTok:https://www.tiktok.com/@tokyorickshaw
【報道関係者お問い合わせ先】
株式会社ライズアップ (東京力車) 担当:大利(おおとし)
E-mail:misa@tokyo-rickshaw.tokyo TEL:03-5830-8845
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