地球と動物と人間のおいしい関係作りのために。ユートピアアグリカルチャーが札幌市内の森でリジェネレイティブアグリカルチャーを実験する「FOREST REGENERATIVE PROJECT」を開始!
〜森林の再生による温室効果ガスの吸収と農業の事業性の両立を目指し、養鶏と放牧のための実験施設(モデルファーム)を雪解け後より建設開始〜
株式会社ユートピアアグリカルチャー(本社:北海道沙流郡日高町、代表取締役:長沼真太郎、以下UA)は、北海道札幌市中央区盤渓にて森林を再生させながら放牧酪農及び養鶏を行う施設の設置と実験を行うプロジェクト「FOREST REGENERATIVE PROJECT(以下、本プロジェクト)」を開始いたします。
UAは昨年本土地を取得し、北海道大学農学部内田研究室と共にこれまで行ってきた研究をさらに推進する場として本プロジェクトを企画しました。
本プロジェクトには内田研究室を始め、施設の全体計画や設計には国内外で活躍する設計事務所DOMINO ARCHITECTS、ランドスケープの設計には人と動植物が関わる「生命の循環」の研究と社会実装を目指す研究者 片野晃輔氏、施設で採れた卵を販売する自動販売機の企画設計には東京2020オリンピック・パラリンピックで聖火台のエンジニアリングを担当したクリエイティブスタジオnomenaの武井祥平氏に参加していただき、地球と動物と人に美味しい環境作りを目指す研究施設を作ってまいります。
UAは昨年本土地を取得し、北海道大学農学部内田研究室と共にこれまで行ってきた研究をさらに推進する場として本プロジェクトを企画しました。
本プロジェクトには内田研究室を始め、施設の全体計画や設計には国内外で活躍する設計事務所DOMINO ARCHITECTS、ランドスケープの設計には人と動植物が関わる「生命の循環」の研究と社会実装を目指す研究者 片野晃輔氏、施設で採れた卵を販売する自動販売機の企画設計には東京2020オリンピック・パラリンピックで聖火台のエンジニアリングを担当したクリエイティブスタジオnomenaの武井祥平氏に参加していただき、地球と動物と人に美味しい環境作りを目指す研究施設を作ってまいります。
©︎DOMINO ARCHITECTS
- FOREST REGENERATIVE PROJECTとは
©︎DOMINO ARCHITECTS
FOREST REGENERATIVE PROJECTとは、「都市近接型で行う、多様な動物と植物による森の活性化実験のモデルファーム」です。
酪農を行うための実務者は現場にいることが多いですが、研究に関わるメンバーが牛の成長や土地の状態などをリサーチするためには移動距離が長く、頻繁に通う事ができませんでした。そのため、札幌市内にある盤渓という森林地帯で山地酪農の実験を開始することになりました。
日本の国土において約70%が森林であり、その多くが林業事業者の減少等で整備が行き届いておらず(※1)、温室効果ガス吸収能力を十分に発揮できず「死んだ森」になってしまっているのではないかと我々は捉えています。
そこで、牛が森林地帯でも育成可能であることから、放牧酪農の一種である山地酪農を活用して死んだ森に動物が入ることで生き返るかどうかの実験を始めます。
事前リサーチによって見つけた、多様な動物が森に入り込むことで炭素循環が進み、土壌の微生量が増え、さらには植物の多様性が上がり土壌が活性化すると言う先行研究をベースに今回の実験を計画しました。数年かけて森林の成長や土壌の炭素循環、微生物の数値を記録・分析し森林の活性度を図る実験を行なっていきます。
さらに、今回の実験では自然をそのままに牛の力を活用するのではなく、人と動物と自然の関わりを模索していくために、拡張性体系(※2)という考え方を用いて、土壌の栄養素の循環にも関わりながら動物の餌にもなる、これまでの盤渓にはなかった新たな植物を植えることで、自然の力を引き出す新たな森林の生態系作りも試していきます。
実験開始当初では鶏舎が2棟と牛や馬が10頭程度休める場所と卵の出荷施設を作り、鶏の体に負担をかけない鶏卵を育て販売しながら、山地で酪農するためのノウハウを蓄積していくことを目指しています。
当面は商業的に利益を求めるのではなく、いかに地球と動物と人が協生できるビジネスが実現できるかの実践を行います。
※1 農林水産省林野庁 令和2年度 森林及び林業の動向 (第1部 森林及び林業の動向)より
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/attach/pdf/201126_2-1.pdf
※2 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 舩橋 真俊「人間による生態系の拡張:食料生産と科学の2045年目標」
(上記内容の翻訳記事)https://synecoculture.org/blog/?p=781
プロジェクト施設住所
北海道札幌市中央区盤渓375
©︎DOMINO ARCHITECTS
©︎DOMINO ARCHITECTS
- UAがFOREST REGENERATIVE PROJECTを行う目的
UAでは美味しいお菓子作りのために、昨年の立ち上げ当初より放牧酪農による温室効果ガスの削減とおいしい牛乳作りを目指してきました。本プロジェクトを行うことにより、下記のような効果を作り出し、仮説の検証と実行を加速させていきたいと考えています。
1:UAのコンセプト「GRAZE EXPERIMENTS」の象徴
「地球、動物、人に優しい牧場運営の実験と、その材料を使った美味しいお菓子作り」をコンセプトとするUAの「放牧の実験」の象徴となる場所を目指しています。
小さな牧舎と鶏舎、そして配送施設から始め、数年単位での実験を進めることで東京ドーム4個分の森を長い時間をかけて森と動物と人の新しい関係性(本当のリジェネレイティブアグリカルチャー)を築いて行きます。
2:本当のリジェネレイティブアグリカルチャーを目指して、森を活性化する実験場所の確保
UAの設立当初から日高で牧場と鶏舎を運営していましたが、シェアミルカー制度と実験の併用には経営面での課題がありました。今回の札幌市内に土地を購入できたご縁により、シェアミルカー制度ではなくUA社単独で運営することで当面は収益を目的とせず、牛と鶏と植物と森を1箇所に集めた実験やリサーチを行える場を作りを目指しています。
3:多様な人が交わり実験ができる場の提供(産学連携など)
日高の牧場では畜産運営以外の事業や研究を行うメンバーが札幌にいるため移動距離が長くなると、気軽な実験がやりづらいという課題がありました。札幌市内に場所ができることで、UA社員や北海道大学農業学部内田研究室のメンバーはもちろん、それ以外の方々とも実験をご一緒できる場を作っていきたいと考えています。
4:オンラインだけでなくリアルでもユーザーと交わる場の提供
UAとお客様との接点がチーズワンダーのオンライン販売のみとなりリアルでの接点がありませんでした。今回札幌市内に場ができることで、今後多くのお客様との関わる接点も増やしていきたいと考えています。
- 今後の予定
当面は実験がメインとはなるものの事業と環境面での両立を目指し、温室効果ガスの削減や土壌の改善を数値化し目標を達成を目指しながら、ゆくゆくは経済的に自立できる量の卵や牛乳の産出も目指します。
本プロジェクトを通してリジェネレイティブな牧場経営のノウハウを蓄積し、シェアミルカー制度にも活かしていくことを狙っています。
また、盤渓の土地ではモデルファームとしての役割のみならず、カフェやレストラン、ホテルなどを建設しユーザーを巻き込んでいく体験型施設の追加建設も考えております。
これらの活動を通して情報発信を重ね、温暖化に対して取り組めることや畜産業の未来に対する理解を促進させていきます。
- プロジェクトメンバーのご紹介とプロジェクト開始へのコメント
【施設設計】 DOMINO ARCHITECTS 大野友資氏
(プロフィール)
DOMINO ARCHITECTS代表/FICCIONES所属/東京藝術大学非常勤講師/一級建築士
1983年ドイツ生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院修士課程修了。カヒーリョ・ダ・グラサ・アルキテットス(リスボン)、ノイズ(東京/台北)を経て2016年独立。2011年より東京藝術大学非常勤講師を兼任。
(コメント)
牛や鶏の為の建築を設計するのは初めてですが、動物も植物も人も微生物もひっくるめてダイナミックに進んでいくこのプロジェクトを楽しんでいます。盤渓に元々あったような、でもとても新しいような、そんな風景を作れるよう頑張ります。
【ランドスケープ設計】 片野晃輔氏
(プロフィール)
1997年新潟生まれ。中学時代、母の乳がんがきっかけで分子生物学に関心を持ち、高校時代は企業や大学のラボを利用し個人で研究。高校卒業後、MIT Media LabにてSynthetic Neurobiologyグループ、Community Biotechnologyグループにて研究員として活動。 帰国後、Sony CSL、一般社団法人シネコカルチャーにて拡張生態系の研究に携わる。 現在は個人事業主として「生命の連環を起こす」という思想を軸に研究活動、企業への助言や造園ユニットとしての造園/空間設計など分野問わず活動している。
(コメント)
酪農と生態系の構築が両立できる手法の探索には予てから関心があったので非常にワクワクしています。本プロジェクトを通して、身近な暮らしでの持続可能な生態系との付き合い方を皆さんと考えられたら幸いです。
【無人販売所システム設計】 武井 祥平氏
(プロフィール)
1984年岐阜県生まれ。高専で電気工学、大学で認知心理学を専攻。2006~2010年(株)丹青社。2012年 東京大学大学院 学際情報学府 修士課程修了。同年、クリエイティブスタジオnomena設立。
(コメント)
私はものづくりを生業としています。私たちの生産活動が地球にとってマイナスとならないためにはどうすればよいか。FOREST REGENERATIVE PROJECTには、その課題に対するひとつの糸口を見い出したいという思いで携わっています。
- ユートピアアグリカルチャーメンバーコメント
(プロフィール)
2013年に株式会社BAKEを創業し代表取締役に就任。2018年にBAKE退社。スタンフォード大学客員研究員を経て、2020年にユートピアアグリカルチャー社の代表取締役として再始動。
(コメント)
お菓子は毎日食べる必要のない嗜好品です。だからこそ、代替物ではなく本物の最高の原材料を求めて放牧酪農や平飼い養鶏場を始めました。本プロジェクトでは、これからもお菓子屋として本物の原材料を使い続けていくために、日本の重要資源である山の活用を視野に入れ、動物がいかに山を再生していくかを証明していきたいと思っています。
北海道大学大学院農学研究院 環境生命地球化学研究室 内田義崇先生
(プロフィール)
2009年ニュージーランドリンカーン大学卒、2010年より農業環境技術研究所(現:農研機構・農業環境変動研究センター)に在籍。2013年に北海道大学大学院農学研究院に環境生命地球化学研究室を立ち上げ、現在は准教授としてこの研究室を運営している。土壌微生物と酪農場における栄養バランス研究の他、家畜糞尿由来廃棄物の農地散布を最適化するための衛星画像利用システムの開発、ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康・経済リスク評価手法および予防・修復技術の開発プロジェクトに携わる。
(コメント)
今、世界の食糧生産を根本的に考え直す時期に来ています。石炭など、いずれ無くなる資源を使った化学肥料の生産、大量のエネルギーを消費しつつ輸入される飼料、水質・大気汚染が指摘される酪農、畜産業ですが一方で生乳が余ることが大きなニュースとなりました。私達は何を、どう育て、どう食べるべきなのでしょうか? そんなことをすべての方々が考えるきっかけとなるプロジェクトとして期待をしていますし、研究者として存分に協力したいと思っています。
- 株式会社ユートピアアグリカルチャーとは
「GRAZE EXPERIMENTS」をテーマに、美味しいお菓子作りのために美味しい原材料を追求した結果たどり着いた放牧による牛乳作りに挑戦している会社です。お菓子は食べなくてもよいものではある、それでも食べたくなるお菓子だからこそ、地球環境に悪影響をもたらさずに心から楽しめる、本当に美味しいお菓子作りを目指しています。
社 名:株式会社ユートピアアグリカルチャー
所在地:北海道沙流郡日高町字豊郷916-6
設 立:平成2年10月12日
事 業:放牧牧場の運営、乳製品の製造・販売、養鶏場の運営、
自社牛乳や卵を使ったお菓子の企画・販売
公式サイト:https://www.utopiaagriculture.com/
以上
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