法令デジタルツインの活用で、税理士の生産性を支援 ー 株式会社タクマネ、生成AIの誤答を抑制する高精度化PoCを開始

「法令のデジタルツイン空間」に、AIが税理士の補助ツールとして参画する新しいワークスタイルの検証を始めます。

株式会社タクマネ

法令デジタルツイン上における支援イメージ


株式会社タクマネは、税理士をはじめ、厳格なルール運用と経験的な判断が求められる士業に向けて、生成AIの誤答(ハルシネーションや複雑な推論エラー)を抑制するPoC(概念実証)を開始しました。

すでに数学の分野では、数学オリンピック金メダル級の問題を解けるAIが登場しています。これにより「複雑な税務ルールにも応用できるのでは」という期待が高まる一方、税務実務は条文だけで完結しない場面も多くあります。たとえば「経費該当性」や「社会通念上の妥当性」といった事項は、状況や経験に基づく確認が欠かせません。

そこでタクマネは、経験的な判断を後段で確認する前提で、まず形式的な論理整合性を確かめるステップと、先送りした経験判定のチェックポイントを整理・確認するステップを組み合わせます。これにより、法令デジタルツインの中でAIが支援役として機能し、適正な税務申告プロセスを後押しすることを目指します。


生成AIの“幻覚(ハルシネーション)”課題と税務支援における留意点

生成AIは有用である一方、存在しない法令や誤った情報をもっともらしく出力してしまう場合があります。これは人間の思い込みにも似た性質であり、実務活用には適切な確認体制が重要です。生成AIは「次に来そうな言葉」を統計的に予測して文章を作るため、尤もらしいが不正確な出力(ハルシネーション)が自然に生じ得ます。

なぜ生成AIが誤回答するのか?

学習過程の特性上、複雑な条件分岐や例外が重なる領域では推論上の誤りが生じやすくなります。一方で、こうした生成AIに一定の推論能力が芽生えているのも事実で、柔軟な回答能力が注目されてきました。研究・実務の両面で、ファインチューニング/プロンプトエンジニアリング/RAG/知識グラフ/Function Calling/Output Schema など、厳密な形式手法であれ、運用的な工夫であれ、「生成AIに制約・構造・ルールを付与する」試みが積み重ねられています。

「法令のデジタルツイン」×「AI支援」:形式的論理と経験的妥当性の二段構え

タクマネはこの流れをさらに進め、税法構造をデジタルツインとして明示化し、その制約内でAIが補助するアプローチに取り組みます。

  • 形式的論理のチェック:AlphaProofなど定理証明分野の知見を参考に、条文・計算手順・適用順序の形式的整合性を確認。

  • 経験的妥当性の確認:判例、国税庁法令解釈通達、国税不服審判所の裁決事例など、実務に必要な視点は、範囲を絞った高精度AIや、税理士・利用ユーザー向けのオンデマンド・チェックリストが分担。

この「形式的論理判定 × 経験的妥当性判定」の二段構えにより、幻覚の抑制と実務適合性の向上を両立するAI税務アシスタント(補助ツール)を目指します。AIは独占業務を代替するものではなく、専門家の判断を支援する役割に徹します。


法令デジタルツイン内での二段階チェック

0. 事前準備:法令デジタルツインの作成

はじめに、税法や運用を仮想空間上で扱える構造に整えます。イメージとしては、「税法・運用の構造を写し取り、AIエージェント(補助機能)が業務プロセスを支える空間」を用意する形です。準備は次の3カテゴリに整理します。

0-1. 法令の厳格ルール化による土台づくり

Lean4 などの定理証明支援ツールで、条文・計算手順・適用順序を定理化し、形式的論理整合チェックの土台を整備します。ただし、すべてを厳密ルール化できるわけではありません。

例:資産管理会社が社債を発行し、関係者を経由して利息を受け取る構造における利子控除の「実質的妥当性」などは、純粋な論理だけでは定義が難しい場合があります。

→ このような箇所は「楽観的妥当性判定による先送り」とし、形式段階では仮OKフラグで通し、後段の実務チェックで評価します。

0-2. 税理士知見の共通ロジックとプラグイン化

法令そのものに加えて、相続税・法人税など各分野の共通実務ロジックを整備し、デジタルツインに標準実装します。さらに、各税理士が独自ノウハウをプラグインとして登録し、デジタルツイン経由でAI補助機能に参照させることも可能です。

単なる厳密化にとどまらず、実務ノウハウを標準化・拡張して共有できる環境を整えます。

0-3. 判例/通達/裁決事例の経験的妥当性判定への反映

行為計算否認や実質課税原則に関する論点を収集・要約し、経験的妥当性判定の論点カタログとして整備します。

0-1/0-2で「先送り」された項目は、

  • セルフチェックリスト(ユーザー/税理士向け)

  • 依頼書テンプレート(セカンドオピニオン依頼用)

  • 専門タスクAI(関係者判定・資金循環パターンの検出など)

といった手段で置き換え、コストと精度のバランスを考慮した経験的妥当性判定(実務チェック)を行います。

1. ユーザーのラフな要望を厳密に翻訳

AI補助機能は会計データも踏まえ、自然文を「税法上、何をどの順序で確認すべきか」という命題(設計図)に変換します。ユーザーとAIが質問の意味を明確化・合意する段階です。

2. 形式的論理整合チェック

命題化した条件を Lean4 などで定理証明的に検証します。たとえば、「利息控除の要件を満たすか」等に対して機械的に赤ペンをつけます。

3. 経験的妥当性判定(リアルチェック)

形式的にOKでも、実務上の観点で確認が必要なことがあります。ステップ2で抽出した命題(ロジック)を材料に、次を税理士が確認します。

  • 例1:利息を受け取る先に独立した経済合理性があるか

  • 例2:資金の流れが特殊関係者を経由して循環していないか

  • 例3:取引が実態としてビジネス目的を持ち、形式面に依存していないか

確認は最適な手段に適切配分します。

  • 専門タスクAI:関係者属性や資金循環パターンを示唆

  • 税理士のレビュー:セカンドオピニオンとしての観点提示

  • 税理士セルフチェックリスト:独立性・資金還流の有無などをYes/Noで確認

これにより、形式面では通過しても実質的なリスクが高い構造を適切に識別できます。

4. トライ&エラーと「適切な意思決定」

各ステップで見直しが必要な場合は、得られた情報を踏まえて前工程に戻り調整します。やむを得ず進行が難しいと判定されるケースでは、「別の方法を検討する」などの適切な意思決定を示唆します。AIは誤魔化しなくプロセスを可視化し、健全な判断を支援することに価値があり、税理士と顧問先の安心につながります。


今後の展望

精度への懸念に対する対応

  • 形式的論理部分はテスト可能なモジュールとして継続改善。従来のシステム開発と同様に、テスト計画・回帰テストにより予測可能な品質向上を図ります。

  • 経験的妥当性部分は、学習データの整備やチェック厳格度の調整で安定性を向上をはかります。「安全側(低リスク側)」へのチューニング方針を採用します。

専門家の知見との連携

AI補助が十分でない局面では、税理士のノウハウをプラグイン化して法令デジタルツインに取り込み、AIの提案の質を底上げします。AIは代替ではなく後押しという立場であります。

法令改正・通達追加へのフォロー

デジタルツインの基礎法令層を定期更新し、税務ロジックの安全性を維持。新法令で従来スキームに制約が発生する場合も、形式チェック段階で検出可能です。

税理士ユーザー様が独自作成するスキームは、各自で健全にメンテナンスできるよう運用ガイドを提供します。

判例・通達の更新は、経験的妥当性判定の参照データ/チェック文言を更新して対応します。

顧問先ユーザーのセルフチェック支援

実務判断が難しい設問には、AI補助機能が「専門家への相談が望ましい」ことを明確化する。税理士等への相談導線をTakumane上で提示し、安心して専門家判断につなげられるようにします。

税務支援システムTakumaneへの組み込み

Takumaneの根拠に基づいたAI回答

弊社には、すでにリリース済みの税務支援システム 「Takumane」 があります。

本システムは、税理士事務所と顧問先の業務効率化を支援するプラットフォームであり、以下の機能を提供しています。

  • 顧問先管理:法人・個人の基本情報、契約、進捗を一元管理。

  • 税務イベント管理:申告・納付・届出といった重要タスクを体系的に把握・管理。

  • AI税務相談:アプリ内のデータやGUIとシームレスに連携し、ユーザーの質問に応じてAIが草案を提示。 

今回紹介した 高精度AIによる2段階チェックPoC も、将来的にはTakumaneアプリに統合され、以下のような改善を目指しています。

  • アプリ内でのPoC組み込み:既存の顧問先・イベント管理とシームレスに接続し、AIが出力した「形式的論理整合チェック結果」と「経験的妥当性判定結果」をそのまま確認可能。

  • ワークフロー改善:顧問先へのフィードバックや修正依頼が自動生成され、ユーザーはシステム上で「承認/修正/税理士に依頼」を選択するだけ。

  • 将来展望:デジタルツイン技術を活用し、申告書作成からリスク検知、是正依頼までを一貫してサポートする「AI税務支援システム」への進化。

PoCは単なる実験ではなく、実際の業務システムに組み込む将来を見据えた改善活動として継続中です。


会社概要・お問い合わせ

タクマネに少しでもご興味がございましたら以下お問い合わせのお申し込みフォームよりお気軽にお問い合わせください。

会社名:株式会社タクマネ(https://takumane.jp/

事務所所在地:東京都千代田区霞が関1丁目4番1号 日土地ビル 2F

代表者名:柿澤 庸太

お問い合わせ: https://takumane.jp/contact

公式サイト :https://takumane.jp/

運営事業:

・税理士事務所向けDXツール「タクマネ」の開発・運営

・財務・会計コンサルティング業務

・クラウド会計導入支援・経理代行業務

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区霞が関1丁目4番1号 日土地ビル 2F
電話番号
03-6161-8300
代表者名
柿澤 庸太
上場
未上場
資本金
-
設立
2023年12月