アグロデザイン・スタジオ、海外放射光施設「Swiss Light Source」との連携で日本の創薬研究をグリーンに加速
タンパク質のX線結晶構造解析を夏でも可能に
日本の夏は、創薬研究者にとって悩ましい季節です。医薬品や農薬の研究開発に必要なタンパク質のX線結晶構造解析(※1)を行うには、放射光施設(※2)でのX線結晶回折実験が必要です。しかし、放射光施設の電力消費量は極めて大きいため、SPring-8などの日本の放射光施設は電力需要の高い夏期に運転を停止します。このことが医薬品や農薬の創薬研究が遅延する要因のひとつとなっていました。特に近年は電力需要のひっ迫により、国内放射光施設の運転時間が例年より短くなったため、必要十分な測定時間が確保できないことが問題となっております。
そこでアグロデザインは、冷涼な気候のスイスにある放射光施設 Swiss Light Source(SLS)と利用契約を締結し、夏でもX線結晶測定を可能にしました。スイスでは、人口の2/3が居住するスイス高原が標高600メートルに位置することから、夏は涼しく冬は厳しい寒さとなるため、冬が電力需要のピークになります。また、スイスの電源構成は、再生可能エネルギーである水力発電が61%、原子力発電が29%となっており、グリーンかつ安定な電力供給体制となっております。さらにSLSは、近隣に原子力発電所が存在するため、夏でも安定した電力供給を受けることができます。そのため、SLSでは一年を通じてX線結晶測定が可能です。
アグロデザインは、SLSと利用契約および認定サービスプロバイダー契約を締結することにより、年間176時間以上のビームタイム(測定割当時間)を確保し、今年の8~9月の2か月間で72時間以上を利用する予定です。このビームタイムは、当社が独自に行う農薬研究に役立てるだけではなく、タンパク質構造解析受託サービスおよび測定代行サービスを通じて、国内の製薬企業・農薬企業様向けに提供いたします。このサービス提供により、放射光施設の夏期運転時間を延ばすことができない日本の夏においても、創薬研究を加速させることが可能になります。
【測定サービス概要】
SLSの利用は、当社の『タンパク質構造解析受託サービス(AgroBox)』および『測定代行サービス』を通じて、国内企業の研究者の方々もご利用可能です。
『AgroBox』は、結晶構造解析に必要な「結晶化スクリーニング」から「構造モデリング」まで当社にお任せいただく受託サービスです。時期と測定内容によって、SLSまたは国内放射光施設(SPring-8、高エネルギー加速器研究機構 Photon Factory、AichiSR)から適切な施設を当社研究者が選択いたします。SLS利用の場合も追加料金はかかりません。
『測定代行サービス』は、輸送と測定のみを代行するサービスです。お客様は凍結させた結晶サンプルを千葉県柏市の当社研究所までお送りいただくだけです。その後、当社がスイスへの輸送と測定を実施し、測定データを返送いたします。2023年6月中の早期お申込みで、結晶保存容器Uni-Puck(※3)1個あたり50万円(税別)となります。また、ボリュームディスカウントも設定しております。本サービスには、Uni-Puckなどのツールの貸出料、輸送料、測定および自動データ処理費用、データ送付費用の全てが含まれます。また、当社が自社研究用に確保したビームタイムから調整可能なため、測定予定日直前のお申込みでも柔軟な対応が可能です。
本サービスの詳細につきましては、以下のURLをご覧ください。
本サービスの詳細につきましては、AgroBox事業部にお問い合わせください。
Email:sales@agrobox.jp
〈※備考〉
X線結晶構造解析:タンパク質構造解析の代表的な手法であり、タンパク質の分子量に制限が無く、極めて高いスループット性を有しています。そのため、多数の化合物とタンパク質複合体の測定が必要な創薬研究において非常に有効です。
放射光施設:加速器を利用したシンクロトロン放射によって生み出される強力な光(X線など)を活用して各種測定実験を行う研究施設です。国内には、SPring-8、高エネルギー加速器研究機構 Photon Factory、あいちシンクロトロン光センターなどが存在します。
Uni-Puck:X線結晶構造解析のための標準的なタンパク質結晶サンプル保管容器。最大16個の結晶を保管でき、世界中の放射光施設の結晶マウントシステムに対応しています。
〈株式会社アグロデザイン・スタジオについて〉
新規な農薬原体(有効成分の化合物)の研究開発を行うことを目的に、2018年3月に創業。自社創農薬事業と構造解析受託サービス『AgroBox』部門からなります。自社創農薬は、防除対象生物(害虫・雑草・病原菌など)がもつ『ヒトには無いタンパク質』を薬剤標的とすることで、分子標的農薬というコンセプトの毒性リスクが低い農薬を開発中。2023年には、自社創農薬で培った技術を受託サービス『AgroBox』として社外への提供を開始しました。
住所:〒277-0882 千葉県柏市柏の葉六丁目2番地3
代表取締役社長:西ヶ谷 有輝(にしがや ゆうき)
設立日:2018年3月30日
会社Website:https://www.agrodesign.co.jp
AgroBox事業部 Website:https://agrobox.jp
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