【2025年度グッドデザイン賞受賞】株式会社Blossom Energyの黒鉛蓄熱式ボイラ「t-HEART 1000」
―デザイン性と機能性を両立した熱の脱炭素化に挑む革新的な蓄熱ストレージシステム―
株式会社Blossom Energy(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:濱本 真平)が開発・製造する黒鉛蓄熱式ボイラ「BLOSSOM ENERGY 蓄熱ストレージシステム t-HEART 1000」が、このたび2025年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。

グッドデザイン賞とはグッドデザイン賞は、1957年に創設された日本を代表するデザイン賞です。製品や建築、ソフトウェア、サービス、社会活動など幅広い領域を対象に、優れたデザインを通じて社会の課題解決を目指す取り組みを顕彰しています。
詳細は公式サイト(https://www.g-mark.org/)をご覧ください。
GOOD DESIGN賞 審査員コメント
BLOSSOM ENERGY 蓄熱ストレージシステム t-HEART 1000は、再生可能エネルギーを効率的に熱へ変換し蓄積する革新的な蓄熱式ボイラであり、製造業の脱炭素化という社会課題に真正面から挑むプロダクトである。 熱残量を視覚化するインターフェースや、直角直行のグリッド構成による端正な造形は、機能性と操作性、そして工業製品としての美しさを兼ね備える。未来志向の開発姿勢と真摯なものづくりが共感を呼び、次代を見据えた取り組みとして心強い存在である。
開発秘話
私たちは、過去20年以上にわたり原子炉という高温の熱輸送システムの研究開発を行ってきた、研究者が立ち上げたベンチャー企業です。「世界中のスチームをグリーン化し、温室効果ガス排出の10%を削減する」というミッションのもと、熱の脱炭素化という社会課題の解決に取り組んでいます。
現在、世界のエネルギー消費の約80%が化石燃料に依存し、特に製造業ではその多くが熱生成に利用されています。この化石燃料への依存は、地球温暖化の大きな要因となっており、持続可能な社会への移行を妨げる重要な課題です。産業用熱需要は最終エネルギー消費の3分の1を占めるものの、太陽光や風力などの変動性再生可能エネルギーだけでは24時間365日の安定供給という要求を満たせません。
この課題と向き合う中で、代表の濱本が20年以上研究してきた高温ガス炉で、ある着想を得ました。
「黒鉛の大きな熱容量を再エネ貯蔵に活かせるのでは・・」

黒鉛という物質を蓄熱材にすればエネルギーの貯蔵と供給が容易になり、変動性再生可能エネルギーを熱に変換して安価かつ安定的に供給できることに気づきました。蓄熱電池は、TIME誌「THE BEST INVENTIONS OF 2023」に選出されるなど、国際的にも注目されています。
しかし、革新的な技術も、その価値が伝えられなければ社会実装は困難です。そこで京都・ベルリンを拠点とするデザイナー野村涼平氏らと協働し、技術の本質を美しく表現したコンセプトモデルを開発。このコラボレーションにより、蓄熱式ボイラという新しい概念を広く理解いただく機会を創出しました。
今回のグッドデザイン賞受賞は、技術革新とデザイン性の融合により、持続可能な社会の実現に貢献する当社の姿勢が評価されたものと考えております。

Blossom Energy G-TESの特長
Blossom Energy G-TESは、再生可能エネルギーの余剰電力を熱として蓄え、水蒸気・温水・温風など多様な形で安定的に熱を供給する黒鉛蓄熱バッテリーです。
従来の化石燃料ボイラを置き換えることで、製造業・食品加工業・農林水産業など、幅広い分野での熱脱炭素化を可能にします。
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革新的な蓄熱技術
独自開発の黒鉛系蓄熱材を用いることで、再生可能エネルギー由来の電力を高効率で熱として貯蔵。最高約1,500℃の高温域での蓄熱を実現し、需要に応じて最高約600℃の蒸気を安定供給します。 -
変動性再エネの課題を解決
太陽光発電などの変動性再生可能エネルギーを熱として蓄えることで、24時間365日の安定した熱供給を可能にします。蓄熱と放熱を同時に実施できるため、蓄電池の2倍の収益機会を創出します。 -
柔軟な拡張性
出力と容量を独立して設計可能なモジュラー構造により、熱需要家の多様なユースケースに対応。既存の蒸気配管をそのまま活用できるため、従来のボイラに併設することで段階的な脱炭素化が可能です。
デザインのポイント
統一されたデザイン言語による機能の可視化
コンセプトモデルでは、3つの機能ユニットを統一されたデザインで表現しています。
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サーマルストレージ:蓄熱材である黒鉛が格納されている蓄熱ユニット
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サーキュレーター:熱輸送媒体である不活性ガス(窒素)を循環させるユニット
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スチームボイラ:加熱された窒素を水と熱交換させ水蒸気を生み出すユニット
各ユニットには機能をインフォグラフィクスで示すことにより、国境を超えて直感的な理解を促進します。

熱エネルギーの可視化と触覚的体験
蓄熱ユニットには熱エネルギーの残量と残量割合を表示するディスプレイを搭載し、コア技術である熱貯蔵技術の価値を視覚化。また、天板にはグラファイトの結晶構造から着想を得た六弁花のブロッサムパターンをシルク印刷し、直接触って熱の暖かさを体験できる設計となっています。


日本の美意識と高機能性の融合
直角直行のグリッド構成による端正な造形により、シンプルで精緻な日本美を表現。工業製品としての機能性と操作性を保ちながら、未来志向の美しさを兼ね備えたデザインを実現しました。


デザイナー紹介
Panter Studio株式会社
野村涼平
「持続可能な都市文化の醸成」をテーマに京都とベルリンを拠点に活動するデザイナー。京都工芸繊維大学院建築デザイン学卒業。2016/17年にスタンフォード大学発の新製品開発プログラムME310/SUGARにて水上セグウェイ”Wheeebo”を共同開発。2019年に渡英しPentagram Design Londonにてインターンシップを経験し、展覧会やプロダクトのデザインに携わる。過去にスタンフォード大学、日本科学未来館、文部科学省、KYOTO Design Lab.、COREDO 日本橋などで作品を展示。2020年より世界経済フォーラムの30歳以下のイニシアチブGlobal Shapersの一員としても活動。
CEO濱本よりメッセージ

株式会社Blossom Energy
代表取締役CEO 濱本 真平
「今回のグッドデザイン賞受賞は、技術革新だけでなく、その価値を広く社会に伝えることの重要性を改めて認識する機会となりました。熱の脱炭素化という困難な課題に対し、原子力の研究開発で培った20年以上の知見を活かし、スピーディな社会実装が可能な製品を実現しました。
新しい熱エネルギー貯蔵技術のコンセプトやポテンシャルを具体的な形にして表現し、広く理解を得ることは、当社にとって重要な課題でした。デザインチームには、エンジニアの想いを非常に高い精度で汲み取っていただき、従来の概念を変える新しく美しいボイラを創造していただきました。この素晴らしいコラボレーションの成果をもって、多くの方に当該技術を説明する機会が持てたことを深く感謝しています。
『次の20万年のエネルギーをデザインする』という当社の展望のもと、今後も持続可能な未来を実現するために技術革新に取り組んでまいります。」
今後の展開
Blossom Energy G-TESは、2025年度に実証試験を開始します。温浴施設、陸上養殖施設、工業用乾燥炉などへの導入を通じて、製造業をはじめとする産業界の脱炭素化に貢献してまいります。
当社では「地球に必要な発明家であり続ける」というパーパスのもと、本製品の開発に加え、革新的な安全性を持つ高温ガス炉の開発も並行して推進しております。両技術を通じて、世界のエネルギー課題の解決に挑戦し続けます。
会社概要
企業名 :株式会社Blossom Energy
設立 :2022(令和4)年1月
本社所在地:〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-3-12 12KANDA
代表取締役CEO:濱本 真平
URL :https://www.blossom-energy.biz
事業内容 :世界のエネルギー消費の約80%が依然として化石燃料に依存しています。製造業のGDP比率が高い日本では、特に熱エネルギーの脱炭素化が重要です。Blossom Energyは、熱の脱炭素化をテーマに、蓄熱電池をはじめとする次世代エネルギー技術の研究開発・製造・販売に取り組んでいます。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社Blossom Energy
担当 : 広報担当
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