日本一たどり着きにくい工務店|鹿児島・南九州市の“どこよりも遠い”会社が愛され続ける理由

東京から直線距離で約1000km、最寄り駅から徒歩2時間。風と茶畑の中に佇む工務店があります。

marukawa

日本の最南端・鹿児島県南九州市。

人口およそ3万人。山と茶畑に囲まれた小さな町です。
牛は約1万7千頭、豚はおよそ10万頭。

人より動物の方が多い町でもあります。
そんな南九州市に、東京から直線距離で約1000km離れた「日本一たどり着きにくい工務店」があります。
最寄り駅から徒歩2時間、コンビニまで徒歩1時間。
そんな信じられない場所に、笑顔で働く人たちがいます。
創業93年を迎える「marukawa(マル川建設(株)」は、地元の木を使い、地域に根ざした家づくりを続けてきた工務店。
不便さを笑いに変え、自然と共に生きるその姿は、地方に生きる企業の「これからの形」を映し出しています。

東京駅からの直線距離

新幹線とローカル線がつなぐ12時間の旅

日本の中心・東京駅から出発。
東海道新幹線で新大阪や博多を経由し、鹿児島中央駅へ。
時速300キロで走る、日本の誇り高速鉄道・新幹線。
整然としたホーム、正確な時刻、車窓に流れる高層ビル群——それは「日本のスピード」そのものです。

それでも東京からここまですでに7時間。

新幹線の移動ルート

しかし、そこから先に待っているのは、まったく別の時間の流れです。
鹿児島中央駅で乗り換える「指宿枕崎線」は、2両編成のレトロなローカル列車。

四季折々で表情を変える緑のトンネル

潮風が窓から入り、アナウンスの声ものんびりと響く。

ここではSuicaなどのICカードは使えません。
都会ではほとんど触れることのなくなった切符を、駅の窓口で一枚ずつ買うところから旅が始まります。
真新しい新幹線のボディと、少し色褪せた在来線の車体。
その対比が、「便利さの先にある豊かさ」を静かに語りかけてきます。

車窓に広がるのは、錦江湾と桜島、東シナ海の青、そして果てしない茶畑。

車窓からの景色

時間を忘れるほど穏やかな風景を眺めながら2時間半。

都市圏の感覚なら「駅から徒歩10分♪」なんて言葉が浮かんできますが、marukawaでは「最寄駅から徒歩2時間♪」です。

ついに最寄り駅の「薩摩塩屋駅」に到着です。

無人駅「さつましおや」


そして、ここからが最後の冒険の始まりです。

鹿児島中央駅から塩屋駅までのルート

林道を抜け、鳥の声と風の音だけが響く道を歩くこと約2時間。

車もほとんど通らない

緑に包まれた丘の中腹に、静かに佇む黒い社屋が見えてきます。
光を吸い込み、山の緑や空の青を映すその外壁は、まるで自然の一部のように風景に溶け込みながら、凛とした存在感を放っています。

「日本一たどりつきにくい工務店」marukawa本社

12時間かけてようやくたどり着いたその瞬間、涙が出るほど嬉しいはず。

そしてきっと、少しだけ「もう二度と行きたくない」と思うでしょう。

合計12時間。
まるで「たどり着くこと自体が一つの旅」のようです。

不便すぎる立地に、人が集まる理由

南九州市川辺町本別府地区。
ここは最寄りのコンビニまで徒歩1時間、小学校まで徒歩1時間20分、スーパーまで徒歩2時間。
車がないと生活が成り立たない場所です。

それでも、ここで働きたいと集まる人がいます。
理由はシンプル。
「この地域が好きだから」

marukawaは1932年(昭和7年)、一人の大工の手仕事から始まりました。
「地元の人に喜んでもらえる家を建てたい」——。
その想いを受け継ぎ、今では木造住宅・リフォーム・地域木材の活用など、「地産地建」の家づくりを続ける地域密着の工務店です。

93年間、会社の場所を一度も変えなかったのは、この土地に根を張り、人と人とのつながりを大切にしてきたから。
不便さよりも「ここに生きる誇り」を選んだ会社です。

自然と共に働くということ

marukawaのオフィスは、四方を緑に囲まれています。
窓の外に見えるのは、広い空と茶畑の緑。
季節ごとに風の匂いが変わり、鳥のさえずりで仕事が始まります。

社員たちは口を揃えて言います。
「都会にない豊かさがここにはある」
それは最新設備や便利さではなく、自然と向き合う中で育まれる“自然と共に働く豊かさ”です。

忙しさに追われがちな建築業界の中で、「ゆっくり、丁寧に、誠実に」という姿勢を貫くこと。
それこそが、marukawaが93年続いてきた理由です。

お茶の生産量で日本一となった知覧の茶畑の風景

遠くても、届く。南九州からの想い

地元の木、地元の人、地元の風景。
marukawaの家づくりは、すべて「この土地で生きる」ことを中心にしています。
見た目の美しさやデザイン性だけでなく、家族が長く安心して暮らせる性能と、地域の自然環境へのやさしさを両立する家づくり。

これは単なる住宅建築ではなく、「このまちの未来を形にする仕事」でもあります。
大都市のようなスピードや効率ではなく、人と人、土地と暮らしをつなぐ「ゆっくりとしたものづくり」をこれからも続けていきます。

新社屋コミュニティー施設「椋」

最後に

marukawaの社屋には看板も少なく、地図アプリでも迷うほど。
それでも、辿り着いた人はみな口を揃えます。
「ここでしか見られない風景がある」

遠くて、不便で、何もない。
けれどその「何もない」中に、人と自然のつながり、本当の暮らしの美しさが息づいています。

もしもあなたが、「たどり着く勇気」を持っているなら、鹿児島・南九州市へ。
きっと、忘れられない景色に出会えるはずです。

地域イベントレポート

先日の10/18に地元保育園の秋まつりに参加し「親子木工教室」を開催。
新築やリフォーム現場で出た端材を活用し、未就学児向けの積み木も新たに制作。

地元の木を使い、木の温もりや香りを肌で感じながら、小さな手で木をつかみ、夢中でつくる姿に笑顔があふれていました。

普段は「たどり着きにくい工務店」ですが、
こうした地域イベントを通じて地元の方々や子どもたちと近くでふれあい、
木と人、家づくりと暮らしをつなぐ活動を続けています。

これからも地元の木を活かしたものづくりを通して、地域貢献と笑顔の循環を生み出していきます。

marukawa-マル川建設㈱-

私たちmarukawaは 南九州市で注文住宅/不動産を手掛ける建築会社です。 「憧れと暮らす」をビジョンに掲げ、お客様に寄り添った、お客様ファーストの工務店です。 お客様とともに歩み、地域に根ざした住まいづくりに取り組んでいます。

住所 | 鹿児島県南九州市川辺町本別府2522-1
電話 | 0993-56-1348
HP | https://marukawa-k.co.jp/

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会社概要

マル川建設株式会社

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URL
https://marukawa-k.co.jp/
業種
建設業
本社所在地
川辺町本別府2522-1
電話番号
0993-56-1348
代表者名
川原和人
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
1953年04月