【イベントレポート】機会を生かし、管理職を楽しむ秘訣に迫る!
今回は、Kenvue Inc.(旧:ジョンソンエンドジョンソン)、株式会社イングリウッド、株式会社マクアケで管理職として活躍する3名のゲストをお招きして「機会を生かし、管理職を楽しむ秘訣に迫る!」というテーマで東急プラザ原宿「ハラカド」を会場に、セミナーを開催しました。
【セミナーのアジェンダ】
①NewMeよりご挨拶・会社説明(NewMe COO篠原)
②登壇者紹介(NewMe COO笹川)
③パネルディスカッション
【登壇者プロフィール】
浦崎 里奈(Kenvue Inc. 旧:ジョンソンエンドジョンソンCMO/CHビジネスユニットリード)
P&Gにてシンガポールへ駐在し、柔軟剤ブランドの戦略策定や新製品・コミュニケーション開発に従事。2016年にジョンソンエンドジョンソン(現:Kenvue)に入社。リステリン史上最高の市場シェア獲得を達成し、No.1ブランドとしての地位を確立。ドクターシーラボの製品戦略・開発等を経て、全ブランドのマーケティング責任者としてブランド価値向上、ビジネス成長をリード。現在は、コンシューマーヘルスセクターのビジネスユニットリーダーとして従事。
松尾 奈美(株式会社イングリウッド 執行役員兼CHRO)
リクルートにて人事や経営企画を経験。その後、リクルートテクノロジーズにおいて採用や広報、企画統括等のマネジャーに従事し、エンジニア組織の拡大を牽引。2019年経済同友会出向を経て、2021年よりリクルートの広報コミュニケーション推進のマネジャー、部長を務めたのち、2024年よりイングリウッド執行役員兼CHROに就任。
坊垣 佳奈(株式会社マクアケ 取締役/共同創業者)
サイバーエージェントにて子会社3社の創業や経営参画を経て、2013 年マクアケの立ち上げに共同創業者/取締役として参画。DEIを意識した時代に即した組織づくりや、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」の事業拡大に従事しながら、全国各地での講演や金融機関・自治体との連携などを通した地方創生にも尽力。ENECHANGEの社外取締役にも就任。著書に 『Makuake式「売れる」の新法則』(日本経済新聞出版、2021)。
【イベントレポート】
セミナーのアジェンダ①~③のうち、③のパネルディスカッション部分のレポートとなります。
管理職になったきっかけや迷いは?
笹川:本日は「機会を生かし、管理職を楽しむ秘訣に迫る!」というテーマで、Kenvue Inc.(旧:ジョンソンエンドジョンソン)、株式会社イングリウッド、株式会社マクアケの3社で活躍されているお三方をお招きし、管理職としてどのように楽しみながら機会を生かして、キャリア・ライフを充実させているのか、意識されていることなどを深堀りしていこうと思います。今回は敢えて経営者目線でお話ができるお三方に管理職の当事者としてのご経験はもちろん、管理職という仕事を俯瞰で見て、そのやりがいや挑戦すべき理由などにも迫りたいと思います。
まずはお三方が初めて管理職になったタイミングと当時の心境や状況について振り返っていただけますか?
松尾:管理職になったのは31歳の時でした。もともと、心の中で管理職になりたいとずっと思っていてそれを察してくれているのではと思ってしまっていたのですが、ある日、上司とのラフな会話の中で私が管理職になりたいと思っているとあまり思われていないことが分かり、やりたいことは言葉にしてしっかりと言わないと伝わらないんだと衝撃を受けました。
当時は「管理職になりたい」と発言することにどこか躊躇していたんです。周りからどう見られるんだろう。まだ管理職になりたいかどうか迷うんだよな。とハードルを感じていた部分もあったんですよね。ただ、その会話以降は、恥ずかしくてもやりたいことを発言するようにしました。少し自信が無くてもこういうことをやりたいんです!と発言していました。
笹川:意思表示をしないと伝わらない、を身をもって経験されたエピソードですね。やりたいこと・興味があることは、ことあるごとに口にした方がチャンスは転がってきますもんね。浦崎さんはどのタイミングで管理職へ挑戦されたのでしょうか。
浦崎:私は26歳の時でした。前職で働いていた頃で、管理職になりたいと私もずっと思っていました。
外資系の企業だったこともあって、管理職はブランドマネージャー(=ブランドの経営者)と呼ばれるポジションだったんですが、仕事の進め方はもちろんのこと、性別問わず大きな規模のブランドをその人の判断次第でより伸ばしていく、多くの消費者に商品を届ける格好いい上司たちの姿を目の当たりにしていたので、自然と憧れを持つようになって、管理職になりたいと思っていたんです。
なので、どうしたら管理職になれるのかをよく上司と話していました。
笹川:坊垣さんは女性に管理職になることを部下の方々にも積極的に勧めていらっしゃると思います。管理職をやりたいと思っている女性の中でも、意思表示をしている方とそうでない方がいらっしゃると思うのですが、社内の様子や坊垣さんと話をされて気持ちが変わる方もいらっしゃるんでしょうか。
坊垣:仕事を一緒にしていると、管理職に向いているなと思う人が複数いるんですよね。もちろん、管理職になることがすべてではないので、プロフェッショナル志向でもいいんです。適性と意思のバランスが大事なんですよね。安易に管理職になる、ならないを考えて「私、向いてないかも」と決めてしまうことはもったいないと感じます。
一般的に管理職の適性は、人をチームとしてまとめることや人を育てる愛、気概を持っていることが素養とされていますが、ご自身の判断だけでなく客観的に見ることも大切だと思うんです。だからこそ弊社では、ご本人の意思とは関係なく、管理職になる可能性を見据えて採用したいという話を候補者の方にすることもあります。
管理職になる、ならないを考える際は、上司だったり周囲の先輩に「私って管理職になる適性ありますかね?」と聞いてみるのもいいと思います。
笹川:自分が管理職になりたいと思う意志と向き合う作業と合わせて、周囲に意見を聞いてみるのはいいですね。浦崎さんも配下に200名ほどいらっしゃると思いますが、マネジメントをされる上で適性についてのお考えはいかがでしょうか?
浦崎:もちろん、適性はあると思います。ただそれと同時に、ポジションが人にリーダーシップを醸成することもあると思っています。実は、管理職を始めるまでは、後輩に教えるよりも自分で成果を出す方が楽しいと思うタイプだったんです。ですが管理職になったことで、チームだとこんな事ができるんだ!メンバーのパフォーマンスがよくなった時は嬉しい!といった愛を持てるようになったんです。そこからは、自分のポジションにただ憧れていたからなりたいだけでなく、自分のチームをどう育てていくかをしっかりと考えられるようになったんです。やってみて初めて分かる自分の強みもあるなと実感しているので、まずはチャレンジをしてみることが大事だと思います。
坊垣:先ほど管理職の適正という言葉を使いましたが、実は適性はほとんどの方が持っていると私は思っています。でも、ご本人が管理職をやりたくないと思ったり、稀に、プロフェッショナルを目指した方が幸せなケースもありますけどね。私が早い段階から「管理職やろうよ」と声をかけるのは、管理職になる適性がある方の中でもかなり素養の高い方で。そして大前提、浦崎さんと同じでポジションが人を成長させるものだと常々思っています!
浦崎:もう1つ思うのは、大切にすることはキャリアだけではないと思うんですよね。ライフステージの変化もあると思います。
管理職の中でも、チームを束ねることだけでなく専門的なPRをすることだったり他にも選択肢もあるので、キャリアは縦に考えるだけでなく、横にも広げていくことで、最終的に広げられる選択肢が増えてユニークなキャリアになると思うんですよね。チームにも女性が多いのでキャリアの軸を広げる話はよく話をしています。
松尾:実は私も管理職になるまでは、自分で成果を出して仕事をすることが好きだったけど、自分のチームやメンバーがうまく行っているところを見るとこんなにも幸せなんだと思えることが新しい発見だったんです。適性としては、自分は社会人になってからの経験によってリーダーシップを学んできたタイプです。また、先陣を切ってリーダーシップを発揮するだけではなく、目標は掲げるものの、メンバーの主体性に任せてそれぞれの強みを発揮してうまく回せるように皆でサポートするフォロワーのような動きも取ってきたんです。
リーダーシップのタイプが異なると自分には向いていないのかな?と思う方もいるかと思いますが、最近は多様性のあるリーダーシップが必要とされているなと感じます。
笹川:リーダーシップのタイプは1つだけではないですもんね。いろいろなマネジメントの手法がある中で、管理職をやってみるチャンスが舞い込んできた時に自分オリジナルの手法を見つけていく流れに変わってきているんですかね。
坊垣:時代的にもライフスタイルと自分のバランスは多様性が出てきているので、バランスがとれるようになってきたと思います。これまでは、右向け右と軍隊的な動きが主流でしたが、性別も年齢もライフスタイルとのバランスも含めて、それぞれにとっていい形をどのようにつくっていくのか。ということが今の時代に求められているんですよね。
女性は話をするのも聞くのも好きなので本来、マネジメントが得意だと思います。コミュニケーションの中でしか独自性や本当に求めていることが分からないので、「こういうスタイルだとイメージしていることが叶う?」など具体で引き出せるのが女性だと思ってます。
笹川:政府が女性管理職を増やすことを掲げてるものの、もっと当事者たちにとっては手前に課題があるはず、という思いで今日のイベントも開いたんです。NewMeとしても管理職の仕事の実態を紐解く中で、女性という生き物の思考の傾向や得意なことを冷静に考えると、女性こそ適性がある方が多いのでは?とよく思います。
松尾:正解が分かっている仕事だと、答えはこうだよと教えていくマネジメントが必要かもしれません。ただ世の中が目まぐるしくかわっていく今の世の中では何が正解か分からない。マーケットに直接対峙しているメンバーが何に困っているのかを引き出しながらそこを支援をすることがリーダーシップの標準になりつつありますよね。
笹川:リーダーシップにはホスピタリティがつきものですね。浦崎さんはどんなマネジメントをされていますか。
浦崎:私自身もそうですが、チームや部下のパフォーマンスを高くするため、得意なことに挑戦させています。苦手なことをするのはリソースとしてもキャリアとしても活きていかないので、強みを見つけて5倍・10倍にしていくことを大事にしています。私の上司もこれをずっと言ってくれているので、本当にありがたい限りなんです。
笹川:素晴らしい環境ですね。強みを伸ばしてくれるマネジメントはのびのびチャレンジできていいですね。
坊垣:好きと強みの2軸があると思うんですが、好き嫌いも大事だと思うので、やりたいことをやらせてあげることも大事だと思うんです。得意なことと好きなことのかけ合わせだと最高にパフォーマンスが高くなるんですよね。
松尾:前職でも現職でも、will、can、mustという言葉がよく使われるんですが、仕事はmustでやることはもちろんだが、willやcanのを言語化をすることが重要なんです。やりたいし、強みが活きるし、やることだし、の3点セットだと強いんです。このフローができるとパフォーマンスが爆上がりするんです。管理職として、点と点を繋げていけるように工夫をしています。私自身もこの考え方で育てていただいたので、やる気にも満ち溢れるんですよね。
管理職として乗り越えた壁は?
笹川:先ほどからお話を伺ってきて、それぞれに素敵すぎて、お三方の下で働いてみたいという思いが猛烈に沸いているのですが笑、皆さん本当にしっかりと活躍されていてスーパーウーマンに見えるんですが、乗り越えてきた壁はあったりされますか?
浦崎:壁ですか‥!壁と認識する前に突破しちゃっているかもしれないです(笑)。私は管理職1年目で妊娠、2年目で出産したんですが、育休は短めだったので復帰した際に、スケジュールのオンオフがつけられなかったんです。子どもは保育園に預けているものの、夜は育児も仕事もという状態で、子どもの夜泣きで起きたことをきっかけに夜中3時から働いたりとかしてたんです。生活がサステナブルではなく、常にどこかでイライラしていました。
スケジュールにオンオフをつけることによって、日中は仕事、夜は家庭にコミットするという動きに変えました。結果として、チームとして働きやすくなり、自身のメンタルも保たれるようになりました。管理職になったことで、自分がトリガーになって動けるようになったことは本当に良かったです。
笹川:管理職になったことで自分をハンドリングできて、周囲も理解してもらえるようになったいい事例ですよね。松尾さんはいかがでしょうか。
松尾:私も壁を乗り越えてしまうと忘れてしまうタイプです笑、でも今思えば、最初の半年ほどは自分のリーダーシップや強み、メンバーの強みややりたいことが分からないまま管理職をしていたように思います。でもそこが掴めるようになってからは、益々管理職を楽しめるようになった上、改めて自分は人を鼓舞することが好きということが分かりました。
ロールモデル不在問題について
笹川:いろんな管理職のスタイルがあることが分かってきたんですが、管理職になりたいと思っていても、実際に管理職をされている方を見てみるとバリバリ働いている方や自分では真似できない方が多く、ロールモデルがいないという悩みをいただくケースが多いです。坊垣さんもよく相談を受けられると思うんですが、解消の仕方がありましたら教えていただけますか。
坊垣:「ロールモデルを必要としない」ですかね。ロールモデルは憧れだと思うんですが、絶対にその人にはなれないんですよね。勤めている会社や家庭環境、全く同じ人はいないじゃないですか。自分のスタイルをどう確立していくのかだと思うんですよね。ロールモデル探しをしていると自分がなりたい誰かを探し続ける作業で、自分がなりたい自分を探すこととはずれてくると思うんです。
私自身は、世代的にロールモデルはいなかったんです。出産をして子育てをしながら仕事も楽しんでいる方はほとんどいなかったです。今や女性の活躍が目覚ましいサイバーエージェントですが、私が入社したての頃はベンチャーで社員が若かったのもあると思いますが育休実績がほとんどなく、出産をしてキャリアを諦めた後輩もいました。そこから15年が経ちどんどん企業における女性の活躍推進は進んできたとは思うんですが、男性育休取得の推奨など本当に大きく変わったのってここ5年くらいの話ですよね。
30歳でマクアケの立ち上げをしたんですが、そのタイミングで、人とは違う選択をしているから子どもを産めないかもしれないけどいっか!と割り切るようにしたんです。「もしこの先の人生で、いい人と出会えて結婚、妊娠、出産できたらラッキー」位に思っておこうという風に切り替えました。結果、今、たまたま超ラッキーな状態にはなったのですが笑。
ロールモデルをおくことで、何かができないと幸せになれないと勘違いしてしまうリスクがあるんですよね。経験も環境も変わっていくもので、人生は不確定な要素が多すぎるんです。その時その時の状況を受け入れて、持っているものを前提に幸せを構築していく。その柔軟性が大事なんじゃないかと思います。
笹川:自分を固定概念に閉じ込めているのは自分かもしれないですね。まあいっかと割り切ることも大事ですよね。松尾さん、すごく仕事を楽しまれている印象があるんですが、工夫されていることがありましたら教えてください。
管理職としての仕事を楽しむコツ
松尾:仕事のフェーズによって色々な楽しさがあると思うんですが、管理職という仕事は、つまるところチームでなにか高い目標を掲げて達成していくことだと思うので、もっと身近な表現をすると、例えば部活動で何かを達成していくのと同じような感覚ですね。
管理職になる前でいうと、イソップ寓話の3人のレンガ職人のように意味づけすることが重要だと思っています。目的意識がないと単なる作業になる仕事も目的があればそれはそこに行きつくまでの重要な仕事。捉え方で仕事の意義や面白さが変わるんです。またどうやったらこの仕事をもっとよくできるだろうと工夫をしていくことは、どこかでゲーム攻略をしているような感覚もありました笑。
笹川:ゲーム感覚でいいんですね。いいアドバイスを聞けました!お三方のアドバイスに背中を押され明日から益々仕事を頑張れそうです!因みに仕事とライフのバランスに悩む方も沢山いると思います。皆さんはどういう事を考えてアクションを起こすといいと思いますか?
浦崎:私はライフバランスという言葉を使おうとするのがよくないと思います。バランスを取ろうとすると、二兎追うもの一兎をも得ずになってしまうんですよね。だからこそ、ベターライフベターワークだと思うんです。いい人生だといい働きができる。自分や自分の家族も大事にしたいです。人生のタイミングによって、キャリアとライフのどちらに軸足を置くのかを考えることが大切だと思います。
何かを捨てることには勇気がいりますが、優先順位を決めることが大事です。仕事に割く時間は1日の中でも多いので、好きなことや120%でパフォーマンスを出せることを見つけるのがいいんじゃないかなと思います。
笹川:リモートワークなども普及して働き方の選択肢は益々増えましたし、色々な働き方を調べたり可能性を探ってみて、転職するも良し。結果、今の環境に留まるという選択をするも良し。探してみる、模索してみるということを1日でも早くやってみることが大事ということですね。
坊垣:最後にちょっと、「なぜ、管理職になるといいのか」という話だけしてもいいですか?!
一番は、会える人が変わってくるんですよね。日本は名刺文化があるので、ポジションを持つことが重要な意味を成すと思うんです。実体験の話をすると、女性の社外取は希少性が高く、ラッキーだなと思うことがあるんです。希少価値が高いとチャンスが広がって、やれることが広がるんですよね。皆さん周りの方と同じ選択をしがちだと思いますが、人がやっていないことをやることが重要なんです。人と違う道を選ぶのは怖いんだけど、その分、人から選んでもらえるようになります。会える人、いただく仕事が変わってくると自分のマインドも変わって、いいサイクルができるんです。
笹川:「人と違う道を選ぶと、人に選んでもらえる人になる」。格言を頂きました。人と違うことをするって少し足がすくみますが、オリジナリティのある人が重宝され、リスペクトされる時代になっていますもんね、確実に。
坊垣:人と違う選択をすると、自分がこれまで見えていなかった世界が広がっているんですよね。自分の心に聞いて素直にやってみることが大切だと思います。
笹川:1つチャレンジをしてみて、選択権を持った立場になれると、面白い光景が見えそうですね。管理職という肩書きに漠然と不安を抱いてきた方の背中を押すような言葉がたっぷり詰まった時間でした。
皆様、本日は本当にありがとうございました!
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