児童虐待解決をめざす株式会社AiCAN、シリーズAで2.15億円をANRIらから資金調達
児童相談所をはじめとする児童福祉現場へ伴走型業務支援サービスを提供する株式会社AiCAN(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:髙岡昂太)は、ANRI株式会社、HIRAC FUND(運営:マネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社)、一般社団法人社会変革推進財団、株式会社talikiを引受先とした第三者割当増資により、総額2.15億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。今回の調達により、融資を含む累計資金調達額は約3.9億円となりました。
株式会社AiCANについて
株式会社AiCANは、「すべての子どもたちが安全な世界に変える」をビジョンに、自治体のDXを通して児童福祉の課題解決に取り組むスタートアップ企業です。
子ども虐待の問題は、SDGsにおいても16.2「子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形の暴力や拷問をなくす」と設定されている、まだ答えのない課題です。日本でも相談件数が年々増加し2020年には20万件を超えていますが(※)、職員数の不足と高度な判断を伴う対応の難しさから、現場は逼迫しています。
※出典:こども家庭庁「令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)」
当社は現場の経験知と最新のテクノロジーを融合し、自治体の児童相談所や子育て支援課・母子保健課など、子ども虐待対応の最前線に立つ機関をサポートするサービスを開発・提供しています。
主力サービスである「AiCANサービス」は、業務をデジタル化するSaaSアプリと、データ分析に基づく提案や研修を行う活用支援をセットで提供します。自治体ごとの課題解決に伴走することで、職員の負担軽減や人材育成に貢献します。
サービス詳細は以下をご参照ください。
資金調達の目的
当社は2023年に全国6自治体で実証実験を行い、地域や規模の異なる自治体においても「AiCANサービス」の導入効果が見込まれることを検証しました。その結果を受けて、今年度より複数の自治体で本導入が予定されており、今後さらに導入地域を拡大していく予定です。
今回調達した資金を元に、サービスを改善・拡充していくとともに、より多くのユーザーにご利用いただけるよう、採用を拡大して開発体制・営業体制の強化を行ってまいります。
投資家からのコメント
ANRI株式会社 Principal 丸山太郎氏
世の中には未解決の重大な社会課題が数多く存在しますが、児童虐待問題は解決が極めて困難な問題の一つです。被害者の子供たちはもちろん、その子供たちを取り巻く大人、そして加害者である親も含めて全員が不幸になる人間社会が生み出した負の連鎖そのものです。そして日本では相談件数は年々増え続け、対応する児相・自治体側のオペレーションに限界がきており、残念ながら毎年約500人の幼い命が奪われ続けています。
そのような状況を打破しようとAiCANは本年度より複数の自治体で本導入が予定されており、極めて深く・厳しい課題の解決に向けてこの1年で確実かつ大きな一歩を踏み出しました。高い社会的意義だけでなく、SaaS企業としての高い成長性を備え始めたAiCANに、ANRIは前回ラウンドに引き続き本ラウンドもリード投資家として全力で応援・支援させて頂きます。
マネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社
HIRAC FUND シニア・アソシエイト 檜山悠太朗氏
児童虐待領域は、課題解決に取り組む事業者が大きく限定されている中、領域としては非常に根深い課題を複数抱えています。そもそも児童虐待を認知することが難しい一方、認知度が増えたことにより増加傾向のある昨今の相談件数に対する受け皿を担保することも非常に重要な課題となっています。
AiCAN社は、児童相談所や関連機関の職員の不足、またセンシティブ且つ高度な判断を伴う現場課題の解決に取り組まれており、今回ご一緒できたことを心より光栄に感じております。
AiCAN社のプロダクトは、児童相談所や母子保健センターだけでなく、学校や医療機関、NPOなど多くの関係機関への展開余地もあり、地方やさらにはグローバルにも拡大していかれる可能性を秘めていると確信し、ご出資をさせていただきました。
HIRAC FUNDは、地域金融機関や自治体とのネットワークを活かし、同社が加速度的に児童虐待の解決に取り組まれることをご支援できればと考えております。
一般社団法人社会変革推進財団 事業部長 加藤有也氏
児童虐待は、子ども自身には選択できない家庭や社会的な環境から発生するため、その解決には構造的なアプローチが必要です。AiCAN社は、虐待発生の検知と対策を担う児童相談所や関連機関が抱える業務負担に着目しました。現場臨床を通じた課題構造の深い理解と学術研究に基づく技術開発を起点に、規模化できるビジネスにより日本中の自治体を支援していきます。
SIIFは、AiCANとの協働を通じ、児童虐待という深刻な課題領域で子どもたちに安全な世界をもたらす深く広いインパクトを創出することに加え、ビジネス・学術・行政の有期的な連携が「次世代への格差の相続」の解消をもたらすモデルを提示できる可能性を模索してまいります。
株式会社taliki 代表取締役 中村多伽氏
虐待問題は、子供たちの成長に深刻な影響を与えるだけでなく、社会全体にとっても大きな損失となります。しかし、虐待に関する問題はデリケートな性質から、データ収集や分析が困難であり、また受益者負担が難しいため事業化も容易ではありません。そのような課題に正面から向き合い、ソリューション開発に取り組むAiCANの姿勢には、深く敬意を表します。
AiCANのチームは、児童福祉の専門家とデータサイエンティストが協働しており、その高い専門性と技術力によって、本質的なインパクトの創出が期待できます。
虐待問題は複雑で解決には長い道のりがありますが、AiCANの取り組みは、この問題解決に向けて大きな一歩になると確信しています。投資家として、AiCANの株主となれることを心より光栄に思います。これから共に、暴力で苦しむ人が減る社会へ歩んで行けることを楽しみにしています。
当社からのコメント
株式会社AiCAN 代表取締役 髙岡昂太
このたび、弊社はシリーズAの資金調達を行い、児童虐待の解決に向けた取り組みをさらに強化することができました。世界中で未だ解決されていない児童虐待という重大な社会課題に対して、現場の臨床と研究、教育研修、そして最先端の技術開発を用いることで、より今困っている子どもたちに手を差し伸べられ、現場の最前線にいる支援者の方々を支えられるサービスを提供し続けることが私たちの使命です。
弊社のビジョンである「すべての子どもたちが安全な世界に変える」という目標に共感し、ご支援いただいたANRI様、HIRAC FUND様、SIIF様、taliki様に心より感謝申し上げます。この支援は、私たちの技術力とビジネスの成長を促進し、産学官の連携を強化する大きな一歩となります。事業成長だけでなく、事業を通して社会的インパクトを創出するという弊社のビジョンに対して理解と応援をくださる皆様からお力添えをいただくことができ、大変心強く感じています。
今後は、現在提供中の児童相談所や市区町村の子ども家庭センター、母子保健センターに加え、学校や幼稚園・保育園、医療機関やNPOなど多くの関係機関の方々にもサービスを展開してまいります。
DXは、今ある既存システムのデータをつないで活用する、という仕組みでは価値になりません。子どもたちの安全を守るために、どのような業務であるべきなのか、という目的から逆算し、どのようなデータを利活用すべきなのか、という視点からスタートすることが不可欠です。
我々は、児童福祉における臨床・実務・研究・研修・カスタマーサクセスという専門性を元に、そのような自治体が目指す業務の目的の言語化から伴走し、システム開発からEBPMまでをワンストップにサービス提供していきます。
現場で子どもの安全に携わる皆様に対し、私たちは引き続き高品質な支援を提供し、エビデンスに基づいた業務サポートを全国に広げ、これからも最先端の技術を駆使し、それを用いるための倫理を重要視しながら、子どもたちが安心して過ごせる未来を実現するために尽力してまいります。
採用募集について
事業拡大に向けて、「すべての子どもたちが安全な世界に変える」というビジョンに共感してくださるWebアプリエンジニア、セールスエンジニア、データサイエンティスト、営業職を募集しております。募集要項をご確認の上、お気軽にお問い合わせください。
https://www.wantedly.com/companies/company_4137770/projects
会社概要
会社名:株式会社AiCAN(AiCAN Inc.)
代表者:代表取締役 髙岡 昂太
所在地:神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 かながわサイエンスパーク西棟713A号室
設立:2020年3月
事業内容:児童相談業務支援事業、調査研究事業
URL:https://www.aican-inc.com/
お問い合わせ
当社Webサイトのフォームよりお問い合わせください。
すべての画像