福岡県での静脈DX最先端都市を実現するため、プラスチック再生材の市場・利用可能性に関する研究会を発足

PCR材の利用拡大を目指す製造業者のニーズを調査し、再生資源循環プラットフォーム開発へ反映

レコテック株式会社

レコテック株式会社は、福岡県の外郭団体である公益財団法人福岡県リサイクル総合研究事業化センターの「令和3年度研究開発事業」に採択され、公益財団法人福岡アジア都市研究所(以下 URC)、双日株式会社(以下 双日)、凸版印刷株式会社(以下 凸版印刷)、福岡大学と共同で、福岡県において静脈DX最先端都市を実現することを目的に、プラスチックPCR材*需要家の具体的なニーズの把握を通して、排出先の選定や再生資源循環プラットフォームシステムの在り方を明確にするために、「プラスチック再生材の市場と利用可能性に関する研究会」を発足しました。

*ポストコンシューマーリサイクル材。家庭から排出される材料、または製品のエンドユーザとしての商業施設、工業施設及び各種施設から本来の目的のためにはもはや使用できなくなった製品として発生する材料。これには、流通経路から戻される材料を含む。

 

 
  • 目指す都市像
大規模経済圏である政令指定都市福岡、最先端な工業地帯の北九州市をかかえ、スタートアップコミュニティーを発展させている福岡県において、再生資源循環プラットフォームを実装させることで、各プレイヤーの有機的な交流を生み出し、静脈DX最先端都市として資源の域内循環を実現させます。AI x ビッグデータ x IoT x Blockchainによって、廃棄物の排出から収集運搬、リサイクル加工、製造業へのサプライチェーン全体を可視化し、トレーサビリティが担保された形で、最適な資源循環が可能になります。静脈循環のCO2の排出量削減を実現し、脱炭素都市への移行に貢献します。(図1参照)

図1

 
  • 本研究会発足の背景
現状、商業施設等の事業系から排出される廃プラスチックは、一箇所から発生する量が少量であることからプラスチックのリサイクルルートに回すには経済的なインセンティブがないため、分別されずに焼却されてしまうケースが多く見られます。またプラスチックとして分別を実施したとしても複数の材質が混在し、運用上異物の混入を妨げることが難しいことから、ほとんどがRPFなどサーマルリサイクルされています。(図2参照)

図2:現状のリニアエコノミー型社会


一方、サーキューラーエコノミー社会実現の世界的な情勢の中、各企業が再生資源(PCR材)の利用の拡大方針を表明し、再生資源の需要が高まっています。さらにバーゼル条約の改正など廃プラスチック輸出の規制強化の影響などから廃プラスチック処理費が高騰しており、排出事業者として廃プラスチックの発生抑制、コスト削減のための手法に取り組んでいます。

レコテック株式会社は、公益財団法人福岡県リサイクル総合研究事業化センター「令和2年度IoT技術等を活用した効率的資源回収システム実証実験業務」において、排出元からのデータ入力とデータを活用した発生予測の手法開発、さらには回収した廃プラスチックから、再生資源を製造し物性評価等を実施しました。

資源循環プラットフォームシステムの普及の条件として、再生資源利用者側のニーズを具体化することが不可欠なため、前述の実証にて得られた知見を活用して、より具体的にPCR材のニーズを把握し、ニーズからバックキャスティングすることで、排出元の選定や再生資源循環プラットフォームシステムのあり方を明確にしていきます。(図3参照)

図3:目指す姿

  • 本研究会の概要

実証期間         :2021年7月 ~ 2022年2月(予定)
取り組みテーマ: 

1.プラスチックPCR材の大手需要家となる製造業者のニーズ(種類・品質・需要量)を把握

2.プラスチックPCR材の用途開発(試作を含む)
3.PCR材調達ニーズからバックキャスティングし、継続的に回収する排出元と廃棄物の種類を選定
4.選定した排出元からの効率的な回収・リサイクル手法を検討
5.静脈サプライチェーン全体のコスト負担の検討から、排出事業者・製造業者へのインセンティブの明確化
対象の廃棄物   :廃プラスチック

福岡県の中でも、最大の人口および商業施設等を抱える福岡市には、約72,000の事業所が存在しますが、うち10人未満の従業員を抱える事業所が全体の約3/4を占めるなど、小規模事業者が多いという特徴があります。これらの事業所から発生する事業系ごみの排出量推移を見ると、2011年の27.5万トンから2019年27.3万トンとほぼ横ばいとなっています1)。組成調査では、食品廃棄物類(25.4%)、プラスチック類(20.6%)、紙類(45.2%)の3つの項目で9割を占めます2)。また、市内の特定事業用建築物(いわゆる多量排出事業者)のごみ品目別資源化量からも、紙類、食品廃棄物、その他(プラスチックが多くを占めると推察)の資源化率が30%以下であるため、際立って低いことがわかります3)。

これらのことから、低い資源化率を上げるためには、メリットのあるリサイクルシステムを構築することが重要であり、本事業では、製造側のニーズを明らかにし、求められる再生プラスチックの品質と買取価格を明らかにします。それにより、排出元に処理コストの削減などのメリットを創出することができます。また、海洋プラスチック問題等をきっかけに世界でプラスチックの削減・回収・リサイクルへの取り組みが加速度的に推進される中、世界の大手メーカーがPCR材の利用率目標を掲げています。(図4参照)日本国内でも大手日用品、化学メーカー等で同様な取り組みが具体化されており、このような具体的なニーズ(量、種類、コスト等)を明らかにすることで、回収すべき資源や方法、取り組むべき優先順位が明確になるものと考えています。

[図4]

1)ふくおかの環境・廃棄物令和2年度
2)平成27年度データ「福岡市事業用途別ごみ排出状況調査報告書」(平成29年1月16日)
3)福岡市、特定事業用建築物におけるごみ減量・再資源化の取組状況「廃棄物の削減等に関する計画書」から見       る、平成30年度実績データ
 
  • 各社の役割
レコテックは
本実証事業の全体統括を行います。実証事業で得られた結果を、再生資源循環プラットフォーム”Material Pool System(MPS)”の開発に反映させ、システムの社会実装を進めます。

双日は
プラスチックPCR材需要家にヒアリングを行い、PCR材の具体的なニーズを調査します。またMPSの社会実装に向けたシステム開発をサポートします。

凸版印刷は
PCR材の市場調査と用途開発、試作品の検討を行います。
また、PCR材調達時におけるコストメリットや安定した品質、調達量確保の可能性を調査します。

公益財団法人福岡アジア都市研究所は
PCR材需要家のニーズから得られた知見を元に、福岡市のシンクタンクとしてのノウハウを活用して静脈サプライチェーンそれぞれへのヒアリング、交渉を行います。

福岡大学は
プラスチックPCR材のマテリアルリサイクル技術へのアドバイスを行い、PCR材の物性評価を担当します。また、リサイクルプロセスにおけるコスト検証の情報提供を行います。
 
  • 【各社情報】
公益財団法人福岡県リサイクル総合研究事業化センター
・理事長     |小磯 真一
・設立        |2001年6月
・事業内容  |産学官民による共同研究の円滑推進、研究成果の事業化推進、コーディネート活動
・URL     |https://www.recycle-ken.or.jp/

公益財団法人福岡アジア都市研究所
・会長        |貫 正義
・設立        |1988年8月
・事業内容  |都市政策に関する調査研究、アジア交流ネットワークの構築、都市情報の収集・分析・加工・発信
・URL     |http://urc.or.jp/

双日株式会社
・代表        |藤本 昌義
・設立        |2003年4月
・事業内容  |総合商社
・URL     |https://www.sojitz.com/jp/

凸版印刷株式会社
・代表         |麿 秀晴
・設立         |1900年1月
・事業内容   |情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野、エレクトロニクス事業分野
・URL      |https://www.toppan.co.jp/

福岡大学
・代表          |朔 啓二郎
・設立          |1934年4月
・URL       |https://www.fukuoka-u.ac.jp/

レコテック株式会社
・代表          |野崎 衛
・設立          |2007年5月
・事業内容    |廃棄物対策コンサルティング、環境機器・プラント導入支援
・URL       |https://www.recotech.co.jp/

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会社概要

レコテック株式会社

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URL
https://www.recotech.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5階KSフロア
電話番号
050-5433-8035
代表者名
野崎 衛
上場
未上場
資本金
3100万円
設立
2007年05月