患者自ら装着可能な着衣型心電計測システムによる長時間心電検査を実用化
-医療機器の保険適用開始-
慶應義塾大学病院(病院長:松本 守雄)が株式会社Xenoma(本社:東京都大田区、代表取締役CEO:網盛 一郎、以下「Xenoma」)と共同して行った、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」に関する研究に基づき開発された着衣型ホルター心電計(一般的名称:長時間心電用データレコーダ、販売名:e-skin ECG データレコーダ、医療機器認証番号:304AFBZX00001000)の保険適用が2022年3月1日より開始されました。
長時間心電検査は不整脈や虚血の検出などに頻繁に使用され、循環器領域で汎用される検査です。通常の臨床では2誘導(2つの心電図波形)で 24時間行うことが一般的ですが、装着・取り外しに医療従事者の関与が必要なため来院日数が増加することや、ケーブルや記録機によって検査中の動作が制約されることから受診者が検査を忌避することも少なくない等、従来のホルター心電計による計測にはさまざまな課題がありました。
慶應義塾大学病院とXenomaは上記の課題を解決するため、専門的知識を有さない受診者でも自身で装着が可能な3誘導(3つの心電図波形)の心電計測システム(以下「本システム」)を共同で開発しました。本システムは、慶應義塾大学病院での実証実験を経てXenomaにより医療機器登録を完了し、このたび、保険適用が開始されました。
本システムの実用化によって、従来必須であった計測開始時と終了時の来院を要しない郵送による検査の実施が可能となり、地域差による医療アクセスの公平性向上にも資するものと期待されます。本システムを活用した検査は2022年5月よりXenomaから医療機関向けに提供開始されます。
1.システムの概要
本システムでは、医療機関において長時間心電検査の処方を受けた受診者はe-skin ECG 計測用シャツ(一般的名称:心電計ケーブル及びリード・販売名:e-skin PCF ケーブル RPU-F000)を着用し、当該シャツにe-skin ECGデータレコーダ(一般的名称:長時間心電用データレコーダ、医療機器認証番号:304AFBZX00001000)を装着することにより計測を行います。受診者が検査キットを返送後、心電データの解析結果がXenomaから医療機関に提供され、当該解析結果をもとに医師による診断が行われます。
2.従来の課題
長時間心電検査は不整脈や虚血の検出などに頻繁に使用され、循環器領域で汎用される検査です。通常の臨床では2誘導(2つの心電図波形)で24時間行うことが一般的ですが、装着・取り外しに医療従事者の関与が必要なため来院日数が増加することや、ケーブルや記録機によって検査中の動作が制約されることから受診者が検査を忌避することも少なくありません。また、一部の医療機関では1週間から2週間の心電モニタニングも実施されていますが、これらの検査は1誘導(1つの心電図波形)で行われており医師が要求する情報を網羅できていません。一方、従来のホルター心電計による3誘導(3つの心電図波形)の検査は受診者自ら装着できず通常の入浴ができないことから、1週間などの長期にわたる計測は通常実施できない等の課題がありました。
3.今回の取り組み
慶應義塾大学病院とXenomaは2019年7月より着衣型3誘導心電計測システム(図1)の共同開発を開始しました。本システムにおいて、専門的知識を有さない受診者でも汎用性の高い3誘導での計測を自ら実施することを可能にした主たる要素はe-skin ECG 計測用シャツのデザインにあり、当該デザインは慶應義塾とXenomaの共同の意匠として2020年11月に登録されました(意匠登録第1673834号)。
さらに、慶應義塾大学病院での実証実験を経てe-skin ECGデータレコーダが2022年1月にクラスⅡの医療機器として認証を取得し、このたび保険適用が開始されたことにより、医療機関での実用化に向けて制度上必要な準備が整いました。
4.システムの導入効果と今後の展開
本システムは、ケーブルや記録機によって検査中の動作が制約されないなど受診者の装着負荷を低減するだけでなく、従来は必須であった計測開始時と終了時の来院を要しない郵送による検査の実施(図2)が可能となるため、受診率の向上や地域差による医療アクセスの公平性向上にも資するものと期待されます。
本システムを活用した検査の実用化にあたってはXenomaが主体となって検査キットの提供やデータ解析を行います。医療機関からの検査申込は2022年5月より受付を開始します。
5.特記事項
慶應義塾大学病院は、内閣府より戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発事業を受託しており、本取り組みはその成果の一つです。
慶應義塾大学病院とXenomaは上記の課題を解決するため、専門的知識を有さない受診者でも自身で装着が可能な3誘導(3つの心電図波形)の心電計測システム(以下「本システム」)を共同で開発しました。本システムは、慶應義塾大学病院での実証実験を経てXenomaにより医療機器登録を完了し、このたび、保険適用が開始されました。
本システムの実用化によって、従来必須であった計測開始時と終了時の来院を要しない郵送による検査の実施が可能となり、地域差による医療アクセスの公平性向上にも資するものと期待されます。本システムを活用した検査は2022年5月よりXenomaから医療機関向けに提供開始されます。
1.システムの概要
本システムでは、医療機関において長時間心電検査の処方を受けた受診者はe-skin ECG 計測用シャツ(一般的名称:心電計ケーブル及びリード・販売名:e-skin PCF ケーブル RPU-F000)を着用し、当該シャツにe-skin ECGデータレコーダ(一般的名称:長時間心電用データレコーダ、医療機器認証番号:304AFBZX00001000)を装着することにより計測を行います。受診者が検査キットを返送後、心電データの解析結果がXenomaから医療機関に提供され、当該解析結果をもとに医師による診断が行われます。
2.従来の課題
長時間心電検査は不整脈や虚血の検出などに頻繁に使用され、循環器領域で汎用される検査です。通常の臨床では2誘導(2つの心電図波形)で24時間行うことが一般的ですが、装着・取り外しに医療従事者の関与が必要なため来院日数が増加することや、ケーブルや記録機によって検査中の動作が制約されることから受診者が検査を忌避することも少なくありません。また、一部の医療機関では1週間から2週間の心電モニタニングも実施されていますが、これらの検査は1誘導(1つの心電図波形)で行われており医師が要求する情報を網羅できていません。一方、従来のホルター心電計による3誘導(3つの心電図波形)の検査は受診者自ら装着できず通常の入浴ができないことから、1週間などの長期にわたる計測は通常実施できない等の課題がありました。
3.今回の取り組み
慶應義塾大学病院とXenomaは2019年7月より着衣型3誘導心電計測システム(図1)の共同開発を開始しました。本システムにおいて、専門的知識を有さない受診者でも汎用性の高い3誘導での計測を自ら実施することを可能にした主たる要素はe-skin ECG 計測用シャツのデザインにあり、当該デザインは慶應義塾とXenomaの共同の意匠として2020年11月に登録されました(意匠登録第1673834号)。
さらに、慶應義塾大学病院での実証実験を経てe-skin ECGデータレコーダが2022年1月にクラスⅡの医療機器として認証を取得し、このたび保険適用が開始されたことにより、医療機関での実用化に向けて制度上必要な準備が整いました。
4.システムの導入効果と今後の展開
本システムは、ケーブルや記録機によって検査中の動作が制約されないなど受診者の装着負荷を低減するだけでなく、従来は必須であった計測開始時と終了時の来院を要しない郵送による検査の実施(図2)が可能となるため、受診率の向上や地域差による医療アクセスの公平性向上にも資するものと期待されます。
本システムを活用した検査の実用化にあたってはXenomaが主体となって検査キットの提供やデータ解析を行います。医療機関からの検査申込は2022年5月より受付を開始します。
5.特記事項
慶應義塾大学病院は、内閣府より戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発事業を受託しており、本取り組みはその成果の一つです。
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