マッキンゼー「金融業界の大転換」(要約版)を発行しました。

金利の上昇基調を受け、銀行業の収益が拡大している一方、世界の金融機関は現在、構造的にもマクロ経済的にも大規模な転換期を迎えています。金融機関が好機を捉えるための5つの優先項目とは。

【東京、2024年4月26日(金)】マッキンゼー・アンド・カンパニー ジャパン(日本代表:岩谷直幸)は、「金融業界の大転換」に関する要約レポートの翻訳版を発表しました。本レポートの調査結果から世界における日本の立ち位置を抽出したコンテンツもご覧ください。

 本レポートでは、金融機関は過去10年以上において最高の利益を生み出している一方で、見通しはなおも不透明であることを明らかにしています。この一因として、銀行の中核業務が、伝統的な銀行から非伝統的な金融機関や、キャピタルライトで規制が寛容な市場へとシフトしていることを挙げ(本レポートで「金融業界の大転換」と呼んでいます)、この動向が今後の情勢を左右すると指摘しています。また、銀行は転換点に立たされており、将来に向けて自らを刷新するには、様々な取り組みを一層加速させる必要があると述べています。


 本レポートでは、金利の動向や市場の変化が銀行のダイナミクスに与える影響について記載されています。マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーで、日本における金融チームを統括する竹村和昭は、「マクロ経済環境の変化や地政学的リスク、テクノロジーの進化、新たな競合参入などに対して、優先項目を中心に対応していく必要性があります」と強調しました。また、「これらの変化を捉え、既存事業を振り返りながら、銀行の中核業務 であるバランスシート、トランザクション、ディストリビューション における競争優位性を特定することで、成長の鈍化を抑え、市場評価につなげられる機会が日本の銀行にあると信じています。」


本レポートで公表した調査結果の概要は、以下の通りとなります。


世界全体で、金融機関は過去10年以上において最高の利益を生み出しています(ただし、金融機関や国によって大きなばらつきがあります)。金利の上昇で純金利マージンが押し上げられたことにより、利益が増加し、自己資本利益率 (ROE)が上昇しました。

  • 2022年、金融業界は約2,800億ドルの増益を達成

  •  ROEは、2010年以降の平均値は9%であったが、2022年には12%に急伸、2023年は13%に落ち着くとみられる

  •  評価は依然として低調で、2022年の株価純資産倍率は0.9となり、2008年以来横ばいで推移している


金融業界は、まさに転換点を迎えています。銀行の3つの中核業務、すなわちバランスシート、トランザクション、決済が、伝統的な銀行から非伝統的な金融機関へ、およびキャピタルライトで規制が寛容なことが多い市場へとシフトしています。

  •  世界のバランスシートの半分以上がすでに移行しており(米国では資産の75%、欧州では55%程度が銀行のバランスシート外で運用されている)、技術の進歩により更にこの傾向が強まるとみられる

  • トランザクションおよび決済もシフトしている: 消費者向けのキャッシュレス決済事業者は、2015年から2022年の間にシェアを50%以上伸ばしている。資本市場では、専門組織(投資銀行、証券会社など)の取引額シェアが2015年の44%から、2022年には59%に拡大している


どのような種類の銀行であっても、バランスシート、トランザクション、決済を全体的に刷新し得る絶好の機会を迎えていますが、4つの主なグローバルトレンドから影響を受けると考えられます。

  •  4つのグローバルトレンドとは、「マクロ経済環境の大きな変化」「テクノロジーの進歩(生成AIなど)」「非伝統的な金融機関や金融仲介機関に対する各国政府の監視の拡大・厳格化」「システミックリスクの性質の変化」であり、これらの要素により今後の展開(および「金融業界の大転換」そのもの)が左右される

  • 銀行の改革を進めるにあたっては、次の5つの項目を優先的に取り組むことが望ましい: AIをはじめとする先端テクノロジーの積極活用、バランスシートの柔軟化とアンバンドル化、トランザクション業務の拡大または撤退、ディストリビューションの強化・改善、変化するリスクへの対応



より詳細な洞察は、こちらのレポートをご覧ください。URL:https://www.mckinsey.com/jp/~/media/mckinsey/locations/asia/japan/our%20insights/jp-gbar-2023-great-breaking-transition_p7.pdf

日本について抽出したものについては、こちらをご覧ください。URL:https://www.mckinsey.com/jp/~/media/mckinsey/locations/asia/japan/our%20insights/jp-gbar-2023-great-breaking-transition-jp.pdf

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。


会社概要

URL
https://www.mckinsey.com/jp/overview
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区六本木 1-9-10
電話番号
-
代表者名
岩谷直幸
上場
未上場
資本金
-
設立
-