⽇本医療研究開発機構(AMED)「令和5年度 若⼿研究者によるスタートアップ課題解決支援事業」の採択決定について
順天堂大学(学長:新井 一)、イマクリエイト株式会社、住友商事株式会社と共同で、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「令和5年度 若手研究者によるスタートアップ課題解決支援事業」に申請し、採択されました。
本事業は、革新的な医療機器等の研究開発にリスクを厭わずチャレンジするスタートアップ事業の創出を目指し、様々な分野の専門家との連携をはじめとする共同研究等の実施を希望する若手研究者を支援するプログラムとなっています。
なお、本事業の詳細は下記の通りです。
■採択事業の概要
『バーチャルリアリティ(以下、VR)を用いた小児弱視訓練用プログラム医療機器(以下、本医療機器)の開発』事業について
■研究開発期間:令和5年7月1日~令和6年3月31日
順天堂大学、InnoJin株式会社、イマクリエイト株式会社、及び住友商事株式会社の4社共同で、本医療機器の安全性評価試験、臨床試験機の開発ならびに本医療機器の効果に関わるパイロットスタディを行います。
■背景
両眼の矯正視力が0.3未満、または視力以外の視機能障害を持つ弱視患者は約21万人いると推定され、その社会損失は約2.2兆円と試算されています。弱視治療は8歳までに治療が必要とされていますが、従来のアイパッチ(健眼遮蔽)による治療法は患児と保護者の負担が大きく、保護者の自己判断でアイパッチを中断するなどのアドヒアランス(患者が医師の指示に従い、積極的に治療に参加すること)の低下により弱視の治療効果の低減につながっています。また、担当医師はアイパッチによる治療時間の実態把握がしづらいことから、弱視治療の効果測定が難しいとされています。
そこで、アイパッチに代わる心理的・物理的負担が少ない弱視訓練方法が望まれています。
■内容
本事業では、VRを用いた小児弱視訓練用プログラムの医療機器 (次頁図1)の開発に取り組みます。
本医療機器を毎日短時間(30分~1時間を想定)使用することで、弱視眼の視力発達を促すことを目指します。また、従来の治療法の課題であった「患者・保護者の負担による治療の離脱」「医師による治療時間の実態把握が困難」については、患児がストレスなく継続的に使用できるようにするため、ゲーミフィケーションを取り入れたコンテンツを取り入れ、さらに使用状況(治療状況)については担当医師が管理できるようになります。
開発の進め方としては、若年健常者に対して本医療機器の初号機を使った安全性評価試験を行い、本医療機器の機能改善点について調査をします。さらに、同調査結果をもとに臨床試験機を開発し、PMDA(医薬品医療機器総合機構)による有効性や安全性に関する審査を経て効果に関わるパイロットスタディを実施します。
図1. VRを用いた小児弱視訓練用プログラム医療機器を使用した時の見え方とデモ
■今後の展開
パイロットスタディの結果をもとに、再びPMDAによる有効性や安全性に関する審査を受け、本製品の効果に関わる特定臨床研究のプロトコル(実施計画書)を策定します。その後、特定臨床研究、検証的医師主導治験に進み、医療機器申請のための準備を行っていきます。
一方で、事業化の体制についてもInnoJin株式会社、イマクリエイト株式会社、住友商事株式会社の3社で協働し、本機が目指す「視力にハンディキャップを背負う子どもがいない未来の創出」をいち早く実現したいと考えています。
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