【調査速報】教育関係者の9割が「ヘアロス」への理解とサポートが追い付いていない現状が明らかに。(NPO法人ASPJ独自調査)
ヘアロス当事者への対応に困ったことのある教育関係者は約90%。髪がない状態が長期化したり、繰り返し脱毛を発症することもあるため、年齢に応じた柔軟な対応が求められています。
本調査は、毛髪疾患を抱える当事者と保護者のコミュニティを通じて浮き彫りになっている課題に取り組んできたASPJが、毛髪疾患当事者・家族サポート事業として2023年度日本財団の助成を受けて実施しました。
この結果をふまえ(1)ヘアロス症状について正しく知ってもらう事と説明方法の提案(2)ヘアロス当事者、保護者、教育関係者それぞれの相談窓口としてのコミュニティづくり(4)ヘアロス症状など身体的特徴を抱えて生きていく為のメンタルサポートトレーニング(4)企業や行政との取り組み推進で髪に症状があることをハンディキャップとしない社会づくりを目指します。
円形脱毛症、先天性乏毛症・縮毛症、抜毛症などの髪の毛がなくなる、抜いてしまうなどの毛髪疾患(以下:ヘアロス)症状への認知理解度を独自調査。教育関係者238名では、ヘアロスの症状への理解の他、実際の対応やほかの生徒への説明などで不安を感じるとの回答も。私達はこの結果を踏まえ、毛髪疾患サポートハンドブックを制作します。
2023年4月19日(水)~5月8日(火)インターネットで実施したアンケート調査の回答は、下記の通りです。
前触れなく突然脱毛症状を発症する事や、保護者が認識し学校側へ連絡をしているかどうか、ヘアロスを抱える本人の心理的状況などの複雑に重なる要素により、教育現場での対応も悩ましく、難しいと感じている現状が露になりました。
髪が抜けはじめの初期であったり、自己認知している症状と本来の症状が合致していない時もあることから、ヘアロス当事者も症状を伝えにくい現状があります。また、一度髪が生えそろっても脱毛を繰り返すなどの精神的なダメージがあります。
100人に1人といわれるヘアロス症状ですが、ウィッグの使用などにより一見外からは分かりにくいものであるため、周囲としても、どの程度関わって良いものかの判断が難しく、知ってはいるけれど対応は特にしない等の、ヘルプサインを見逃す可能性もあり見過ごされがちな問題になっています。
■ケアや対応に困った理由・状況(自由記述より)
・接し方や配慮の仕方に困った
・褒めようととっさに頭を撫でたが、触れてよかったのか悩んだ。
・デリケートな問題なので、どう接したらよいか戸惑いました。
・どのような関わり方がその子にとっての安心になるのかで困った。
・相談されたが、どうすればいいかわからなかった。
・本人が気にするような言葉を言っていないか心配になった
・過去心理的なことから毛髪が抜けたことがある、今は元に戻っている、再び同じような症状にならないようにしたいと保護者から相談された。その後抜けることがなくよかったが、原因がわからない状態だったので、配慮をどうしたらいいかと心配した。
・他の子どもに説明すればするほど、当事者の子どもに注目をさせているのではないかと感じました。自然と関わり合わせたいがどうしても不自然になるような気がします。
■他の子への指導・対応に困った(自由記述より)
・他の子供たちに脱毛状態のことをいじられてる時
・本人の心のケアと周囲の子どもへの説明に困った。幼児になると人との違いに気づき始めるため、何でと聞かれて困った。
■困るシーンがあった(自由記述より)
・髪の毛が無い部分があり、いつもヘアバンドをして髪の毛を集めて学校に通っていた子どもがいたが、プールや修学旅行でのお風呂などの対応に困った。
・美容師養成教育の中で、シャンプー授業では、通常、相モデルでシャンプー実習を行いますが、当事者の学生は普段ウイッグを使用しており、ウイッグを取ってモデルになることを望んでいませんでした。そのため、当事者がモデルになることができず、本来そこで得られる経験ができなかった。
■その他(自由記述より)
・当事者の方はもちろん、家族の方も、どうすれば髪が生えるかということだけに一喜一憂してしまって、今の状況をどう考えて、どう受け止めていくかという視点にまでなかなかたどりつかなかった。
・本人が周りの目が気になることで登校できなくなり、その学習補償と周りの生徒への対応。
・本人が抱える具体的な困りごとなどについて気兼ねなく対応や相談ができる場所が少ないと思う。
治療法があっても、一概に望ましい結果を得られにくかったり、時間がかかる事から、じわじわと心に侵食していくような悩みに変化していきます。その想いを汲み取り日常的にサポートできるのは、同じ痛みが分かる当事者同士だと私達は考え、2つのコミュニティを中心に交流の場を設けています。
教育関係者の方には、ヘアロス当事者や親御さんがいらしたら、私達当事者団体に繋げていただきたき、先生方には周囲の子ども達のヘアロスに対する認知の変化や拡大にご協力いただきたいと思っております。
① WEBコミュニティ
匿名で参加できるクローズドな専用コミュニティは他のSNSとは紐づかない、安心して本音を吐き出せる場所として当事者の声を反映して作りました。「ヘアロス当事者向け」「ヘアロスの方がいらっしゃるご家族向け」の2つを設けています。2023年6月17日現在では4807名にご登録いただいています。日記代わりに、近い境遇の方との情報交換にと、それぞれにお使いいただいています。https://aspj.site/thread/
②オンラインおしゃべり会(毎月第3土曜日 21時から開催)
事前申し込みが不要な交流会です。zoomを使いますが顔出しNG、聞くだけ参加もOKの会にしています。
初参加の方でも仲間がいることを知ってほしいという思いで行っており、運営はヘアロス当事者が行っています。
開催レポート:https://note.com/aspjmodel/m/mde0b8ce8299b
③ウィッグ試着&撮影交流会(全国各地)
通販でウィッグを購入する事も増えましたが、洋服のように「試着し比べる」という環境がないことから、実際にウィッグ各社に協力を募り、実物を試せる会を行っています。各地で開催しているため近くで友人が出来る事も大きなポイントです。また「ヘアロスのままの自分も、大切な自分である」と受け入れていくきっかけとして、プロのカメラマンによる撮影も行っています。
▶イベント告知ページ:https://aspj-group.peatix.com/
▶開催レポートページ:https://note.com/aspjmodel/m/m45fbe75d0d0d
ヘアロスについて学びたいと思ってくださる方が80%以上。特に脱毛症に関してはいつ、どんな理由かは分からずに突然発症することもあるので決して他人事ではないのです。NPO法人ASPJでは、具体的なケーススタディを交えながらヘアロス当事者が講演を行っております。(2023年9月以降のみ受け付け可能)
講演のご依頼はこちらからhttps://aspj.site/entry/
2017年任意団体として設立しました。そこから900名を越えるヘアロス当事者の方々にお話を伺ってわかったことは、症状も、症状との向きあい方も、周囲の環境も、一人一人みんな違うということでした。そして同時に、それほど千差万別な皆さんの中にも、やはり重なる思いがあるということも分かりました。それがこのサポートハンドブックを作成しようと思った大きな動機です。ヘアロスに限らず、様々な特徴や病気を抱えて困難を感じている子どもたちは少なくありません。私たちはこのサポートハンドブックを通して、そうした子どもたちと向き合う際の考え方もご提案したいと考えています。
NPO法人ASPJはボランティアで構成されており、年代も10代から60代まで幅広いメンバーがいます。当事者だけではなく「親」の立場になったからこそ見えてくる、子どもとのコミュニケーションの難しさに対しても共感することができます。家族の問題は近いからこそ表面化していない課題もあり、互いに助け合い補いながら、ヘアロスの子ども達の未来づくりを行っています。
ASPJでは、ヘアロスの先輩当事者がウィッグの相談をはじめ、困りごとをお聞きする「ピアカウンセリング」を含めたオンラインサービスを行っています。
■ヘアロスヤングへのプレゼント企画(3歳~25歳)https://note.com/aspjmodel/m/m12c51d932664
■WEBコミュニティに教育関係者カテゴリーを追加
2023年6月17日現在では4807名にご登録されているコミュニティに「教育関係者」の窓口を設けます。
個人が特定されない形で安心してまずは相談できること、他校やほかの方がどのように対応されたのか等、地域を超えての繋がりを目指します。※7月7日公開予定
◆毛髪疾患サポートハンドブック構成案の一部 ※7月上旬デジタル版リリース予定
毛髪疾患の原因・症状・治療法
ヘアロス当事者の生活実態やニーズ調査の結果QA
ヘアロスとの向き合い方や心構え、声掛けのポイント
相談窓口や当事者コミュニティ(SNS)の情報
ウィッグの種類と手入れ、特徴
ヘアロスであることを表明するメリットとデメリット
幼少期脱毛経験者の声
◆毛髪疾患サポートハンドブック(SHB)制作委員会で検討する内容【2023年度】
・サポートハンドブック第1版制作
・症状理解のためのイラスト、アニメーション制作
・サポートハンドブック活用効果測定指標、測定方法、評価基準の策定・統一、評価シート様式作成
・10月実施予定のワークショップ内容検討実施(一般公開イベント)
・ASPJコミュニティサイト(登録者数4800名以上)に教育関係者のコミュニティを追加
・ウィッグ補助金対象範囲拡大の政策提言
・円形脱毛症、先天性乏毛症、抜毛症 当事者におけるアセスメント作成
・毛髪疾患の保護者アセスメント作成検討
◆ヘアロス当事者による学校・企業講演も行っています。
https://prtimes.jp/a/?f=d83154-20230331-8cc8b496a33dd335e7e20b8724adb56e.pdf
◆毛髪疾患サポートハンドブック制作委員会メンバー構成
毛髪疾患サポートハンドブック制作委員会(以下:SHB制作委員会)はNPO法人Alopecia Style Project Japanが主体となって行う「毛髪疾患サポートハンドブック制作事業」のために構成されました。
ヘアロス当事者と保護者、さらに周辺環境に関わる人たちが集い、話し合い、ヘアロス当事者の生きづらさを解消するために、『当事者の治療方針のサポート』『心のケア、ピアカウンセリング』『QOLを向上させるためのアピアランスケア』などの視点を含めた包括的な支援につなげる活動をします。
毛髪疾患サポートハンドブック(SHB)制作委員会メンバー予定 約 30名
医療従事者、教育関係者、児童精神科医、臨床心理士、学生、ヘアロス当事者など
<アンケート調査『毛髪疾患サポートハンドブックに関するアンケート2023』概要>
●目的:毛髪疾患当事者が抱える課題への解決策の一つとして周辺の方々への理解を促す「毛髪疾患サポートハンドブック」制作と、ヘアロス症状の子どもの保護者、教育関係者の意識や学校や社会での現状を知り、行政やメディアなどに届けることで、社会の状況を改善することを目的としています。
●期間:2023年4月19日(水)~5月8日(火)
●回答者数:教育関係者 239名(うち、有効回答238名)
ヘアロス症状を抱える子どもの保護者 68名(うち、有効回答66名)
●助成:本調査は、日本財団(https://www.nippon-foundation.or.jp/)の助成をいただき実施しています。
●毛髪疾患サポートハンドブックを用いた講演とワークショップ交流会
調査報告会と毛髪疾患サポートハンドブックについての意見交換会を2023年10月22日(日)東京、11月11日(土)福岡にて実施予定です。詳細は後日、ASPJのホームページで公開します。
<NPO法人Alopecia Style Projet Japan>
毛髪疾患やヘアロス啓発活動やヘアロス当事者と保護者のためのコミュニティサイト(登録者数4800名以上)や交流会を中心に、情報提供、医療機関との連携、さまざまなイベント開催の他、ヘアロスの方々の日々の生活に、より彩りを添えていけるようなアイテムやウィッグ、帽子、メイクなどのアドバイスも行いQOL向上の提案をするピアカウンセリングを実施しています。ヘアロスだけでなく、他者との違いについて正しく理解し、学び合い、育み合える社会を実現することを目指して活動しています。
◎公式HP:https://aspj.site/
本事業は2023年度日本財団の助成を受けて制作しております。
事業名「毛髪疾患当事者・家族サポート事業」
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